大臣会見

太田大臣会見要旨

2015年3月31日(火) 8:42 ~ 8:49
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、私の方からご報告するものはございません。
 私から、2点報告をさせていただきます。
1点目に、「東洋ゴム工業(株)による免震材料の不正事案」についてでございます。
まず今月中を期限としていた55棟の構造安全性の確認について、昨日(3月30日)、東洋ゴム工業(株)から「55棟全ての建築物について、震度6強から7程度の地震に対して倒壊するおそれはない」との報告がございました。
これを受け、国土交通省においても、構造計算の専門機関に依頼をし、確認をさせていただきました。
この東洋ゴム工業(株)からの報告の詳細について不適切な処理は見当たらず、同社の報告どおり構造安全性を確認することができました。
また、新たな疑いのある195棟については、前回の会見でも申し上げたところですが、免震製品自体の性能に関わるデータの改ざんしたという不正があるかどうかをしっかりと調査し、確認するよう東洋ゴム工業(株)に指示をしているところです。
出来るだけ早く確認を行うように、作業を急がせているという状況であります。
次にこれに関連をすることですが、今回の不正事案を受けて、学識経験者からなる「免震材料に関する第三者委員会」を設置することにしました。
4月3日(金)に第1回委員会を開催することといたしました。
第三者委員会においては、原因の究明、再発防止策、55棟以外の安全性確認の進め方等について専門的見地から検討し、提言を頂きたいと考えています。
これらの詳細については、後ほど事務方から説明をさせていただきます。
 2点目に、日中韓観光大臣会合の開催についてであります。
4月11日と12日に、第7回日中韓観光大臣会合を、東京で開催をすることになりました。
中国からは李金早(リ・キンソウ)国家旅游局長が、韓国からは金鐘徳(キム・ジョンドグ)文化体育観光部長官が出席をされます。
日中韓観光大臣会合は、2006年に北海道で第1回が開催されまして、日本・中国・韓国の順に、2011年の第6回まで毎年開催して参りました。
今回、4年ぶり、7回目の開催となります。
三国間の全体の交流規模を見てみますと、前回開催時の2011年には1,605万人だったものが、2014年には2,047万人(27.5%増)と、大幅に拡大をしています。
この中で、中国・韓国からの日本への旅行者は大きく増加をしているところですが、その一方で、日本から中国・韓国への旅行者はこの所減少傾向にあります。
こうした状況を踏まえまして総合的に今回の大臣会合では、日中韓三国相互の交流拡大方策や、東アジア域外から日中韓三国への旅行者の増加方策について、詰めた議論をしていきたいと、このように思っているところです。
具体的には、地域・地方の交流など日中韓相互の交流強化や、平昌(ピョンチャン)冬季・東京夏季オリンピック・パラリンピックなど、国際的なスポーツ大会などをきっかけとした三カ国の共同プロモーション等を進めていきたいと考えております。
また、三国間の大臣会合に併せて、日中・日韓の二国間の観光大臣会談を実施することにしています。
日中・日韓については、昨年、それぞれの観光担当大臣と会談を私はしまして、双方向の交流拡大については意見が一致しているところですが、更に議論を深掘りしたいと考えております。
詳細は、追って事務方よりご連絡を致します。私からは以上です。

質疑応答

(問)ドイツの旅客機墜落事故について、欧州の方では航空当局ですとか航空会社の方で、操縦室に2人以上常駐させるというような対策を打ち出しているという報道があります。
日本ではこういった対応は考えているのでしょうか。
(答)欧州航空安全庁が域内の航空会社に対しまして、コクピットに常に2名配置するか、あるいは同等のリスク低減方策を検討するよう勧告をしたということ、これは承知をしているところです。
国交省としましては、今回の事故に至った背景及び要因や、各国当局及び国際民間航空機関等の動向について、引き続き積極的に情報収集に努めたいと思っておりますが、併せて、本邦航空会社と連携して、コクピット常時2名配置や他の方策について早急に検討を進めたいと、このように考えています。

