大臣会見

太田大臣会見要旨

2014年6月24日(火) 10:32 ~ 10:57
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、一点、ご報告がございます。これから資料を配付致しますが、本日の閣議で自動車検査独立行政法人の栗原和郎 現理事長を7月1日付で再任することについて、ご了解を頂きました。詳細は事務方にお尋ね頂きたいと思います。
 次に、私から一点、ご報告がございます。
 中国への出張についてであります。6月26日から28日にかけまして、中国を訪問致します。中国では、邵琪偉(しょう・きい)国家旅游局長、楊伝堂(よう・でんどう)交通運輸部長と会談する方向で、具体的な日程調整を行っているところです。
 また北京で、今月27日から開催されます、国際旅游博覧会の視察を行いたいと考えています。これが27日から29日まで行われており、そこに参加するということもございます。詳細は、追って事務方よりご連絡致します。
 私からは以上でございます。

質疑応答

(問)本日、骨太の方針と新たな成長戦略が閣議決定される見込みですが、大臣の所感と国交省の今後の対応についてお聞かせ下さい。
(答)(閣議決定は)今日の夕刻の予定になっております。これまで経済財政諮問会議では、これらの経済財政運営の基本方針等について議論が進められてきたところであり、私も何度か出席をし、そして発言もして参りました。
 まず骨太の方針でありますが、我が国は首都直下地震や南海トラフ地震など巨大災害の切迫があること、そして、高度成長期以降につくられたインフラの老朽化対策が必要であること、本格的な人口減少社会の到来であること、そして、グローバリゼーションの進展や国際的な都市間競争などの激化ということなど、喫緊の課題がございます。
 このため、私は骨太の方針につきましては、会議の場でも防災・減災対策の必要性、老朽化対策が必要であること、地域を支える基盤整備というのが大事であること、成長戦略を支える基盤整備ということもまた大事であるということ、これらを「選択と集中」ということの中で、社会資本整備を推進する必要があるということを説明して参りました。
 また、そのためには建設産業の予算執行あるいは、そのためにも担い手の確保・育成ということが極めて大事だと、公共事業予算を安定的・持続的に確保することが不可欠であるということも私は主張してきたところでございます。
 本日、この骨太の方針の閣議決定に向けまして、これから今日の夕刻までに与党にご審議を頂くという予定だと伺っています。
 27年度予算につきましては、この骨太の方針や改訂日本再興戦略などを踏まえることとなりますが、国交省としましても、概算要求に向けて議論を深め、必要な施策・予算については、しっかり主張して参りたいと思っております。
 また、日本再興戦略の改訂についてでございますが、日本再興戦略は経済再生に向けた安倍内閣の三本の矢の三本目として重要なものだというふうに考えております。
 大事なことは、日本再興戦略を具体的に国民に見える形で成果を出すということだと思います。
 6月16日に産業競争力会議で素案が示されました。国交省の関係の施策と致しまして幾つかございまして、建設や造船分野における外国人材の活用、世界に通用する魅力ある観光地域づくり、PPP/PFIを活用した民間によるインフラ運営の実現、さらなる都市の競争力の向上と高速道路ネットワーク等の整備・活用を通じた産業インフラの機能強化、これらが盛り込まれております。
 経済再生において果たす役割も非常に国交省としても大事な役割を担っているというふうに思っています。これも与党にご審議を本日頂く予定でありますが、閣議決定されたあかつきには、我が国経済の再生に向けまして、これらの施策を早急に実行に移し、具体的成果を速やかに出すよう、しっかりと取り組んで参る決意であります。

(問)先週末に北海道のJR江差線で貨物列車の脱線事故がまた起きましたが、大臣の受け止めと国交省としての対応をお聞かせ下さい。
(答)6月22日の朝4時15分頃に、JR北海道江差線札苅駅構内を通過中に、JR貨物の列車の脱線が発見される事故が発生しました。この事件の発生を受けまして、北海道運輸局の職員2名、そして運輸安全委員会の調査官3名をその日(22日)に現地に派遣を致しました。この原因究明につきまして、まずは関係する多様な事実関係をしっかり確認をしていくことが重要であり、その上で必要な安全対策が出てくれば、それを着実に実行していくことが必要だと思っています。現在のところ、この事故について原因の究明中であり、JR北海道においては、ずっと言ってきましたが日々の安全確保が何よりも大事であると、そして引き続き社員が一丸となって安全を第一として取り組んでいくことが重要だということを指摘し、今回についても重ねてそうしたことを申し上げてきました。
 なお、JR北海道は昨日発表しておりますが、現時点において原因究明に力を注ぐということ、そして運輸安全委員会の調査に協力をするということの他に、昨日、脱線箇所と推定される曲線区間について時速45キロメートルの徐行運転を実施するということを発表し、更に江差線の急曲線区間、曲線半径350メートル以下、カント90ミリメートル以上における整備を厳しくすること、またこれらの整備が終わるまでの間、時速45キロメートルの徐行運転を実施すること、この2つの対策を実施することとしておりますが、安全に運行が出来るようにということについて、強く私達も求めているという状況にございます。
 なかなか直ちに原因がまだ明らかでは無い訳ですが、安全に再び運行が出来るということがまた一方では大事なので、JR北海道としてこういう措置を直ちにとったということについては、これはいいことだと思っておりますが、こういうことが何回も起きて信用を失墜するということは、あってはならないことだと私は強く思っているところであります。

