大臣会見

太田大臣会見要旨

2014年3月7日(金) 9:23 ~ 9:50
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、二点御報告がございます。
 一点目は、法律案の閣議決定についてであります。
本日の閣議におきまして、「建設業法等の一部を改正する法律案」、「建築基準法の一部を改正する法律案」、「海岸法の一部を改正する法律案」が決定をされました。
 二点目は、これから資料を配付いたしますが、本日の閣議で、北海道旅客鉄道株式会社の代表取締役会長及び社長の人事について、御了解を頂きました。
これらの人事は、正式には4月1日に開催される株主総会及び取締役会で決定される予定で、国土交通大臣が認可することになります。
詳細は、事務方にお尋ね下さい。
私からは以上でございます。

質疑応答

(問)今回のJR北海道の会長及び社長の人事についてですが、今回の人事の狙いとなぜこのタイミングになったのかという点、そして須田・島田両氏に期待することをお尋ねします。
(答)JR北海道に対しましては、1月24日に鉄道事業法に基づく事業改善命令、そしてJR会社法に基づく監督命令を出しました。
そして現在、JR北海道はこれらの命令に基づきまして、日々の輸送の安全をしっかりと確保するとともに、今後の総合的かつ抜本的な安全対策に関する計画の策定に向けた作業を進めているところでございます。
こうした状況を踏まえまして、4月1日から新しい事業年度が始まるこの期に、JR北海道の事業運営の中核を担う代表取締役である社長と会長を一新し、新たな体制の下で総合的且つ抜本的な安全対策を策定の上に、これを確実に実施し、新生JR北海道としてスタートを切ってもらうことにしたものでございます。
新経営陣にはJR北海道が利用者、国民の皆様から信頼される輸送機関として再生できるよう、全力を尽くして頂きたいと思っているところです。
私は一貫してJR北海道において、現場における軌道変位の放置や検査データの改ざんなどの問題などを発生させて、安全や信頼性を確保する努力を怠ってきた事態について、経営陣の責任は重いとこのように申し上げてきました。
そして日々安全ということを確保することに全力を挙げよと、こういうふうに申し上げてきましたが、これまではJR北海道としての特別保安監査、あるいは事業改善命令、そして監督命令、さらに道警による家宅捜査等がありまして、1月、2月はそれらに対応するということもありましたし、日々の安全ということについて努力をしろということを毎日のように言ってきたところですが、一連の事態の対応を行ってきたということを踏まえて、4月1日から新しい事業年度が始まるこの際に、JR北海道の事業運営の中核を担う代表取締役である社長と会長を一新して、新生JR北海道としてスタートを切ってもらいたいということをこめて、今回の人事を行わせていただくことになったということです。

(問)確認ですが、野島社長や小池会長は引責辞任という理解でよろしいでしょうか。
(答)そうですね。
野島社長と小池会長を退任させることにつきましては、一貫して経営陣の責任は重いというふうに申し上げてきましたものですから、経営のトップとしてそうした責任を取っていただくものであると思っているところです。

(問)JR北海道の人事についてですが、このお二人を選んだ理由というか狙いというのを教えていただけますか。
(答)これは総合的に判断をさせて頂いて、適材適所という観点、総合的に力量を発揮して頂きたいということでございます。
それらの人事の経過等については、コメントすることは控えたいと思います。

(問)現場の安全確保ということに加えて、組織の中の企業風土の問題も数々指摘されていたと思うのですが、その点の改善に期待することはなんでしょうか。
(答)ここはある意味では、非常に最も重要なこの対策というのは、長年の企業風土ということの改善ということだというふうに思います。
そうした意味からJR北海道を安全な鉄道会社として再生させる為には、鉄道事業の安全技術分野での豊富な経験と幅広い知識を持つ会長、そしてこれまでのJR北海道の社内ということについても、十分承知をしている人との会長・社長というのは、企業風土を変えるということで一番大事なことの上でも力を発揮して頂くと、特に安全ということについては何よりも大事であるという観点ということは、この会長・社長によって実現をして頂くようにということを期待しているところです。
大変簡単な話ではない訳であって、人事が行われて直ちにという訳ではなく、そうした企業風土も含めて、更にそれらを解決していくために、JR北海道全体が結束して安全ということに取り組むようにして頂きたいと思っているところです。

