大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年10月4日(金) 10:51 ~ 11:15
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
 私の方から1点JR北海道に関しまして御報告をさせていただきます。
 JR北海道に対して行った特別保安監査については、現在、分析作業を進めております。
しかし、分析作業に当たり、私の方から鉄道局に対し、利用者の安全を確保するために直ちに実施すべき事項を把握した場合には、時間をおかずに早急に対応するよう指示を致しております。
これを受け、鉄道局から、本日午後同社に対して、緊急に改善を要する事項として、大きく2つの観点から改善指示をすることといたしました。
一つ目は、確実な意思疎通の実施です。
鉄道の安全輸送には、本社から現場に到るまでの各階層を通じて、確実に意思疎通を図ることが極めて重要です。
監査の結果、JR北海道においては、この意思疎通が不十分であったということが明らかになりましたので、この点について、改善をするということです。
2つ目は、日々の安全確認です。
利用者の方々に安心して利用していただくためには、日々の安全を確認することが重要です。
このため、安全に関する責任者、安全統括管理者が毎日出発をする朝その安全についてしっかり確認することを指示することとします。
この2点を皆様方に御報告をさせて頂きます。
詳細については、指示した後に事務方より説明をいたします。
なお、引き続き、監査結果の分析作業を更に進めていきたいと思っており、その結果を踏まえ、随時すべきことはその場で対応していくことと致しました。
私の方からは以上です。

質疑応答

(問)今の大臣のお話で午後に改善指示を出されるという事でしたけれども、これは監査の結果を出したことになるのでしょうか。
また、今後の監査の見通し、追加の監査等のスケジュールについて教えてください。
(答)監査の結果がいつまとまり、そしてその後どういう指示あるいは改善命令を出すかということと、かなり膨大に渡るということを恐らく想定される方がこの場でも多いと思いますので、時間がかかるのかと思っている方もいらっしゃると思いますが、そういう意味では中間報告等は行われるのですか、とかということを聞いております。
実はこの監査というものの性格でありますが、特別保安監査ということにつきましては、JR北海道の石勝線の事故やJR西日本の福知山線の事故の際に行われたものでありますが、これらにおいても報告書という形はとっておりません。
鉄道事業者に対する改善指示やあるいは改善命令といった是正措置を求める文書を出すことによって、監査で得られた問題のある事項を改善することとしております。
今回のJR北海道に対する特別保安監査につきましては、従来の技術4分野のみならず、経営部門も含めた全般に渡る問題を洗い出すことを目的としております。
そういう意味では報告書という形はとっておらないと先程申し上げ、そして随時改善指示や改善命令といった是正措置を求める文書ということになるということを申しましたが、今回の場合は余りにも広範囲に渡るということもあり、事態が非常に大事であるという認識をしたということもありますから、その結果の取扱についても従来の経過にとらわれず何らかの形で取りまとめを行うことも含めて検討する必要があると考えておりまして、検討する必要が出てくるのではないかとも思っておりまして、最終的な報告書という形ではないという原則ではありますが、何らかの形でやるということも検討しようと考えているところです。
一方で今回の当面の改善指示を出させて頂くということを申し上げましたが、監査結果の分析過程におきまして安全を確保するための必要があるといった場合は、これは緊急性もありますから随時改善措置を求めていくことにします。
また、追加の監査があるかないかということにつきましては、今回は全般に渡る問題を洗い出すことを目的としているということから、このように広範に及ぶ調査が尽くされているかどうか確認をした上で判断をしていきたいと思っているところです。

