大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年11月15日(金) 10:11 ~ 10:38
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告することはございません。

質疑応答

(問)JR北海道で明らかになりましたレール検査データの改ざん問題についてお伺いします。昨日から特別保安監査が又始まってますけれども、これまでに明らかになっている組織内での拡がり、あるいは改ざんの目的、動機などについて、現時点で判っている事をお願いします。
(答)特別保安監査の状況等につきましては、調査(監査)が始まったばかりでありますから、まだお答え出来ることはございません。
今後の保安監査に支障を来す恐れがあるということもありますので、ちょっと控えさせていただきたいと思います。
立入検査でデータ改ざんについて検査をさせていただきまして、この立入検査でデータの改ざんがあったというJR北海道からの報告、そして直接聞いたということにつきましては、この改ざんということについては極めて濃厚という数字、データとして明確に出ていることも確認されましたので、その背景等も今調べているという状況です。
鉄道事業において、レールを本来あるべき状態に維持するというのは、最も重要な事でありますので、このレールの検査データの改ざんというものは、この大前提が成り立たなくなるということで、鉄道事業の安全確保の仕組みを覆すことになり、大変な問題であると思っております。
今回の特別監査につきましては、事実の確認だけではなく、原因、それから何故そうしたことが起きるのかという背景、そして動機等につきまして、徹底的な調査を行う必要がありまして、それらを踏まえて再発防止ということに力を注いでいきたいと思いますので、徹底した監査体制ということで、今(監査に)入っている所です。
現場に聞き取りという事自体が、本当に真実の聞き取りが出来ているかということ自体が、今回の事態は疑われるというのもありますので、直接現場に入る、そしてかなり多くの人から話を聞く、そして物的なことも確認をする、そうしたことを徹底してやるようにと。
また、JR北海道が会社全体としてコンプライアンスをどのように考えていたのかという問題でもありますので、経営部門も含めてしっかり問題の背景を捉えていきたいというふうに思ってます。
これは厳しい態度で迫らなくてはならないと思っている上に、監査ということについても徹底した監査を行って、自らの目、耳、そして歩く、こうしたことを今まではかなり、今までというのはJR北海道で私は従来の監査以上に現場に入れと、また単なる聞き取りだけではだめだぞということを言ってきましたけれども、更にそこは徹底してこの問題の本質的な所在というものを明らかにしたいと思っております。
この改ざんの問題については、極めて重大な問題であると認識をし、徹底して調査をするようにとJR北海道にも当然指示をしているところでございます。

(問)官房長官が会見で、監査のやり方そのものを見直すべきではないか、というような指摘をしたと思いますが、そのJR北海道の問題に関して、官房長官の発言を受けてどのような対応をとられているか教えてください。
(答)これは官房長官も指摘をされ、そして指摘を受けて国交省が動いているのではなくて、むしろそうしたことを官房長官にも御報告申し上げ、そして官房長官の方からも、従来の書類を見てとか、普通に聞き取りをするという事以上のということが指示の内容であったと思います。
全く私自身がそうした態度で臨んできておりますが、今申し上げたように徹底して現場でより多くの人に本当の話をしっかり聴けるという、そこの準備もしていかなくてはならないと思っております。
同時に、従来はこの書類の準備や関係者の日程確保のために事前に監査時期等を通告した上で監査を行っているということでしたが、抜き打ち的に検査をするということで、直接現場の状況、準備とかそういうこととか体制とかむしろ必要ないと、動きながらそれを見ていくことで抜き打ち検査をさせて頂いているというのが今回監査です。
厳しい態度で臨んでいきたいと思います。

(問)JR北海道ですが、こういう改ざんの疑いがある事例があるという社員の証言があるということ自体は、10月の末の時点で国土交通省側に伝わっていたと伺っています。
今回、抜き打ちで調査に入ったのは良いことですが、それまでのNHKの報道があって立入調査を行うまでの間に国土交通省が調査を行わなかったことで、証拠隠滅などが行われた可能性もあると思うのですが、調査の動きが遅かったという認識はないでしょうか。
(答)その報告が正式にあったということではなくて、そういうような動きと言いますか、情報があったということを、JR北海道からの報告が10月30日にありましたので、徹底した調査をするようにということを、むしろこちらで指示をし、その後は毎日のようにその辺の報告を受けたり指示ということをJR北海道に(対して)してきたということです。
従って、その間も十分こうした事案ですので、実態が十分JR北海道として把握が出来ないという事態が続いたのだと思いますが、10日経ってそれが正確にそうした事態が物的なものも含めてあり、証言もあるということが分かったのに10日かかったということです。

