大臣会見

石井大臣会見要旨

2016年3月4日(金) 9:51 ~ 10:06
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から1点御報告がございます。国土交通省生産性革命プロジェクトの推進について申し上げます。
パネルを御覧いただきたいと思います。
我が国は、2010年の1億2806万人をピークに人口減少が始まり、しかも極めて速いスピードで高齢化も進みつつあります。
2030年までの20年間、貴重な労働力である生産年齢人口は毎年1%近く減少していくと見込まれております。
このように、これまで経済を支えてきた勤勉で豊富な労働力は減少し続けるといたしましても、例えば、トラックの積載率が5割を切る状況や、道路移動時間の約4割が渋滞に費やされている状況など様々な社会の「ムダ」を減らし、生産性を向上させていけば、経済成長を続けていくことは十分できると考えております。
かつての高度経済成長期の実質GDP成長率は1956年~1970年までの間の年平均で9.6%もありましたけれども、一方で、その間の労働力人口の伸び率は年平均1.4%程度でありまして、高度成長の大部分は生産性の向上がもたらしたものであると言うことができます。
近年、その生産性が低下しており、生産性向上こそが、これからの成長のキーワードということになります。
労働者数が減っても生産性が上がれば経済成長を確保することが十分できる。
これから、ますます生産性の向上が必要だということでございます。
生産性向上といえば、まず何といっても、急速に発達しつつあるICT、IoT、ロボット技術の活用など「未来型」の投資や新技術を活用するものが欠かせません。
しかし、それだけでなく、かつて東名高速道路や東海道新幹線の全通が高度成長をもたらしたように、都市の渋滞解消による時間短縮、事故や災害リスクの低減など、いわば「社会のベース」の生産性向上に取り組むことで、新たな需要を取り込んで消費を喚起するなど、より広範囲で大きな効果が期待できます。
加えて、サービス産業など生産性の低い「産業別」の生産性向上も急務です。
国土交通省は、国民経済や国民生活の基盤である社会資本や観光、物流など幅広い分野を担っております。
省を挙げて「社会のベース」、「産業別」、そして「未来型」の3つの分野の生産性向上に取り組むことで、我が国経済の持続的で力強い成長に貢献できると思っております。
そこで、私は、本年を「生産性革命元年」と位置づけ、省内に「国土交通省生産性革命本部」を設置し、総力を挙げて生産性革命に取り組むことといたしました。
来週7日月曜日に第1回会合を開催いたします。
今後、月1回程度開催し、熟度の高まったものから順次プロジェクトとして発表してまいります。
また、経済団体からも広く御意見を伺いたいと考えております。
次に、各カテゴリーの3つのプロジェクトの候補例をいくつか紹介いたします。
パネルの2枚目を御覧いただきたいと思います。
まず、「社会のベース」の生産性を高めるプロジェクトの候補例でございますが、「ピンポイント渋滞対策」というのがございます。
これは、構造的な渋滞要因をデータで特定し、ピンポイントで効率的な渋滞対策を実施するものであります。
また、「渋滞をなくす賢い料金」もあります。環状道路の整備で渋滞緩和が進んだところ、利用重視の賢い料金体系を導入することで、環状道路の効果を生かし更なる渋滞緩和を図ります。
まずは、本年4月より首都圏で導入いたします。
次に、「産業別」の生産性を高めるプロジェクトの候補例ですが、「本格的なiーConstructionへの転換」は、調査・測量、設計、施工・調査及び維持管理・更新のあらゆるプロセスにICTを取り入れることで生産性を大幅に向上するものです。
今月末までに、測量や検査等の15の基準とICTの建設機械のリース料を含む新積算基準を整備し、来年度より導入いたします。
国が行う大規模な土工については、原則としてICTを全面適用したいと思います。
最後に「未来型」投資・新技術で生産性を高めるプロジェクトの候補例ですが、「急所を特定する科学的な道路交通安全対策」は、これまでの事故の対策は、実際に事故が発生した箇所に対症療法的に行うことが中心でしたが、これからは、ビッグデータを活用し、潜在的な急所を事前に特定することで事故を科学的に防ぐ対策を全国各地で展開をいたします。
こうしたプロジェクトにつきまして、本部会合で取り上げてまいります。
本日示しました個別プロジェクト例の詳細につきましては、担当局にお尋ねいただきたいと思います。
私からは以上でございます。

質疑応答

(問)御説明ありがとうございました。
御説明いただいた今のプロジェクトの関係でお尋ねを差し上げますが、来週月曜日から具体的な議論が始まるということですが、今、御説明いただける範囲で、スケジュール感や数値目標等、何かございましたらお聞かせください。
(答)スケジュールは、先ほど申し上げましたように、来週の月曜日からスタートいたしまして、だいたい月1回のペースで本部会合を開催し、その都度、熟度の高まったものから、順次個別のプロジェクトを発表してまいりたいと、このように考えております。
それから、数値目標ですが、個別の個々のプロジェクトの数値目標については、可能なものについては本部会合で検討していきたいと考えております。

