大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年10月8日(火) 11:05 ~ 11:28
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。

質疑応答

(問)羽田空港国際線の発着枠の配分の関係でお伺いします。
先週(10月4日)、日本航空が国土交通省に対して配分の是正を申し入れましたが、これにどう対応されるのか、日本航空は併せて配分の決定過程に対する行政文書の開示請求をされてますが、この点を含めて対応をどうされるのかお聞きします。
(答)今回の羽田空港の国際線発着枠の配分につきましては、幅広い観点から様々な事情を総合的に勘案して、我が国航空業界において適切な競争基盤を確保することが、航空会社間の公平につながるというという視点に立って、検討を進めてまいりました。
現状、公的支援を受けて日本航空が再生を進める中で、結果として同社と他の航空会社との間で大きな体力差が生じてきていると認識をしています。
この点については、昨年8月に公表したました「日本航空の企業再生への対応について」で示しましたように、このような状況によって航空会社間の競争環境が不適切に歪められるようなことがあってはならないとこう考えておりまして、このような恐れをできる限り払拭するために今回の配分を決定いたしました。
具体的には、国土交通省は、昨年8月10日の「日本航空の企業再生への対応について」に基づきまして、JALグループ中期経営計画の2016年度までの期間中、日本航空に対する公的支援によって航空会社間の競争環境が不適切に歪められないか等を確認するために路線計画について報告を求め、その状況を監視することとしておりますが、新規路線の開設については、競争環境や再生プロセスに与える影響が大きいことから、同計画に明示的に位置づけられるものを除いて、慎重に判断することとしており、今回の配分もこの考え方に沿って決定いたしたところであります。
今回の配分によって、競争環境が不適切に歪められる恐れは一定程度払拭されるものと考えており、これにより、将来にわたって我が国航空業界における適切な競争基盤の確保が図れ、今後の更なる利用者利便の増進、航空業界の発展につながっていくものと考えております。
このようなことから、今回の配分については、適切に判断、決定したものと考えているところであります。
日本航空からの申し入れに対しましては、配分の考え方を丁寧に説明する等、適切に対応してまいりたいと考えているところです。
また、配分の検討過程で作成した資料等に係る開示請求についても、情報公開法に則り、適切に対応してまいりたいと考えているところです。

(問)大臣、昨日、仙台市で開かれました復興加速化会議後の会見で、労務単価の引き上げを実態に合わせて随時行うという方針を示される一方で、現在は引き上げる状況にはないということもおっしゃいました。
被災地では建設技術者の不足感は強いという声がなおありますが、どのような理由で引き上げないという判断なのか、あるいはどういう状況を確認されれば引き上げるのか、御所見をお聞かせください。
(答)昨日、仙台市におきまして、第2回復興加速化会議を開催いたしました。
村井宮城県知事を始めとする地方自治体の代表者、地元の建設業協会や日建連など建設業の団体、あるいは生コンやセメント、そしてまた住宅関係の方々、こうした方にお集まりをいただいて、直接、現地の状況を確認したところです。
入札不調がどういう状況であるのか、あるいは資材の不足の状況はどうであるのか、そして人の状況というのがどうであるのか、そして災害公営住宅やまちづくりというのが工程表が出ておりますが、その進捗状況がどうであるのか、そこに至らないという隘路というのは一体どこにあるのか、こうしたことを現実に現場で聞いてくるというのが昨日の会議の目的でもございました。
入札の不調については、今御質問の労務単価とも関係をしておりますが、今年3月末に行った設計労務単価の引き上げや発注ロットの拡大等の工夫によって、昨年度と比べて発生率が下がっているということの報告がございまして、また一旦、不調になっても再発注によってほぼ契約に至っており、積み残しは無いという報告を受けました。
この設計労務単価につきましては、1年に1回くらいの感じであった訳ですが、今年度から全国について概ね3ヶ月のスパンで入札不調の増加状況や技能労働者の賃金について調査を行って、入札不調の改善のために必要であれば機動的に引き上げるという措置をしたところです。
もっと言いますと、3月、6月、9月そして12月ということになりますが、そうしたある意味では期間を設定しまして、通年の状況の調査と、なかなか引き上げが無かったんですけども、今までは時差があるとか色んなこともありましたから、また1ヶ月上がったからといって、直ちにというと、また変動があるということがありますから、3、6、9、12月ということで調査をするということを一応、目安として動いているところでございます。
特に被災3県については、これは重要な観点でありますから、3月に前年度比で21パーセントの引き上げを行って、現地に昨日行きましてこれが非常に大きかったと、入札不調というものも下がってきてるという要因の一つはこれであるという報告もいただきました。
6月のデータを今分析中ですが、現時点では直ちに設計労務単価を引き上げる必要がある状況には至っていないと考えているところです。
今後どうするかということですが、予算の執行状況、あるいは事業の進捗状況、入札不調の状況、技能労働者の賃金の動向などをきめ細かく調査いたしまして注視し、上がっている状況がありましたら引き上げることになりますが、現時点ではそうした兆候にはなく、むしろ入札不調は下がってきているということです。
そうしたことを良く注視しながら復興の加速化に向けていきたいと考えているところです。

