大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年3月1日(金) 11:14 ~ 11:45
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日、国土交通省関係の閣議案件はございません。
 私から、1点御報告がございます。
 本日の閣僚懇談会におきまして、今年の大雪対策につきまして、内閣府防災担当大臣から、「被災地方公共団体からの要望等に対して可能な限りの対策を講じる」と、こうした協力依頼がありました。
 私からは、国土交通省の取り組みと致しまして次の発言を致しました。
除雪費につきまして、2月5日に道府県に対して社会資本整備総合交付金を101億円追加配分したところでありますが、さらに市町村への除雪費の支援を急ぐように指示を致しました。調査をして先週大雪になっておりますので、その大雪も踏まえた調査結果というものを早急にまとめて支援できるということ、例年よりも早くということを念頭に置いての指示です。
その中でも予算の面だけではなく、人手の確保ということにつきましても、直轄工事を受注している地域の建設事業者がおりますが、市町村の実施する除排雪作業に、若干スローダウンしても、除雪作業に協力するようにということ。
除雪機械も持っていますが、その機械についても市町村からの要請に基づき貸与するようにしていくこと。
河川敷の雪捨て場でありますけれども、そこもしっかり活用出来るように、要望に添って対応するようにということを重ねて指示をさせて頂いているという状況です。
こうした報告をさせて頂きました。
 早急に市町村に対しましても、調査結果が近く寄せられてまとまると思いますので、出来るだけ早く予算が執行できるような体制をしっかり組んで、大雪で大変な状況にある地域についてしっかり支援をしたいという強い意志を持って、取り組んで行くことをまず御報告しておきます。私の方から報告は以上です。

質疑応答

(問)平成24年度の補正予算が成立しまして、国土交通省による公共事業の迅速な執行が問われているところですが、どのような取り組みをなされているのか。
それと全国的に土木・建設関係の人手不足や資材の高騰ですとか最近問題になりつつありますが、この辺の取り組みについてお考えをお願いします。
(答)24年度補正予算につきまして、経済への効果が一日でも早く発揮されるようにということで、迅速且つ円滑な執行というものが一番大事だと思っております。
具体的に、一つは公共事業の入札についてです。契約ということにおいては、総合評価ということで通常6週間かかるのですが、手続を簡素化しまして3週間で出来るよう今対応しております。
同時に地元企業の活用に配慮した発注ロットの大型化等に取り組んで行くということで、入札というものが行われて、執行が少しでも早くということに今努めている所です。
これは既に徹底しておりますので、何とか契約というものがかなり前倒しできると思っております。
そしてまた今ございました人手、特に職人さんがいないと、そして生コン等の資材もなかなか無いと。
全国的ということで言われることが多いのですが、全国的にといいますと資材面におきましても、全国というよりもどちらかというと、宮城県で資材が不足している状況でありまして、全部同じではございません。
そして人ということが言われますが、全国的に見ますと復興とかあるいは補正予算対応以上に、この数年、特に近年に至りまして、型枠工であるとか鉄筋工であるとか、特にそういうところ、鳶というようなところが、全国的にこの数年、非常に高齢化ということもありますし、公共事業が少なくなっているということもあります。
そうしたことでむしろ、補正予算とか復興ということでなく、むしろ構造的な問題ということで、ここはそうした観点から対応していかなくてはいけないと思ってます。
人の問題につきましても、随分国会の論戦でもお答えをさせているのですが、発注ロットの大型化とかいうことを始めとして、技術者等々が兼任して併用出来るというようなことや、発注体制というような中でも、URや地方自治体に全国的に応援を頂いて復興に力を注いでいる上に、CM方式ということで、大手の建設会社にスタートから係わって頂くようなこともやっているところです。
そうした観点からいきますと、私は補正予算の執行に万全を期したいということや、復興を加速したいということで、充分それに対応できるという、そうした能力を今保持していると思っております。
例えば国土交通省関係予算について申し上げますと、この補正予算で1.8兆円という公共事業の予算です。そして来年度の当初予算ということにつきましても4.5兆円ということで、合計しますと補正予算で1年分の公共事業予算という言い方をする方もいらっしゃいますが、1.8兆円と4.5兆円を足して6.3兆円ということは、従来からいきますと、私の10年くらい前の記憶によれば政府全体で大体9兆円くらい、5年くらい前であれば、本予算で7兆円くらいということでもありますので、十分今の全国的なそうした建設関連の業者におきましては潜在能力は十分にあると、私は思っております。
そのような点では、地域の中での自治体と業者、そうしたところの連携や連絡が極めて重要であると、そうした調整措置が私は大事だと思っております。
そうした観点から、東北地方で自治体と関係業界との間で、建設資材対策地方連絡会というのを設けて、いろいろな調整をさせて頂いておりますが、私はこれを全国でも行うようにということをやりたいと思っております。
そうしたことで、潜在能力はあるけれど偏在しているとか、いろいろなことをしっかり調整出来るようにということで、ここをしっかり復興も、また全国の防災・減災・老朽化対策、そうしたことでもしっかり遂行出来るよう意思を固めていきたいと思っているところです。