(問)IR法案についてお聞きします。
昨日、超党派の議連が総会で法案の再提出の方針を確認したわけですが、大臣の出身母体でもある公明党に慎重論があることなどから、スケジュール的には多少足踏み感があるかと思うのですが、大臣は足下の進み具合についてどのように見ているか所感をお願いします。
(答)私はIR推進法案に関しては、議員立法として検討されていることもあり、その状況や中身についてコメントする立場にはありません。
今後のIR議連や国会各党の動き、IRに関する国民的な議論を見守っていきたいとこのように考えているところです。

(問)今、お話のあった日中韓観光大臣会合について2点教えて下さい。
今回の会合は昨年の外務大臣会合に続いて、首脳同士の三国間の会談への貴重な一歩、ステップになるかと思いますが、その観点から期待されている成果について教えて下さい。
もう1点は、日本から中韓への観光客が著しく伸び悩んでいるのですが、これは一つには安倍内閣の対中・対韓政策というものが原因があると思うのですが、内閣の一員として、今回の会談の中で、どのような姿勢で日本側の対策を打ち出されるか教えて下さい。
(答)三カ国での、とにかく観光大臣会合が開かれるということについては、これまでも努力してきましたし、私も韓国に行ったり、北京に入ったり、あるいは去年は北京で1回、そして上海で1回と私から出向いて積極的に推進をしてきましたものですから、やっとこれが実現する方向になったと、全体的には昨年11月の日中首脳会談、あるいは朴大統領との安倍総理が随時に渡って色んな形ではありましたが、話し合いをしているというような中で、今まで関係性が止まっていたものが、この間の日中の与党のそれもそうですが、凍結したような状況が解除され、また結びつきができるという段階に来ていると思いますので、この段階の中で、三カ国の観光大臣会合が行われるということは大変外交とかそういう面も含めて良いことだと思います。
両国から特に中国から大勢の観光客が来ているという状況で、これは歓迎すべきことでありますけども、中国側もですね、日本から(の観光客が)少ないのではないかと、あからさまには言っておりませんが、回復を是非ともという要望を受けておりますし、それを具体的にどう詰めていくかということが今回の大きな議題と言うか課題になると思います。
共同での色んなプロモーション活動とか、あるいは先ほど申し上げましたが、平昌(ピョンチャン)とか、あるいは東京オリンピック・パラリンピックこういうことについても、何らかの形で一緒にできるというイベントがないかとか、そうしたことについてよく詰めるということだと思います。
そういう意味では大変意義のある会合ができるのではと思っています。
また、政府の姿勢と政府同士のことについては、首脳会談が行われて再スタートを切ったという感を私は持っていますので、そして既に中国・韓国の双方から日本自体に大勢の方が来て頂いているということからいきまして、ここはむしろこの観光大臣会合とか、そうした一般の旅行の促進の中で関係性がさらに結びつきが強くなるということが大事だと私は思っています。