(問)羽田空港国際線の発着枠について2点伺います。
先日(2日)公表された16枠の配分については、JALが5、ANAが11ということになりましたが、大臣は兼ねて配分に当たって公平の観点で検討すると仰っていたと思いますが、この5対11についてどうして公平と言えるのかということが1点、それともう1つは今回の傾斜配分によって両社の格差が是正されたかということと、もし今後更に格差の改善が必要だとすれば、残りの9枠分についての対応も含めて今後どう考えているか、以上2点伺います。
(答)今回の羽田空港の国際線発着枠の配分につきましては、私は時間軸あるいは歴史的経緯、そして範囲としては360度、上下という総合的な判断から公平ということに基づいて行うということを言わせて頂きました。
その通り幅広い観点から、それは1次元的なものというよりは3次元的なものになりますから、1対1の対応というようなことにはなかなかならないという点がある訳で、1つ1つが1対1の比較ということとは次元の異なるものも含めて総合的にということを、私は申し上げて来た訳でありますが、突き詰めていきますと、我が国の航空業界における適切な競争基盤を確保することが、航空会社間の公平につながるという視点に立って検討ということだと考えました。
現状、公的支援を受けて日本航空が再生を進める中で、結果として同社と他の航空会社の間で大きな体力差が生じてきていると認識をしています。
この点につきましては、昨年の8月に公表しました「日本航空の企業再生への対応について」という、いわゆる「8月10日ペーパー」というのがありますが、ここで示したように、このような状況によって航空会社間の競争環境が不適切に歪められるようなことがあってはならないと考えておりまして、このようなおそれが出来る限り払拭出来るというために、今回の配分を総合的に考えて決定をさせて頂いたところです。
具体的に申し上げますと、その8月10日ペーパー、国土交通省は日本航空の企業再生への対応について、これに基づきましてJALグループ中期経営計画の期間中、2016年度までになりますが、日本航空に対する公的支援によって航空会社間の競争環境が不適切に歪められないか等を確認するために、路線計画について報告を求め、その状況を監視するということにしておりますが、新規路線の開設については競争環境や再生プロセスに与える影響が大きいということから、同計画に明示的に位置付けられたものを除きまして慎重に判断することとしておりまして、今回の配分もこの考え方に沿って決定をしたということです。
後段になりますが、今回の配分によって競争環境が不適切に歪められるおそれは一定程度払拭されるものと考えています。
これにより、将来に渡って我が国航空業界において、適切な競争基盤の確保が図られ、今後の更なる利用者利便の増進、そして航空業界の発展につながっていくものと期待をしているところです。
しかしながら、これがそのままということには、総合的な面からの競争ということの角度からいきまして、十分かどうかという点がありますが、ここは日本航空の再生の進捗状況等を監視していくことと、その中期経営計画の期間中には進捗状況等を監視していくことになります。
その過程で、これですぐなったというよりはこれが一体どういう影響を今回の事も含めてどういう影響を与えるかとか、様々な状況をよく見て、競争環境に不適切な歪みが生じる恐れがあると判断されれば必要な措置を講ずるということになるでしょうし、そのような恐れが無いという判断であるならば、特段の対応をとることは無いと、こうした状況でこれから動きを注視していきたいと思っているところです。

(問)JR北海道の関連ですが、改善指示を出すということですが、特別保安監査の取りまとめが終わるまではまだ途中の段階で改善指示を出すということが、どれだけ異例な対応なのかということと、その指示の中で意思の疎通の実施を求めていくということですが、監査の中で不十分な点が多数見つかったという考えでよろしいでしょうか。
この2点についてお願いします。
(答)この改善指示ということが特段異例な措置という訳ではありませんが、監査自体は鉄道事業法に基づいて行われて、そして最終的には改善命令に至るか至らないかということで、罰則もかかるというようなのが改善命令ということになりますが、今直ちにやらなくてはならないと感じた時には、この監査の分析途中に関わらず、やるべきものはやらなくてはいけないという判断をさせて頂いているところです。
そういう意味では異例という状況という、このやり方が異例では無いと思っておりますが、しかし制度としては異例では無いけれども、緊急だと、そして極めて重要だという判断を国土交通省としてはしているということでございます。
そしてもう1つ、監査というものの中でどのような問題が発生をしていると確認されたのかというようなことになるかと思いますが、今申し上げた指示よりは、具体的には実務者から後に、意思の疎通を図るためにJR北海道における安全の確保のための業務の取り扱いの責任者がこうあるべきだとか、あるいは中間の管理と現場とはこうあるべきだというようなことについて、若干細かく後から事務方から御報告をさせますが、少なくとも今回の事においていくつかの点で問題点が抽出されていますが、その中で特にこのレールの基準値、軌道部分のそれが放置されてきたとか、あるいはある管区においてはきちんとそれがされているけれども、かなりそういう事が集中しているところもあるというようなことも現れていることもありまして、いずれにしても全体像を見ますとそこで周知徹底ということや連絡・報告、そうした事が十分では無いという判断というのは一つさせて頂いたので、今回はそこのところの意思疎通ということと、今度は利用する方々にとりましては、果たして乗る物は大丈夫なのかという懸念がどうしても出る訳で、そうした点では意思の疎通と連絡・報告ということの中できちんと毎日、保線は完了しました、軌道は大丈夫です、車両は大丈夫ですということを確認して、それを一番の責任者のところに報告が行く、そういう体制を少なくともとらなければ、安心して乗って頂けないということですから、その体制をしっかりととるようにという指示を重ねてさせて頂くということでございます。