(問)エジプトの観光地で2月26日に熱気球が墜落しました。
日本人ツアー客4人を含む19人が死亡するという事故でしたが、4人はツアーのオプションとして気球に乗りまして、安全管理責任のあり方についてもいろいろと問題が浮上しております。
このようなオプションツアーというのは一般的に行われていますが、まずこの事故に対する大臣の所感と、この事故を受けて観光庁としてどのような対策を考えておられるか、聞かせて下さい。
(答)まず、私はこの熱気球事故でお亡くなりになった方々に心よりお悔やみ申し上げたいと思っております。
また、今回の事故だけでなくて、最近グアム島における邦人死傷事件というものも起きたり、あるいは昨年ではありますが、中国の万里の長城付近での遭難事故等があったり致します。
そうしたことから、旅行業者そしてオプションツアーというようなこと、それぞれについてはそれぞれの観点が違うわけではありますが、共通して言えることは旅行業者がしっかり安全を確保するということの体制を取っていかなくてはいけないと思っております。
そのような点では、第1に旅行業者・旅行会社が旅行の安全確保に万全を期すということをしっかり、更に求めていきたいと思います。
また、被害が発生した場合は、会社をあげて事実関係の把握や関係各方面への連絡等を的確に行うと、何よりも被害者の対応ということに全力をあげるようにと、再度徹底をしたいと思っています。
そして今回の事案ですが、熱気球のオプションツアーを紹介するということでありましたが、ここのところについて、このオプションツアーを紹介する際に旅行先の熱気球の安全性ということで、当該国でどのようにそれが営まれているかということ、あるいはパイロットのライセンスというようなことも含めて、旅行先の法令の遵守ということを事前にしっかりと把握することが今回大事なことであったと私は思っております。
以上、安全ということと、被害者と加害者の実態把握、連絡・報告、救援、そうしたこと、そして今回のオプションツアーということについては、そうした旅行先の法令の遵守というのを事前に確認するということが極めて重要であるということを、今日重ねて旅行会社各社に指示をしたいと思っております。

(問)昨日ボーイング社のレイモンド・コナー社長が来省されて787型機の改善策を提示されたと思いますが、大臣が改善策をご覧になった印象と、航空局が検証を進めていくということですが、どこが課題になってくるかというお考えを教えて下さい。
(答)レイモンド・コナー社長のぶら下がり会見があったということですが、十分説明がなされなかったのではないかと思っておりますし、私は丁寧にその後事務当局から記者の皆様方はじめとして説明をしっかりするようにということで、(2月28日)夕刻に説明をさせて頂いたと思っております。
私はボーイング社の社長と面談をしまして、是正措置案について説明を受けて、アポロジャイズということでまず謝罪がありました。
そしてその是正措置案について説明を受けましたが、3段階ということが提示されて、バッテリー・セル自体の加熱の防止という、セル自体の加熱の防止ということが第1段階、段階というのは時間的なものというよりは、3つの角度、3層に渡ってという意味です。
それからバッテリー・セルに加熱が発生した場合に、他のバッテリー・セルへの熱の伝播の防止ということで、バッテリーの中のセルとセルとの伝播ということを防止する、これが第2の角度です。
第3は、そのバッテリーセル間で熱が伝播した場合の、全体の火災等の防止という、3つについての是正措置案を取ろうとして、FAAにそれを報告したと、その報告と同時に日本にも来て、そうした内容を同じ様に報告しなくてはならないということ、謝罪とともに、そうした事の説明に来られたと承知しています。
私は、ここはボーイング社がこういう事で是正措置案を提示し、FAAとこちらにも説明するということになりましたけれども、これからこうした事も含めて一つは更に原因究明を進めていくということは、行っていかなくてはいけません。
同時にそうした是正措置案を受けて、これからこれをFAAがどのように判断をしていくか、そして日本としても、FAAとの連携の下でこれをどう判断するかという、ある意味ではスタートということだと思います。
一つの案としてこれが提示されたということは重視をしなくてはいけないのですが、私の感ずるところは、スタートという段階だと思っておりまして、なお一層FAAとの連携、そしてバッテリー自体を含めたそうした事への原因究明ということを更にしっかり行っていかなくてはならないと思っています。