(問)今日閣議了解されたということですが、これから色々な手続きを経て会長・社長に就任されると思いますが、大臣はいつ頃お二人とお会いになる御予定でしょうか。
(答)これまでも、須田会長についてはかなり長く知っている方でもありますし、今年に入ってからもお会いはしています。
島田社長については、電話でお話しをしたというのはございますが、直接お会いをしておりません。
それについては、これからどういうふうにするかということについてのスケジュールが決まっておりませんが、意見交換は必要なことだと思っています。

(問)今のお話は、会長・社長に大臣自らが就任を要請されたという趣旨でしょうか。
(答)その辺の経過については申し上げませんが、私の責任の下で、会うということも含めてやらさせて頂いているということです。

(問)それはそれとして大臣が仰った知識が豊富な会長、社内をよく知っている社長ということですが、一方で島田さんは、かつて労組と厳しく対立しまして担当替えになったという経緯があります。
須田さんは、鉄道の現場を離れてからもう12年が経っているということもあります。
それにも関わらず、なぜ島田さんであり須田さんなのかというところを、島田さんは組合との関係、須田さんは鉄道の現場を離れて長いということについて不安はないのでしょうか。
(答)須田会長につきましては、非常に長い経緯もありますし、この数年も現場のそうしたことについて携わってきたという経過がありますから、非常に安全とか技術面とかそうしたことについて熟知しているということで、空白というのは基本的にないという状況だというふうに、話しをしてみても、私もよく知っている方でありますので、そんなに空白はないと、いわゆるJR東日本ではない、今まで就いてきた仕事の中の同じ立場であったというふうに思っています。
島田社長につきましては、この辺は今までの経過とかそういうことについては、私は一応聞き及んではいるところでありますが、総合的に判断をさせて頂いてということで、適材適所ということだと思っています。
ただ、なかなか困難な仕事だというふうに思いますので、相当の覚悟をして頂いて、腹を決めて、とにかく安全という一点ということにかなり集中して頂いてということの任を遂行するには、ふさわしい人物ではないかと思っているところです。

(問)自由民主党あるいは官邸では、早くから今回の問題の元凶が組合にあると、組合に対する経営陣の弱腰な対応にあるという指摘が強かったのですが、今回の人選もそういう自由民主党あるいは官邸の意向が反映されたということはあるのでしょうか。
(答)色々な方の意見は聞いておりますが、私は全てを総合的に判断して、適材適所であるという判断をして、今回こうしたことになったということです。

(問)大臣はこれまで現・野田社長に対して、事業改善命令などの着実な実行というのを強く求めてこられたところだと思いますが、今回新経営陣に刷新をされたということに関連しまして、現執行部での事業改善命令の遂行というのは、ある程度進んだという、そういう判断もあるのでしょうか。
(答)毎日毎日報告を頂いて、安全という確認の基でスタートをさせて頂いています。
そして今の時期が、線路の上に雪が被っているというような状況の中にもございます。
そういう意味からいきますと、改善命令を出すという前に改善の指示を出させて頂いている。
11月1日に例えば減便、減車、あるいは予備車を1台というようなことを始めとして、予算を前倒ししてとか様々なことをこの約半年間にわたって我々は指示をし、そして命令も発してやってきたところです。
非常に季節的にも困難な中で、今力を注いでやってきているということは私は認めているということです。
また企業風土とかそういうことについてはこれは時間のかかる問題でもありますが、JR北海道は野島社長を中心にして全力を挙げてこの数ヶ月やってきたという事実は私は認めているところでありますが、なおこの点は今日もそしてこれからも、そして新しい体制になってからも非常に安全ということをしっかりと確立しながらやっていくということはそう簡単ではない作業だと思っておりまして、その辺は更に一層力を入れて取り組んで頂きたいと思っているところです。

(問)これまで安全投資の前倒し実施の支援とか、そういうところは国土交通省に支えてもらえる訳ですが、一方でJR北海道の経営そのものがずっと赤字体質であるとか、金利頼みであるということは変わらなくて、それが安全投資できない、あるいは合理化をしすぎるというような原因になっていると思うのですが、国土交通省として今後抜本的にJR北海道の経営を改善させるような支援策などを考えておられますでしょうか。
(答)改善命令と1月24日の改善指示ということで、全て尽きているとは思いますが、その中核をなすものは安全第一であり、現場と経営陣との意思の疎通ということだと思います。
そしてそこには予算が無いというような問題が生じていたということが一つ体質化してきているという問題があったと思います。
私はその辺については改善命令、改善指示の中にもこれは出ている訳でありますが、安全ということに何よりも予算を投入すると、そしてそれは現場が一番良く知っていることだから、その声を聞いてそれに答えるようにという趣旨はこれからも更に一層貫いて頂きたいと思っておりますし、そこへの支援は惜しまないと思っているところです。

