大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年2月15日(金) 10:57 ~ 11:26
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日、国土交通省関係の閣議案件はございません。
 私の方から、1点御報告をさせていただきます。
アメリカのハリケーン・サンディに関する現地調査の件でございます。
国土交通省は、防災関連学会と共同で、アメリカのハリケーン・サンディに関する現地調査を行うことといたしました。
この事案は昨年10月29日にニュージャージー州アトランティックシティ近くに最高風速36mという大変な威力を保ったまま上陸しまして、アメリカ全土及びカナダで132名が、ニューヨークだけでも43名がお亡くなりになるという大変なものでありましたが、特に地下鉄等に浸水して、未だに復旧していない所があるのですが、10日間位も全面的に復旧しないという大変な状況がありまして、高潮によるものではありますが、地下というものが水害に遭った場合にどうなるのかという非常に重要な案件だと思っております。
そこで、2月25日から3月1日にかけまして、災害当時の対応や現地の復旧状況を精査して、アメリカの陸軍工兵隊、危機管理庁(FEMA)、そしてニューヨーク州等と情報交換を行うこととなりました。
調査団は、国土交通省から国土技術政策研究所の上総所長を団長として10名、防災関連学会から8名、計18名で調査を行うこととなります。
今回の調査結果につきましては、我が国の首都圏の水害・高潮災害対策への重要な教訓として活用することとし、調査終了後には、調査団からしっかり報告をさせたいと思っております。
詳しくは、後ほど資料をお配りいたします。
私の方からの報告はこの1点です。

質疑応答

(問)笹子トンネルの崩落事故の関連でお伺いしたいのですが、遺族が先日、業務上過失致死容疑で中日本高速道路の社長らを告訴しました。
これについての大臣の所感をお伺いします。
(答)この件については、報道によって承知しているところです。
本件については、事故直後より警察当局の捜査が為されているということもありまして、中日本高速に対して、捜査に全面的に協力するように指示してきたところであります。
御遺族からの告訴の取扱いについては、これは状況を見守るしかないと思っております。
しかし国交省としては、あくまでトンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会において事故原因の究明、そして再発防止策に関して、より一層力を注いでまいりたいと思っているところです。

(問)航空の関係で、昨日公的支援に関する競争政策検討小委員会が開かれました。
この中で、出席した全日空の方から、今回問題視している点というのは公的資金が投入されたこと、それから会社更生法が適用されたこと、このダブルでかかったことが問題なんだというような主張を展開されたと聞いております。
これは前の政権の時の話ではありますが、JALが再生の過程で公的資金の投入を受けたこと、それから会社更生の適用を受けて再生を図ったこと、このダブルで効いたということは、大臣としては問題だとお考えになりますか。
(答)昨日は、企業再生支援機構と日本航空、そして全日空の三者からヒアリングを行って、御意見を頂いたということだと聞いております。
私としては、この小委員会が日本航空の再生過程について検証を行って、今後の航空行政に反映されるという事が目的で設置されているところでありますから、昨日ヒアリングをされましたが、私自身が今日の時点で感想を述べるのはあまり適切ではないと思っています。
そういう意味では率直な意見交換をより一層して頂いて、議論を深めて頂きたいと、私としては思っているところです。

(問)観光と為替の関係について一件伺います。
急に円安が進むと日本人旅行者の希望は海外から国内にシフトすると思います。
この為替の影響で、日本の国内観光需要にどの位効果が期待されているか教えてください。
(答)数字については、為替自体が動いていることですから、そういう意味では、今どの位の影響かという数値については申し上げる状況にはありませんが、仰ったように円安であるということは来日、あるいは今度は外に出て行くことに影響があるということは間違いのない事実であります。
しかし、これはモノづくりの産業も含めて日本経済全体の問題でありますし、適正な市場の中で為替相場が決まっていますから、口を差し挟むべき状況ではないと思っております。
私としては、現時点で為替ということについては、市場の中で決まって行くものでありますのでコメントする立場にはないと思いますが、一番私が思っていることは、国土交通省あるいは観光庁としては、日本への訪日観光客1千万人ということを今年の大目標としておりますし、昨年は約837万人、2010年には約860万人までいったということもありまして、なんとか1千万人の訪日外国人の観光客を得られるように努力をしているところでございますので、現在の状況は1千万人に向けてということに寄与して頂ければと感想として持っております。
しかし、為替あるいは外交関係ということの他に、具体的に観光ということについて様々やらなければならない課題がありますので、多くの外国人の方の日本への観光が進むように努力をするのが私たち国交省としての立場であるということを申し上げたいと思います。
(問)外国の方もそうですが、日本人が日本国内を観光することについて、どのような努力をされていますか。
(答)東北地方への観光については、東北観光博を行っているところであります。
特に、東北観光博の中でも、被災した地域の海岸付近、例えば気仙沼や大船渡などに旅館があります。
東北観光博をきっかけになんとか東北に行って頂きたい。
またそれは風評被害を脱することにもなると思っております。
そこには力を入れてきましたが、海岸付近が復興ということで前進している中、私は是非とも被災地復興、本当に被災された地域について復興に勢いが出ているというアピールを今やらなくてはいけないことだと思っております。
全国の観光におきましては、人が様々動くことについては、笹子トンネルの事故から2月8日に復旧しましたが、スキーシーズンでもあり観光ということでは早く原因を究明し安全措置を取ることが必要でありますので、道路がしっかり開通して、安全が確保されるということもありますし、春になり高速料金や様々なことをやってきたということもありますが、これは私は今特段考えておりませんが、様々な措置を道路一つとっても、高速道路一つとっても、災害についても、また観光の様々な協会もありますが、連携も含めてアピールすると、またそこの具体的な受け入れ方についても更に協議を進めて行きたいと思っております。
国交省としては観光に特に力を入れているところでありますから、今御質問なり御指摘頂いたことについては、これで一気に行くという決め手がなかなかないんですが、現場に即した意見をよく聞いて、もう少しこうして頂ければというこちらからの要望もあれば現地からの要望もあるということを突き合わせて、総体として様々な手段を用いていくということが大事だと思っています。

