大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年12月13日(金) 11:15 ~ 11:38
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 国土交通省の主な閣議案件はございません。

質疑応答

(問)JR北海道の問題に関してお伺いします。
貨物列車の脱線事故の直後にレール検査データを改ざんしていた事が新たに発覚しました。
この問題に対する大臣の受け止めと、今後の国交省の対応について教えてください。
(答)昨日(12日)JR北海道から、9月19日(発生)の貨物列車脱線直後に軌道変位についてのデータの改ざんが行われていたと発表がありました。
JR北海道はこれまで国土交通省に対しまして、脱線箇所の事故前の、直近の6月7日に行った検査について、軌道変位は25ミリであったと報告しておりますが、実際にはこれが39ミリであったと、改ざんが行われたということであります。
安全輸送を第一とする鉄道事業において、安全に係わるデータの改ざんはそれ自体あってはならないことでありますが、事故の直後に正しい原因究明を阻害する改ざんを行うという事は言語道断であるというふうに思います。
今回の改ざんはこれまで明らかになっていた改ざんとは比較にならないほど悪質であると、許し難い行為だと考えています。
本件については、JR北海道の報告を受けて国土交通省としましても、(12月)11日と12日に行った監査において、6月7日のトラックマスターの生データから、脱線箇所の軌道変位が39ミリであったということを確認しました。
また、大沼保線管理室と函館保線所の社員からの聞き取り調査で、改ざんをしたとの回答を得て、このような改ざんが行われたことを確認したところです。
運輸安全委員会も、正しい生データに基づいて厳正に調査を行うということを聞いているところです。
本件についてJR北海道として、問題の重大性を十分に認識し、自ら徹底的な調査を行うとともに、会社として厳正な処分など的確な措置を講ずるよう強く求めてまいります。
国土交通省としましても、現在実施中の特別保安監査の結果に基づいて、このような事が二度と起きないよう徹底した再発防止策を講じるとともに、JR北海道に対して然るべき厳正な対処をして参りたいと思っています。

(問)然るべき厳正な対処というのは、具体的にはどのような方針でしょうか。
(答)これは現在徹底した調査に入って、JR北海道からも調査に入り、そして国交省からも調査に入り、そして運輸安全委員会ももう一度、(調査の)前提が崩れるという重大な案件でありますから、調査に入っているということです。
そういう意味からいきまして、徹底した今調査中でありますから、何をどうするということについては申し上げる段階にはありませんが、いずれにしても極めて重大な悪質である案件ということで、何らかの厳正な対処というもの、どういう方向になるかどうかは別にしまして、今までとは状況が違うという認識を私はしているところであります。

(問)補正予算について一点お伺いします。
先週、大臣は経済対策によって来年度前半の経済をしっかり支えていきたいとおっしっておりますが、今回の補正予算がその点で十分な内容になっているのか御所感をお願いします。
(答)この来年度前半の経済を支えるという、補正予算は非常に大きな要になっている訳ですが、この補正予算につきましては、12月5日に閣議決定されました「好循環実現のための経済対策」を踏まえて、そこに示された3分野に重点化し、国土交通省関係の補正予算の国費総額として1兆円あまりを計上しています。
まず、経済対策の第一の目的である消費税率引き上げによる駆け込み需要・反動減対策として、住宅取得に係る消費税負担増を緩和する為の、住宅ローン減税がありそれを補完する「すまい給付金」というものが補正予算に入ったわけですが、これは大きな事だと思います。
また、国民の命と暮らしを守る観点から、防災・減災、老朽化対策のうち、緊要なものに重点化しておりまして、公共事業予算の半分以上をこの防災・減災・老朽化対策に充当しているという状況にあります。
加えて、交通・物流ネットワークの整備など、経済の成長力を底上げし、地域の活力の発揮に資する経費も盛り込んでおります。
これらの対策に必要な事業について吟味して積み上げた結果、公共事業関係として国土交通省関係におきましては、合計7千5百億円を計上しているという状況にございます。
これらの適切な執行というのが大事だと思っておりまして、消費税率引き上げ後の来年度全般の経済を支えることにつながるというふうに考えております。
今後はこの施策の効果を最大限に発揮させる為にも、その(補正予算案)早期成立をお願いしていくと共に、成立後に何よりも早期執行が出来るよう、万全の対応をしていきたいと考えているところです。

