大臣会見

太田大臣会見要旨

2015年10月6日(火) 10:34 ~ 10:59
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議での、御報告はございません。

質疑応答

(問)フォルクスワーゲンの排ガス問題で、先週末までに国内の企業9社に報告を求めていたと思います。
その結果と、改めてこの問題についての国交省の対応についてお聞かせ願います。
(答)フォルクスワーゲン社の不正ソフト使用問題については、ディーゼル車を販売する国産車メーカー及び正規輸入事業者、計9社に対して、フォルクスワーゲンの車両と同様の不正がないか等について、先週10月2日までに報告するよう指示してきたところです。
また、フォルクスワーゲンジャパンに具体的な不正の内容について報告するよう指示しました。
これに対して、フォルクスワーゲンジャパン以外の9社からは、「今回問題となったものと同様の不正ソフトが組み込まれている車両はない」との報告を受けています。
また、フォルクスワーゲンジャパンからは、10月2日、不正ソフトが組み込まれた車両は排気量2リットル以下のディーゼルエンジンEA189型を搭載し、2008年以降に製造された、フォルクスワーゲン、フォルクスワーゲン商用車、アウディ、シュコダ、セアトの車両であること、対象台数は全世界で約1100万台であること、この約1100万台以外の車両については、2リットルを超えるエンジンを搭載したものは不正がないことを確認したわけです。
また、2リットル以下の他のエンジンを搭載したものについては調査中であること、こうした報告を受けております。
現在、不正ソフトが組み込まれた車両について技術的な解決方法及び対策を検討中であり、10月中を目途に日本を含む関係当局に提示予定であること、個人輸入により日本に存在する車両への対応に関し、前向きに検討を開始したこと、以上の報告を受けました。
国交省としては、まず、個人輸入されたディーゼル車について、以上の報告を踏まえつつ、不正ソフトが組み込まれている車両を特定するとともに、ソフトの書き換え等の適切な対応について検討してまいります。
更に、ディーゼル車全般については、今回の不正ソフトの使用の禁止措置を国際基準の一環として、平成30年までに導入する予定でしたが、その前倒しについて検討してまいります。
また、今回の報告内容、及び、米国や欧州の検査方法の見直しの検討状況も踏まえ、現在の台上検査だけで適切な検査ができるか十分検討していきたいと考えています。
その上で、今回のような不正に対応するための検査方法の見直しについて検討してまいります。

(問)関東・東北豪雨の被害から間もなく発生から一ヶ月を迎えます。
昨日、関東地整の調査委員会から、越水とパイピング破壊の一因になった原因についての調査結果も報告されましたけれども、これについての評価と今後の国交省の取組みについてお聞かせください。
(答)この件に関しては、9月10日から一ヶ月が経過しようとしております。
元の住居に帰れて生活がきちんとできるようにということは国交省という立場を超えて大事なことだと思います。
そして、何よりも堤防の復旧が大事だと思ってきまして、仮堤防を約束したとおり約一週間、中に矢板を打つというのを約一週間ということでやらせていただいて、雨が降っても水が流入しないよう措置をとることができたと思いますし、また、何日でやるということを言ったということ自体、いろいろな方の話を聞きますと大事だったなと思いました。
ポンプで水を抜くという作業がされて、これも完了しておりまして、現地からはこの災害に対しての被災者生活再建支援法に基づいての支援金のあり方とか、これからの避難方法についての町を超えた連携とか、そういう要望を直接頂いているという状況です。
昨日、第2回の鬼怒川堤防調査委員会が開催されて、決壊のメカニズムについて議論がされました。
昨日の場では浸透の可能性についても検討すべきとの御指摘をいただいたとの報告を受けています。
このことのパイピングといいますが、浸透破壊と堤防の場合いうのですが、これが3年前くらいの矢部川でおきまして、越水によるものだけでなく、この浸透破壊という現象と堤防の破壊というものとの関連について、もう少し原因を特定する必要があると思います。
しかし、このことを更に議論を詰めさせて、それを題材にして、速やかに復旧工法の検討に移ることが大事だと思っております。

(問)フォルクスワーゲンについて、9社から報告を受けたということですが、これはあくまでも報告を受けたということなのか、国交省で中身を精査して不正がなかったと認定したということなのかお聞かせください。
(答)私が申し上げた中にも若干入っているわけですが、これは今回ディーゼル車を販売する国産車メーカー及び正規輸入事業者の各社から、フォルクスワーゲンの車両と同様の不正はないと報告を受けたということです。
今後、その報告内容についてよく検証してまいりたいと考えておりまして、その中で国内で販売されたディーゼル車について、実走行時における排出ガスのサンプリング調査を実施すること等を検討してまいりたいと考えています。

