大臣会見

石井大臣会見要旨

2016年2月26日(金) 10:02 ~ 10:16
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件ですが、当省提出の2本の法律案が閣議決定されましたので、私の方から報告いたします。
1本目は、「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案」です。
これは、既存住宅の流通を促進するため、宅建業者が建物状況調査、いわゆるインスペクションの活用を促し、その結果の情報提供などを行うことにより、消費者が安心して既存住宅の取引が行えるよう市場環境の整備を図るものです。
2本目は、「海上交通安全法等の一部を改正する法律案」です。
これは、東京湾のような船舶交通が著しくふくそうする海域において、津波等の非常災害時に危険を防止するため、海上保安庁長官が船舶に対し移動を命ずることができることとすることなどを内容とするものです。
2つの法律案とも、詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

(問)2点伺います。
1つは、23日に新千歳空港で日航機のエンジンから煙が出て緊急脱出した航空事故がありました。
今までのところの事故原因として、雪によるものなのか、エンジン自体の問題なのか、現在までの原因状況について教えてください。
それから、日航側が緊急脱出を選択した対応に問題がなかったのかどうか、大臣の御見解も伺います。
(答)新千歳空港で、日航機のエンジンから煙が出て緊急脱出した件につきましては、運輸安全委員会が事故発生当日23日から航空事故調査官4名を現地に派遣いたしまして、機体のエンジンの確認、機長等の関係者からの聞き取り等を行ったと聞いております。
現時点の調査状況については、目視で確認した限りにおいて、エンジンに損傷はない。
エンジンファンに着氷が確認されたが、いつの時点の着氷か不明。
今後、天候と事故との関係や日航の対応も含め、慎重に調査を進めるというふうに聞いております。
引き続き、運輸安全委員会において、必要な調査が実施され、早急な原因究明が行われると承知しております。
(問)もう1つは、タカタのエアバック問題についてですが、米国の調査委員会が、火薬とともに乾燥剤を使わなかったことが原因などとする調査結果を発表したわけなのですが、大臣の受け止めはどうでしょうか。
また、リコール対象や国交省の対応策は、これによって影響を受けるものでしょうか。
(答)タカタ製エアバックの不具合につきましは、タカタ及び各自動車メーカーが、それぞれ外部機関の協力を得て原因を調査しております。
23日、日米欧の自動車メーカー10社連合が、タカタ製エアバックの異常展開は、ガス発生剤の成分、湿度などの要因が複合的に影響しているとの中間報告を発表しております。
今回の中間報告を踏まえまして、国土交通省といたしましては、自動車メーカーに対し、報告内容を精査いたしまして、これまでのリコールの対象範囲の見直しの必要性について検討するよう指示したところです。
本件は、安全上重要な問題であり、引き続き、タカタ及び自動車メーカーに対し、今後の調査を加速し、早急な全容の解明に努めるよう指導してまいります。

(問)JR北海道のレール検査数値改ざん問題に絡めまして、検察当局が同社の工務部副部長ら本社3人を在宅起訴しました。
北海道新幹線の開業を1カ月後に控えてのこうした展開となったわけですけれども、大臣の受け止めと、また今後、北海道新幹線を運営していくJR北海道に対して、どういった企業姿勢を望むかということを改めてお願いします。
(答)御指摘の件は、平成25年9月に発生いたしましたJR函館線貨物列車脱線事故に関連し、JR北海道の検査データ改ざんに係る虚偽報告、検査妨害について、平成26年2月、鉄道局長から鉄道事業法違反で、同日、運輸安全委員会事務局長から運輸安全委員会設置法違反で刑事告発を行ったものであります。
検査データの改ざんは、輸送の安全確保の仕組みを覆すものであり、許されるものではありません。
JR北海道においては、起訴された事実を厳粛に受け止め、より一層、法令の遵守、安全運行の確保に努めてもらいたいと考えております。
国土交通省といたしましては、平成26年1月に事業改善命令・監督命令を発出いたしまして、本社を含め、会社全体として実施すべき対策を命じました。
監査等を通じて、その実施状況を把握するとともに、徹底した指導・監督を行っております。
現在、JR北海道は、平成26年4月に発足した新経営陣の下、各種対策の実行等に取り組んでいるものと認識しております。
北海道新幹線の開業を控え、全社的な安全意識の徹底を通じて、信頼される公共交通機関としての役割を果たしてもらいたいと考えているところでございます。

