大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年2月5日(火) 11:05 ~ 11:25
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

本日、国土交通省関係の閣議案件はございません。
私から、2点御報告がございます。
 1つは、国土交通省広域ブロック連携防災訓練の実施についてであります。
2月7日に、国土交通省が主催をしまして、中部地方を中心とする6県3政令市、関係機関等の参加を頂きまして、南海トラフ巨大地震を対象とした防災訓練を行います。
地方ブロックを超えた広域的な訓練は、国土交通省としては初めての取り組みとなります。
南海トラフ巨大地震に対する備えを万全とするために、本省と、東北から四国に至る各整備局や運輸局、この他に長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀の各県、名古屋、静岡、浜松の各政令市、自衛隊や警察、消防、大学など、70を超える団体と約1千人が参加し、連携・協力した実働訓練を行います。
当日、朝8時から本省の防災センターにおいて、緊急災害対策本部の運営訓練を行うとともに、整備局や運輸局とのテレビ会議による情報伝達・共有訓練、防災ヘリコプターによる被害状況調査などを実施致します。
詳しくは、後ほどお配りする資料を御覧ください。
 2つめは、地方自治体の除雪費に対する支援についてであります。
この冬は、雪の降り始めが早く、特に北日本を中心に大雪となっているという状況を踏まえまして、地方自治体の道路除雪費に対する支援を行うことと致します。
各市からも強い要望を頂いており、対応したいと考えております。
道府県に対しましては、例年、降雪状況に応じて社会資本整備総合交付金を追加的に配分してきたところでありますが、本日、追加配分することと致しました。
また、市町村に対しては、全国的な豪雪時に、積雪が特に多い市町村に対して、特例措置として補助を実施してきたところでございます。
この冬における支援を検討するために、市町村の積雪状況等の調査を直ちに開始して、対応できるようにしたいと思っております。
引き続き、地方自治体に対しこの豪雪に対する支援に万全を期して参るつもりであります。
詳しくは、後ほどお配りする資料を御覧ください。
私の方からは以上です。

質疑応答

(問)笹子トンネルについてお伺いしたいのですが、2月8日から笹子トンネル上り線が復旧しますが、事故の原因がまだはっきりしない中で、御遺族の方々から拙速ではないかというような声も出ているようですが、大臣の所管をお伺い致します。
(答)御遺族の方々には、私から中日本高速道路会社の金子社長に対しましても何回もお会いをしたり、指示をさせて頂いたところですが、何よりも被害に遭われた方々へ真摯な対応をするようにと重ね重ね申し上げて参りました。
一方、笹子トンネルの再開につきましては、山梨県などから提出されている早期復旧の要望等を踏まえまして、上り線の早期復旧とその早期公表についても金子社長に指示していたところです。
その結果、2月8日に再開するということを決定させて頂いたということで、連休にも間に合うということになったと承知しております。
そこで、中日本高速道路会社において、笹子トンネルの復旧にあたりまして、天井板の撤去、そして覆工コンクリートの剥落対策工事などを実施いたしまして、トンネル本体についても全面にわたる目視・打音点検の他に強度試験などを行うことで、トンネル本体につきましても安全が確認されたということでしたので、2月8日に開通するとの報告を受けたところです。
ですから、天井板や覆工コンクリートの剥落対策の他に、(トンネル)本体自身ということについても、安全性が確認をされたということでの再開であります。
しかしいずれにしましても、被害にあわれた方々に対して、誠心誠意対応するようにと、重ねて私の方からも申し上げているところであります。

