大臣会見

石井大臣会見要旨

2016年1月19日(火) 8:49 ~ 9:12
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から3点御報告がございます。
まず1点目は、軽井沢のスキーバス事故について申し上げます。
改めて、亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、負傷された方々の一日も早い快復をお祈り申し上げます。
国土交通省といたしましては、被害者の方々の支援の窓口を本省に加えまして、関東運輸局、北陸信越運輸局に設置しており、引き続き、被害者の方々の支援に全力で取り組んでいく所存です。
また、今回の事故について速やかに事実確認と原因究明を進め、このような悲惨な事故が二度と起きないよう、万全の対策を講じていく所存です。
その一環といたしまして、貸切バスを対象とした緊急の監査を実施し、法令遵守の状況を確認いたします。
まず、貸切バスの出発時における街頭監査を実施いたします。
監査官が路上駐車中の運行開始前のバスに立ち入り、「交替運転者はいるか」、「運行指示書はあるか」、「運転者は飲酒していないか」などを確認いたします。
更に、貸切バス事業者に対する集中的な監査を実施いたします。
処分歴があるなど優先的に監査を実施すべき事業者を抽出し、「健康診断を実施しているか」、「運行指示書を作成しているか」、「点呼を確実に実施しているか」、「運賃は適正か」などを確認いたします。
以上述べた監査はいずれも抜き打ちで行いますが、街頭監査につきましては今週から行う予定です。
詳細は後ほど事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
旅行業者につきましては、下限割れ運賃での貸切バス運行への関与等を始め、貸切バスの安全な運行を阻害している違法行為がないか、抜き打ちの立入検査で確認してまいります。
これらの緊急の監査とともに、監査の実効性の向上を始めとして、今回の事故を踏まえた対策について早急に検討を進めるため、今月中にも有識者からなる検討委員会を設置することといたします。
速やかに対策の検討を進め、逐次実施してまいりたいと考えております。
2点目は、2015年の訪日外国人旅行者数についてです。
2015年の訪日外国人旅行者数については、昨年12月19日に1900万人を達成したところですが、2015年12月末までの1年間で1974万人となり、2000万人という目標達成が十分視野に入ってまいりました。
2014年の1341万人から600万人以上増加した結果、対前年比47%の大幅増となり、過去最高の伸率を記録いたしました。
このうち、クルーズ船による訪日外国人旅行者数は、目標であった100万人を大きく上回る112万人となりました。
これは、2014年の2.7倍にあたり、2年連続での2倍以上の増加であります。
国・地域別の訪日外国人旅行者数は、東アジアで1400万人、東南アジアで200万人、北米及び欧州で200万人をそれぞれ超えました。
特に米国は欧米諸国で初めて100万人の大台を超えるなど、世界各国からバランス良く訪日外国人旅行者数が伸びております。
こうしたインバウンドの好調を受けて、昨年は、1970年以来45年ぶりに訪日外国人旅行者数が出国日本人数を上回りました。
また、昨年の訪日外国人旅行消費額は、3兆4771億円となり、初めて3兆円を突破いたしました。
伸率は昨年の2兆278億円から71.5%の大幅な増加となっております。
これは、人数の増加に加え、1人当たりの旅行支出額も17万6168円、伸率16.5%と増加していることによるものであります。
これにより、国際旅行収支につきましても、昨年1月から11月で1兆円を上回る過去最大の黒字となりました。
こうした消費拡大は、我が国の経済を下支えしており、今後とも、地方免税店の拡大等の施策により、好調なインバウンドの効果を日本全国に波及させることが、地方創生の観点からもますます重要であると考えております。
一方で、インバウンドの急激な増加により、宿泊施設の不足、貸切バスの路上混雑、CIQ体制の充実、無料公衆無線LAN環境の整備といった課題も見えております。
現在、安倍総理を議長とする「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」において、次の時代に向けた課題や必要な対応方策について検討しているところでありまして、私も副議長として、年度内を目途にとりまとめるべく、検討を進めてまいりたいと思っております。
なお、2015年の訪日外国人旅行者数及び消費額の詳細については、このあとの観光庁長官会見で御説明いたします。
3点目は、公共工事設計労務単価等についてであります。
公共事業の着実な執行のため、これまでも人材や資材の状況をきめ細かく注視し、必要な対策を講じてきたところです。
具体的には、公共工事設計労務単価については、これまでも、平成25年度から3度にわたり引上げを行ったところであります。
今般、公共事業の執行に更に万全を期すため、一昨年、昨年に引き続き、工事についての設計労務単価及び設計や測量などの技術者単価に関し、本年も2月1日から新たな単価を適用することといたします。
なお、具体的な改訂内容につきましては、平成27年度補正予算の成立後、速やかに公表いたします。
詳細は事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
私からは以上でございます。