(問)改ざんの悪質さというのがだんだん見えて来ていると思いますが、大臣はこれまで安全運行を最優先すべきであるということで、責任を取るということよりも安全運行ですよと仰って来られましたが、これだけ悪質な事例があるという中で、経営陣の責任というものを改めてどのようにお考えでしょうか。
(答)これは重大責任がある、これは当然のことです。
安全運行ということ、そしてその信頼ということを確保するということが鉄道事業の一番大事な問題です。
そうしたことについて、社長も記者会見で鉄道事業者として深く責任を感じていると発言をしておりますが、責任を感ずることは当然であって、その責任の下で社を挙げて結束して、安全ということに留意し、安全な鉄道輸送サービスを提供することによって信頼を回復するということに、とにかく社を挙げて全力でやってもらわなければならないということを、強く思っています。
そういう点では、責任があるからこそ今、毎日毎日運行している訳ですから、毎日そこで点検を行って安全という確認をして走行するという行為が行われているということを確認をし、重大な責任感を持って安全ということで行わなくてはならないと私は強く思い、またそのことについても述べているところです。
危機感が足りない、そして調査も十分ではない、現場の本当のそういうような事態が掴みきれないということ自体、私は重大な問題だと思っています。
従って、責任を感じているという社長の発言はその通りだと思いますが、更にその責任を遂行するということが、一体どういうことなのかということを厳しく求め、そして国土交通省としては特別監査をもって任せきりにする訳にはいかない、強く改善ということを、どういう改善を求めたら良いかということをよく現状を把握して、的確に指示を出したいと思っています。
10月4日と25日に改善指示を出しましたが、そうしたことを受けてJR北海道は対応をしているという状況にありますから、そこの点も、我々が指示をしたということが、具体的にどうなっているかということについても、今回の特別監査ではしっかりフォロー出来るようにと思っています。
社長の方から業務支援室という点、そして第三者を入れて外部委員会の設置という発表がありましたが、我々の指示というものがそうした形にはなっていますが、形に終わらないように、直ちにこれが始動出来るようにということを、強く指導していきたいと思います。

(問)社長が辞任する必要はないというお考えでしょうか。
(答)責任ということは十分あり、しかし進退とは今回は現時点の問題としては、安全運行ということに徹底して全力を挙げるようにということが、基本的な姿勢です。

(問)JR北海道のレールの改ざんについてお伺いします。
今朝の北海道新聞の報道で、改ざんの発覚後に一部の保線部署で、レールの検査値の原本である野帳を廃棄していた疑いがあると報じていますが、これに関して大臣のお考えと、また今行っている特別保安監査で調査をしたりするとか、そうした対応をするお考えがあるのかお尋ねします。
(答)当然、今度の特別保安監査ではその野帳を破棄するということは一体どういう事であったのかということは当然調べます。
ただ、野帳と言われるものはメモのような物というものもありますし、様式が決まっているという事もありまして、鉄道の軌道関係の野帳ということについては、現場での手書きのメモをとる記録というような手帳もあったりして、あるいはメモという形の所もあって、野帳自体については他の鉄道事業者も、これについては保管ルールの有無ということについては、保管のルールが有るかというと無いという所が殆どだということを承知しています。
そして、その実態も個人に委ねているというのが状況です。
フォーマットのようなものがある所も有れば、無いという所もJR北海道の中にも有るということで、野帳というのはそういう物だという認識をしています。
ただそれが改ざんをした事の発覚を恐れるような事で、そのために破棄されるというようなことがあってはならないという事だと思います。

(問)先程、大臣の御発言の中に現経営陣は特に社長に対して任せきりにする訳にはいかないという御発言がございました。
一方で、事実上の任命権者である大臣のお考えとして、これまでは特別保安監査の取りまとめがなされて、その後、JR北海道から事業改善のスキームを国土交通省に報告した後で、経営陣の一新というものを考えられてきたと思うのですが、これらの改ざんの実態が明らかになる中で、一部経営陣に年内にも早めに誰かを任命して入れるとか、そういうお考えはお持ちでなられているのでしょうか。
(答)一つは現在、現状を正に深く調査中であるということ、それから何よりも安全ということと体制の立て直しということに力を注ぐということが大事だと思っておりますので、その後の展開については、現時点で私は何も考えていないところでございます。