(問)ドイツの旅客機墜落事故について、2点お聞かせ下さい。
前回の会見では、事故調査当局の報告を待って対応をお考えになるというお話だったと思いますが、今回操縦士の2人配置について検討の必要性を認めることになった経緯、理由についてが1点と、今回副操縦士の健康問題が取り沙汰されていますが、日本でもパイロットの健康管理について何かご対応をお考えでしょうか。
(答)前回は警察当局とはいえですね、(警察当局の)発表がありましたが、まだ確たるものではない段階だったと思います。
航空当局そのものがどういう姿勢であるのかを見極めて連携を取りたいと思っていたところでありますので、ここで欧州の航空安全庁が、域内の航空会社に対して2名の配置を求めるということは、はっきりしたことはまだ言っておりませんが、かなり原因としてもそうした方向に航空当局も進んできているということだ思います。
そこで、私達としてはこの問題について、2名体制ということについても、言っていることは先程も言ったのですが、欧州航空安全庁は2名配置するか、若しくは同等のリスク低減方策を検討するようにという勧告の仕方です。私としましてもコックピット常時2名配置やまた他の方策がないかということについて、欧州航空安全庁が具体的に勧告していることに鑑みて、我が国としてそうしたことの検討を早急に進めるということを決めたということです。
それから、精神障害とかそういう問題です。
大丈夫かという懸念が広がっていると思いますが、実は日本はかなりこれについて真剣に取り組んできたという経過がございます。
航空会社のパイロットが乗務を行う場合には、航空法の規定によりまして、精神面を含む心身の状態について定期的に行われる航空身体検査に合格することが必要になっています。
日本におきましては、精神障害を過去に患った場合も原則として不合格とするなど、この航空身体検査証明制度が厳格に適用されています。
重大な精神障害等により、航空業務に支障を来す恐れがある場合には乗務することができません。
また、航空会社においても1982年の2月に日本航空機の羽田沖墜落事故がありまして、この精神面のチェックを含む健康管理を厳格化してきているという状況にございます。
航空会社におきましても、精神面を含む健康管理を実施するとともに、日常的にパイロットの心身の健康状態に異常がないことを飛行の前に相互に確認の上、乗務がなされているという状況にございます。
従って、我が国においてはご指摘のような事態が生ずる可能性は低いと認識をしておりますが、更に万全を期さなくてはならないと思います。
パイロットの健康管理体制の充実ということは極めて重要な問題だと思いますので、疲労ということも含めて、そうした健康管理体制の充実に取り組んでいきたいと考えています。
(問)先日、国交省がタイ政府に対して定期便の新たな就航やチャーター便を認めないという通告を出したという報道がありましたが、通告を出したかどうかという事実関係の確認と、タイからのインバウンドを考えますと、今月はタイでは大型連休もありますし、仮に認可を認めないということになると影響も出かねないと思いますが、今後の国交省の対応について伺います。
(答)この件につきましては、現在、ICAO(国際民間航空機関)とタイ国政府との間で安全上の課題について協議が行われているという状況であるということをタイ航空当局から報告を受けているという状況にございます。
しかしながら、ICAOとタイ国政府との間の中身の詳細については、ICAOのルールによりお話をすることを差し控えたいと思います。
現在、日本とタイとの間の航空当局間で、今後の対応について協議を開始をしています。
日タイ間の重要かつ友好的な二国間関係を踏まえ、また今も昨年、一昨年来のタイからの観光客が増大していることも踏まえまして、安全運航の確保を大前提とするということは必須のことです。
その安全運航の確保ということを前提としつつ、できるだけ多くの旅客が日タイ間を往来できるよう両航空当局間でどのような協力ができるか、今検討しているということです。
できるだけこの検討は早く進めていかなくてはならないと思っているところです。

(問)東洋ゴム工業(株)の件で2点お伺いします。
1点目は確認ですが、先程仰ったのは55棟全てで、震度6強から7の地震が起こった時に倒壊する恐れがないことを国交省としても確認されたという趣旨でよろしいでしょうか。
(答)その通りです。
(問)もう1点は、免震層の変形についてです。
昨日、東洋ゴム工業(株)は100%未満という基準の中で99.6%という値のものを出してきました。
国交省の検査では何%が最大で、それに対する大臣の見解を教えて下さい。
(答)これは構造計算ということで、変形ということの中身の詳細について私は承知しておりません。
それは後で報告できることがあれば、報告を事務方からさせて頂きたいと思います。
しかし、免震の程度の効き具合いと言いますか、その性能と構造物の関わりという以前に、今回調べたのは震度6強と7ということに耐えうる、いわゆる建物全体の構造であるかどうかということについての調査ということです。
ですから免震性能自体については、当初からの予定されたものが確保されていないという状況でありますので、震度6強から7という、7という地震がまさに最大ですが、そこに耐えうるということを証明したということは、私は非常に意義のあることだと思っています。
これから免震の性能自体については、これは55棟についてはかなり逸脱しているという判断をしておりますから、ここについては当初の予定通り、恐らくほとんどの、全てに近いところが望んでいると思いますが、取り替え作業ということに入っていくということになります。

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