大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年9月10日(火) 14:55 ~ 15:39
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
 次に私から二点御報告をさせて頂きます。
 一点目は、タイ、ベトナムへの出張についてです。
 9月11日から14日にかけまして、タイ、ベトナムを訪問し、関係大臣との会談を行うとともに、現地のインフラの視察を行うこととしてます。
タイでは、国土交通大臣のカウンターパートである水・洪水管理委員会担当副首相、運輸大臣、観光スポーツ大臣とそれぞれ会談を行う予定です。
ベトナムでは、インフラ等担当副首相、農業農村開発大臣、交通運輸大臣、建設大臣とそれぞれ会談を行う予定です。
また、タイ・ベトナム両国で、我が国の官民が有する防災技術を共有していく継続的な関係を構築するため、「防災協働対話」の実施に向けた覚書を締結する予定です。
なお、帰国後の14日午後には、ベトナムの文化スポーツ観光大臣と会談する予定です。
詳細はお手元の資料を御覧頂きたいと思います。
 二点目は、首都圏空港の機能強化についてであります。
 首都圏空港については、平成26年中に75万回化を図ることとしておりますが、それ以降の機能強化策について、具体的な検討に着手することと致します。
日本経済再生のためには、去る6月14日に閣議決定されました「日本再興戦略」にも盛り込まれているところでもあり、世界から我が国にビジネスを呼び込む環境を作ることが重要です。
そのためには、ヒトやモノの国際的な移動の基盤となる空港、とりわけ首都圏空港について、我が国の立地競争力を強化する観点から機能強化を図っていくことが必要だと考えております。
また、9月7日に、2020年オリンピックの開催地が東京都に決定を致しました。
このオリンピック開催に向けて、世界各国から多くのお客様を迎えるためにも首都圏空港の機能強化は必要不可欠であると考えます。
具体的に申し上げます、現在開催されている「交通政策審議会 航空分科会 基本政策部会」の場におきまして今月中を目途に、首都圏空港をめぐる航空政策上の課題を整理した上で、技術検討小委員会を10月に立ち上げまして、今年度中に学者、専門家の皆様に具体的な機能強化策の選択肢を技術的に洗い出して頂きます。
管制ですとか、騒音ですとか、土木工学、都市工学的に色々な意味での技術的な課題もありますので、それを洗い出して頂くことになります。その後、この選択肢について、来年度以降に、自治体や航空会社なども参加した新たな場で議論を行いまして、合意形成を図って参りたいと考えております。
後程事務方より資料を配付致します。
私からは以上です。

質疑応答

(問)大臣の一点目の報告について伺います。
タイ・ベトナム両国の関係閣僚らとのバイ会談等が設定されていますが、具体的な協議内容と期待される成果についてお聞かせください。
(答)今回のタイとベトナムの出張におきまして関係閣僚と精力的に会談をすることとしております。
お会いする関係閣僚も、両国の副首相、運輸大臣、建設大臣をはじめとして、極めて多い方と対談をし、テーマも多岐にわたっておりますが、大きく分けますと三つほど焦点・テーマがあると考えています。
第一点は防災に関する協働関係の構築、協力関係の構築、防災協働対話です。
タイではバンコクを含む中央の平原部で、雨期に河川洪水や都市浸水が多発しているという状況にあります。
一方、ベトナムでは脆弱なインフラも相まって、毎年台風や洪水ということで被害が出ている状況にあります。
タイ、ベトナム両国におきまして、災害対応能力の向上を図っていくためには、我が国としての持っている技術、そうしたものを含めて日常的な協力を継続的に行っていくことが重要だと考えています。
そのため、タイにおきましては、9月12日にプロートプラソップ水・洪水管理副首相と会談のうえ、産官学が一体となった継続的な協力体制を構築する「防災協働対話」実施の覚書に署名をすることとしています。
ベトナムにおきましても、9月13日にファット農業農村開発大臣と会談のうえで、同様の覚書を交わし署名する予定です。
二点目はインフラ整備や都市開発についてのトップセールスです。
タイにおいて経済発展と都市化の進展に伴い、バンコクと地方を結ぶ高速鉄道や、バンコク都市内の公共交通整備の計画が進められているところです。
ベトナムでは、高速道路や南北鉄道、港湾や空港、そして特にエコシティの開発、街を造るということなど、国土の基幹をなすインフラ整備が計画をされている状況です。
これらの事業について、我が国企業による受注や事業の円滑な実施に向けて、我が国の技術力をアピールして、しっかり働きかけを行って参りたいと思います。
三点目は、観光交流の促進です。
タイからの訪日旅行者数は、昨年一年間で26万人でありました。
今年は1月から7月まで、対前年度比56.2%増の既に23万人という状況になっており、大変増加をしているところです。
ベトナムからの訪日旅行者数は、年間5万5,000人程度でありますが、潜在力は極めて大きいと思っています。
両国からの訪日促進のために、7月1日からでありますがタイについてはビザ免除、ベトナムにおいては数次ビザ発券開始の措置をとりました。
これは大変好感を寄せられているところです。
我が国が本年目標としております、訪日外国人旅行者数1,000万人、インバウンド1,000万人達成の上で、ASEAN諸国との観光交流の促進というのは極めて重要だと認識してます。
今回、タイ、ベトナム両国を訪問して、この観光が一層促進出来るように、三点の大きな課題をテーマに掲げて、出張させて頂くという状況にあります。