(問)(是正措置)案の概要の説明を受けたと思いますが、率直な御感想をお聞かせください。
(答)私は、今申し上げたように、一つの案の提示ということでスタートだなと思いました。
今まで原因究明ということだけで、是正措置案について提示されたということが一度もなかったものですから、そうした意味ではスタートが切られたなという印象です。

(問)印象というのは仰るとおり良くわかるのですが、良く練られたものだとか、こういった事が、検証がかなりわかるのではないかとか、そういったことはありますか。
(答)その辺は、私は30分弱の概要説明と謝罪ということでありましたので、エンジニア中心の方々が来られていて、そうした事についてはよく航空局と、そして運輸安全委員会でしっかり説明をして打ち合わせをしてくださいと申し上げましたので、私の感じは、特にコナー社長は、あらゆる事を全て想定したりしながら全体的なという事を大変強調されておりましたし、そして自分達が調査しているということで、いろいろな方々が、それこそいろいろな研究者の方々を総動員してという感じを持っておりまして、総合的なそうした検討の上に是正措置案というものが提示されて、これが一つの是正ということへのスタートで、その是正措置ということについては、これからかなと私は思ったところでございます。
(問)コナー社長は問題の解決段階に入るのではないかと、早期の運航再開を期待する発言もあったのですが、これに対してはいかがですか。
(答)私にはそうした発言はございません。
早期の再開というよりは、まず総合的ないろいろな検討をさせて頂いて、是正措置案をFAAに報告をしたんですと、お詫びと、そして日本にもしっかり説明しなければならないと思いましたので来ましたということで、再開とかそうした目途とかスケジュール等については発言はありません。

