大臣会見

石井大臣会見要旨

2016年10月18日(火) 9:21 ~ 9:42
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、私の方から1点御報告がございます。
本日の閣議で、当省提出の道路運送法の一部を改正する法律案が閣議決定されました。
これは、本年1月15日に発生しました軽井沢スキーバス事故を踏まえた総合的な対策の一環として、貸切バス事業の許可に更新制を導入する、事業者等の欠格事由を拡充する、民間指定機関が貸切バス事業者の巡回指導等を行うための負担金制度を創設する等の、法改正が必要な措置を講じようとするものであります。
詳細は事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
私からは以上です。

質疑応答

(問)日本航空が来春からの羽田-ニューヨーク線の運航を検討していると報道されていますが、その事実関係、企業の意向、就航実現性について、どのように御認識されているかをお聞かせください。
また、日本航空はいわゆる「8.10ペーパー」で新規路線の開設を制限されてきましたが、来年度以降の取扱いについての御見解も併せてお聞かせいただきたいと思います。
(答)日本航空が来年4月から羽田-ニューヨーク線を就航させる方針が決まったという、報道があることは承知していますが、国土交通省としては、日本航空が当該路線を就航させる方針を決めたということは承知しておりません。
日本航空の企業再生については、いわゆる「8.10ペーパー」に基づき、2016年度末まで、わが国航空会社間の競争環境が不適切に歪められることがないよう、同社による新規投資・路線開設等を監視し、必要に応じ指導助言を行うこととしております。
来年度以降の取扱いについては、一般論として申し上げれば、今後も引き続き安全の確保を第一としつつ、航空会社間の健全な競争を通じて利用者利便の向上を図るという航空政策の基本的な考え方に立ち、適切に対応してまいりたいと考えております。

(問)一昨日、大阪府の近鉄の河内国分駅で視覚障害者の男性がホームから転落し亡くなる事故がありました。
事故当時、ホームドアはなく、内方線付き点状ブロックもなく、安全を監視する駅員もホーム上にいない状況でした。
河内国分駅の1日当たりの利用人数は1万5000人です。
国土交通省は3000人以上の駅についてもバリアフリーが進むように、施策として表明していらっしゃいますけれども、中規模の駅についてもなかなか安全対策が進んでいないという状況があります。
取組を加速させるべきという議論もありますが、大臣の御見解をお願いします。
(答)16日に近畿日本鉄道大阪線の河内国分駅において、視覚障害者の方がホームから転落し、列車と衝突して亡くなられるという大変痛ましい事故が発生しました。
お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様に哀悼の意を表したいと思います。
国土交通省としては、8月15日に発生した視覚障害者の方の転落死亡事故を受けて、「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」を設置し、再発防止に向けた検討を行っております。
このような中、再びこういった事故が発生したことは大変残念であり、重く受け止めているところであります。
このため、第4回の検討会を急遽本日午後開催し、事故概要の共有を行うとともに、ハード・ソフトを含めた総合的な対策の検討を急ぎたいと考えております。
ホームドア等の整備のあり方については、今後、検討会の議論も踏まえて、その有効な整備のあり方について検討していきたいと考えております。
一連の事故を受けまして、駅ホームにおける安全性向上に向け、引き続き最大限の取組を進めていきたいと考えております。

(問)JR北海道の災害復旧の件ですが、御承知のように北海道は、JR北海道の被災した路線について、改良復旧とかJR北海道の負担分について無利子貸付とか助成金とかの特例的措置をお願いしたいと言っているのですが、先日16日に、菅官房長官が札幌でこの件に関して、従来の対応策の枠を超える形で支援したいと発言されています。
国土交通省としては今、現時点でどういうお考えなのか、お伺いいたします。
(答)今般の北海道上陸、あるいは近接した台風によって、従来にない非常に大きな被害が北海道、特に道東地区で発生したことを充分に踏まえまして、災害に強い鉄道が構築されることを念頭に置きながら、従来の鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業費の補助制度をはじめ、必要な支援について検討してまいりたいと考えております。