(問)ミサワホームの施工ミスがあったということを弊社(中國新聞)が報道させてもらっております。
ミサワホーム子会社のミサワホーム中国で大規模な施工ミスの可能性が出ておりまして、それについて国土交通省の方に報告しているということですが、事実関係について教えて頂ければと思います。
(答)10月11日にミサワホームからミサワホーム中国管内において、型式適合認定等を受けた住宅につきまして、それと異なる施工をした住宅がある旨の報告を受けました。
型式適合認定と申しますのは、プレハブ住宅について構造耐力、防火避難など一連の建築基準に適合することを予め認定するというものであり、壁の補強等のために設ける合板、石膏ボードが施工されていないという、異なる施工というのはそうした事です。
その後、ミサワホームに対しまして対象物件数や原因等の事実関係の報告を継続的に求めて参りました。
11月1日に概ね1600棟程度あることが判明をしました。
国土交通省では同社からの報告を精査した上で、11月6日から特定行政庁に対し、構造安全性の検証など建築基準法の違反事実の有無を、11月22日までに報告するよう依頼をしているところです。
この事案につきましては、特定行政庁からの報告によって建築基準法違反が確認されれば、公表の予定としていたところです。
建築基準法違反が確認をされれば、全て施工不備の疑いのある物件の調査を行って、加えて構造安全性があるかどうかを検証するとともに、ミサワホームに対しまして必要な改修等の対策を講じるよう指示して参りたいと思っております。

(問)先程おっしゃった1600棟は、調査すべき対象が1600棟ということでしょうか、それとも不備がある可能性があるものが1600棟ということでしょうか。
(答)調査すべき対象が概ね1600棟と聞いております。

(問)かなり大規模な調査が必要になると思われますが、国土交通省としての対応を改めてお伺いしたいのと、大臣の受け止めをお願いします。
(答)これは、大きいか小さいかということについては、かなり大規模で広範にわたると思いますが、対象が明確になっておりますから、ミサワホーム自体が既にそのことについて調査をしており、それをミサワホームだけに任せておくということでは改修ということについての信頼性についても疑念が生じることもありますから、そこは特定行政庁が確認をしていくということです。
かなり広範にわたりますので、私は大規模と言えば大規模ですが十分迅速に対応できる数であると思っております。
早急に特定行政庁で調べて頂けるものだと思っているところです。
国交省としては不安を持っている住民が居てはいけませんから、その辺は注視してミサワホーム、そして特定行政庁と連携を強めていきたいと思っているところです。

(問)JR北海道の関係に戻りますが、これまで2回の特別保安監査で改ざんがあったという事実については実際に函館保全管理室に入りながらもそれを見抜けませんでした。
そうするとこれまでの監査というものが十分に行われていたのかという監査の妥当性についての疑問が出てくるのではないかと思いますが、そこについて大臣の御認識は如何でしょうか。
(答)広範な監査をしています。
そういう意味では掌握できるものと掌握できなかったというものがあることは事実です。
しかし、かなり現場に入ってということをやり、そして私どもからの監査とは別に駅から駅までの合計8キロを全部歩いて調べろということもさせて頂いて、かなりの項目で8日間かかりましたが、そうしたことも含めて監査自体の報告を聞いて、書類で見てということ自体については信頼性に欠ける面があるということは事実でありますが、それだけでない実態把握というものはかなりなされてきたと思っています。
先ほど申し上げましたがその欠けている点は、JR北海道の調査だけには任せておけないというのが今回の私達の意識ということであろうと思います。

(問)これまでの監査のあり方ですが、今回の特別保安監査の3回目については抜き打ちでやるということで一定の改善策を取られていますが、今後、この問題に限らず監査のあり方を見直すお考えはありますでしょうか。
(答)一つは安全という基本的なことについては各鉄道事業者が責任を持ってやる。
その行動と行いについてそこを点検するというのが国交省の立場の基本です。
しかし、今回の事例からいきますと、かなり踏み込んで調査自体の報告を聞いただけではダメであるということが一つ今の問題として出ていると思います。
人員を増やすという声もあったりしますがここはこれからの検討であろうと思います。
これからの監査のあり方については、特に現場そして聞き取り調査の内容についても徹底して厳しく行っていかなくてはならないということが今回JR北海道の問題で明らかになったと思いますので、監査の人数という以上に中身の点で現場に踏み込んで食い込んで調査をするということはこれからの監査のあり方で重要なことだと思います。

(問)JR北海道の関係ですが、鉄道事業法では監査を鉄道事業者又はそこの人間が監査を妨害したり国交省の求める報告に対して虚偽を話した場合は罰則が規定されています。
今回の事案ではかなり悪質さが出ていると思いますが、刑事告発等刑事手続きに関しては如何考えてますでしょうか。
(答)現在、立ち入り調査を行っており、そして特別監査を行ってまずは事実関係を確認することが重要であると考えており、現時点においては刑事告発という問題については検討しているという事実はありません。

(問)改ざんが明らかになった場合というのは如何でしょうか。
(答)仮定の話は今日お答えすることは適当ではないと思います。

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