大臣会見

石井大臣会見要旨

2015年10月27日(火) 11:19 ~ 11:45
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

閣議案件で、私の方から二点御報告がございます。
一点目は、本日の閣議で「都市計画法施行令の一部を改正する政令案」が閣議決定されました。
これまで、市街化区域等を決定する都市計画については全て農林水産大臣との協議を要することとしておりましたが、本年6月に成立した「第5次地方分権一括法」において、これを政策上重要な農地等が含まれる場合に限定するよう、都市計画法が改正されました。
これを受けて、今般の政令改正では、一定規模以上の農地や保安林などが含まれる場合を具体的に定めるものでございます。
詳細は、事務方にお問い合わせ下さい。
二点目は、本日の閣議で「航空法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案」が閣議決定されました。
これにより、無人航空機に関する交通安全ルールについて定めた改正航空法が平成27年12月10日から施行されることとなります。
詳細は、事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
この他、私から三点ご報告がございます。
まず、閣議の関連で、辺野古沖の公有水面埋立承認の取消しに関する執行停止の決定及び閣議口頭了解についてであります。
沖縄県知事による辺野古沖の公有水面埋立承認の取消しについては、去る10月14日に、沖縄防衛局長より審査請求及び執行停止の申立てがございました。
このうち、執行停止の申立てについて、沖縄防衛局長及び沖縄県知事の双方から提出された書面を審査した結果、承認取消しの効力を停止することとし、本日、沖縄防衛局及び沖縄県に執行停止の決定書を郵送いたしましたので、御報告いたします。
執行停止の効力につきましては、決定書が沖縄防衛局に到達した時点から発生いたしますが、今朝、郵送しておりますので、明日10月28日には到達すると見込んでおります。
行政不服審査法において、執行停止の決定をするに当たっては、審査庁は処分により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要性があるか否かを判断することとなっております。
今回の決定に至った理由といたしましては、本件取消しにより、普天間飛行場の移設事業の継続が不可能となり、同飛行場周辺の住民等が被る危険性が継続するなどの重大な損害が生じ、これを避けるため緊急の必要性があると認められたことによるものであります。
詳しくは、お手元の配布資料をご覧ください。
また、本日の閣議において「普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立法に基づく埋立承認の取消しについて」が閣議口頭了解されました。
この閣議口頭了解においては、翁長知事による承認取消しは、何ら瑕疵のない埋立承認を取り消す違法な処分である上、本件承認取消しにより「普天間飛行場が抱える危険性の継続」、「米国との信頼関係に悪影響を及ぼすことによる外交・防衛上の重大な損害」など、著しく公益を害することが確認されるとともに、その法令違反の是正を図るため、公有水面埋立法を所管する国土交通大臣において、代執行等の手続きに着手することが政府の一致した方針として了解されました。
詳しくは、お手元の配布資料をご覧いただきたいと思います。
今後、この閣議口頭了解を踏まえ、翁長知事が行った取消処分について、その法令違反の是正を図るため、地方自治法に基づき、代執行等の手続きに着手することといたします。
まずは、私から翁長知事に対して、当該取消処分を取り消すよう「勧告」することとし、明日にも「勧告文書」を翁長知事に郵送いたします。
詳細については、この後、事務方から説明をさせます。
二点目は、(株)海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)の支援案件についてです。
JOINが行う、ベトナム・ホーチミン近郊に位置するチーバイ港のターミナルを整備・運営する事業への出資について、JOINの出資第1号案件として、本日、認可しました。
本事業は、ベトナム国内で高まる鉄鋼需要への対応のため、ホーチミン近郊のチーバイ港において、鉄スクラップの輸入等のための港湾ターミナルを整備・運営するプロジェクトです。
本事業は、ベトナムにおいて我が国の港湾運送事業者が初めて港湾運営に参画するものであり、また、日系企業やベトナム経済に貢献するという点で、大変意義のあるものです。
今後もJOINを積極的に活用し、政府一丸となってインフラ海外展開を進めてまいります。
詳細は、事務方にお尋ねいただきたいと思います。
三点目は、横浜市の分譲マンション問題への対応についてでございます。
まず、先週23日に指示をしました、データ流用等に係る調査の実施につきましては、昨日までに、概ね元請建設会社への連絡が行われておりますが、引き続き、速やかに調査が実施されるよう取り組んでまいります。
更に本問題への対応に万全を期するため、本日、次の2点について新たな措置を講じることといたしました。
1点目は、今般の横浜市の分譲マンション問題の発生を受け、再発防止対策等について専門的見地から検討することを目的として、学識経験者等によって構成される「横浜マンション問題に関する対策委員会(仮称)」を設置することといたしました。
速やかに委員会を設置し、第1回の委員会を、遅くとも来週(11月第1週)までに開催できるよう準備いたします。
メンバーが確定し、第1回の予定が決まりましたら、速やかにお知らせいたします。
年内には中間報告を頂きたいと考えております。
2点目は、今、資料をお配りしましたが、居住者の方々の不安払拭に向けて、国民の皆様の質問等にきめ細かく対応することができるよう、相談窓口を充実することといたしました。
具体的には、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの電話相談窓口(住まいるダイヤル)について体制を増強し、住宅所有者等からの相談に丁寧に対応するよう指示いたしました。
詳細については、後ほど事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
引き続き、国民の皆様の不安が広がらないよう、省を挙げて万全の対応を取ってまいります。
私からは、以上でございます。

