大臣会見

石井大臣会見要旨

2015年12月8日(火) 11:03 ~ 11:25
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私から1点御報告がございます。
本日、クルーズ船で我が国を訪れるお客様が、年間100万人を超えましたので、御報告させていただきます。
国土交通省におきましては、「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」に基づき、2020年の「クルーズ100万人時代」を目標に、クルーズ船社へのプロモーションや、クルーズ船の受入環境の改善などに積極的に取り組んでまいりました。
その成果もありまして、クルーズ船で訪れる海外のお客様は、2013年に約17万人であったところ、2014年には42万人となり、今年も前年の2倍以上のペースで増加してまいりました。
そして、本日、博多港に寄港いたしました大型クルーズ船コスタ・セレーナのお客様をもって、当初、6年をかけて実現しようとした100万人という目標を、2年目で達成できることになりました。
これまで、クルーズ船社からの問い合わせ窓口の一元化、クルーズ船社との商談会等を通じたプロモーション、大型クルーズ船を受け入れるふ頭の整備、ふ頭に臨時の免税店を出店する手続の簡素化などに官民を挙げて取り組んでまいりました。
これら一つ一つの積み重ねが、我が国への大型クルーズ船の寄港の増加につながり、100万人という具体的な成果となったものであり、非常に喜ばしく感じております。
我が国が掲げております観光立国の実現、そして地方の創生にとって、クルーズの振興は極めて重要であり、今後とも、積極的に取り組んでいきたいと考えております。
詳細は事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
私からは以上でございます。

質疑応答

(問)クルーズ船100万人という一つの目標が達成されそうだということなのですが、次の目標を立てる計画などはあるのでしょうか。
(答)御承知のとおり、総理を議長とする「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」これが11月9日に立ち上がりまして、当初、2020年2000万人インバウンドという目標の達成が視野に入ってきた状況の中で、次の時代の新たな目標の設定と、そのために必要な対応の検討を行っております。
クルーズに関する新たな目標についても、この全体的な会議の議論を踏まえて、検討していくことになると考えております。

(問)続きまして、先週後半に日米航空協議がありました。
従来2日の日程だったものを1日延長しての会議でしたが、結局は合意には至りませんでしたが現地の方で会見された幹部の方によると前向きな雰囲気もあったということです。
大臣の御所感と、今後の対応と言いますか意気込みなどありましたらお願いします。
(答)日米の航空当局間協議を、当初予定より1日延長いたしまして、12月2日から4日にかけて、ワシントンDCで行いましたが、今回の協議では合意に至らなかったため、協議を継続することとなりました。
次回協議については、時期は未定でありますけれども、今後、日米当局間で調整されることになります。
いずれにしましても、日米両国関係の発展や利用者の利便のため、羽田空港の昼間の米国路線の実現に向けて、日米で協力して取り組んでいきたいと思っております。

(問)クルーズ船に関連してなのですが、増え続けるクルーズ船でですね、一方で岸壁が足りない、世界最大級のクルーズ船がまだ着ける港がないといった整備の方でまだ課題があると思うのですが、そこに向けた今後の対応をどのようにお考えかお聞かせください。
(答)今後ますます増加するクルーズ船の需要や船の大型化に対しては、まずは既存のターミナルの改良等で対応してまいりたいと考えております。
急激に増えておりますので早急な対応っていうことになると、既存の岸壁等の改良で当面は行っていきたいと、具体的には、クルーズ船を留めるため、係留に必要となる係船柱又は岸壁に接続する際の防舷材の追加などが必要になりますので、今年度の補正予算や来年度の当初予算において、これらの対応が図られるように検討してまいりたいと思っております。

(問)今日、一部報道で、インドの首相のトップ交渉で円借款に伴うインドの高速鉄道の導入が決まるという話が出ているのですが、所管大臣としての御見解をお願いします。
(答)インドの高速鉄道については、平成25年5月の首脳間の合意に基づく日印の共同調査が本年の7月に完了したところであります。
これを踏まえて、国土交通省としては、本年10月に山本副大臣がインドを訪問し、トップセールスを行うなど、新幹線システムの導入について働きかけを実施してきたところでございます。
インド高速鉄道への新幹線システムの導入については、現在インド側との協議が継続しているところでありますので、今回、総理訪印の際の合意の見込みについては、現時点ではコメントを控えたいと思っております。
協議中であります。
(問)円借款については何かありませんでしょうか。
(答)それについても協議中であります。