(問)オリンピックの東京開催が決まりまして、今後首都圏を中心としたインフラ整備が期待される一方で、まだ被災地の復興が道半ばであります。
そうなると被災地の方では住宅などの整備に人手不足という顕在している課題、そういう課題に更に拍車がかかるのではないかという指摘もありますが、その辺りの対応について、大臣どのように考えているか教えてください。
(答)まずは東北の復興ということは極めて重要だと考えております。
9・11が来て2年半という形になりますが、現在のところは工程表で示したものについては、ほぼ計画通りに来ていると、全体的には言えると思いますが、しかし高台の移転、あるいは原発地域、汚染水の処理の問題をはじめとして滞っている所はあると思います。
それらを含めて復興を加速化させるということに力を注いでいくことは極めて重要であると思っております。
ここでは従来から入札の不調が多いとか、あるいは人の不足、そして資材不足と言うことが常に懸念をされてきており、私も3月はそういう会議(復興加速化会議)に出席するため現地へ行きましたが、それ以外にもそのことについては注視をしながら、今日まで来ました。
既にその努力の内容については、皆様御承知と思いますが、入札の不調の状況等については、県や市のレベルで、大きい直轄の工事等ではもうほとんど無いという状況でありますが、中々手間がかかる、規模が小さいというような所に不調が多く発生しているという状況は、これは全体のパーセンテージは全体として低くなっていますが、その割合は変わっていないと思います。
そこでロットの大型化などの工夫を行い、再入札等をやっているわけですが、ほぼその再入札によって契約は出来ている、そして工事が止まっているわけでもないという状況が今の現状でありまして、復興は着実に進んでいる状況にあります。
この入札不調という点について申し上げますと、今日は詳しく申し上げますが、これまで不調率が高いというところでは、(被災)3県のなかで宮城県、宮城県の中でも仙台市、2月頃の予算委員会等では、仙台市は50パーセント近い不調と指摘をされていましたが、最近の状況を申しますと、宮城県は、1年前の平成24年7月に42パーセント不調だったという結果があります。
今年7月は16パーセントになっています。
仙台市は24年7月に45パーセントだったものが、今年の7月には25パーセントに減少しています。
なお、7月の時点でいいますと、岩手県は不調率は11.6パーセント、福島は7月のデータがありませんので6月(のデータ)になりますが24.2パーセントということで、かなり従来よりは下がってきているという状況にもありますし、先程申し上げましたように再入札等によって仕事が現実には行われてきているというのが、今の(入札)不調ということについての現状であります。
全国で、またオリンピックということで全体的にはということを御心配をなさっていると思いますが、私もそこについては十分注視しながらやらなくてはいけないと思っておりますし、やっているつもりです。
全体的な公共事業の規模について、大変今年跳ね上がったというようなことを仰る方がおりますが、これまでも国会の論戦の中でも私は申し上げてきましたが、公共事業の全国の総量・規模ということにつきましては、平成24年度補正予算、平成25年度本年度の本予算、両方合わせまして国土交通省関係の公共事業予算は6.3兆円を計上しています。
これは、今まで昔は10兆円規模の時代がずっと続いておりまして、それから7兆円くらいの時代がずっと続いていて、平成21年度ということからいきますと、これは7兆円弱ということからいきまして、現在両方(平成24年度補正予算、平成25年度本予算)合わせて6.3兆円ということからいきますと、これは総量においては決して多いということではなくて、今建設業界がこの3年くらいどんどん疲弊してきたというような状況は、私はよく承知をしておりますが、日本の持っている建設業界の潜在能力を発揮すれば、総量においては十分これは執行可能であるというのが、私の基本的な認識です。
また、人の不足ということについても様々な指摘がされておりますが、既に御承知のように、3月の終わり、そして4月18日に私が直接建設業界にも申し入れをさせて頂きましたが、労務単価を21パーセントに被災地は引き上げ、全国では15パーセントの引き上げというのを行ったというのは、皆様御承知の通りです。
現地の状況を聞きますと、確かに職人の調達に平時よりは苦労をしておりますが、そのことによって受注した工事が投げ出されたり、あるいは工事の受注者がいないといったことが生じていないという状況にございます。
生コン等の資材についても色々工夫をして、逼迫をしているという状況はあるわけですが、プラント不足の地域については国がプラントを設置するというようなことをやらせて頂くというようなことも含めて、手を打っているという状況にございます。
人手不足、そして資材不足、そして入札不調、こうしたことについては十分注意をしながら今やっているところで、万全だとは私は申し上げませんが、なんとかこれが実行出来ていくように、そして復興が加速していくようにという措置を取っているということを申し上げたいと思っています。
これに加えて東京オリンピックと、気の早い方が大変多いと思いますが、すぐここで東京オリンピックで道路工事が行われたり、様々な工事が一斉に行われるなどということは現実にはございません。
あくまで私はこの東京オリンピック・パラリンピックということについては、何よりも大事なのは大会がスムーズに行われることだと、そして安全が確保されること、そして宿泊や交通などが快適に確保されること、あるいはまたパラリンピックもあり、バリアフリーを進めるなどということが必要な対応ということになろうと思っておりまして、そうしたことでいわゆるオリンピック対応という面もあれば、そこは東京都をはじめとするそうした関係のところと、これから打ち合わせをさせて頂くという段階にございます。
従って、空港ということについても準備を始めても、(首都圏空港年間合計発着容量)75万回の後どうするかという検討を開始するという状況でありまして、直ちにそこで事業が跳ね上がるなどということにはならないということは、良識的にもお分かり頂けるのではないかと思っております。
このオリンピックということについては、東京都等とも、どう進めるか連携を取らせて頂きたいと思っているところです。
既にオリンピックとは別に、道路等の整備をはじめとして推進しているところもあり、そうしたところも簡単ではないわけですから、よく理解を頂きながら推進をしていくということが大事だと思っておりまして、落ち着いた、しっかりした練り上げの中での対応をしていくというのが、私の基本的な考えです。
ちょっと長くなりましたが、この辺は色々な方々から御質問を受けたりするので、東北の復興、全国の防災・減災をはじめとする公共事業、それに加えて東京オリンピック対応ということの中で、何とか、確かに建設業界は弱って来ているというような状況にもありますが、ここできちんと落ち着いて対応していけるようにということを考えているところです。