(問)大臣はスタートという言葉を繰り返し仰られていましたけれど、印象で構わないのですが、あと数週間以内に運航再開出来るというような感触なのか、それともまだまだ、大臣はスタートという言葉を仰られていますが、数ヶ月単位でかかるという感じなのか、今回の改善策を受けて、一般の人達はすぐにでも飛ぶのかなという印象もあるのかと思いますが、その辺り大臣はどのように思ってらっしゃいますか。
(答)正直に言って、スタートと言いますのは、この安全基準への適合性ということに対して、一つの措置案の提起をFAAにしたと、そうするとFAAはそれを適合性証明計画を審査する段階があり、更にその適合性証明計画を承認するには相当綿密に調査しなければならないということもあり、そして日本の中でのバッテリー事案について、ずっと原因究明を行っていることもありということで、私はそういう意味で、そこの調査をしたりということで、これは安全を確保するために行うべきことについては、時間はある程度かかるのではないかと、私は技術的な事ではなくて、そういう印象を持っています。現時点でいつか、いつまた承認されるのかということについては、正直に言って、これはまだ調査の途中のことですから、時期については本当に正直に言ってコメント出来る段階にはございません。
(問)すぐというよりは、印象としては、こういう承認だとかいろいろな手続きがまだあるので、もうしばらくは運航再開までに時間がかかるのではないかということでしょうか。
(答)しばらくという言葉がどういうことの期間を言うのかわかりませんが、正直に申し上げまして、現時点でコメントする段階にないと、なによりも私としては安全ということが非常に大事で、昨日私は日本という国は安全とともにもう一つ安心ということも確保しなくてはいけないということですから、世界基準の中においても日本は特に安全と安心の両面ということから行きますと相当の原因究明を進めたり真剣に取り組むという作業が行われて行かなくてはいけないと思っております。
時期については正直に言って分かりませんが、一つ一つ真剣に原因究明について検討がなされているということだけは、私は言えると思います。
(問)ボーイング社の対応についてお伺いしたいのですが、どんな企業でもトラブルや事故、問題を起こしたときに重要になってくるのは説明責任を果たすということだと思います。
今回、ボーイング787型機の事故で世界で最も影響を受けているのはもちろんエアラインもそうですが、乗客や利用者の方々が最も影響を受けていると思います。
調査中で色々確認するのは難しい部分はあるにせよ、ボーイング社自身から今回何が起きていて、どういう改善策が必要で何を行っているのかということを日本の利用者に向けてしっかり説明責任を果たすという部分が大事になってくると思いますが、昨日の対応やこれまでの対応を見ていてボーイング社はその辺りを十分に果たしているとはとうてい思いがたいのですが、ボーイング社の口からしっかり利用者に対して説明をしていくべきだと思いますが大臣はどうお考えでしょうか。
(答)アメリカ国内でどういう説明をしているのかということについては、私は正直申し上げまして承知しておりません。
ただ、ずっと原因究明やどうすれば改善できるのかということで一生懸命行って来たということの中で、途中経過としてどういう発言ができるかということについても中々一定の発言が世界に向けてできるかというと、私はこの間FAAに報告したということは、それまでの原因究明だとかそういうことについては私は承知しておりませんが、一つのスタートという段階に来たということで、FAAに報告し、日本にもそれをすぐ伝えに来たということであると思っております。
それが説明責任を果たしているかどうかということについて、私はそこについてはコメントを躊躇します。ある区切りの段階までなかなか原因究明の中味は非常にデリケートであったりしますので、私はその辺を承知しておりません。

(問)豪雪の関係ですが、市町村への財政支援は現在の制度では被害がまとまる3月末頃にならないとできず、そのことが市町村が思い切った排雪作業に取り組めない一因とも言われておりますが、大臣はこの仕組みについて何らかの改善点があるとお考えでしょうか。
(答)例年ですと、3月末に予算措置が取られることが多かったと思います。
ただ、私はこの3年間の豪雪ということから考えますと、仕組みというより現実にいつ困っているかというと今困っておりますし、市町村という立場からいくと、予算がどの程度出るのかとどうしても思ってしまいます。
私は今困っていることは除雪作業してください、ということもあって、出来るだけ早くやりたいと思っているところです。
仕組み全般というよりはこの後、予算措置した後に豪雪になることもあるのかもしれませんが、そうしたことよりも今が例年にない大変な豪雪であるということに少しでも早く対応しようと思い、言っているところです。
その後の全体的な仕組みというよりは今年は少しでも早くという一つの考え方で、仕組みはその後のことかと思っております。
まず予算を取りますから本当に今はお困りでしょうから国も応援し、雪の捨て場も河川敷もお使いください、国のもっている除雪機械もできるだけお使いください、人員も直轄工事を少し中断してもそちらに回りますから、というメッセージを強く発して、少しでも除雪が進むようにということが、私の正直な気持ちです。

(問)ボーイング社が是正措置案を提出する前提として、ある程度原因を絞り込んだ上でそれに基づいて是正措置案を提示していると思いますが、大臣のお考えではある程度絞り込んだ原因として考えられる可能性としてはまだまだ原因究明として不十分だとお考えでしょうか。
(答)これは相当専門的な問題だと思います。私はそれだけ技術的なことについて、10年、20年にわたる十分な知見を持ち合わせておりません。
その辺は担当している事務当局にもう少しギリギリどこまでどうなっているかを説明をして頂く以外ないと思っております。

(問)先ほど大臣はFAAに対してボーイング社が改善措置を提案し、FAAがどのように判断し、日本はFAAと連携の元に判断すると仰っていましたが、FAAがボーイング社の是正措置について大丈夫だと判断しても、日本の国土交通省としてこれはまだ不十分だと考えた場合は、運航停止命令が解除された後も日本としては運航停止をそのまま指示したままということもあり得るのでしょうか。
(答)そうした仮定の話では、その場面になってみないと分からないと思います。
私は現段階ではそこにコメントするのは控えた方が良いと思います。

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