質疑応答

(問)普天間基地の問題についてお伺いします。
今回、執行停止の手続きをとられたわけですけども、あえて執行停止の手続きをとられるのであれば、工事再開できるわけですけど、あえて代執行の手続きを行った理由について教えてください。
(答)先ほど申し上げましたとおり、10月14日に沖縄防衛局長からなされた、審査請求と執行停止の申立てに対し、これまで審査庁として法令の規定に基づき審査をし、本日、普天間飛行場が抱える危険性の継続などの重大な損害を避けるため、緊急の必要があると認め、執行停止の決定をしたところです。
国土交通省としては、この審査請求の審査の過程で、今回の翁長知事による取消処分は、公有水面埋立法に照らし、違法であると判断するに至りました。
即ち、仲井眞前知事が行った埋立承認は、適法になされたものであるにも関わらず、これを取り消した翁長知事の処分は違法であると判断したものです。
一方、本日開催された閣議におきまして、翁長知事による違法な承認取消処分が著しく公益を害することが確認されるとともに、その法令違反の是正を図るため、国土交通大臣において、代執行等の手続きに着手することが政府の一致した方針として、口頭了解されています。
このため、公有水面埋立法を所管する国土交通大臣といたしまして、翁長知事が行った取消処分について、その法令違反の是正を図るべく地方自治法に基づく代執行等の手続きに着手したものでございます。
(問)行政不服審査法の審査の中で、違反だと判断したのであれば、その法律に基づいて、その審査結果を出せばいいのではと思いますが。
(答)審査請求の採決を行うべきかという御質問でしょうか。今、申し上げたとおり、本日の閣議で国土交通大臣として代執行の手続きに着手するということが、政府の一致した方針として口頭了解されたわけでございます。
したがって、公有水面埋立法を所管する国土交通大臣としては、まずは、代執行の手続きを優先して行うということにいたしたいと考えております。

(問)マンションの関連で、数点質問させてください。
まず、委員会を設置するのはいつかというのが一点目、それから、委員会ではどんな内容を検討するのかというのが二点目。
それから、普通は委員会は原因が分かってから設置するものだと思いますが、どうして今設置するのか、設置の意義も含めてお願いしますというのが三点目。
それから、相談窓口の増強、体制を整備するというのは、具体的にどういうことなのかということをお願いします。
(答)まず、今回、この委員会において何をやるかということでありますが、横浜市の分譲マンション問題の発生を受けて、再発防止策等について、専門的見地から検討するということを目的として、この対策委員会を設置することといたしました。
先ほど申し上げましたように、第一回の委員会は、遅くても来週中には開催できるように準備をしていきたいと思っています。
それから、原因の方ですが、原因は施工業者等にその原因究明の指示を行っております。
その報告もあろうかと思いますので、そういった報告も分析した上で、その原因を究明するということと合わせて再発防止策を検討していきたいと考えています。
それから、相談体制ですが、具体的には、公益財団法人の住宅リフォーム・紛争処理支援センターの電話相談窓口。
これは、建築士の方が相談に応じているのですが、その相談に応じる建築士の数を増やすということで体制を増強して、御相談に丁寧に対応するようにしたいと、このように考えています。
(問)委員会の設置はいつでしょうか。
(答)設置は、決めましたけども、具体的なメンバーですとか、第一回をいつやるかということは今後決まり次第お知らせしたいと思います。
設置することは本日決定しました。

(問)これまで旭化成建材は二度ほど会見を行っておりますが、元請の三井住友建設が未だに会見等で実際何があったのかということについて明らかにしていません。
国土交通省に対して、どのような報告をしていて、会見をしない三井住友建設のこの対応について、大臣の御所見をお願いします。
(答)国土交通省として、個別の会社が会見するかどうかについて、別に指示をしているところではございませんので、それについては、コメントは避けたいと思います。
(問)これは、マンションの建設における元請と下請、孫請の関係の中で、元請こそがきちんと説明する責任を持っていると思うのですが、これについての大臣としての御所見をお願いします。
(答)これは、元請、下請、下請も一次下請、二次下請とありますが、それぞれ適切に施工し、施工管理を行う責任を当然有しておりますので、今、御指摘のありましたように、元請も当然その全体の責任を負っているわけですね。
それは、そういった責任に応じた対応をしていただきたいと考えています。
(問)現在、建設業法違反等でお調べになっているかと思いますが、その元請の三井住友建設が下請や孫請に対して、工期の終了期間についてのプレッシャーを与えていたのではないかということも考えられるわけですが、現在、これまでの調べの中でそうした情報は入っていますでしょうか。
(答)詳細について、私は報告を受けておりません。