(問)オリンピックに限った話ですが、オリンピックが東京に決定したということについての素直な受け止めと、今後の国土交通省としての取り組みについて教えて頂けますか。
(答)(東京が)開催都市に決定されたということは、大変喜ばしいことだと思いまして、官民挙げてのオールジャパン体制の取り組みが実を結んだものだと思っております。
私はこうしたオリンピックが行われるということは予てから望んでおりまして、私の地元にナショナル・トレーニングセンターというものをずっと20年掛かりでここまで推進してきた一人でもありますし、スポーツ・文化というものが21世紀で大事であるということを私は主張し続けてきましたので、日本を舞台にしてそうしたことでは文化・スポーツが大きく展開されるということは、大変意義のあることだと思いますし、大変嬉しく思っているところです。
また、コンパクトな、そして環境というものやそうしたことも配慮したオリンピックというものが計画をされている、その中でまさに「おもてなし」ということが今回大きなワードになっておりますが、日本が世界の人を迎えるということにあたって、また観光庁を管轄している私としましては、世界の人をしっかり迎えられる、そして先程申し上げましたが、快適なそうした「おもてなし」が出来るような体制を整えていきたい、併せてこれから世界の人は東日本(大震災)の復興ということについては注目をしていると思います。
復興が大変な困難を乗り越えて実現をしたということを世界に示し、また新しい環境であったり文化であったり、スポーツということが日本の中に大きく花開いているということを世界の人に見て頂く、新しいスタートが出来るのではないかと思っているところです。
具体的な国土交通省としての基本的姿勢については、先程申し上げた通り、大会がスムーズに行われること、安全が確保されること、宿泊や交通などが快適に確保されること、パラリンピックが催されるということもあってバリアフリーを進めること等々、また空港をより多くの方が利用して頂けるような体制を整えること、色々やらなくてはならないことがあろうと思います。
落ち着いてこれは対応していきたいと思っているところです。

