大臣会見

太田大臣会見要旨

2015年1月20日(火) 11:00 ~ 11:17
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で特に私の方からご報告はございません。
 次に、3点ご報告を致します。
 1点目は、昨年の訪日外国人旅行者数についてであります。
2014年の訪日外国人旅行者数につきましては、昨年12月22日に1,300万人を達成したところでありますが、2014年の年間では、対前年比29%増の1,341万人となりました。いよいよ2020年の2,000万人達成ということについては、現実味を帯びてきたと考えています。今年の訪日数につきましては、円安効果の継続や、免税制度の更なる拡充、中国のビザ緩和、そして様々なプロモーション活動、そして各地域におきまして特徴を活かしていくという努力がありますので、1,500万人を超えることが期待されているところでございます。
詳細につきましては、この後、観光庁長官からご説明をさせて頂きます。
 2点目です。「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」をとりまとめましたので、公表致します。
雨の降り方が局地化、集中化、激甚化しているという状況がありまして、また火山の噴火もあるということがありまして、「新たなステージ」ということにどう対応するかという、そうした検討をさせて頂いて取りまとめをさせて頂きました。
地震・津波につきましては、最大クラスの地震動や津波を対象としてハード、ソフト両面からの対策を進めているところで、これは新しいステージに対応した対策が進んでいるという状況にございます。
しかし、大雨あるいは洪水、こういうことについては最大クラスの大雨等に対する対策は講じられておりませんでした。
このために洪水等についても、「最悪の事態」を視野に入れた対策を進めることが必要であると考えたところです。
これらに対応するためには、ハード、ソフトを総動員するということが大事です。
まず比較的発生頻度の高い降雨、津波で言いますとL1(レベル1)ということになろうかと思いますが、これに対しては、施設で守ることを基本として、その中でも堤防なら堤防でウィークポイントというものが必ずありますから、そこに対して重点的に整備を進めることとしたいと考えています。
それを超える降雨、よく「未だ経験したことのない豪雨」というような表現がされている訳でありますが、そうしたことに対しては、少なくとも命を守り、社会経済に壊滅的な被害が生じないように、これを目標にしましてソフト対策に重点を置いて対応するという考え方を今回示したものです。
考え方の基本は、「命を守る」ということと「社会経済の壊滅的な被害を回避する」という2点でございます。
まず、「命を守る」ということにつきましては、避難勧告が出たら逃げるという「行動指南型」の避難だけでなく、住民自らが雨量等の「状況情報」に基づきまして「主体的避難」が出来るようにすることが重要だというのが一つの考え方です。
また、「社会経済の壊滅的な被害を回避する」ためには、最悪の事態を想定し、国、地方公共団体、事業者等の関係者が危機感を共有して、社会全体で対応していくという必要があります。
具体的には、防災に関する情報の収集と共有、タイムライン(時系列の行動計画)の策定、複数の自治体にまたがる広域避難体制の整備、これらについて、関係者とも連携して必要な検討を行い、実行に移していきます。具体的な取組の第一弾として、東京、名古屋、大阪などで、大規模水害等が発生した場合を想定して、関係者と連携して検討を開始するよう地方整備局に指示を致しました。詳細につきましては、この後、事務方から説明をさせて頂きます。
 3点目です。中央環状品川線の開通日についてであります。平成17年に事業化されました首都高速中央環状品川線、大橋ジャンクションから大井ジャンクションまでの区間でありますが、これが、このたび3月7日に開通することとなりましたのでお知らせ致します。
これによりまして、中央環状線は、昭和57年に最初の区間が開通してから約30年、全長約47キロメートルが完成し、首都圏3環状の中で、最初に全線開通することとなります。中央環状線は、新宿や渋谷などの副都心をつないでおりまして、副都心間の一層の連携を図ることによって、首都圏の国際競争力の強化が期待されるところであります。
また、交通の面では、新宿から羽田空港間の所要時間が現在の40分から20分へと半分に短縮されるなど、羽田空港など臨海部への大幅なアクセス向上になる。そして都心を通過する交通が分散され、都心環状線などの慢性的な渋滞の緩和にも寄与する、こうしたことが期待をされているところです。
引き続き、圏央道など首都圏3環状の整備に取り組むととともに、開通した道路をより賢く利用するということについて全力で進めていきたいと考えています。私からは以上です。