(問)中国訪問ですが、今回、今のお話だと観光分野とかそういったお話だと思いますが、その面でまずどのような成果を期待されているかということと、併せて、それとは別に最近、国境、空、海ですが国境を巡って日中の緊張関係が続いておりますが、その点において先方にどのような立場で臨まれてどのようなことをお伝えになるのか。あるいは安倍内閣の閣僚として安部首相からのメッセージなり、親書なりそういうものを先方に伝えるということがあるのかどうか教えて下さい。
(答)私は今回は、昨年来、とにかく旅行関係で打ち合わせをしたい、そして日中韓の3大臣会合もまだ出来ていない、こんな状況なものですから、このなかなか難しい今の日中関係の中で、旅行、観光ということでの交流ということは大事なことだと思っておりまして、まずこの観光ということについて現状を双方で交換し合い、そして(北京国際旅遊)博覧会に日本からも観光庁もJNTO(日本政府観光局)も出展をしているということもありますから、そうしたことで協力をしたり打ち合わせをするということが極めて重要で、これが会談がまずされるということがあれば、そうしたことから特に観光という分野は安倍内閣としても大事な分野でもありますので、率直な話し合いをしてきたいと思っているところです。
 また交通運輸部長、これまだ予定で決まっておりませんが、交通全般、運輸全般という去年9月にAPECの交通大臣会合を日本で催しておりまして、副部長に確か来て頂いていると思いますが、これについての連結性というものを高めるということと同時に、海難救助というような点においては、海難救助あるいは捜索ということについては、協力を進める分野があると思っておりまして、その辺の実務的協力を進めて行きたいというのが、私の基本的な考え方でございます。実りある会談が出来て、しっかり打ち合わせをした上で、両分野で今までとはちょっと違った関係が構築されればと思っているところです。

(問)領海や防空識別圏の問題については触れられますでしょうか。
(答)こういう点は、対象は防衛省でもありますから私の管轄でもありませんので、それについてはメインのテーマではありません。
 まず国交大臣としてやるべきことをしっかりやって行きたいと、このように思っているところです。

(問)JR九州の指宿(いぶすき)で脱線事故がありましたが、現場のわずか5メートル離れたところで2005年にも土砂崩れが起きています。それなのに今回の豪雨で点検対象になっていなかったようですが、現状の御認識と国交省としての対応についてお聞かせください。
(答)大変な豪雨があったという状況がありまして、6月21日午前11時07分頃にJR九州の指宿枕崎線の薩摩今和泉駅~生見(ぬくみ)駅間において、降雨時に線路内に流入していた土砂等に、2両編成の列車が乗り上げて、1両目が脱線するという事故が発生しました。
 この事故により怪我をされた方がいらっしゃいますので御見舞いを申し上げたいと思います。
 これを受けまして、原因究明ということで九州運輸局職員2名と運輸安全委員会調査官2名を直ちに現地に派遣をした状況にあります。
 よくそこを見なくてはいけませんが、日本全体で崖崩れなどの危険箇所が多いという国土の状況もありますし、ここの箇所も大変注意をしていたという報告を受けました。
 1時間に30ミリを越える豪雨があったために、一時徐行の運転規制をしていたけれども、降雨量が数ミリになったために運転規制を解除したのが実情だったようです。
 規制を解除して、事故の車両も一旦通って今度は戻ってくるという時にということですから、時間にしたらそれほど長い時間ではない間に土砂が流入したということだと思います。
 こうした点は再度、国交省としましても鉄道周辺の危険箇所ということについては十分注意しなくてはいけないと思っておりまして、JR九州と九州は特に豪雨が毎年多いものですから、その辺についての安全確認への対策を取るようにということを私の方からも指示しているところでございます。