(問)JR北海道の関係で2つお伺いします。
厳正な対処の中には刑事告発は含まれるのでしょうか。
また当初、数日前までは年内での特別保安監査の取りまとめを御検討されていたと思いますが、その取りまとめについても来年以降になるのかどうかを教えて下さい。
(答)今回明らかになった改ざんは、脱線事故が発生した直後に当該脱線箇所のデータを改変して、正しい原因の究明を阻害するというものであって、極めて悪質だと先程も申し上げた通りです。
現在のところは、徹底した調査に入っているという状況でもありますので、いずれにしても悪質であり、厳正な対応が必要であるというふうに考えておりますが、どのような対応が必要かについては現段階でまだ申し上げる段階にない、検討中であると申し上げたいと思います。
それから、特別保安監査がずっと行われてきている訳でありますが、年内にはまとめてということを心の中ではそう考えておりました。
しかし、特別保安監査が全体的な背景、そして動機、改ざんという事態が11月初旬に発覚しまして、その背景と動機というものでずっと続けられている状況にある上に、今回また悪質な事案が発生したということもありまして、これから何らかのまとめが出来るかどうかということについても、ここも検討中です。
ですから、ここのところは一番大事なところで、企業体質ということにも関わる全体の問題ですので、まとめの形自体がどういう形かということはありますが、まだ今そこについては結論は出しておりません。

(問)スーパー堤防の訴訟についてですが、1.4ヘクタールという点だけの堤防機能は、堤防機能として合理性に欠くのではないかと、土地区画整理事業を取り消して欲しいという訴えに対して、裁判所は土地区画整理事業はスーパー堤防とは一体ではないという被告の訴えを受け入れて、一体ではないから関係ないので棄却するということで、裁判に結局ならなかったという本筋は裁判は棄却ということになるのですが、大臣自身はたった1.4ヘクタールを盛り土して、その1点だけを盛り上げるというスーパー堤防については、これは合理性が治水事業としてあるというふうにお考えでしょうか。
(答)このスーパー堤防は、超過洪水による越水に対しても決壊しない上に、安全で快適な空間が創出されて防災拠点や広域避難場所となるなど、地域の防災力の向上等の効果もあり、治水の一つの手段として大きな役割を果たすものだと考えています。
今年度におきまして、まちづくりの状況や地元の意見等を踏まえて、避難場所としての活用など地域の防災力の向上に資する地区として、江戸川の北小岩1丁目地区、多摩川の戸手地区に着手することとしているところです。
私も話しを聞いたり、また昨今の台風などの状況、フィリピンの災害、そして昨年10月29日のハリケーン・サンディでの地下街の災害、こうしたことからいきますと、防災対策、高潮の予防、地下に対しての対応、そして全体的な集中豪雨、こういうことからいって、私はここはスーパー堤防というのは必要であるという判断をしているところです。

(問)200メートルの幅の河川敷があるところに(スーパー堤防が)予定されているところですが、それでも合理性があると緊急性があるとお考えでしょうか。
(答)あると思います。

(問)反対している世帯でまだ住んでいらっしゃる方を除却するという処分がありますけども。
(答)そこは十分、住んでいる方への配慮というのは当然工事を進める中では大事だと思いますが、そうした江戸川区全体の強い要望ということもよく踏まえていかなくてはならない判断であると思っています。

(問)先程、JR北海道の方としても自ら徹底して調査し、厳正な処分をして欲しいというふうな発言をされたと思いますが、現在、今回改ざんに関わった3人の社員は引き続き保線の業務に携わっていると思いますが、それについては何らかの処分、今の業務から外すとか、そういう対応が必要だというようなお考えはないでしょうか。
(答)私がそうした3人を特定したり、あるいはそこの仕事の内容をどうかという点についてここでコメントするよりも、今回の事案は極めて重大であって、そして悪質であるという認識の上に更にそこの保線所もそして管理室に対しても徹底調査をまず行うということが一番大事なことだと思います。
その中で、判断についてですが、そんなに長い時間をかけるという訳にその業務ということについてはいかないだろうと、どういう判断をされるかという結論についても、そこはそんなに時間をかけるという訳にいかないだろうと、一般論としては言えると思いますが、事柄が事柄だけにそこはJR北海道の判断ということになろうと思います。
しっかりした厳正な対処を強く重ねて望んでおきたいと思います。