(問)先週末、国の調査委員会の方が笹子トンネルの関係で、中日本高速道路会社が以前笹子トンネルの天井板撤去を計画していたものの、その後その計画を見直して撤去しない事になったと。
理由は色々あろうかと思うのですが、トンネルを長期に渡り止めなければいけなかったとか、そういう理由はあるにせよ、被害に遭われ亡くなられた方々、またその御家族の事を考えると、この天井板の撤去は何とかならなかったのかなと思いますが、一旦計画をしておいたということは、それなりの何か危険性、認識があったのだろうと思われるのですけれども、それについて何とかならなかったのか、その辺大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)先般、トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会の報告を聞きましても、平成20年と平成24年の点検計画を変更したと、その理由について中日本高速道路会社に確認したところ、他の場所でタイルとか鉄板の落下事故等が起きているということで、落下事故が起きないようにという対応の方を先行させたということの報告がございました。
また、天井板の撤去も検討したということでありますが、通行止めによる影響が大きいということで見送ったということも報告を頂いているところです。
様々なこうした経緯があるということは承知していますが、結果としてトンネル天井部の詳細な点検が、2000年以降行われていなかったという事実は大変残念に思います。
天井板落下の原因究明について、こうした計画の見直し理由も含めて、現在調査・検討委員会が詳細な調査をし、鋭意議論を進めているところであって、国交省としてはまずは調査・検討委員会の結論を待ちたいと、このように思っております。

(問)昨日(4日)辞任された徳田元国土交通政務官の件ですが、大臣が緊急会見を開いてくださった時には、一昨日の夜に報告があったということですが、昨日本人もコメントを出しまして、改めて大臣の方には辞任についての報告はあったのか、またあったならば内容はどのようなものか教えて頂けますか。
(答)私の所には辞任ということの報告はございません。
ただ、国交省として辞任自体の届出ということを、官房長官の所に届けさせて頂いたということで、そこには一身上の都合で辞任したいということでありました。それ以外は私とは交信はしておりません。
ただ、政務三役には、それぞれ連携を昨日とったとの報告は私の所にはございました。
一身上の都合で辞任したいという申し出がありましたものですから、私はそれを受けて辞任を認めたということでございます。

(問)トンネルということで言いますと、新幹線の絡みでもコンクリート片の落下などがありましたが、今後全体を含めてどのような指示をしていくおつもりなのか教えて下さい。
(答)これについては私は重要視しておりまして、笹子トンネル事故あるいは千葉県での素堀りのトンネルでモルタルを吹き付けているというものが剥落したという事故等がある上に、東北を始めとする新幹線の(トンネルの)モルタルの剥落等が起きてきております。
これは特に鉄道と道路のトンネルということに重視して、しっかり点検を行うように緊急点検を指示しているところです。
JR等の鉄道事業者につきましても、私から強く指示したのは、笹子トンネルの事故に関連して、いわゆる非構造部材の落下ということからいきまして、架線を吊る金物のことを下束(さげづか)と言いますが、この緊急点検ということ、そして新幹線のモルタルの剥落が続いたということで、これは側壁が多かったのですが、目視はもちろんですが天井の方もしっかり打音検査をはじめとしてやるようにと指示をして、緊急点検をそれぞれの危険だと思われるところについて点検を行うようにと指示をし、あるいはまた、違う案件ですが、東北新幹線で高架橋の防音壁のコンクリートが落下したということが一番直近でありました。
これについては、同じような構造物の緊急点検を昨日指示をしたところです。
いずれにしましても、トンネルをはじめとして、非構造部材、そしてその防音壁等のコンクリートが落下するというようなことについて、しっかり鉄道事業者が点検をするようにということについては、特に指示をしているところです。
(問)関連してですが、それに合わせて高速道路なども50年以上経って老朽化の問題がいろいろ叫ばれていますが、緊急点検ということでそういった事業者に対する国からの補助のようなものは特にしないで、基本的に各事業者が負担して行うとお考えでしょうか。
(答)これは補正予算の中にも、今までは調査・点検というような予算が付けられたということはなかった訳ですが、今回は特にそのようなことが大事であるということで、補正予算の中にも調査・点検という項目を入れまして予算化する、そしてそれ自体について地方でも橋とか道路あるいは公園等についてもそうですが、老朽化があるという身近な生活レベルのところでもしっかり対応が出来るようにということで、調査・点検も含めて予算化されたということが、今回の(補正予算の)大きな特徴であると思っておりまして、そこが速やかに調査・点検に入れるようにということで、マニュアルも含めてしっかり指示が出来るようにと思っているところです。