(問)昨夜、JR北海道が一部の特急列車で非常ブレーキが利かないという状況で走行していたということが発生いたしました。
まず、なおも不祥事が発生している現在の状況についての御所感と今回の事案は特別保安監査でも発見できなかったわけですが、追加の監査あるいは更に何らかの厳しい措置を取られるお考えがあるかどうか教えてください。
(答)JR北海道におきまして、ATSが作動した際においてブレーキがかからない状態となっていた車両があったという報告がありましたが、全社を挙げて輸送の安全の構築を進めて行く必要がある、喫緊の事態の中で発生したということは誠に遺憾であると思っています。
この件は安全という点で極めて重要であるという認識を私はしております。
JR北海道に対しては昨夜、当該車両と同様の構造と仕様形態にある車両について始発までに点検するよう指示いたしましたところ、今朝までに問題のある車両は無かったという報告を受けております。
また、特にこれが重要案件ということですから、このような事態を招いた原因について至急調査をするように指示をしたところであります。
国土交通省としてはJR北海道が安心して利用してもらえる鉄道であるという信頼性ということが安全を確保しているんだということが肝要であると考えておりまして、しっかり指導していきたいと思っているところです。
ATSは極めて重要というふうにこの案件は大事だと考えておりまして、今日、現地で直接、報告だけではなく見に行って調査するように指示をして、現在北海道運輸局のメンバーが現地で調査を行っている状況にございます。

(問)JR北海道の関係で追加監査のタイミングですが、監査を一旦区切った後もこれだけの問題が出てきており、利用者の方からも徹底した早急な真相解明を求める声もあると思いますが、その辺についてもう一度御所見をお伺いします。
(答)いくつかの問題が出てきているということで、私から改善指示というものを出させて頂いて、全体的な連携、統率ということが極めて重要である仕組みについても指示をさせて頂いたところです。
今、私が申し上げましたように、このATS、非常ブレーキのトラブルというのは重要であると認識をしております。
そこで、今日現実に現地に入って調査をするよう指示したところでありますが、これらの問題も含めて特別保安監査を追加して行う準備に入るよう今朝指示をしたところです。

(問)タイミングと規模等について今固まっている部分がありましたら教えて頂けますでしょうか。
(答)今準備に入るよう指示をしたということは、何処にどういう角度で入っていくのか、今日は保安監査ではありませんので、今回のブレーキということで現場を見てそして調査するということをやらせて頂きましたが、特別保安監査ということに関しましては全体像の中で漏れている点、そして新しく出た点、そしてまた指摘が様々されている点ということでよく規模と焦点を明確にしてということでありますので、準備に入るようにと言ったことはそのことです。
準備に入るのはこれまで分析をしておりますから、そんなに時間がかかるわけではなくて、今日にも一両日中には判断することができるのではないかと思っているところです。