(問)明日の八ッ場ダムの視察についてですが、群馬県知事は大分前から大臣に視察を求められていたかと思いますが、この時期に視察される狙いと、大臣の思いをお聞かせください。
(答)私が行くということについては、就任当初からずっとそういうことが言われ、特に今年になりまして国会の質問の中でも「是非とも早く(八ッ場ダムへ視察に)来てもらいたい」ということがございました。
 私も出来るだけ早くというふうに考えてはおりましたが、中々案件も非常に多くて今年時間が十分に取れないということもありましたし、4月に長野原町等で町長選があったということもありました。
 またゴールデンウイークということも考えたんですが、ゴールデンウイークは道が渋滞するのでかえって迷惑を掛けるというような色んな状況がありまして、国会が終わって明日となりました。
 特段、今ということについての深いものはありません。出来るだけ早くという現地の要望を受けて視察をするということです。
 八ッ場ダムにつきましては、ダム検証のプロセスを経まして、平成23年12月に当時の前田大臣が「事業継続」との判断をし、私は就任をして、何度もこのことはこの会見でも質問を受けお答えをしたところでありますが、この事業継続という前田大臣の判断を尊重して、早期完成に向けていきたいということを述べて参りました。
 その中でも丁寧に色々作業を進めなくてはいけないと思ったものですから、昨年の5月には流域の地方公共団体、関係住民、学識経験者等の意見を伺いながら、「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画」を策定するなど、手続きを丁寧に行ってきたという経過がございます。
 事業としましてはこれまで生活再建工事、本体関連工事を実施してきましたが、平成26年度は本体工事に着手する、平成31年度までの完成に向けて着実に取組を進めているという状況でございます。
 そういうような事を受けまして、今年春頃とかいろいろ考えてきましたけれども、行けるという状況、タイミングが得られたものですから、明日(6月25日)行きまして、道路、鉄道、代替地の生活再建工事や、ダム本体関連工事の進捗状況等、現地の状況をしっかり把握したいというふうに思ってます。
 知事や地元の町長さんともお会いをして、現地の状況を伺いたいと思っているところです。

(問)都議会の女性蔑視のヤジ問題ですが、自民党会派の都議が名乗り出ましたけれども、一連の経緯を御覧になってどのような御感想をお持ちですか。
(答)悪いという判断であれば率直に立場を明らかにして、こうしたことが世界にも報道されているというようなことを聞いておりますので、本当は早い決断が大事だったのではないかと思っております。
 私はこの発言というものは、極めてひどいものだという認識は、先般も申し上げてきたとおりでありまして、非常に女性を大事にして社会でも活躍をしていただかなくてはならないというそうした、この建設業界におきましてもそういうことを私は申し上げて、活躍の場をと申し上げて来ているわけで、そうした観点からも人権ということからおきましても、人道ということからおきましても、現に慎んでいかなくてはいけないことだと強く思ってます。

(問)当該の都議がですね、当初自分ではないと虚偽の回答をして、その後やはり自分だったと説明をしています。一部のヤジについてはまだ誰が言ったか判っていないということですが、政治家のモラルが問われるというのがあると思いますが、その辺りはいかがでしょうか。
(答)モラルはモラルです。今申し上げたとおり問われると思いますが、その辺りの詳細、中身について私は十分承知はしておりませんので、これはあってはならない発言だと強く申し上げたいと思います。

(問)最初に嘘をついたということについてはいかがでしょうか。
(答)嘘は誰でもいけません。

(問)タクシーの規制に関してですが、減車が出来る地域に関して70箇所が対象になってますが、大阪とか札幌は入るけれども、東京は除外される方向だという報道がありますけれども、現状どのような議論が行われているかお聞かせ下さい。
(答)昨年の議員立法で成立をしまして、本年1月から施行されている、そこでの(運賃の)幅の問題とか、地域指定、特に特定地域の供給過剰の解消の為の対策を講ずる地域、この指定基準の策定作業が今進められている途上でございます。
 現段階においてはどこの地域が指定されるか、あるいはいつ指定されるかということについては正に検討中でありまして、決定の段階にはありません。
 引き続き国交省としましては、運転手の賃金を効果的に引き上げていくなどの議員立法の趣旨、そしてより厳しい客観的な基準を設定することを求めた両院の附帯決議、それから規制改革会議から頂いた安易な指定が行われないように慎重にという指摘。
 これらを尊重しながら基準作りを適切に進めていきたいと考えておりまして、まだ検討中であるということでございます。

(問)今のに関連してですね、検討中ということですが、検討している中に大阪や札幌は検討事項に入っているのでしょうか。
(答)そこは正に検討中で、私がここで具体的な名を示すというよりは、基準ということの中でどう論議されるということをもう少し見守っていくということが、私の姿勢としては大事な事だと思っております。

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