大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年11月29日(金) 10:01 ~ 10:26
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 今日の閣議案件で、私の方から御報告するものはございません。
 私の方から二点報告をさせて頂きます。
 一点目はJR北海道についてでございます。
JR北海道に対しましては、本日、3回目の改善指示をすることと致しました。
現在、3回目の特別保安監査を実施しておりますが、年末年始の多客期を迎えることも考慮し、緊急に改善を要する事項について指示を行います。
改善指示の内容につきましては次のとおりです。
1点目は、年末年始の多客期における安全対策を早急に策定し実行すること。
2点目は、まくら木等の軌道施設や車両の安全投資や修繕を出来る限り前倒しして実施すること。
3点目は、これまでの改善指示への適切な対応を実行すること。
4点目は、車両に関する委託業務上の取り扱いの改善措置について、JR北海道に対してこの4点を指示致します。
なお、年末年始における一層の安全対策の実施、安全投資等の前倒し、改善指示への適切な対応実行の3点につきましては、(11月)22日の日に野島社長と面談した際に、私の方から基本的な問題意識についてということで、口頭で伝えておりますが、改めて正式に文書の形で指示するものであります。
大事なのはスピード感を持って、一歩一歩着実にとにかく実行するということであると考えます。
JR北海道に対しては、社長の強いリーダーシップの下、全社一丸となった取組を強く求め、安全という1点にかけて力を注いで頂くよう強く求めて参ります。
詳細につきましては、指示した後に事務方より説明させて頂きます。
 二点目については、インフラ長寿命化基本計画についてであります。
本年6月に閣議決定した日本再興戦略では、インフラ長寿命化基本計画を政府として策定することとされております。
このため、内閣官房に設置された関係省庁連絡会議におきまして、国土交通省がイニシアティブを取りながら策定作業を進めてきたところでありますが、本日午前中に開催される会議で決定され、公表される運びとなりました。
国土交通省では、老朽化対策について、今後3年間にわたる当面講ずべき措置を工程表として取りまとめ、緊急点検・集中点検やデータベースの構築といった総合的・横断的な取組を推進して来ておりますが、本日決定される基本計画は、これを政府全体、地方公共団体に広げ、あらゆるインフラに展開していくということで、我が国の老朽化対策の全体像を示すというものになっております。
最も大事な事は技術革新によるコスト削減や長寿命化を推進することで、老朽化対策費用の山を平準化していくことが重要であり、国土交通省としましても、基本計画に基づいて、老朽化対策について、今後更に重点的に取り組んで参りたいと考えております。
なお、詳細につきましては、後ほど事務方による説明を予定しております。
私からは以上です。

質疑応答

(問)先程、大臣のお話にもありましたがJR北海道の問題についてお伺いします。
昨日も開かれました国会での参議院国土交通委員会の参考人質疑の中で、会社(JR北海道)側が改ざんが過去から行われていたということを明らかにしています。
改ざんの問題につきまして、これまで国土交通省の監査で判明している過去からの経緯等々含めて、今分かっている範囲でお願いします。
(答)JR北海道の社内調査におきまして、現時点までに9保線管理室等で改ざんが行われており、そのうち4保線管理室で過去から改ざんを行っていたことが確認されたという説明がされたことは御承知のとおりだと思います。
国土交通省はJR北海道の調査に任せてはおけないということで、特別保安監査で直接乗り込んで調査をさせて頂いているという状況にございます。
その結果、昨日の国会審議で説明をしましたが、昨日までの監査を通じて7保線管理室等において改ざんが行われたということを確認致しました。
また、改ざんが行われたということと、それに組織的に上司が関わったかということと、そして時期が特別保安監査を意識してその直前に変えられたのか、前から常態化していたのかと、三つの角度がある訳ですが、今申し上げましたように、改ざんが行われたというのは9保線管理室等というふうにJR北海道は言っておりますが、そのうちの7保線管理室等を確認をしているというのが国土交通省として昨日申し上げたことでございます。
過去から時系列的に改ざんが行われていたのかという問題については複数の保線管理室において過去から改ざんが行われていたことを確認しているところですが、更に詳しく調査する必要がありますので、箇所数や場所については未だ調査をより深くしたいという思いがありまして、現在申し上げる段階にはございません。
複数の保線管理室で過去から改ざんが行われているということは確認はしているところです。
なお、改ざんが行われたという事実や改ざんを始めた時期だけではなくて、その背景や動機も含めた全体像の解明が必要であると考え、なお調査を続行しているというところでございます。