(問)熊本関連で2点質問があります。
1点目は熊本地震の関係で、16日、熊本地震から半年を迎え、大臣は熊本の被災現場を視察されたかと思いますが、改めて視察された感想と、復旧・復興に向けた決意と今後の対応をお伺いできればと思います。
もう1点は、阿蘇山の噴火に関して、先日気象庁が阿蘇山の噴火警戒レベルを引き上げる際の基準を見直すという方針を固めたとの報道がありましたが、事実関係と今後の予定を教えて下さい。
(答)10月16日に、熊本地震発災半年を機に、改めて復旧復興状況を確認するために熊本の現地視察を行いました。
まず朝一番で知事と意見交換をした上で、熊本城の視察、その後益城町に入りまして、復興市場の視察、あるいはまちづくりを今後やっていこうとする場所の視察、あるいはテクノ仮設団地で被災者の方との意見交換等も行わさせていただきました。
その後、大規模な地滑りがありました阿蘇大橋地区の視察も行いました。
その後、10月8日の阿蘇山の爆発的噴火で、降灰の被害があった阿蘇市の市街地を訪問しまして、その状況等を確認しました。
併せて益城町長、阿蘇市長とも意見交換を行ってきたところです。
全般的にインフラの復旧が着実に進んでいるという印象を受けましたが、熊本城や阿蘇大橋地区など、甚大な被害を受けたところについては、まだ完了までには相当の時間を要するように思いました。
また、益城町において、仮設住宅への入居、あるいは仮設店舗の誘致等が着実に進められており、今後の復興まちづくりに向けて、災害公営住宅等の整備が課題というお話も伺ってまいりました。
また、阿蘇山の爆発的噴火の被害は心配したほど大きなものではないことを確認しましたし、既にその被害も解消しつつあることも確認をいたしました。
ただやはり、一定程度まだ風評被害があるということでしたので、観光への影響については、正確な情報の発信などによって風評被害の拡大を防止したいと考えています。
引き続き、政府一丸となって、被災者の生活再建、被災地域の経済復興に向けて、全力で取組を進めてまいりたいと考えております。
また、阿蘇山の噴火警戒レベルの基準の件ですが、気象庁では、平成26年9月の御嶽山の噴火を受け、火山噴火予知連絡会の提言に基づいて、国民により分かりやすい形で火山防災情報を提供するために、噴火警戒レベルの判定基準を適宜見直した上で、順次公表してきております。
これは、硫黄島を除く全国49の常時観測火山を対象としており、現在のところ、すでに御嶽山や桜島などの6火山について判定基準の精査を終えて公表しております。
阿蘇山の噴火警戒レベルの判定基準については、これまでも検討を重ねてきているところですが、今回の噴火の検証も踏まえた上で、適切な基準に見直し、年内を目処に公表することとしております。

(問)冒頭のバス事故の閣議決定の関連で質問させて下さい。
改めましてスキーバス事故の受け止め、改めてどういった事故であったか、それから今回の閣議決定、法改正でこうした事故がどうなることを期待されるか。
その辺りをお願いします。
(答)先月23日にG7交通大臣会合が長野県軽井沢でございましたので、それに先だって、改めて事故現場を訪れ、被害者の親族の方ともお話をさせていただきました。このような悲惨な事故を二度と起こしてはいけないという決意を新たにしたところでございます。
今回の法改正については、先ほど冒頭で申し上げたとおりですが、こうした事故の再発防止のために不可欠な対策を盛り込んでおります。
本年末からのスキーシーズンに向けて、万全の対応を図るためにも、この法案の臨時国会での確実な成立に向けて引き続き努力をしていきたいと思っております。
また、法案の中身以外にも、監査体制を充実することや、監査基準の厳格化や、先進安全装置の導入支援等の総合的な対策を迅速に進め、こういった悲惨な事故を二度と起こさないという決意でしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