質疑応答

(問)バス事故についてですが、安全運行を担保するための下限運賃ですが、実際には守られていないケースが見受けられます。
キースツアーやイーエスピーに対して、今回のツアー以外でも調査する考えはあるのか。
それから、下限運賃の制度をどのように見直すのが適当だと考えられるのかを教えてください。
(答)イーエスピーに対する特別監査の結果、今回のツアーについては、平成26年度から導入した貸切バスの新運賃・料金制度が遵守されていなかったことが確認されました。
また、今回のツアー以外でも、下限割れ運賃の収受事案が3件既に確認されています。
また、キースツアーにつきましては、イーエスピー以外の貸切バス事業者との間で、下限割れ運賃で契約しているものがあるかどうかについて、東京都と調整の上、調査する方向で調整しております。
今後、貸切バス事業者・旅行業者の双方に対して、新運賃・料金制度の遵守を一層強く指導するとともに、下限割れの運賃が発覚した場合には、厳正な処分を行うことにより、新運賃・料金制度の定着を図ってまいりたいと考えております。

(問)観光については、これまで訪日客の増に繋がってきた中国株の下落とか円高傾向と、こういった要因が変化してきているわけですが、2016年も同様の好調な傾向が続くと考えているのか。
見通しについても教えてください。
(答)先ほど御説明いたしましたように、2015年の訪日外国人旅行者数は2014年と比べますと対前年比47%増となり、人数及び伸率がいずれも過去最高を記録しております。
2016年の訪日客数については、2000万人を超えることが期待されるものの、2015年のような過去に例を見ない急激な増加が続くとは考えにくいため、伸びは少し穏やかになるのではないかと考えております。
特に、中国経済の先行き不透明感が増しつつあることから、中国・東南アジア諸国の経済動向とそれに伴う訪日客数及び消費額への影響を注視する必要があると考えております。
いずれにしましても、今後とも「質の高い」観光立国の推進を図るため、関係者の皆様との関係をより一層深め、官民一体となって取り組んでまいりたいと思っております。

(問)今回のバスーツアーは、結果として、一定の安全対策や規制は不可欠になるかと考えますが、一方で、バスツアーは訪日外国人旅行者数の地方の足でもあって、地方の観光誘客に必要かと考えます。
大臣はこのバスの安全対策と観光振興のバランスについてどのようにお考えになるかをお聞かせください。
(答)観光振興を図る上でも、旅行者に安全・安心なサービスを提供することは、大前提でありまして、最重要の課題でございます。
貸切バスにつきましては、今回の事故原因を徹底調査の上、同様の痛ましい事故が二度と起こらないよう万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
すべてのバス事業者が、今後、講じられる安全対策に適切に取り組み、安心して旅行できる環境を整備することが、国内外の観光振興に資するものと考えております。
(問)バス事故に関して、処分歴のある貸切バス事業者を優先的に緊急で監査するということなんですが、対象が全国となるのか、また開始したい時期など、今月までにとか、今月中には行きたいとか、もしありましたらお聞かせください。
(答)監査は2種類ありまして、街頭の監査とバス事業者に対する監査でございます。
街頭の監査は、先ほど申し上げましたように、今週から開始をしていきたいと思っております。
バス事業者に関しては、対象は東京だけでなく全国的に考えておりますが、開始の時期については、準備が整い次第ということで考えております。
一応、貸切バス事業者への集中的な監査については、スキーシーズン最盛期の3月中旬までの間に、およそ100事業者に対して監査を行っていきたいと考えております。
(問)大臣の話について、ツイッターで反応がきてるんですけど、役所と旅行業者との間の従来の監査が馴れ合いではなかったのかとか、それから書類上、下限運賃を守っていても、業界の実態は、書類だけ守っていて中身は違うというような指摘がでてきているのですが、こういう抜け穴、抜け道はふさげるんでしょうか。
(答)馴れ合いの監査ということは、私は無いと思っております。
実態が下限を下回っているのではないかという指摘があることは、承知をしておりますので、そういったことにつきましては、しっかりと今後、監査あるいは旅行業者に対する立入検査を行っていきたいと思っております。
(問)有識者会議の設置ということですが、ねらいをもう少し詳しく伺いたいのと、どのような方々をメンバーに迎えることを想定されてますか。
(答)ねらいにつきましては、先ほど申し上げましたように、今回の事故原因を徹底した事実解明をした上で、再発防止策をきちんと検討していく。
そのために有識者からなる検討委員会を設けたいと思っております。
メンバーあるいは発足時期につきましては、これからより詳細に検討していきたいと考えております。
(問)今回のイーエスピーの特別監査で、法令違反がかなり多く明らかになっていますが、そのことに対する大臣自身のお考え、受け止めと、関越道のバス事故以降、国としても、かなり安全対策に関して強化してきたはずなんですが、それでもまたこういう事故が起きてしまったことを受けて、改めて、今後どういう対策が必要だと現時点でお考えかということをお聞かせください。
(答)まず、イーエスピーにつきましては、1月13日付で行政処分を行ったにもかかわらず、このような大きな事故を起こし、なおかつ、特別監査に入って、様々な法令違反が見つかったということは、極めて遺憾であると考えております。
御指摘のように平成24年4月の関越道のツアーバス事故を受けまして、国土交通省は、平成25年4月に「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」を策定いたしました。
これに基づき、交替運転者の配置基準の見直し、あるいは安全コストを反映した新運賃・料金制度の導入、許可審査の厳格化や悪質事業者への集中的な監査等、貸切バスの安全対策を強化する措置を講じてまいりましたが、このような対策を講じてきたにもかかわらず、今回のような事故が起きたことは、極めて残念であると思っております。
現在行っている特別監査を通じて事実確認と原因究明を速やかに進め、このような悲惨な事故が二度と起きないよう、更なる対策を含めて、万全の措置を講じていきたいと考えております。
(問)昨年2月に一般監査が入っておりまして、法令違反が発覚しております。
その後、事故を起こしたということで特別監査に入ったら更に法令違反が見つかったと。
これで昨年2月の監査は十分だったとお考えでしょうか。
また今後、監査は人手不足が指摘されていまして、やり方の見直しが今後必要となるかどうか、大臣のお考えを教えてください。
(答)先ほど申し上げましたように、イーエスピーに対して、昨年2月に一般監査に入って、その結果、今年の1月13日に行政処分を講じたところですけれども、その監査の指摘事項もしっかりと事業改善がなされていなかったことが特別監査に入って改めて分かったということについては、私は極めて残念、遺憾であると思っております。
従って、今後の課題としては、検討委員会でも御検討いただきたいと思っておりますけれども、監査の実効性をいかに向上させていくかということは、非常に重要な課題であると認識しております。
(問)今回の件では、旅行会社側がかなり安値を提示したという事実が明らかになっていまして、旅行会社とバス会社の力関係を考えると、旅行会社側への監視・監督を強化しなければ規制の実効性が上がらないのではないかと思いますが、そこは大臣どうお考えですか。
(答)先ほど申し上げましたとおり、旅行会社に対しましても、今後、立入検査等を実施してまいります。
そういった中で、適正な運賃を提示しているかどうか、そういったことについてもしっかりと監査してまいりたいと思っております。
(問)現状、この種類の行政処分というのは、営業停止18日間ということで、決して重いとまでは言えないと思いますが、処分の内容を見直すというお考えはありますか。
(答)これにつきましては、先ほど申し上げた検討委員会の中で、処分のあり方等についても検討していきたいと考えております。