(問)ボーイング787型機が高松空港に緊急着陸して1か月になりますが、原因調査の進捗状況と運航再開への見通しに関してどのように御覧になっていますでしょうか。
(答)ボーイング787型機のバッテリー事案については、運輸安全委員会と航空局の調査チームがNTSBやFAAと緊密に連携して原因究明と再発防止策に努めており、検討している状況にございます。高度な科学技術の粋を集めたものですから、なかなか簡単に原因究明はまだ出来ていない状況でありますが、高松空港でのバッテリー事案、燃料漏れ事案について、引き続き、航空局、運輸安全委員会、アメリカのFAA、NTSBとの連携を更に強めて原因究明に当たっていきたいと思っているところです。
早期の運航再開に向けて原因究明をしっかり行って、引き続き全力で取り組んでいきたいと思っているところです。
また、この辺りの技術的な事、原因究明の現状については後ほど事務方より御報告をさせて頂きたいと思っています。

(問)調査官の方々も懸命に調査をなさっていると思いますが、先日も専門委員を運輸安全委員会が加えて調査に当たっているとは思いますが、現状を打開するために更にこうしたいという改善点、やるべきことというお考えはありますか。
(答)今、原因究明については、懸命に作業をして頂いて、ある意味では不眠不休に近い形でやって頂いていると思いますので、特段これをという負担を掛けるということよりも、今の体制で更に原因究明をしていくという道筋をと思っております。
私も本当に現場で運輸安全委員会の皆さんがどれほど努力をしているということを承知しているつもりでありますので、そこをしっかり見守っていきたいと思っているところです。

(問)今週ですが、大臣の出身母体である公明党の呼びかけで、与党の整備新幹線推進与党プロジェクトチームというものが出来ることになりましたが、ここでは実施計画については再検討するということですが、工期短縮という声が出ている中で、このプロジェクトチームの位置付けと、工期短縮に大臣はかなり意欲を持っておられると思いますが、今後の見通し、スケジュール感というのをどのようにお考えでしょうか。
(答)私が直ちに今日新しいことを述べるという状況ではございませんが、北海道を始めとする知事さんや、あるいは経済界の方からも強い要請を頂いているということで、なんとかお応え出来るようにというのが今の私の気持ちです。
与党のプロジェクトチームについては、私は十分承知をしておりませんので、色々な角度でお話を聞いたり詰めて頂ければと、そこでまた、こちらとも連携を取らせて頂きたいと思っているところです。

(問)ボーイング787型機の関係ですが、運航が停止されてからもうすぐ1か月になります。
1か月位運航を停止しているというのは1979年以来だと思うのですが、航空会社へも影響が出てきていると思います。
そういった対応・支援みたいなものを国土交通省として考えているのでしょうか。
(答)これについては大変苦慮しているし、全ての企業がそうですが、建設業界などでもそうですが、計画を立てて戦略を組み立てていくということが企業の一番大事な、特に今の時期は大事なことです。
そういった意味では、なかなかこのボーイング787型機については、その見通しが立てられないということが、経営ということでは大変苦慮しているということはよく承知しておりますが、何よりもここは原因究明ということを急がなくてはいけません。
そこに一番力を注いでいくということは、そこを打開する一番大事なことで、それを除いて経営の面から入るという訳にはいかないと思っています。
事情はよく承知をしているつもりで、まず原因究明に全力を挙げるということが一番私達のやるべきことだと思っております。
(問)つまり、航空会社に対しては対応・支援をしないというお考えでしょうか。
(答)その件については、今後どうするかということを当然考えなくてはならない面も出てくるかと思います。
しかし、あくまで今のところは私達のやるべきことは、原因究明に全力を挙げるという一点だと思っております。