(問)先程仰られた首都圏の航空というか日本の空で、それを今後拡張していく中では、もう既にかなりの部分が満杯になっている中で、いわゆる米国というか米軍が持っている空軍の領域の交渉などを含めた2国間交渉なども将来的には視野に入れていくということでしょうか。
(答)先程、国土交通審議会航空分科会基本政策部会で今月整理をし、そして次の段階で技術検討小委員会を10月に立ち上げて半年間でまとめると、そこのまとめる内容はどちらかというと、私は管制、騒音、土木工学、都市工学的な知見、つまり施設整備とか首都圏上空をどうするかというような観点です。
首都圏上空をどうするかという観点の中に、それは一つの要素としてあるということで、それは最初からネグレクトしていくというものではないと思いますが、全体の中のそれは一つの要素で、そこも含めて検討をして頂くということが大事かと思っているところです。

(問)これは、来年の春の羽田(空港)のスロットの拡張が直近に迫っていて、いわゆる航空会社によって色々な主張がある中で、公平・公正な配分というのが、果たして大臣というか国土交通省のお考えとしては、どのようなものなのかということを改めて教えて下さい。
(答)時間的経緯とか歴史的とは申しませんが、これまで色々な航空会社の推移があったと思います。
公平とは何かということを多方面から幅広い観点から、当然公平ということは一つのキーワードになると思いますが、その辺の公平ということの中味は、幅広く総合的に判断をしていくことになると思いますが、具体的にはこれからの検討ということになります。

(問)今、具体的な検討はこれからということでしたが、羽田空港の発着枠拡大で滑走路の増設ですとか、いずれにしてもそういう機能強化をする上での財源というのはどのようにするとお考えでしょうか。
(答)ここのところは、色々な考え方があるでしょう。
それぞれの空港ということの経営形態まで今踏み込んで考えていることもあり、国としては限られた財源の中で、どうやりくりしていくかということになろうと思いますが、ここはまだ具体的にどうとは申し上げませんが、コンセッション(方式)とかそのような方向もあり、様々なことも勘案しながら、多くの国民に納得して頂けるような財源措置を取ることが大事だと思います。
具体的なこうしようという方向性が決まる中で、そのことを担う仕組みというものを考えていくのは、全体的に計画がまだ定まっていない中で財源はという状況ではまだないということだと思います。