(問)訪日客2,000万人が無理だったということで、消費額およそ3兆円超えということですが、足下の経済で中国は減速が指摘されていまして、この影響について、客数、消費額、いずれについても大臣として現時点でどのようにご覧になっているか教えてください。
(答)冒頭の幹事社からの質問と重なるかもしれませんが、中国経済の先行き不透明感が増しておりますので、それがどのように訪日客数あるいは消費額への影響を及ぼすか、具体的な数字はなかなか言いにくいのですが、その影響は注視する必要があると考えております。

(問)昨日、大雪で交通機関の乱れが多発しました。
各地の駅前で大きな行列もできていました。
省でのこれまでの取組みもあるとは思いますが、今後に向けた大臣の受止めと今後の対応をお願いします。
(答)昨日未明からの降雪の影響によりまして、首都圏等の鉄道で運転休止やダイヤの大幅な乱れがございました。
国土交通省としては、降雪時の列車の運行については、各鉄道事業者に対して、積雪の状況に応じた適切な運転規制を実施すること、更に降雪の状況を適時把握し、列車の駅間停止の防止、これは乗客が閉じ込められることになりますので、それを努めることと、安全確保に万全を期すよう指導しております。
また、これに伴って運転休止や間引き運転を実施する際は、乗客等への情報提供が重要であると考えておりまして、乗客等への適確な運行情報の提供など適切な対応を講ずるよう指導しているところです。
今後も鉄道事業者を適切に指導していきたいと考えております。

(問)訪日客数のことに関連して、今、官邸を中心にビジョン構想会議を行っていますが、今回の結果も踏まえて、やはり人数や消費金額に対しても、目標の上方修正が必要だとお考えでしょうか。
2,000万人という御発言もありましたけれども、2020年や2030年を見据えて、大臣はどうしていったらいいとお考えでしょうか。
(答)観光ビジョン構想会議におきましては、この会議の下でワーキンググループを開催しておりまして、これまで有識者の方々からヒアリング等行ってまいりました。
その中でいろいろな御意見が出ていますが、従来の政府目標は、2020年2,000万人、2030年3,000万人についても上乗せして設定すべきといった御意見が多かったものと承知しております。
これらを踏まえつつ、本年からは、政府部内で、ある程度テーマを絞って議論を進めて、年度内のビジョンとりまとめに向けて、集中的かつ精力的に議論を進めていきたいと考えております。

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