(問)老朽化対策の関係ですが、地方公共団体や自治体を取材してみると、その多くがインフラやハコモノ、全体で一体どれくらい維持管理費が年間掛かるのか、総額いくら掛かるのかというところを把握しているところは、ほんの僅かで、ほとんどのところは道路橋に関してはだいたいこの位掛かりますという試算はあるのですが、道路橋やトンネルや港湾やハコモノ全体で、その地方公共団体が抱える老朽化したインフラ・ハコモノ全体でいくら維持管理費が掛かって、年間どの位必要なのかという、そういう基本的なところを押さえているところというのは実に少ないなという取材した感想なのですが、まずはその辺をしっかり把握していかないと、今後どの位掛かるのか、大臣も常々おっしゃられていますけど、わからないと思うのですが、その辺りを把握するようにという指示なり対策というのは何か検討されたりしていますか。
(答)把握するということが極めて重要です。
そして修繕にいくら掛かるのか、そしてその修繕によって長寿命化が図られるということ、それがなければ、それが崩落したり壊れたということで立て直しというような事態になりますから、そこに掛かる金額はまさに違うと思います。
今まで国でざっくりこれだけというようなことが報告されたことがありますが、それも地方レベルに限らず国全体としましても、その規模はそれを作ったのにいくら掛かったと、無くなった失われた財産はいくらになるというような、かなりざっくりしたものしか出来ていなかったというのが現実だと思っております。
また、国の施策として老朽化対策とか長寿命化、修繕あるいはその前提としての調査・点検というものが、メインストリームとして行われたということがこれまでなかったものですから、現在出来ていなかったという、今の段階で出来ていないというよりも、まさにそこを急いで調査・点検をする、調査・点検をしたということなしには総額はわかりませんから、まず調査・点検をしっかりする、緊急を要することについては修繕に入るということ、どれだけのスピード感を持って行っていけるかということが大事なことだと思っておりまして、そこは補正予算を出来るだけ早く成立をお願いしたいと思っておりますし、その予算が成立したならば、直ちにそれがスピード感をもって実施されるようにということが、まず全ての前提ではないかと思っているところです。

(問)ボーイング787型機のトラブルに関してなのですが、ボーイング社がアメリカの連邦航空局に試験飛行をを申請したという報道がありまして、データの収集ですとか原因調査とか、運航再開の判断ということへの流れだと思うのですが、なかなか原因が究明されない中で、国土交通省としても、徹底した原因究明、もう一つ早期の運航再開をどう判断出来るかという相反する二つのミッションがあるかと思いますが、大臣はどのようなお考えでしょうか。
(答)動かす中でどうするかということよりも、あくまで原因究明ということに力点を置いている現状にございまして、NTSB(国家運輸安全委員会)、FAA(米国連邦航空局)そして運輸安全委員会、そして航空当局のそれぞれが、今、原因究明に向けて精力的に動いているということですから、どこまでもまずそこが一番の大事な事だということが、私達の基本的なスタンスであるということに変わりはありません。むしろ原因究明ということに力を注ぐということが一番大事だということで、その辺をよく連携を取って、さらに行っていきたいと思っております。

(問)日本の産業界が部品を多く供給していることもあって、運航再開への強い期待もあるかと思うのですが、それはやはり原因究明に力点を置くということでしょうか、
(答)そのとおりです。出来るだけ早く再開という声もあるわけなのですが、しかしその方々も何よりも安全ということについて、それが前提であるということの共通認識は、私は同じくしていると思っております。

ページの先頭に戻る