(問)空港の機能強化と同時に、首都圏の環状道路等の強化も大事かと思いますが、今進んでいる圏央道とかの工期を前倒ししたりとか、そういうスケジュール感の調整とかはどうでしょうか。
(答)今日の時点で申し上げますとオリンピックが決まったということで何でも前倒しと言いますが、結構前倒ししなくても来年とか再来年には開通する区間が圏央道をはじめとして多くあります。
そういう点では私は間に合わせた方がいい、またやろうとしても間に合わないものも出てくるかもしれないことも含めて現時点ではよく連携を取って考えるという以上はお答えしようがありません。
特段ここで前のめりになってというよりも、粛々とやって行けば自ずから間に合うところが少なくても圏央道などの道路においては多いということだけは申し上げておきたいと思います。

(問)これから国土強靱化があって五輪のための準備工事が始まってという中で、大臣が仰っているように不調の率が一年間で大分改善されたようですが、以前まだ率としては高いと思いますが、大体どれ位まで抑えられるのが理想だとお考えでしょうか。
(答)一番問題なのはどこも手を挙げなくて仕事が行われていないということが問題だと思いますが、現実には不調という数字が出ていてもその後の再入札の時にはちゃんと落札されて行われてきているという実態であるということはまず御承知頂かなくてはいけないことだと思います。
率は月によって色々変わってきます。
その点では補正予算が出てそれが執行されているということは全国的にあるわけですが、復興の場合はずっとあるわけです。
ただそうは言っても季節というものがあったり色々します。
ですから私は昨年の同じ月に比べてどうなのかという基準で全体的に一年中何パーセント以下でなくてはいけないということは全く考えていません。
大事なことは入札不調があって、どこもその仕事をやるところがなくて、いつまでも仕事が行われないという状況ではないということが一番大事なことで、復興ということであれば着実に仕事が行われて前に進んで行くことを出来るように私としてはそこを推進するように努力をしたいと思っているところです。

(問)今一番問題になっているのが、人材や業者を確保という点だと思いますが、労務単価の引き上げによって大分良くはなってきたようですが、それ以外で人材や業者の確保するためにどのような方策を検討なさっていますでしょうか。
(答)ここは非常に構造的な問題で、かなり公共事業がどんどんどんどん少なくなって、企業が仕事自体が無くなって職員を抱えることが出来なくて若い人達がここに入ってきても将来仕事が有るか無いか分からないという状況がこの数年続いてきたと思います。
そういう意味では人材不足というのは型枠工や鉄筋工を中心にしてそうしたことが非常に少なくなってきている状況ですが、そこはそうした目の前の仕事が少なくなってきたり、あるいは公共事業は悪玉であるというような誇りがなぎ倒されたりというようなことが様々有ったと思います。
しかしもっとその奥には若い人が工業高校や土木工学科、建築工学科というものが工業高校や大学の中でも無くなってきたりして、その一番根っこの教育という段階も現場というものに即した仕事をするという若者が減ってきている、またそういう訓練の場がなくなってきているということが有ると思います。
ですからこれは相当根っこの深い、建設業界全般を申し上げて公共事業予算がどうかということを申し上げましたが、その奥にはもっとそういう日本の現場で働く人たちの若者がそこから去っていくというようなことがある。
そしてそういう教育も現場も段々弱くなってきているという、かなり根本的な建設業界の構造問題という以上に社会全体の構造問題が有ると思います。
私はそこで先般静岡県富士宮市にあります富士教育訓練センターを訪れまして、若い人達がそこで具体的な足場の組み方とか色んなことを泊まり込みで研修している状況を激励に行ったりしました。
私はそうしたことを総合的にやって行く。
教育も含めてそういうところから日本の若い人達が現場の中で動いていくという、土木や建築に限らず機械や色んなところあるいは科学技術的なこととかいうことについて変化が来ていると思います。
そういう土壌の上に今度は公共事業の建設業界というものの今の状況、その上に今訪れてきている東日本大震災ということ、更に南海トラフ巨大地震や首都直下地震ということで相当防災・減災ということをやって行かなくてはならないこと、多方面に根っこの深い問題ですから、色んな点に手を打ってここは育てるという作業を私はして行きたいと思って、本当にそこは一生懸命考えて何とかそこをやって行かなくてはいけないと思って今努力しているという状況にございます。
是非とも御理解を頂きたいと思います。