(問)今回、JR東日本からの登用ということですが、この人事を通じてJR他社からのJR北海道への登用というか、支援というのを更に強化してもらいたいというそういうお考えはあるのでしょうか。
(答)現時点ではまず新しいこの体制がスタートする4月1日までに、現在8名がJR東日本から安全部門を中心にして行っておりますが、非常にいい働きをしているということをJR北海道からは聞いています。
そして、JR東日本以外の会社につきましても、協力は惜しまないということをそれぞれの会社からも聞いておりますが、それが具体的にどうかということについては今の段階では何も決まっていません。
新体制が、特にJR東日本を中心としてどういう支援をするかということについては、まさに新しい体制がスタートしてから判断をしっかりする状況になってということだと思います。
構えは出来ているということです。

(問)建築基準法の改正についてですが、特にエレベーターの事故など相次ぐ中で権限強化というような部分も含めてですが、どのような狙いでそのような形でやっているのかお願いします。
(答)今度ですか。

(問)建築基準法の改正についてです。
(答)今回の法改正につきましては、例えば木造3階建てへの規制緩和というようなこと、火災実験等によって新たな知見に基づいて準耐火構造等にこの防火措置がとられるというようなことを狙いにしたものでございます。
そういう意味では、かなり木材利用ということ、そして合理的な建築基準制度の構築というもう一つの課題がありまして、構造計算適合性判定制度の見直しとか、あるいは新技術の円滑な導入に向けた仕組みとか、それから容積率制限の合理化とか、そうしたことをやらせて頂いて実効性の高い建築基準制度の構築、今御質問にありましたような建築物の事故等に対する調査体制の強化ということがありまして、今お話しのありましたエレベーター事故や災害等が発生した際に国が自ら必要な調査を行えるということにするというような措置を取らせて頂いているということでございます。

(問)JR北海道についてですが、安全への投資を最優先するということですが、その結果今、減便や減速など利用者の利便性が阻害されている面がありまして、それで客離れを起こせば更に経営体力を奪っていくということに繋がると思いますが、この利便性あるいは例えばJR九州のななつ星のような目玉となる商品など、経営上の投資と安全への投資のバランスについてどのようにお考えでしょうか。
(答)全体的にはどちらかというと安全ということの投資という以上に赤字体質ということがあったと思います。
駅舎ビルとか違う事業にということで補おうとするような動きがあって、それが現場との意識の乖離があったというようなこともございました。
そういう意味では鉄道事業そして安全安心ということを最優先としていくということ、そして鉄道事業の中でのそれをどういうふうに赤字体質を埋めていくのかという、鉄道事業以外のところにもかなりの力を注いだという時期があったような感が致しますので、とにかく鉄道に力を入れる、その安全に力を入れるということで減速・減便というのはかなり鉄道事業者としては思い切った手を打って、これは現実にこの11月1日以降の状況はトラブル、故障のようなものが減ってきたという報告もありまして、安全面が前進をしていると思います。
鉄道事業という中での経営的な問題については、これから1カ月野島社長にも頑張って頂かなくてはいけないし、そして新しい体制もとにかく安全が最優先ということをよく考えた上での鉄道事業というものを推進していく、まずそこが客離れと言っても一番大事なのは安全で安心であるということを確保することが大事なことだと私は思っております。

(問)4月1日にJR北海道の取締役会を開かれまして、1日付けで新しい会長、社長が就任されるという理解でよろしいでしょうか。
(答)そう思います。

(問)このところ国会中継を見ておりますと舌禍事件が非常に相次いでおりますがNHKの会長はじめそのたもろもろの失言、その中にオリンピックの浅田真央選手に「大事な時には必ず転ぶ」と批判をされた話が外国特派員の間で大変大きく話題になっております。
舌禍事件に対して国会内では質問が出ていないのでしょうか。
(答)そうした質問はないですね。
言葉というものについては正確にその言葉に力があるということが大事で、ある意味では誠実にお話しするということが一番基本ではないかと思います。
本心はここにあるのにどうだとかということで、常に私の趣旨は違うということを、確かにそういう面もある部分を切り取ればそういうことになりがちなんですが、言葉について言えば言葉が軽くなっている時代というものであっては政治はならないというのが私の考えです。

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