(問)マンションの問題の関連ですが、有識者委員会が設置されるとのことですが、メンバーは選考中ということですが、例えばゼネコンを入れるとか、法律の専門家を入れるなど、メンバーのイメージみたいなものがあれば教えてください。
(答)再発防止策ということでありますから、建築の専門家ですとか、あるいは、建築行政に関わる専門家といいますか、そういう法律の専門家等も含めたメンバーになろうかと思います。
(問)業界団体も入りますか。
(答)それは確認しておりません。決まり次第、周知させていただきます。

(問)辺野古の問題になりますが、不服申立てについて、沖縄防衛局に適格性があるのかについてお聞きしたいのですけれども、その適格性があるという判断の根拠と国以外の人が公有水面を埋め立てて、基地を提供するということができるのかということについてお伺いしたい。
基地を提供するということは国固有の資格ではないかと思うのですが、適格性についてお伺いいたします。
(答)行政不服審査法の不服申立ての資格というのは、「一般に、国や地方公共団体の機関が、一般私人と同様の立場で処分を受ける場合は、不服申立ての資格を有する」と、このように解釈されております。公有水面埋立法上、国が公有水面を埋め立てる場合には、「国は都道府県知事ノ承認ヲ受クヘシ」とされておりまして、承認を得なければ、適法に埋立てをすることができないという点で、一般私人が埋立てを行う場合と同様でございます。
このため、埋立承認の取消処分について、国は、沖縄防衛局長ですね、行政不服審査法に基づく不服申立てを行う資格を有するものと判断いたしました。

(問)マンションについて、国土交通省には3040件及び41件に関する情報についての提供はあったのでしょうか。
また、その内容についてお知らせください。
(答)3040件については、工事名、旭化成建材が受けた工事の名前がどういうものがあるかという報告がされております。
(問)国交省の案件は、41件の中で何件くらいあるのでしょうか。
(答)旭化成、旭化成建材から、まずは元請けに行って、元請けから発注者の方にくるという状況ですので、国交省としては、発注者からの連絡を受けようとしている状況でございますので、まだ特定はされていないということです。
(問)まだ十分に旭化成建材からの情報は伝達されていないということでしょうか。
(答)旭化成建材から元請業者に対しては、あるいは、マンションの売主に対しては順次、昨日、元請業者に対してはほとんど行ったと承知しております。
これから、元請業者からそれぞれ発注者に対して順次連絡があるという状況かと思います。

(問)辺野古の問題についてですが、過去に、国が都道府県の法定受託事務に関して代執行したケースが何件くらいあるのか、把握していれば教えてください。
(答)法定受託事務について、代執行を行うのは今回が初めてであると承知しております。

(問)マンションの件ですが、相談窓口の増強についてお伺いしたいと思います。
今までの相談体制がどのような感じで、今度、増強というのは、どのくらいの体制になるのでしょうか。
(答)今までは23名程度の建築士さんの相談体制で、とりあえず3名増やすと聞いておりますけれども、電話の状況によっては更に考えていきたいと思います。

(問)辺野古の件でもう一点お伺いしたのですが、今後、行政不服審査法と地方自治法に基づいて、二つの法律で同時並行でこの問題について取組んで行くということであれば、審査法で採決を出した後も代執行の手続きを進めていくということでしょうか。
(答)まずは、本日、閣議口頭了解で公有水面埋立法を所管する国土交通大臣に対して、地方自治法に基づく代執行の手続きを行うことが確認されましたので、地方自治法に基づく代執行の手続きをまず優先して行いたいと思います。
その後、状況をみて審査請求の方の手続きについてどうするか考えていきたい。同時並行というよりは代執行の手続きを優先して行うということでございます。

(問)尖閣問題について、最近辺野古の問題に押されてあまり話題にならないのですが、砕氷船による北極航路の問題もあり中国の海洋進出は必死だと思うのです。
最近の中国公船の領海領空侵犯は収束ぎみなのでしょうか。
(答)一時期から比べると報道の量は減っているかなという印象を受けておりますけれども、ただ、中国公船が領海侵犯する事案、また接続水域を徘徊する事案は、従来と件数はあまり変わらないと承知しております。

(問)マンション問題について、横浜市の改ざんに関わった責任者の物件が41件ありますけれども、3040件で三週間であれば、41件ではそろそろ上がってくるのかなと思うのですが、報告の時期の目途についてはどうでしょうか。
(答)横浜のマンションの施工に携わった方の41件、病院だとか公的施設については優先的に調査をしてほしいと申し上げましたので、11月13日が最終的な締め切りですが、それより前に報告が上がってくると思いますけれども、一方でいつまでとは申し上げておりませんので、報告が上がり次第、データの流用があった件数等を皆様にお知らせしたいと思います。
(問)それは、41件が第一優先で、第二優先として学校や公共施設があるという理解でよろしいでしょうか。
(答)優先度は一緒です。

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