(問)空港の機能強化ですが、発着枠の拡大ということ同時に羽田、成田空港と首都圏の鉄道のアクセスの問題も検討するということになるのでしょうか。
(答)ここは以前からありまして、産業競争力会議でも私が発言していることもあります。
そうした点におきましては、都心直結線ということをはじめとして成田空港-東京駅間そして羽田空港をどう結ぶかということについて検討が始まっている状況です。
ですからまだここは検討段階で、ここはオリンピックということとは別にこれはやろうということで今検討しているところです。現段階ではそこまでです。

(問)75万回を越える発着回数を目指すということは、今回ここで検討のスタートを切るということは東京五輪の開催が決まったことを受けてということでしょうか。
(答)違います。
東京オリンピックが2020年ということは当然そういうことがありますが、26年度が終わった時点で75万回の後どうするかということはかなり技術的にも工学的にも難しい問題が有りますので、早めにそういうことについて着手しようということで準備をずっと重ねてきて今日皆様に発表申し上げているということでございます。

(問)それはたまたま今日になったということでしょうか。
五輪が決まったということも一つのプッシュする原因になったということではないのでしょうか。
(答)私にとってはたまたまそうなったということで、これは五輪が決まって良かったんですけど、決まっても決まらなくても私はそう発表するという構えでいたことは事実です。
これは平成26年度以降についてどうするのかというのは考えなくてはいけない話です。

(問)明日(9月11日)で尖閣諸島の国有化から一年になります。かなり中国との関係が悪化している状況が長期化していますが、これについてどのように認識していらっしゃいますか。
それから今後どのように対処して行かれるのか方針をお聞かせください。
(答)ここは特段一年だという観点ではございません。
私は常に日中関係は重要な世界の中の二国間関係であり、大局的に戦略的互恵ということに向かわなくてはならない、対話を進めなくてはいけないというのが私の基本的な日中関係のこれまでずっと国土交通大臣になる前から一貫してきた姿勢でございます。
尖閣諸島ということにつきましては歴史的にも国際法的にも日本の固有の領土であり自国の領土・領域を守るということは断固たる姿勢で行かなくてはならないと思っているところであり、そうしたことを領海警備に万全を期するように毎日注視をして努力をしてきているところでありますが、その背景にある日中関係はまず対話が少しでも出来るようになり、そして大事な二国間関係が前進して戦略的互恵というところまで持っていく努力を政府は進めてきましたし、私は今の姿勢をそのまま進めて行くことが大事なことだと思っているところです。
先般もロシアのサンクトペテルブルグで会話を交わしたということは大事なことだと私は思います。

(問)(国有化から)一年経ちますが、中国公船が尖閣周辺を徘徊する状況が続いております。今のような状況があとどれ位続くと大臣としてお考えでしょうか。
(答)これは努力する以外にないと思います。
それがいつまでとは申し上げませんが、出来るだけ対話がなされて、そして緊張関係が解かれることが大事なことだと思います。

(問)北陸新幹線の工事で談合疑惑が今ありますが、それについて開業時期に影響があるかどうかお考えをお伺い出来ますでしょうか。
(答)この北陸新幹線の融雪基地の機械設備工事に関しまして、公正取引委員会が関係する会社や鉄道・運輸機構に犯則事件として調査を行ったことは承知しております。
国交省としましては、事実関係を把握するとともに、公正取引委員会の調査を踏まえ、適切に対処したいと考えているところです。
平成26年度開業の影響については、全て契約済みであるために現時点において本件が完成に影響を及ぼすものではないという報告を受けているところです。

ページの先頭に戻る