(問)リニア新幹線についてですが、JR東海経営者がペイしないということを断言しておられます。
今のようなJR北海道のような状況を考えた場合に、まず何を優先させるべきなのかということをお考えかということと、将来ペイしないと言っているリニア新幹線が安全性の点から見て大臣は適切だとお考えになっているかどうかお聞かせ下さい。
(答)私は適切な、今技術水準も高まり、そして試乗も多く外国の方もあって、日本で誇るべきリニア新幹線の技術というものであり、そして多くの人がこれについては望んでいる事業であると思っています。
ペイしないという発言ということについては、様々な状況、条件というものがあって、経営上の判断の上である地点ということについて言っているというふうに私は思っておりますから、当然、そういうことも含めてJR東海は判断をしているものだと思います。

(問)国土強靱化政策大綱にリニア(新幹線)が推進ということで盛り込まれますが、国費を投じるという意味では無いということでよろしいでしょうか。
(答)どういう意味ですか。

(問)内閣府で(ナショナル・)レジリエンス(防災・減災)懇談会が行われていまして、そちらで国土強靱化政策大綱というものを国会で国土強靱化法が成立する前に案として12月4日に出されています。
法律が通ったのが12月5日未明ですが。
その大綱の中でリニア(新幹線)については国として推進するという文言がありました。
これは予算を入れるということは書いてありませんので確認したいのですが、JR東海は民間企業ですから国費を投入したりすることはしないということで間違いはないでしょうか。
(答)あなたの言う国費という範疇はどういう範疇のことをおっしゃっているのですか。
通常、誰でもJR東海が行うということは知っている話ですが、何の変更も無い話ですが、その通りでいいのですか。
そしたらその通りです。

(問)(リニアについては)これまでと同様、変わりないということでしょうか。
(答)その通りです。
JR東海が行う事業です。

(問)JR北海道の話ですが2点伺います。
1点は昨日初めて函館保線所という上部組織の関与が分かったということになりますが、これはもう組織ぐるみの改ざんだということですが、この点についてのお考えをお聞かせ下さい。
また、JR北海道が今回の改ざんについて1週間以上前に把握して、一昨日(12月11日)には社長が自ら会見を開かれていますが、その場ではこの改ざんを明らかにしていませんでした。
年末年始の多客期を迎える前に経営トップが自らそういう事柄を明らかにしないことについてどうお考えでしょうか。
(答)まず最初の保線所の上部の機関が関与していなかったのか、という点におきましては、大沼保線管理室の上部組織である函館保線所の職員の指示があったとの報道がなされたことは承知しておりますが、JR北海道は保線所の社員が関わっていたという表現をしています。
国土交通省の監査員が昨日、函館保線所の職員から聞き取りを行いました。
その結果、一人の職員から、脱線直後に大沼保線管理室を訪問し、同管理室の職員と共に二人の判断でデータの改ざんを行ったという供述を得ています。
従って、現段階では上部の保線所の職員が関わってきたということについては確認はされているところですが、上部機関の組織的な関与の有無について判断できるという状況には至っていないということです。
その辺も含めて、これは非常に大事な問題でありますので、JR北海道も私達も今調査をしているところでございます。

(問)12月11日にJR北海道野島社長が会見されて、そのときは改ざんのことは仰らなかったのですが。
(答)この経過は、12月7日に本社の社員が大沼保線管理室関係者への聞き取り調査を行って、データの修正を認めたというのが12月7日のことです。
このことが、野島社長に報告されたのが、12月9日というふうに伺っています。
そして、この件について相当JR北海道は徹底した調査をし、聞き取り調査も曖昧な表現があったりするものですから、物的なそれについては確認されているのですが、そこの関与の仕方については詳細に詰めてという確認作業に時間が掛かったと思っています。
どの時点で、JR北海道の社長が言ったかどうかについては、私は十分JR北海道の認識している情報がどの程度のものなのかについては、十分掌握しておりませんが、そこは確実な情報にならなければ発表できないということであったと私は思います。
私達の所にもJR北海道から10日に報告があったわけですが、それについても12月10日の時点でも徹底した調査で確実な発表ができる体制を急ぐためには、発表できるという内容をしっかり詰めるように指示をしているところです。
事実はそういうことです。

(問)特に発表の経緯については問題はないという認識でよろしいでしょうか。
(答)JR北海道が発表する状況まで煮詰めていたかということについての判断で、JR北海道も出来るだけ速くと思っていたのではないかと思いますが、その辺はむしろJR北海道に聞いて頂いた方が適当かと思います。

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