(問)今日午前、安倍首相に官邸で会われたようなのですが、どういったお話をされたのでしょうか。
もし、御自身の今後の去就についてのお話はあったのでしょうか。
(答)内閣改造というようなこと、人事については、総理の専権事項でもありますし、触れるべきではない話だと考えておりますので、そうした話はしておりません。
かなり長期に渡っての外遊が続いていて、その間、例えば、観光等の案件等についてもかなりのスピードで数が増えてきているという状況等々、報告すべきものがありましたから短時間でありましたが、この2週間くらいのお話をさせていただいたということです。

(問)自動運転車についてお尋ねしたいのですが、先日、安倍首相が自動運転車を2020年までに実用化するという御発言をされました。
これについての大臣の御見解と、省としての取組みについてお聞かせください。
(答)総理が、4日の「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム」におきまして、自動運転車の2020年の実用化に言及されたことは承知しています。
この自動運転技術について、昨日のテレビ報道等を見ますと、免許がなくてもできるのかとか、それはありがたいとか、お酒を飲んだらどうかとかいうような、全くハンドルも何も使わないでというようなことが話し合われておりまして、事実については、きちんとお知らせをしておいた方がいいのではないかと、私も御質問を受ける際に思っておりました。
自動運転技術というのは、自動的にブレーキ制御を行う、車線変更を行うなど、運転を支援する個々の技術を言うと今一応思っています。
これらの技術を高度化し、複合化することによって、将来的には、完全な自動運転に至るという時間軸があるのだと思います。
これらの技術においては、政府の「戦略的イノベーション創造プログラム」におきまして、2020年代前半に自動合流などの高度な運転支援技術を目標とし、2020年代後半には完全自動運転の試用が目標とされています。
国交省におきましては、自動運転の早期実用化に向けまして、積極的に取り組んでいるところでありますし、先般の9月にドイツで開催されましたG7交通大臣会合におきまして、セキュリティの確保などの課題を共有して、来年9月の軽井沢の次回会合においても、引き続き、議論を行うこととしています。
また、自動ブレーキなどの安全基準の策定、国際標準化なども進めているところです。
かなりスパンの長いものの中で、何ができるかということで、まずは自動的にブレーキ制御を行ったり、車線変更を行うとか、よく最近、私の方からも言っておりますが、どのルートを辿れば高速道路等の渋滞を避けて行けるのかというような、そうした賢く道路を使うというようなことにまず資するということが何よりもまずやるべきことだと思います。
長期的な視点に立ちながら、着実に現実を前に進めていくというスケジュール感を持っているところです。

(問)TPPの交渉が大筋で決着いたしました。
全体としての評価と国土交通省担当分野での影響、期待をお伺いさせてください。
(答)アメリカのアトランタで開催されていました閣僚会合におきまして、TPPの大筋合意に至ったという発表が、日本時間10月5日夜になされたとの報に接しております。
TPPは、幅広い分野で21世紀型の新しい貿易・投資ルールを構築するものであり、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々とともに、この新しいルールの構築に至ることは、アジア太平洋地域の成長・繁栄・安定に資するものだと考えています。
2013年7月に我が国が交渉に参加して以来、実に2年3か月かかっているわけで、長い交渉の結果、12カ国でTPPの大筋合意に至ったことは、大変喜ばしいことだと思っています。
国交省関係の対応ということですが、交渉を通じて、私は、自動車の安全基準及び政府調達における国際入札の二点に留意してまいりました。自動車の安全基準については、安全性の確保は譲ることのできない方針であるとの考え方を貫いて、国内基準を引き下げることなく、国際調和を進めることに合意することができたと思います。
政府調達につきましては、新たにマレーシア、ベトナム、ブルネイにおいて国際入札が義務付けられることで、我が国のインフラ海外展開促進につながることが期待されます。
一方、日本の約束内容は、既存のWTOの政府調達協定と同水準でありまして、国内建設市場等への新たな影響は生じないものだと考えています。

(問)北里大学の大村先生のノーベル賞受賞が決まりましたけれども、感想をお願いします。
(答)非常に優れた研究が、ノーベル賞という形で評価されたということは大変嬉しく、国民を挙げて喜びが広がっているんだと思います。
また、黙々と長い間、研究者がやってきたということ、これまでのノーベル賞受賞を始めとする方々、長い間の期間をかけてということであるわけですが、そうした方々に賞賛の光があたるということは、なお一層そうした研究分野に携わる方たちが続いていくものだと思っています。
科学技術あるいは、医学を始めとする分野においては、なかなか成果が得られないというような状況があるという、基礎研究はそういうものでありますけども、大変そういうことが報われたということは素晴らしいことではないかと思っています。
また、山中先生と今回の大村先生の案件については、そうしたことへの闘志というものが、当時政府として力を入れたということも若干なりとも支援ができたのかなという感をしておりますし、LEDのことも含めてかなり実用化ということで目に見えるという形でそれが展開されているということは大変嬉しいことだと思っています。