(問)ハリケーン・サンディの現地調査ですが、都市水害としては非常に大きなものだったと思いますが、日本への対策にどのようにフィードバックさせるという点で調査をしていくということなのか、大臣の今のお考えをお願いします。
(答)私の地元などでもそうですが、都市型水害というものが、そうしたハリケーンとか台風ということに限らず、都市型のゲリラ豪雨によっての都市型の水害ということがありまして、その時に一番問題となるのが地下の問題であったり、普通の水害でありましても膝から下くらいの30センチくらいの床下浸水ということが、小規模の地域でもあります。
そこでビルの駐車場や電気施設というものが、地下や半地下にあるということが多くて、被害としては相当のダメージがあると思っております。
そういうことから、大規模あるいは小規模に関わらず、都市ということ、地下ということの水害への対応ということについて、非常に大きな事故が起きたわけですから、そこについてしっかり知見をまとめていくという作業が極めて有意義であると思っています。
もっと早く調査が出来ないかと私は実は思っておりましたが、現地との連携の中でこれが実現して、いよいよ今月末から出来るということについて、私は大変貴重な調査になると思っているところです。

(問)今日、一部報道で三菱重工業がアメリカのボーイング社の定めた品質検査をせずに部品を出荷していたというものがありました。
国土交通省として事実関係を把握されているのかということと、もし把握されているのであればどのような対応を今後されるのかお聞かせ下さい。
(答)事案については、今から7年ほど前の2006年から5年弱においての案件であると承知しております。
国土交通省に連絡・報告がありましたのは昨年末のことでありましたから、これは航空局にあったわけですが、かなり事務的な報告であったと聞いているところです。
互いの、三菱重工業及びボーイング社のこの件について、すでに両者で納得して検査が行われているということを踏まえてやっているという状況が、昨年末はそのような状況でしたので、これは両者間で納得してしっかり検査が行われれば良いということでした。
そのようなことで、現在は詳細な事実関係を確認して安全確保ということで、必要であれば適切に対応するということが大事であると思っているところですが、事案がすでに過去のもので、両者が納得しているということを踏まえてと思っております。
(問)何か法的に問題があるというよりは、民間同士の話し合いということでしょうか。
(答)そのように承知しております。

(問)最近、海外・国内で大変色々な事故が多発しております。
アルジェリアでの日揮の事件の場合は、政府は早速官邸に対策室を作りました。
観光客の場合は、取り扱った業者か、また日本旅行業協会とか、業者や協会任せの対策室しかありません。
観光と言いましても、飛行機とかホテルとか観光面だけでなく、パスポートの手配だとか全く観光に関係のないところの手配まで個人でやらなくてはならないという形です。
観光庁だけでなく、国土交通省の中にそういった事故対策室というものがあっても良いのではないかと思いますが、如何でしょうか。
(答)全体的には、アルジェリアの事案もあり今回のグアムの事案もあり、そしてそうした地域で建設業として道路を作ったりとか色々なことがあったりします。
観光もあれば具体的に仕事をしているという所もありまして、そこのガードということについては、これから、国土交通省というよりも政府を挙げて検討出来るものを検討していかなければならないという状況だと思っております。
そこへの対応も今検討を開始しているという状況にございます。
今回のこの件(グアムでの事件)は、外務省が現地総領事館に加えて外務本省領事局職員2名を派遣して対応しているところでありますが、観光庁も旅行会社2社に対しまして、被害者及びご家族の対応に遺漏なきよう指導して、これからの旅行会社は現地支店に加えて日本より社員を派遣して対応するということに、現地任せにしないということも含めて指示をし、また更に検討を加えていきたいと思っているところです。

(問)グアムの事件の関係でお尋ねします。
今の2社のうち1社は楽天トラベルが入っていると思いますが、この楽天トラベルについては手配旅行ということで、航空券なりホテルを手配した時点で、そこで会社としての責任は終わりだということです。
今大臣が指示を出されたということですが、今後手配旅行について、特に海外で何か事件があった場合に、国として関与を強めていくようなお考えはあるのでしょうか。
(答)現在のところ、この事案については旅行会社の対応に問題があったという情報は入手していないという状況です。
しかし今こうした大変な事故が発生して、お亡くなりになった方々あるいは被害に遭われた方々に対し、私は本当にお悔やみとお見舞いを申し上げなくてはならないと強く思っているところでありますが、国として何かまた新しい指示や仕組みを作るということについては、これからの検討課題の一つだと思います。

ページの先頭に戻る