(問)高速道路の料金割引の件ですが、今朝の自民党の道路調査会でNEXCO3社がまとめた案というのが示されたようですが、これについて国土交通省として今後どのように取り組まれていくのかお考えをお願いします。
(答)来年度以降の高速道路の料金割引につきましては、平成20年から実施して参りました緊急経済対策による料金割引が今年度で終了するということに伴いまして、国土幹線道路部会、所謂、寺島部会の中間答申などを踏まえて、様々な観点から検討を進めているという状況です。
先週11月21日に、NEXCOに対しまして今月中を目途に料金割引の案を提出して頂きたいという要請を致しましたが、これを受けまして、昨日、NEXCO3社から国土交通省に案が提出をされました。
提出された案については、今後、細部について精査等を行うということに国土交通省の作業としてなりますが、基本的には国土幹線道路部会の中間答申を踏まえたものであるという認識をしております。
また、先週に私が二つの努力要請を致しました。
具体的には、高速道路会社が実施している既存の料金割引メニューにも例外なく踏み込んで見直す努力をすること。
これは民営化の時の5000億円があるということがそれに使われていて、その上に緊急経済対策での割引4000億円がかぶっていて、その4000億円が無くなるということで、今やってる訳ですが、その既存の料金割引メニューの所謂5000億円分のところについても踏み込んで見直す努力をするようにという要請です。
もう一つは、経営努力を最大限に反映すること、という二つの要請をしたところです。
これにつきましても工夫をした内容になっていると考え、これらを踏まえて本日から精査をしていくということになります。
一方で緊急経済対策による料金割引の終了に伴いまして、国民生活や経済全体に与える影響を軽減するために、激変緩和措置が必要だと考えています。
このため12月に取りまとめる予定の経済対策に盛り込むよう検討を進めているというところでございます。
このような検討を進めて、年内を目途に来年度以降の高速道路料金につきまして、基本的な内容を決定したいと考えています。
なお、NEXCO3社の料金割引案の詳細な内容につきましては、後ほど事務方から詳細に説明をさせて頂く予定としておりますので、そこでお尋ね頂ければと思っております。

(問)高速道路料金ですが、つまり今高速道路会社が示している案に更に上乗せする形で経済対策の分が乗っかるという趣旨だと思うのですが、国土交通省として例えば業務用、あるいは一般の人、深夜昼間とか、どういうところに重点的に配分するのが経済対策として効果が上がるとお考えでしょうか。
(答)ここは頻繁に常態的に使うということだと思います。
ちょっと漠然とした言い方ですが、かなりイメージとしては出ると思いますが、それ以上のことは私は微妙な事なので控えさせて頂きたいと思いますが、今申し上げたことは非常に大事な要素であろうと思っております。

(問)(JR北海道への)業務改善指示についてですが、車両に関する委託業務の改善措置について、狙いと内容について簡単に説明頂ければと思います。
(答)詳細は後に申し上げる機会が今日あると思いますので、そこでお聞き頂きたいのですが、従来は会社で全部やっていたという状況でありましたが、それをどちらかというと分社化するような感じでやっているということの時代もあったんです。
ところが、それを完全に外部の委託というような点でありまして、その辺の委託業務上のそうした内容について検討しているということです。

(問)JR北海道についてですが、上部の組織だったりとか上司だったりですとか、組織的な関与について今のところいかがでしょうか。
(答)昨日(28日)、私から国会の中で発言をさせて頂きましたが、JR北海道はJR北海道で今調査をしているところだと思います。
国土交通省としては、そこは聞き取り調査を中心にしてやっているところで、現在まだそこは調査中という段階です。
かなり徹底して調査はしていることだけは事実です。