(問)TPPについて二点ほど伺います。
先ほど総理の会見でTPPの総合対策本部を各省庁横断で作るという旨を仰っていましたが、国交省の担当分野はどの辺りに現時点であると想定されるでしょうかというのが一点。
もう一点は、輸入が活発化することによって、運輸や海運に対する影響や効果がかなりあると思うのですが、それに対する効果はどのようにお考えになるかということと、それに対する国内体制の整備をどのように国交省として行っていくかお考えをお聞かせください。
(答)TPP全体について、我が省が関わるというのは、自動車の安全基準や政府調達ということについての2点であるということについて申し上げましたが、政府全体としては大変合意ができたということは望ましいことですから、それを受ける体制と自動車ということについては、安全基準についても、私も就任して以来、当時の茂木経済産業大臣とよく連携を取って、交渉という場に私は直接行きませんでしたが、常に安全基準が大事だということについて、日本の安全基準も守らないと駄目なんだということについては申し上げて、そのとおりに実現してきたと思います。
各省庁に関連するこの自動車の安全基準を始めとして、いずれも関係するということがあると思いますので、総理がどのような枠組みかはよく承知をしておりませんが、よく政府全体で連携を取って担える部分には適切に対応していきたいと思っています。
もう一点、輸入が促進をされるということは大変良いことですが、特に物流・海運の分野で、輸送料も増えていくという形が今後展開されると思います。
そういうことに対応した例えば港湾ということで言えば、コンテナの戦略港湾やあるいはバルク港湾等々については既に進めてきましたけども、日本への輸入というものが、船が大きくなるとそれだけ物凄く輸送コストが下がるんですね。
そうしたこともよく見て非常に酪農が大変だと言われるんですが、そこの飼料等を、例えば釧路を大きなバルク港湾として展開してきておりますが、激的にこのコストが3分の2弱になるというようなことも明らかになっておりますので、今後物流が増えるということに対応した体制をどう作るかと言うことを十分論議をして進めていく必要があると思います。

(問)昨日来、テレビで再三、新閣僚の人事などが報道され、万一大臣がそういう立場であってはと思い、最後ではないかと思いながら、御挨拶を兼ねて駆けつけさせてもらいました。
質問ですが、私はかつてIOCの7代目会長のサマランチさんの個人秘書をしていました。
その関係で外国特派員協会の中でこの間呼ばれまして、皆さんの方からお話を聞いた一つが、成田空港の問題です。
おもてなしということで、外国の人達を歓待しようとするのであれば、何故24時間使える羽田空港を使わないんだと。
せめてIOCのオリンピックの開催期間だけでも羽田空港を、オリンピックは東京でやるんですから、是非国際便全部に入れてほしい。
その時に、ゲストで呼ばれました元航空局におられた発着調整官の方からの報道で、1日深夜10時から朝6時迄の8時間発着で72便ということは、この8時間で560便の飛行機が国際線で使える期間が空いているんです。
この時間を使いましたら、成田に着いている飛行機も関西に着いている国際線も全部入るというわけなんです。
それがどうも既に話が決まっているようで、成田の話も一人歩きして、東京都庁の記者である私も東京都でいくら質問しても都知事自身が成田24時間の地下鉄の運行をして、IOCのお客さんを歓待すると言いながら、現実まだ成田を使っていると。
どうも国土交通省の航空局の方で既に決まったことがあるんじゃないかということを是非この話をもう一度、大臣にお話をしておいて、認めていただきたいと思います。
(答)そういう要望がいろんなところから来ているということについては、承知をしているわけでありますが、また、このことは御理解いただいていると思いますが、成田あるいは羽田の夜をどう使うかというようなこと。
これについては相当各方面に御理解をいただかなくてはならないことです。
一方、このオリンピック・パラリンピックということに限らず、今年はオリンピック・パラリンピックは山というよりは、一里塚である、マイルストーンであると考えてきているわけですが、外国人旅行客がこれだけ増えてきているという状況で、もう飛行機か海からの船という以外にはないわけですから、そういう点では、これをどういうふうに日本に来ていただくかということについては、常に考えていかなくてはならないという検討事項だと思います。
現在、答えられるのはその問題意識のその辺の状況です。

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