(問)国連安全保障理事会が新たな北朝鮮制裁決議を採択しました。
実効性が課題になってくると思われますけれども、今回新たに国交省として講じる対策の実効性というものを、どのように確保していくかということについてお考えをお聞かせください。
(答)日本時間の3日未明、国連安全保障理事会において、北朝鮮による本年1月の核実験及び2月の弾道ミサイル発射に関する決議が全会一致で採択されました。
今般の決議内容のうち、国土交通省に関係するものとしましては、北朝鮮を仕出地/仕向地とする貨物等の検査、制裁対象に指定された団体の関連船舶の入港禁止、北朝鮮による日本の船舶や航空機のチャーターの禁止、日本人による北朝鮮籍船舶の運航等の禁止などといった項目がございます。
今般の決議内容を踏まえました我が国としての具体的な対応につきましては、政府全体として検討しているところでありまして、国土交通省としては、関係省庁と連携しながら、適切に対応してまいりたいと、このように考えております。

(問)生産性革命ですが、何か数値的なものが1つあるといいのですが、出ないでしょうか。
(答)全体のプロジェクトについては、なかなか数値というのは難しいと思うのですが、先ほど例で示した個々のプロジェクトについては、これは本部会合の中で検討していきたいと思います。
現段階では、数字は手持ちにはないのですが、これからできるだけ明らかにしていきたいと思っています。
(問)渋滞で損失する経済的な損失や、その渋滞に絡んでの不必要な労働時間等を解消してマイナスをプラスに転じるということでよろしいですか。
(答)そういうことです。
先ほど申し上げましたように例えば、渋滞ということで言えば、道路の移動時間の全体の約4割が渋滞で費やされているという状況ですから、それを解消すれば4割時間が生まれるわけですね。
それを別の方に仕向けることができると。
移動の生産性は4割上がるということになりますね。
(問)高速道路で言うと、警察庁の範疇になると思いますが、速度制限が本来ならもう少しスピードを上げてもいいように設計されている新東名につきましても、警察庁の方で厳しい速度制限が設定されていたり、速度制限についての緩和なり、あとは高速道路で発生した自動車事故においても、警察が来ない限り、そのままの状態で止められてしまうので渋滞が発生してしまうとかという要因もあるのですが、この2点についてはいかがでしょうか。
(答)速度制限については、今、特段具体的に取り上げようということはないのですが、高速道路をきちんとネットワークとして整備すること自体が渋滞解消に非常に効果があるということです。
例えば新東名で言えば、先日、浜松から豊田の間が開通いたしましたが、これによって従来の東名高速の渋滞が約8割は解消できると見込まれておりまして、実際に開通した後を見ますと、元の東名高速の渋滞はほとんど解消されている。
こういうネットワークをきちんと整備していくということ。
それから既存の高速道路でも、いわばピンポイントで渋滞箇所があります。
例えば、線形で自然に速度が遅くなってしまったりだとか、トンネルだとか、そういったところの解消をピンポイント対策でやっていくということも非常に大きな効果があると思います。
それから、事故後の事故処理に伴う渋滞というのは、これからの検討課題でございます。

(問)フォルクスワーゲンの排ガス規制について伺いたいのですが、昨日、台上検査と路上検査を比較して、最大10倍の排出ガスが出るという問題が指摘されたわけなんですけれど、これは環境保護の観点からすれば大きな問題だと思いますが、大臣の受け止めと、路上走行検査の必要性や基準についてはどのようにお考えですか。
(答)そもそも今回のディーゼル車の路上走行検査は、フォルクスワーゲン車のような不正ソフトが搭載されているかどうか、その確認のためにやったということでございまして、昨年10月に環境省とディーゼル車の排出ガス検査方法の見直しということで合同検討委員会を設置いたしました。
これは、昨日の合同検討委員会で路上走行時の排出ガス調査を実施した結果、国産メーカー4社6台の結果を報告しております。
一部の車両においては、路上走行時に、低温時に故障を防ぐために排出ガスを低減する装置の作動を停止するというふうになっておりまして、それによって窒素酸化物が台上試験における規制値を上回って排出されるということが判明しております。
なお、6台すべての車両について不正ソフトの存在は確認されておりません。
大気環境の更なる改善の観点から、実走行での排出ガスの低減を図ることは望ましいと考えておりまして、この調査結果を受けて、昨日の合同検討委員会においては、ディーゼル車の排出ガス試験に関し、路上走行検査を導入することについての概ねの理解を得たという報告を受けております。
今後、国土交通省としましては、環境省と連携して、路上走行検査の導入に向けて、具体的な方法、それから規制値のあり方、排出ガス低減装置の作動の停止を可能とする範囲等について検討を進めていきたいと考えております。

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