(問)改善指示の根拠の法律は何になるのでしょうか。
(答)これは先ほども申し上げましたが、改善指示は鉄道事業法に基づく事業改善命令ではありませんので、行政指導として是正措置を求めるものでございます。
このような行政指導ということはこれまでの保安監査でも行っているということで異例ではないと言いましたが特にいくつかの項目に分けて出来るだけ私としては緊急事態ということから鑑みて言うべきことは適確に時期を違えず言うことが大事だということでさせて頂いているところです。

(問)羽田空港の発着枠の件ですが、1つJALの経営計画が例に挙げられましたが2016年度で終わりだと思いますが、それ以降も仮にANAを優遇する可能性があるとしますと、お互い業績を上げない方が枠の配分が有利になるという見方も出来ると思いますが、日本の航空業界にとっての全体的な競争効率が図られるのかと思いますが、今後、傾斜配分はいつまでこのように片方を優遇する措置があるのか時期的な終わりの目途はないのでしょうか。
(答)そういうような観点で、傾斜配分ということは今回はそういう措置を取らせて頂いたということで、今後については先ほど申し上げました全体像の中で改善そして競争環境を両者とも努力をして頂くことの中で全体的な競争環境が出来るかどうかを見て行くということです。
ですから今回の件は今回の件ということで、今後のことはまた基本的には競争の基盤を確保するということ。
それは核として公平ということの一番の中心をなすということだという中から判断していくこととなります。
全ての航空業界が努力を大いにして頂かなくてはならないと思います。

(問)今の羽田の発着枠に関係しますが、今現在全日空はスターアライアンスという二十数カ国の外国の航空会社といわゆる交流を持っており、乗り継ぎ便の利便を提供しております。
それに対して日本航空はワンワールドと言ってわずか5社位であります。
はっきり言って全日空に便がもっとあってしかるべきだと思う者の一人であります。
というのは、今東北に乗り継ごうとしますと成田で不便でほとんどの航空会社が羽田経由ですが、羽田から東北への便はありますが、成田からの便はないので二十数カ国のスターアライアンスの外国の航空会社が羽田を使いますので羽田空港はもっと全日空に優遇すべきだと思います。
それから羽田空港ですが、東京オリンピックに皆さん来ますから東京の近くに到着するというのが至極当然であって、千葉県の成田市に着くのは利便性が非常になく、インフラの整備も鉄道や道路の整備もしないといけないし、航空会社も社員の派遣を両方にするのは不便です。
つい2~3日前もカナダ太平洋航空(エアカナダ)、先週はフィリピン航空の航空当局間協議がありました。今現在、10カ国が羽田乗り入れを皆希望しております。
2014年の発着枠で何としても羽田空港を旅客空港にするというのを早めに是非国土交通省で指導して頂いたらそういう所への便利が波及していくと思いますが如何でしょうか。
(答)全体的なことについて判断していきたいと思いますが、御指摘の点につきましては一つの大事な御意見だというふうに承っておきたいと思います。

(問)安全管理者に日々の確認をさせるということでしたが、それは何故そういう指示をさせるのでしょうか。
安全管理者が日々確認することは一般的なことではないかと思いますが、これを改めて指示を出すということはどういう意味があるのでしょうか。
報告書の形でないがまとめたいというのは文書で行うのでしょうか。
(答)一番目のことについては、具体的に事務当局からお知らせします。
二番目については、あくまで検討という段階であるということだけお答えします。

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