(問)九州新幹線長崎ルートについて、平成34年度の開業時点では、全ての営業車両にフリーゲージの量産車を揃えるのは困難であり、対応を地元自治体と協議するとの発表が先週末にありました。
この協議は、いつ頃始め、いつ頃をメドに結論を得る見通しでしょうか。
(答)今、御紹介いただきましたとおり、先週4日の金曜日に、フリーゲージトレインに関して技術的な内容を検討する軌間可変技術評価委員会を開催して、今後の技術開発の進め方について了承いただきました。
その結果、今般の実験における不具合へ対応を考えると、今後の技術開発が順調に進んだとしても、平成34年度中に長崎ルートにフリーゲージトレインの量産車を導入することは困難な見込みとなっております。
ただ、開業時期については、政府・与党の申合せ、平成34年度からできる限り前倒しするという申合せを踏まえて、開業までの工程等について、地元自治体等関係者とよく調整してまいりたいと思っておりますが、その調整のスケジュール等については、今後の課題でございます。
まだ、具体的に決まっていることは現段階ではございません。
(問)関連してですが、先ほど仰ったフリーゲージトレインの問題で、政府・与党の、フリーゲージトレインの開発を推進して可能な限り2022年度からの開業を前倒しするという合意自体の実現が困難になっているのではないかと思うのですが、これについて大臣の御見解をお願いします。
(答)国土交通省としては、政府・与党の申合せに従って、このフリーゲージトレインの技術開発の動向も踏まえつつ取り組んでまいりますが、いずれにしましても具体的なことは、地元自治体の関係者とよく調整していきたいと思っています。

(問)落橋防止装置の不正事案について、2点伺います。
1点目は、今回の工事は、耐震補強工事の一環として行われたもので、その中での不正が発覚したという経緯だと思うのですが、そもそもこの工事の意義をどのように大臣お考えか。
それから、今回、不正が行われていたことについての受け止めを教えていただけますでしょうか。
(答)先週4日に、45の都道府県で落橋防止装置合計556本に溶接不良があったことを発表いたしました。
溶接工程の省略等の不正行為が12の製作会社において行われていたなど、多くの不良品があることが確認されまして、極めて遺憾なことだと思っております。
落橋防止装置というのは、例えば阪神・淡路大震災のような地震の際に、橋脚の上に橋桁を支えている支承というものがあり、その支承等が破壊された場合に、橋脚から橋桁がずり落ちないように落橋を防止するものでありまして、ある意味で大地震の際のフェイルセーフとして設置しているものでございます。
ですから、日常の使用時には特段用途がないというものですから、日常の通行には支障が生じるものではございません。
ただ、耐久性だとか、あるいは不確定要素を考慮すれば、今回、溶接不良があったものについては、今後、補修等が必要だと考えております。
(問)万が一のための装置ではありますけれども、いざ本当に事が起きた時には、当然、橋の上を走っている車とかの安全が脅かされる危険性がありますし、落ちたら周りの住宅とか人に影響があると、更に、橋が使えないとなると、高速道路は普通の道路ではなくて、災害時の命を救ったり命を繋ぐための道路だと思うのですけれども、そういったものが万が一の可能性が出てきたという、そういう不正につながりかねないと思うのですが、その辺りについてどのようにお考えでしょうか。
(答)いずれにしましても、溶接不良があったと、その中で一部で不正行為もあったということについては、極めて遺憾だと思っております。
ただ、今、国土交通省で再発防止のための有識者委員会を開いておりまして、12月4日に開かれた有識者委員会におきましてては、「今回の溶接不良とは、溶接が全くなされていなかったというものではなく、その溶接する先端部を斜めに削り取る作業を伴った溶接がなされておりまして、落橋防止装置としての機能が低下している可能性は小さく深刻な問題ではない。」との御意見も頂いているところでございます。
ですから、深刻なものではないんだけれども、今後のことを考えると補修は必要であるというふうに認識をしております。
(問)今回、有識者会議の中でも、性善説に基づいて全部やってもらうのは限界があって、場合によっては発注者側も立入検査するとか、そういったような御意見も出たように伺っておりますけれども、今後、再発防止に向けて、どのようなことを進めていきたい、あるいはこんなことが必要だというふうにお考えだというものがあれば教えてください。
(答)再発防止策につきましては、省内に設置しました有識者委員会で検討していただいておりますけれども、今、検討の方向性としては、例えば、元請会社による全数検査の実施ですとか、発注者による抜き打ち検査の導入といった、多重のチェック体制を構築することなどが議論されていると承知しております。
いずれにしましても、年内に再発防止策をとりまとめて、直ちに実行していきたいと思っております。

