大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年10月25日(金) 10:58 ~ 11:19
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、私の方から特に御報告するものはございません。
 一点報告を致します。
JR北海道に関してであります。
 JR北海道に対しまして、今月4日に、1回目の特別保安監査で明らかになった事項について、改善指示を行ったところです。
その後、9日から12日まで実施しました追加の特別保安監査で明らかになった点を踏まえまして、本日午後、JR北海道に対しまして、追加的に改善指示をすることと致しました。
改善指示は、「緊急に改善を要する事項」について3つの観点から行います。
一つ目は、社長が委員長を務めている安全推進委員会の改善であります。
JR北海道が全社一丸となった安全重視の経営を推進するには、安全推進委員会を中心としたトラブルの原因究明、そして再発防止対策を強力に進めることが大事であります。
監査の結果、JR北海道におきまして、トラブルが多発しているにもかかわらず、安全推進委員会が実質的に機能していないということが明らかになりました。
そこで、重要なトラブルの原因究明と再発防止についてしっかり調査審議を行うよう、改善を指示することに致しました。
二つ目は、初回の特別保安監査の後に明らかになりました二つの問題についてであります。
その一つは老朽化に応じたまくら木の管理・分析そして管理・更新に関して、不良判定及び交換に関する基準を明確に定めるとともに、各現場において、その状態を一本ずつ把握し、管理することが一つ。
もう一つは、ATSブレーキの問題であります。
ATSブレーキのコックの取扱いについて、コックをワイヤーで固定する、コックが設置された機器室を封印する、またこれらについてチェックする仕組みを導入するなどの措置を講じること、これらによりまして、こうした問題に対応できるよう指示するところであります。
三つ目は、JR北海道の来年度予算編成の改善であります。
監査の結果、予算編成にあたって、本社が現場の状況を十分に把握しておらず、安全に関する現場からの要望が十分に考慮されていないという点が確認されました。
JR北海道において来年度予算の編成作業が始まるこの機を捉えて、本社において現場からの提案を十分聴取するなどによって、安全を確保するための適正な予算編成を行うよう、指示することとします。
詳細については、指示を行った後に事務方より説明をさせて頂きます。
引き続き、監査結果の分析作業を進め、その結果を踏まえ、更なる対応について検討してまいります。
私の方からは以上です。

質疑応答

(問)JR北海道についてですが、今お話のあった追加の改善指示について、もう少し詳しく、どういうところが問題とされていて、今回の改善指示でどういう風に改善されるか狙いがあるのか教えて下さい。
もう一点、今後、例えば追加の監査であるとか、改善命令であるとか、追加の措置をとる可能性があるのか、これがどれくらいの時期になるのかということを教えて下さい。
(答)2回の特別保安監査では、経営、土木、車両、運転、電気の各分野を対象にしまして、広範に問題点を洗い出すということを目的として実施しておりまして、今、監査全般について整理・分析を行っています。
この整理・分析は、更に引き続いて行うことにしております。
監査結果を整理・分析する過程で利用者の安全を確保するために直ちに実施しなければならないということを把握した場合には早急に対応するよう鉄道局に指示したところであります。
今回の改善指示はこうした早急に実施しなくてはならない事項ということで、この考え方に基づいておりまして、前回10月4日の指示に加えて更に改善を要する事項が認められたことから行うものであります。
個別の改善指示事項の内容とそのような指示をする理由については先ほど申し上げたとおりでありますが、詳細については後ほど鉄道局から説明をさせたいと思っております。
先ほど説明をさせて頂きましたように、まずは、一番に安全推進委員会が機能して安全に責任を持っていかなければならないということが、十分機能していないということですので、そこへの指示と、重ねて申し上げますが、1回目の改善指示の時にはいわゆる土木部門、軌道の部分について指示を出させて頂きましたが、その後明らかになったまくら木の老朽化、そしてもう一つはATSブレーキという点について厳密に多重防護の体制というものをしっかり取っていかなくてはいけないという意味で、先ほど申し上げましたような指示をさせて頂きました上に、どうも現場の声が伝わらなくて、ここに予算が取られて資金がそこに安全の面で投入されるという現場からの声が十分行き届かないということがありますから、その点で予算編成には十分現場のこうしなくてはならないという意見を率直に聞いていかなくてはいけないということで指示をさせて頂いたところであります。
引き続いてこのJR北海道の安全問題の全体の整理・分析を続けたいと思っています。
広範な分析が必要となりますので、全体的なこの改善等のまとめ方などについては、現在のところどのような形でいつそうしたことを行うかということについては、具体的に明示できるという段階ではないと思っています。
なお、追加の特別監査については広範に及ぶ調査が十分尽くされているかどうか、必要ならば行うという構えでもう少し分析を更に詳細にさせて頂いた上で判断したいと思っております。
改善指示ということについては先ほど申し上げましたように、とにかく緊急に今やらなくてはならないということについては随時その都度行っていくということにしていきたいと思っているところです。