(問)JR北海道の調査ですが、今のところ報道であったりJR北海道自身の調査が先にあって、国土交通省の調査は改ざんの個所数ですとか、その後追いになっているという印象が強いのですが、今後JR北海道がまだ調査で明らかにしていないことを明らかにするには、体制を強化するとかそういうことが必要ではないかと思いますが、そういう検討はされておられませんでしょうか。
(答)ここは個別的な事故があって、従来の監査とか調査というのはそこに行って調査をするということが多かったと思います。
ところが非常に広範に渡る北海道という地域、鉄路が大変長い、そして関わる人も巨大である、そこには色々な企業風土の問題があり、これまでの技術者・技能者をはじめとするそうした現場の手薄というような問題もあり、御承知の通り山程の問題があります。
それを包括的に捉えて、何箇所にどうかという以上に、なぜそういうことが起きるかということを究明しなければこの解決というものはないと、そしてもう一つは直近の目の前の事故というものが毎日毎日運行している訳ですから、事故がないと、それを安心して頂けるために全力を尽くしていかなくてはならないという課題があり、時間軸においても目前の毎日毎日の運行の安全確保ということに全精力を挙げて行う、そして同時に企業風土をはじめとするそうしたことについても、これは時間が掛かります。
そうしたことを行うということを包括的に行っているということで、正に私を中心にして、そこにはどうすれば安全というものが確保出来るかという、私なりの戦略というものを考えて行っていることです。
そういう意味では特別保安監査というものの本質は、一番大事なそうした背景も含めた、そして事故が起きる動機、背景、そうしたものをしっかりえぐり出して、その解決策に持って行くということですから、そういう意味では監査人員がどれだけかとかいう以上に、監査をする時の、同じ聞くにしても同じ書類を見るにしても、角度と問題意識を持って徹底的に深く行わなければ、問題の本質に行き当たらないということであります。
ですから、監査人員ということについては当然限りはありますが、従来にない体制ではありますが、監査の内容についてもっと深くということについても、私も具体的に指示をしたりしておりまして、この問題の本質的な解決、JR北海道の再建ということを全体像を掴んだ上で、どこを優先順位にしてこの問題の糸口をここから始める、あるいはそれが連鎖していくというようなことの、何が大事かということについて、今真剣に取り組んでいるという状況です。
私は当初からそういう観点で、あくまでJR北海道が再建されて、毎日毎日安全走行が出来る、そして尚かつそこで、今まで指摘されているような多くの構造的な問題、企業の風土の問題、そういうことにも十分この解決策としての具体策を出せるというように、今努力をしているところです。
昨日も申し上げましたが、現場と経営陣の意思の疎通ということは常に言われたことで、やりなさいということでありましたが、やりなさいと言ったら対話集会が行われる、それはそれで一つの前進ではあります。
前進ではありますが、私は話しを聞くだけでは駄目だよと、話しを聞いたらそれを実行するという形を取らなければ駄目であるし、また話しを聞く以上に心を掴むということなしには、組織の改革というのは出来ないということを指摘をさせて頂いたりしておりまして、現実のそういうことについては、常に全体像と本質と今行うことということを、私達国土交通省はそうした考えで取り組んでいるということを御理解頂きたいというふうに思っています。

(問)(対応が)後手に回っているという認識ではないということですか。
(答)全く思っておりません。

(問)JR北海道の経営陣に対して、国会からかなり強い不満が出ていたように聞こえました。
今後のJR北海道の立て直しを、今の経営陣に任せておいて良いとお考えでしょうか。
(答)何回も御質問頂いておりますが、安全に毎日毎日の走行をするということで、現実に今予算を前倒しするとか、そして減便と減速を11月1日から始めています。
鉄道事業において減便をする、減速をするということ自体は、これはかなりの決断なしには出来ない事実だと思います。
色々なことで具体的に今動き始めてきているということでありますから、私は社長が発言をしているように、とにかく事故のない安心して乗って頂けるようなところに、総力を挙げて、そして会社が危機感を持って行うということについて、全力を尽くせということを、今は指導しているという状況です。

(問)前倒しで投資をするということですが、JR北海道の経営で、彼らは営業では常に赤字ですが、基金の運用益を含めた経常レベルではなんとか黒字を確保するということを目標に経営をしている訳ですが、そこでコストを前倒しで計上していくことによって、一時的にJR北海道の経営が経常レベルで、純損益レベルで赤字に陥っても是認するということでよろしいでしょうか。
(答)そこは、軌道を修理する、あるいは車両を改善する、色々なことを現場の人達が是非とも行ってもらいたいという声があります。
ところが、経営という感覚でそれが抑えられてきたというようなことも聞きます。
その内容についてはもう少し、的確に吟味しなくてはいけませんが、そこでずっと赤字だからということで行ってきたり、他の事業で補おうとしてきたり、そして現場の安全ということが十分ではないというような話しがあって、どういう支援の仕方が出来るのかという中で、現在JR北海道が一丸となって決意をしておりますのは、例えば今の設備という点での、平成23年度から10年間で600億円ということがあり、それだけあって(設備を)行うならば、それは前倒しして行っていくということの中で十分安全は確保出来る、またしなくてはならないという決意の下で、今安全対策ということに全力を挙げているところですから、私はそこにまず力を注げと、前倒しをするようにということを言わせて頂いているところです。
まずはそれが大事です。

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