(問)冒頭の日本航空の件に関してですが、先ほど御答弁で、今後も引き続き航空会社間の健全な競争に立って適切に対応したいと御答弁されましたが、国土交通省はこれまで「8.10ペーパー」を根拠に羽田空港の発着枠の傾斜配分をしてきたと思うのですが、今後このペーパーの期限が切れる来年度以降は、格差是正を理由にした傾斜配分はしないのかどうか、こういった考え方は決まっているのか伺いたいのと、一般の民間の航空会社ですと料金設定は自由だと思いますが、日本航空の場合これまでの経緯を踏まえて、来年度以降、例えばダンピングなどをしないよう料金設定などで指導していく可能性はあるのか。その辺をお願いします。
(答)繰り返しになりますけど、来年度以降の取扱については安全確保を第一としつつ、航空会社間の健全な競争を通じて利用者利便の向上を図るという航空政策の基本的な考え方に立ち、適切な対応をしてまいるというのが現時点での考え方であります。
具体的な対応については、まだ時期尚早でございます。

(問)昨日、国土交通省で初乗り410円のタクシーについての調査結果が出て、6割の方が賛成ということだったのですが、これについての大臣の御見解と、一方で、現在審査中だと思うのですが、長距離に乗った場合値上げではないかという話があると思います。
そちらは利用者が減るのではないか。そうするとタクシー事業者の収入も減るのではないかという懸念もあると思います。
その辺について大臣の御見解を伺いたいと思います。
(答)今、申請がされている運賃の改定の全体像からすれば、短距離は下げるけど長距離は上げるということで、全体的に変わらないようにしようという申請内容になっていると思っております。
そういう意味では当初会社の収入が下がるのではないかという御心配もございましたが、全体的には運賃収入が今の乗車人数が変わらなかったとしても、運賃収入は変わらないようになっていると思います。
ところで、今回の410円の初乗運賃の実証実験の結果からしますと、1万人を超える利用者アンケートの結果、日本人利用者の約6割は、410円タクシーになれば利用回数が増えると回答しており、回答結果を平均すると、410円タクシーの導入により、タクシーの利用回数が月4.8回から月7回と月当たり約2回増加するという回答結果が得られております。
また、外国人利用者の約8割が、410円タクシーは「安い」または「適当」と回答しておりますので、410円タクシーの導入については、多くの利用者から一定の評価を得られたものと考えております。
今回得られた実証実験の結果については、現在申請がなされている東京の運賃改定の審査にも適切に活用し、速やかに運賃改定手続きを進めてまいりたいと考えております。

(問)国土交通省では、6月から離島などを担う地域航空路線の維持に向けての研究会を立ち上げております。
それに関連して、統合も含めたり競合も含めたりした検討をされているという報道がありましたが、現時点で国土交通省としての御見解と今後の方向性をどのようにお考えでしょうか。
(答)今御指摘いただいように、今年の6月に「持続可能な地域航空のあり方に関する研究会」を設置しまして、地方航空路線を持続可能なものとするために、従来の取組を超えた地域空港のあり方を模索をしているところでございます。
これまで研究会では、有識者委員により、これまで航空会社に対するヒアリング等が行われてきており、現在は、論点を整理するための準備を行っているところです。
報道されたように、地域航空会社の経営統合等に向けた案を、国土交通省が示したという事実はございません。
いずれにしても地域航空会社の間で協業の方向性になると思いますけれども、その協業が必ずしも経営統合ではないと思っております。

(問)最近、六本木でビルの足場が壊れて1人亡くなられるという事故が発生しました。
足場が壊れて事故が起こりましても、建設会社の名前は発表されません。
私もビルの建設現場の側を通るときは足場をつくっている会社の元である建設会社がきちんとしているところであればそれでも気をつけて通るのですが、小さいところの場合は万一ということも気をつけながら歩きます。
ああいう事故があっても足場をつくる孫請け、下請けの会社の名前しか発表されず、建設会社の名前が発表されないのですがそういうものでしょうか。
(答)元請けの会社の名前ということですか。
それは今、警察が捜査をしている中で、必要な情報を発表しているという状況なので、国土交通省としてはコメントしにくいことなのですが、ただ、今回の事案について申し上げるとすれば、1名の方が亡くなられた事故が発生したということについては大変遺憾に思っております。
建設工事は言うまでもなく安全が第一ですので、建設企業には工事現場の安全性確保に万全を期していただくことが必要であると考えております。
事故原因については、今捜査当局が捜査中ですので、国土交通省はまだはっきりとした事実は把握しておりませんけれども、こういった事故を二度と起こさないように、しっかりとした事故原因の把握の上で必要な対応を講じていきたいと考えております。

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