(問)予算の話が出ましたが、そもそも安全部門に回すべき予算の原資はJR北海道には足りているという認識でしょうか。
それとも原資にも何らかの手当が必要だという認識でしょうか。
(答)この点はよく分析をしていかなければならないと思っております。
木製のまくら木1本が例えば8千円、PCまくら木にした場合は1万2千円というようなことでどれだけこれを変えていかなくてはならないのか、全部PCまくら木にする必要はないと思いますが、その辺のどれだけ安全という観点から補っていかなくてはならないかということをはじめとしてよく精査して、そこに現場の意見をということでありますが、そう莫大なものがかかるというよりも、現在も安全ということで運行がされていると、また毎日安全ということを確認した上で運行がなされているということからいきますと、そんなに莫大な予算が跳ね上がるというようなことではないと私は思っています。
足りるか足りないかという細かい点については十分、何をどうするかということを更に詰めることが必要ですので、現在私の方から正確に申し上げる状況に無いと思います。

(問)今日、明日にかけて台風27号、28号が本州に接近する見通しですが、伊豆大島での二次災害への対応がどのようになっているのかということと、特に先日島内8個所で危険度Aの中で土石流の恐れが出てますが、これについての体制が万全なのかどうか含めてお伺いします。
(答)今回の伊豆大島の事態については、原因は山が崩れてくるという、溶岩の上に堆積した砂等が滑り落ちるという表層崩壊という現象です。
この現象がこれだけ大規模に起こったという例はこれまで無かったと思います。
それに加えて河川争奪という河川工学の上では言葉がありますが、特に砂防工学のなかで、河川争奪という現象がおきており、山の上の方から崩れが始まり、その後それが右の方に流れるのか左に流れるのかということの流路が争いながら決定して、未だ定まらないという状況ですから、相当二次災害ということについては、これは広範に体制をとっていかなくてはならないということになります。
二次災害としての表層崩壊等による泥流が発生した場合に食い止めるということは、今回の点については困難でありまして、何よりも人命を守るためにはとにかく的確に避難をするということが大事だと思っています。
そこで国土交通省として、発災をしましてから直ちにTEC-FORCEの約80名の部隊が伊豆大島を歩きながら、それぞれの沢に沿ってずっと調査をして、それを基にして21個所が危険であると、特に危険な個所が8個所あるということを明らかにして、それを基にしてどう避難をするかという、そうした基礎資料というものを提供させて頂いています。
これが発災ということになりますと大変な事態になりますから、国土交通省はじめとして東京都等では3つ体制を強化しました。
一つは監視カメラを常時観測できるような体制をとらせて頂き、監視カメラを全部で5台を4個所に設置をさせて頂いて常時監視の体制がとられている。
そして2番目は東京都にやって頂いたわけですが、540メートルにわたる土嚢を設置してそれで食い止める。
食い止められない場合でもそこで時間を少なくとも稼ぐことができる体制を完了しました。
そして更に詳細な気象情報の提供、そして砂防等の専門家からの意見、こうしたものが常に提供出来るような体制を取っておりまして、今大島の方にはそうしたきちんとした知見の基での体制が出来上がっていると思います。
本日(10月25日)10時に大島町より元町地区及び泉津地区の住民約2,300名を対象にして、先程避難準備情報が出されて、今後全島を対象に避難の勧告等が順次発出される予定と聞いているところです。
とにかく、二次災害が起きないようにということを注視しておりますし、同じように火山ということの、去年阿蘇(山)で同じような表層崩壊が起きたということからいきまして、私は三宅島にも万全な態勢が取れるようにということを指示したところであります。

(問)今日「特定秘密保護法案」(特定秘密の保護に関する法律案)が閣議決定されたと思いますが、その受け止めと、公明党が修正を協議しまして衆議院などは盛り込まれましたが、まだ尚「知る権利」の侵害につながるという懸念が残っているということについて、御見解を伺いたいと思います。
(答)私の方からは、特段公明党とかそういう意見等々について述べるという立場にはないと思いますが、公明党が主張した「知る権利」が明記されるというようなことについては、私は良いことだったと認識をしておりますが、それ以上には党との関係というよりも政府の立場としては申し上げない方が良いかと思います。
この法案は極めて安全保障ということを中心にして重要だと思っておりまして、これから御審議を頂くということになると思いますが、その中味の詰めということも更に深く行う必要があると思っておりますので、十分な論議が国会の中で行って頂けるものとこのように思っているところです。

(問)JR北海道の問題の関連で、先日道南の八雲町のレール付近から土砂が流出するという案件が起きましたが、その後のJR北海道の緊急点検で、その近くのまた別の土砂流出を見逃していたという案件が発生しましてJR北海道も認めている訳ですが、それについて今後何か対応は考えられているのでしょうか。
(答)JR函館線の護岸付近で新たに発見された侵食箇所につきましては、10月23日午後3時頃の調査で、斜面は侵食されてはいるものの、これは日常的に岩場ということでありまして、波がそこに当たって通常の侵食作用であるということです。
線路から十分に離れているということから、運行には支障がないと判断したとの報告をJR北海道から受けております。
本件については今後詳細に調査をし、対応を検討する予定と聞いておりますが、それ以上のことは私の方から申し上げることはありません。

(問)緊急点検で見逃していたという点についてはどうでしょうか。
(答)これは、JR北海道はそういう見解ではないとも伺っておりますので、再度私は今後詳細に調査をして対応を行って頂くということが、まずは大事なことだと思っております。

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