(問)九州新幹線長崎ルートについてお伺いします。
長崎ルートに関しては、先般、与党の検討委員会で、JR九州がリレー方式を含めた早期の開業を提案しましたけれども、これについてどのようにお考えになられるかということと、もしリレー方式でやる場合、追加の費用等がかかると思いますが、その場合の費用の負担は、地元、特に佐賀県は追加負担に慎重ですが、地元負担についてどのようにお考えになられるかお願いします。
(答)与党の九州新幹線西九州ルート検討委員会において、23日に佐賀県知事から、24日に鉄道・運輸機構及びJR九州から意見を聴いたと承知しております。
与党の検討委員会における議論については、お答えする立場にはございませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにいたしましても、与党の検討委員会で一応、関係者の意見の聞き取りが終わった段階であって、今後は聞き取った意見を踏まえて、九州新幹線の開業のあり方について与党の委員会で議論を行っていくと聞いておりますので、国交省としても、検討委員会における議論も踏まえつつ、開業のあり方について検討を行ってまいりたいと思っております。
現段階で一定の方向性が決まったわけではございません。

(問)国家戦略特区の関係で伺います。
自家用車のライドシェアの拡大と称して、今、議論が進められていますけれど、今朝、自民党の部会で法案の概要の説明があったそうなのですが、今のところ現行の有償旅客制度を活用して、市町村だったりNPO法人が運行して、訪日外国人の運送を想定しているというような説明があったそうですが、今回のこの自家用車のライドシェアの拡大について、大臣のお考えを改めて教えてください。
(答)現在、内閣府において国家戦略特区法の一部改正案を3月上旬に国会に提出すべく準備を進めていると承知しております。
昨年10月20日の国家戦略特区諮問会議において、安倍総理から、過疎地等での観光客の交通手段として自家用自動車の活用を拡大するとの御発言がございました。
これを受けまして、国家戦略特区法の一部改正案の中に自家用車を用いた運送サービスに関する特例措置を盛り込む方向で、現在、政府部内で調整しています。
具体的には、鉄道、バス、タクシー等の公共交通機関による旅客運送が困難な地域において、現在は地域住民を対象としております自家用有償旅客運送制度について、観光客を対象として活用を可能とすることを検討しているところでございます。
なお、昨年、民間の経済団体からいわゆるライドシェアの提案がございましたが、これは仲介業者が運行の管理や安全管理には全く関わらないという内容でして、これについては、安全の確保、利用者の保護といった点から課題が多い。
極めて慎重に検討していかなければならないと考えているところでございます。

(問)先ほどの長崎ルートの質問に関連してですが、昨年1月の政府与党の申合せを拝見しますと、フリーゲージによる技術開発を推進し、開業時期を可能な限り前倒しすると。
フリーゲージによる前倒しに限定しているようにも読めるのですが、リレー方式による開業は申合せ事項の対象となるのか。
また対象となる場合、国交省としてリレー方式による開業前倒しを今後検討していくのか、大臣の御見解をお聞かせください。
(答)開業のあり方については、先ほど申し上げましたように、与党の九州新幹線西九州ルート検討委員会において議論を行っていくと聞いておりまして、まだ今の段階で一定の方向性が決まったわけではございません。
国交省においても、与党の検討委員会における議論も踏まえつつ、開業のあり方について検討を行ってまりたいと考えております。

(問)ざくっとした話で申し訳ありませんが、大臣のお考えをお聞かせください。
国土交通行政において、二輪車と四輪車・乗用車などとの対応の違いはあるべきだとお考えでしょうか。
(答)何を念頭に仰っているのかはっきりいたしませんけれども、それぞれ特性がございますので、安全の規制なりなんなり、自ずから違ってくる面があるかと思います。
(問)分かりました。
来週また伺いたいと思います。

(問)宅建業法の一部改正法案の閣議決定を踏まえての御所感と、説明紙に既存住宅売買瑕疵保険の言及がありますが、それの今後の普及に向けての具体策などあればお聞かせください。
(答)今回の宅建業法の改正によりまして、インスペクション等を活用して、消費者が安心して既存住宅の取引が行えるように、中古住宅の流通を促していこうということが1つの大きな狙いでございます。
インスペクションを受けた既存住宅の瑕疵保険というのも増やしていきたいとは思いますけれども、これは義務ではありませんので、あくまで任意ということでございます。

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