(問)組合の問題というものが浮上していると思います。
国交省として何処まで把握されているか分かりませんが、現地で取材している我々としても分かる話でございますので、ある程度は認識されていると思いますが、この新たに行われる特別保安監査でそうした組合についての問題をお調べになるのか、既にそれについては調査を行っているのか、組合に関する問題についてどのようにお考えなのか教えてください。
(答)基本的に私達の観点は、そうした組織がどうこうということではなくて、現場のいわゆる保安、車両、あるいは電気、そしてまた事務系ということで、いわゆる包括的に言うとしっかりという言葉になるのですが、しっかり仕事をしていただいているかどうかということが一番大事なことだという観点でこれまでも調査をしてきたということがあります。
特別保安監査の内容については、これから検討していくということになりますが、一番大事なのは現場の働いている人達がどこにどう所在しているかという以上に、現場の中で安全ということについて留意をしてやっていただいているかどうかという、そこの実務的な観点というのが特別保安監査ということの一番の大事な観点だと思っております。
そうした観点では、これからどういうことの内容をもって監査をするかということについては、分析を更にさせていただいて考えていきたいと思っているところで、詳細についてはまだ今日お話する段階にはございません。

(問)(JR北海道の)今回のATSの件ですが、特別保安監査で見抜けなかったのか、そういう情報を見つけられなかったのかという点と、以前も質問ありましたが、従来の監査体制で果たして十分と考えてらっしゃるかということも改めて伺わせてください。
(答)その観点で注視をして、当然、そこ(ATS)は入ると思います。
車両という部門の中での判断。
このATSは軌道の方があって、それを感知して電気指令を出して、車両の方がそれを受けて、そして空気をはき出すということが行われてストップするというこういう構造になっています。
そういう観点では、今回、そうしたことを見抜けなかったということはあったと思います。
この点は今日調査をして、特にここは大事なポイントなので、現場に入って調査をするようにということですが、全体的には報告を受けるというような観点ではなかったという報告を受けていますので、更にここは念入りにそうしたことも含めてやっていかなくてはならないと思っているところです。

(問)これまでの監査体制は十分だったか、そういうところはどうでしょうか。
(答)見抜けなかったということについては、より詳細に全てに渡って徹底的にいくということが大事ですが、それらも含めて今回更に、相当多方面に渡るという観点もありますから、どこを特別監査にしていくかということについて、かなりある程度絞り込んでいくことが大事かなと思っております。
今日その辺は詰めさせて頂きます。

(問)昨日JR九州でも、電柱が社内基準に違反した形で建てられていたという問題があって、「ななつ星」という観光列車の試運転中に接触したという事案がありましたが、まずそれに関する大臣の御認識と、他のJR各社でも同じような事例がないか調査するお考えがあるかどうか、あともう1つは「ななつ星」という列車の営業運転の開始が遅れるかどうか、その辺の影響はどのようにお考えか、3点をお答え頂けますか。
(答)JR九州におきまして、これは曲線区間で75箇所で建築限界と言われる、本来構造物は設けてはならない場所に電柱等が設置されていたということで、これは誠に遺憾なことだと思っています。
ただここはかなり前からの話のようでもあり、そして今回それが「ななつ星」が走ったことによって、それが接触するというようなことになったというのは、一体どうなのかということの、まず今やらなくてはいけないのは、そうした事案があるかどうかを徹底的に点検をするということが1つ大事で、同時に、これは曲線区間でありますが、早急に直線区間においても全線に渡って調査をするようにということが大事だと考えまして、そこの点検を指示したところです。
また、全国のこうした例というものはあってはならないことでありますので、この件につきましては同様にこうした事案がないかを確認して、よく点検をするようにということを鉄道局に命じたところです。
現在、鉄道輸送に対する信頼性の回復が急務というように考えておりまして、この件についても十分注視していきたいと思っています。
車両の問題とそこの構造物の車両限界と建築限界と二重になっていたところが、「ななつ星」の場合はどうしてそうなったのかということと、この建築限界というもの自体の、電柱との幅が狭くなっているというのは一体いつからということがあります。
随分時間が経過しているのではないかということもありますので、ここは全く新しい事態でありますので、まず点検をして、全国にもそうしたことの点検ということを言っているという状況です。

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