質疑応答

(問)大臣から冒頭紹介のあった訪日外国人旅行者数ですが、急激な増加に伴って、今後、今まで見えなかった課題も出てくるだろうと思われますが、大臣はこのあたりについてどのような問題意識をお持ちかお聞かせください。
(答)まず1,341万人という大変大きな数字が出ました。
そういうことからいきまして、これを更に推進して外国人旅行客が日本に来て頂くように努力をするということに、まず力を入れるということを思っています。
点へ集客するのではなくて、ルートをつくって点から線、線から面、そして更にネットワーク化するということを外国にもよくお知らせをする体制をとりたいと、このように思います。
また各地域の日本ブランド、全く気づいてないようなこともある訳ですが、日本はそうしたものが非常に豊富でありますから、ブラッシュアップして広く海外に発信をする、あるいは地方の免税店拡大を一層進めること、あるいはWi-Fi環境を整備する、あるいは多言語対応の強化を図る、こうしたことを充実していきたいと思っています。
急に増えたということもありまして、それへの対応ということも極めて大事だと思っています。
例えば、空港や港湾のCIQ体制をしっかりつくること、あるいは容量ということについても検討をしていかなくてはならない。
更に、クルーズ船等が入って貸切バスが足りないということもありますから、貸切バス等の輸送体制、交通体制に万全を期す。
そして宿泊施設の供給量ということもきめ細かく打ち合わせをさせて頂いて体制をとる。
こうした充実を図っていくことが、これから大事だと思っています。大勢の方に来て頂くということを進めるとともに、そこに様々なボトルネックというようなことがないように、今申し上げたような体制をしっかりとっていきたいと思っております。
今後とも、2020年2,000万人の目標達成に向けて、力を注いでいきたいと考えています。

(問)先程の新たなステージに対応した防災・減災の方針の話について2点伺います。まず1点目ですが、先程のお話の中に危機感の共有というお話がありました。一方、この間の懇談会の中では、専門家から新たなステージというのはどういうことなのか、なかなか具体的に見えにくいという指摘があったかと思いますが、改めまして大臣の中での新たなステージというのはどういう状況、現象なのかをお伺いします。2点目は、三大都市圏で大規模浸水の想定や検討を始めるという話がありましたけども、今後具体的にどのような形でされるのか、他省庁や他機関を入れてやるのか、あるいはいつまでにやるのか、そういった規模や時期を教えてください。
(答)津波等に対しては、防潮堤の高さ等についても、L1(レベル1)、L2(レベル2)という概念を出しました。
雨の場合は、もう少し広範にわたるものですから、そしてまた、都市部と地方というのは同じ降雨量でも被害が違う。
また東京といっても下町と山の手と違ってくるというような状況がありますので、数値としてL1、L2ということにどれだけということは十分言えない状況にあります。
ただ、先程申し上げましたように比較的発生頻度の高い降雨と、そしてそれを超える「未だ経験したことのない豪雨」という二つに分けまして、施設で守るということに加え、更にソフトで守らなくてはいけないということを今回はしっかりやるということです。それぞれの地域で、このイメージが共有されるように、更に具体的に詰めようと思いまして、東京・名古屋・大阪などでこの水害等が発生した場合の想定ということをよく話を詰めていかなくてはならないと思っています。
河川の氾濫ということについて言えば、雨の降っている豪雨の箇所と、氾濫する箇所が違うということがありまして、一概にどこに何ミリという以上の線を数字的に示すことができないのですが、そこについては具体的に各地域に即してイメージが共有されるようにと考えています。
私は地方整備局が関係者と連携してということを申しあげましたが、そこは専門家・有識者等を加えて検討を開始していくと、当然自治体が含まれるということになります。
今後、具体的な進め方としては、かなりソフトということが大事だということを強調した今回のとりまとめになりますが、さらに具体的にどの箇所でどのくらいということについては共有できるように各地域で詰めていきたいと、こういうことでございます。

(問)JR九州の上場についてですが、今朝、JR会社法の改正案を2月下旬に閣議決定し、通常国会に提出するという報道がありました。まさに今、最終的な詰めの段階かと理解しているのですが、現時点の検討状況と法案提出時期など見通しはいかがでしょうか。
(答)JR九州につきましては、累次の閣議決定を踏まえまして、経営の自立を図った上で株式を処分しまして、完全民営化することを目指しているところです。
これにつきましては、法案の提出を検討中であることは事実ですが、経営安定基金の取扱いを含めまして、現在、まだ検討を行っている段階でありまして、具体的に何をどうする、いつ頃にということについては、決めておりません。検討を進めていきたいとこのように考えているところです。

(問)先程、大臣はCIQ(税関・出入国管理・検疫)のお話に触れました。今、中国、その他からの訪日客が増えておりますが、同時にまた不法ドラッグあたりの密輸も増えております。この(CIQの)CはCustoms(税関)で財務省が取扱い、IはImmigration(出入国管理)で法務省が取扱い、QはQuarantine(検疫)で厚労省(と農水省)が取扱いということですが、数が不足している、いわゆる日本にある空港約30近くある港も入れての中でのCIQの担当官が足らず、持ち回りのような感じで行っていると報道で見ました。人員の整備や拡充など今後は検討されていくのでしょうか。
(答)現象的には、ずいぶん並んでいてなかなか時間がかかりすぎるという声が聞こえてきます。ご承知のとおり、各省にまたがるということもありまして、なかなか人員を拡充するということは簡単ではないのですが、どうすれば早く、それがずっと並んで長時間ということにならないようにできるかということについて、省庁間、空港とも含めて検討しているという状況です。

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