(問)国交省では、マンションの標準管理規約の変更をしようと取り組んでおります。
その中で、コミュニティ条項の有無について賛否いろいろありまして、いまだ、結論が出ていない状況です。
マンション住民でもある大臣の御意見があれば教えてください。
(答)マンション標準管理規約の改正については、案を作りまして、11月19日までの1ヶ月間パブリックコメントを実施いたしました。
パブリックコメントにおいては、コミュニティ条項については、82の方が意見を提出されて、151件の御意見が寄せられているところでございます。
国土交通省としては、コミュニティ条項は削除する一方で、防災・防犯、美化・清掃、緑化・景観形成、生活ルールの調整など、居住環境の維持及び向上に関する活動は可能である旨、明記する方向で検討しているところでございます。
今後、パブリックコメントで寄せられた御意見も踏まえた上で、案文を決定し、標準管理規約の改正を行ってまいりたいと考えております。

(問)日米航空交渉について、今回どうして1日延長しながらも合意に至れなかったのか、双方の隔たりがどこにあったのか、もう一言、御説明いただけませんでしょうか。
(答)日米航空交渉につきましては、引き続き交渉が継続中でございますので、中身についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、今回の協議では、合意に至らなかったものの、良い方向に向かっていると聞いているところでございます。

(問)国連総会の第二委員会で、11月5日を「世界津波の日」とする決議が採択されましたけれども、大臣の御感想と、今後何か国交省として姿勢というものがあればお伺いします。
(答)今、御紹介ありましたとおり、国連総会で現地時間12月4日、日本政府が提案した11月5日を国連の共通記念日「世界津波の日」とする決議が全会一致で採択されました。
津波の脅威と対策について、世界中で理解と関心を深めることにつながると思いますので、大変意義深いものであると思っております。
国土交通省としましては、東日本大震災の津波を始め、これまで幾多の災害経験を通じて得た知見や技術を活かし、今後とも世界各国の防災対策の推進に貢献していきたいと考えております。

(問)一部報道で、補正予算に関してですが、高速道路料金の割引に250億円を計上するという報道がありまして、なぜ今回のタイミングで計上するかという狙いについてと、対象として考えている道路は、どの辺りで考えているかというのがありましたらお願いします。
(答)今、御指摘いただいたように、今年度の補正予算において、高速道路料金割引を、今仰ったような250億円計上するという報道があったことは承知しております。
そもそも高速道路料金割引については、平成25年度と平成26年度の補正予算においてそれぞれ約500億円計上しておりまして、大口・多頻度割引、これはほとんどトラック事業者の方ですが、大口で多頻度で通行する方の割引を元々40%にしていますが、それを50%に引き上げるための予算として、25年度と26年度それぞれ500億円ずつ計上して、今年度末まで拡充していたところです。
この大口・多頻度割引の最大割引率を40%から50%に拡充するということについては、物流を支援する重要な施策であると認識しておりますが、今年度の補正予算において、高速道路料金割引の継続というのも検討の対象にしておりますけれども、その具体的な内容、額については検討中でございまして、決まっていることはございません。

(問)先ほど、日本へのクルーズ客の増加の話がありました。
240%近い増加ですが、どこの国からの乗船が多いのでしょうか。
(答)今、詳細な数字は手元にないのですが、クルーズ船が増えた背景、来客が増えた背景の一つに、中国に大型のクルーズ船が配船されて、それが日本に来ている。
ですから、中国、台湾又は韓国からの来客が多いのかなという印象を持っています。

(問)先日、都知事との会談の中で、取材するとジオラマについては、大臣の方から提案があったと聞いたのですが、ジオラマというのはどういう意味で仰ったのでしょうか。
(答)ジオラマというか、都市をPRする施設という意味で、ジオラマもその一つにはなるかも知れません。
いろんな都市で、例えばシンガポールとかニューヨークなどの都市をPRするようなシティーギャラリーというのがありますので、これは国土交通省は元々考えていましたけれど、やはり地元の東京都とよく連携をして進めなければいけませんので、そういう話をさせていただいたと。
協力しながら進めていきましょうという話をさせていただいたところです。
(問)いつまでにどの辺にというのはありますか。
(答)そういう具体的な話はなくて、一緒に協力しながら進めましょうという方向性を確認させていただいたということでございます。

ページの先頭に戻る