大臣会見

石井大臣会見要旨

2017年3月10日(金) 9:41 ~ 9:58
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件ですが、当省提出の3本の法律案が閣議決定されましたので、御報告いたします。
1本目は、「港湾法の一部を改正する法律案」です。
これは、官民の連携により国際クルーズ拠点を形成するため、旅客施設等への投資を行うクルーズ船社に岸壁の優先使用などを認める仕組みを創設するとともに、非常災害時に海上からの支援を円滑に進めるため、国が港湾施設の利用調整等を実施できるようにするなど必要な改正を行うものです。
2本目は、「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律案」です。
これは、訪日外国人旅行者の急増に対応した受入環境の整備を図るため、通訳案内士や旅行業に係る規制の見直しを行うとともに、旅行の安全や取引の公正を確保するため、旅行の企画・手配を行ういわゆるランドオペレーターの登録制度を創設するものです。
3本目は、「住宅宿泊事業法案」です。
これは、訪日外国人旅行者が急増する中、急速に拡大しつつあるいわゆる民泊について、地域住民とのトラブルなどが発生していることから、民泊に関する一定のルールを定め、健全な民泊の普及を図ろうとするものです。
3つの法律案とも、詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

(問)森友学園に関連してなんですが、建物の建設費について、国それから大阪府と空港会社とそれぞれ金額の異なる3つの報告書を提出していたということが分かりました。
これに対して大臣の御所感をお聞かせください。
もう1点、施工業者では、このなかで15億円が正しいといっていますが、補助金の返還を含めた今後の対応を教えてください。
(答)森友学園の小学校校舎の工事費についてのお尋ねですが、国の補助金について申請された建設工事費、大阪府教育庁に提出された建設工事費及び関西エアポート株式会社に提出された建設工事費がいずれも異なっているものであったことは、承知しております。
また、施工業者が約15億円が正しいと述べたとの報道も承知しております。
こうした状況を踏まえ、国の補助金の申請代理人を呼んで、工事請負契約の経緯やその履行状況などについて徹底した調査を行うとともに、関西エアポート株式会社に対し、更に詳細な事実を確認し、調査を行うよう指示したところです。
森友学園の設置が認可されなかった場合の対応ですが、現段階で仮定の議論についてお答えすることは差し控えさせていただきますが、一般論で申し上げれば、補助金適正化法の規定により、補助金の交付の目的に従い補助事業が行われない場合等については、補助金の交付の決定を取消し、返還を求めることができることとされております。
いずれにしても、現状においては、まず何よりも事実関係の詳細を明らかにする必要があると考えており、速やかに対応するよう指示をしているところでございます。

(問)民泊法案についてお伺いしますが、閣議決定を受けまして、大臣の御所感とその狙い、期待する効果などを教えてください。
それから法に実効性を持たせるために何か工夫などありましたら、それも合わせてお願いします。
(答)本日、住宅宿泊事業法案が閣議決定されました。
この法案は、急速に拡大する民泊サービスについて、騒音やゴミ出しなどによる近隣トラブルが社会問題となっていることや、観光旅客の宿泊ニーズが多様化していることなどに対応するため、一定のルールを作って、健全な民泊の普及を図るものです。
今後は、適切な規制の下で、地域の実情にも配慮しつつ、ニーズに対応した民泊サービスの提供が可能となりますので、プロの宿泊サービスであるホテル・旅館に加え、民泊という選択肢が加わることで、旅行者の多様化する宿泊ニーズに幅広く対応できるようになることが期待されます。
こうしたことから、この法律案は、2020年にインバウンド4000万人、訪日外国人旅行消費額8兆円等の観光ビジョンに掲げられた目標の達成を後押しをし、観光先進国の実現に寄与するものと考えております。

(問)明日で東日本大震災の発生から6年が経過します。
これまでの国土交通省の取組の評価、並びに今後もっと力を入れていかなければならないと思うところがあるかなど、大臣のお考えをお伺いします。
(答)東日本大震災の発生から明日で6年となります。
一昨年の大臣就任以降、被災地を度々訪れてまいりました。
その都度、直接、復興の状況や課題を確認してまいりました。
復興は全体として順調に進捗しておりますけれども、平成32年度までの10年間の復興期間の総仕上げに向けて、引き続き国土交通省の所管事業について総力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
国土交通省の対応としては、まず第1に、基幹インフラの整備ということで、復興道路、復興支援道路が全体の約9割で、開通済みあるいは開通の見通しを公表しております。
引き続き、地元の協力を得ながら、復興・創生期間内の全線開通を目指してまいります。
また、鉄道の復旧については、JR山田線の平成30年度内の復旧、JR常磐線の平成31年度内の全線開通に向けて、関係者と緊密に連携をし、取り組んでまいります。
2番目に、住宅再建・復興まちづくりについては、この1月末までに、災害公営住宅が計画戸数の約8割で完成済みとなりました。
民間住宅等の宅地については、計画戸数の約6割で供給済みという状況まで至っております。
引き続き住まいの復興工程表に沿って事業を促進してまいりたいと思っています。
第3に、生業の再生に向けては、国土交通省関係では特に観光の振興が重要と考えています。
東北6県の外国人の宿泊者数を、2020年に150万人泊、これは2015年の3倍に当たりますが、そういう目標を設定しております。
引き続き関係省庁と緊密に連携しながら、東北の魅力を国の内外に発信する取組ですとか、あるいは広域観光周遊ルートの形成をはじめとするインバウンド促進など、東北の観光復興の取組を強力に推進していきたいと思っております。
また原子力災害を受けた福島におきましては、この春に帰還困難区域を除くほとんどの地域で避難指示が解除がされる見込みとなっております。
引き続き復興庁などと連携をいたしまして、福島の復興・再生に取り組んでいきたい、今後とも被災者の気持ちに寄り添いながら、被災者の皆様に1日も早く復興を実感していただけるように全力で取り組んでまいりたいと考えております。

(問)先ほどの森友学園の件で、補助金の申請代理人を呼んで調査をするというお話でしたが、明日から土日に入りますが、週明けにでも呼んで聞き取りをするということでしょうか。
現状でもいろいろヒアリングをしているかと思いますが、現状でどのように申請代理人はお話をしているのでしょうか。
(答)まず確認をしたということで、これは電話で確認をしたのだと思いますが、国に提出した契約書が正しいものですという説明のようですが、これは直接呼んで詳細を確認するように指示をしたところです。
いつ呼ぶかということについては調整中と聞いておりますが、なるべく早く対応するように指示しております。

(問)先ほどの民泊の法案に関しまして、都道府県などが条例で日数を制限することができるということが認められていると思いますが、国としては180日を上限としている中で、条例の制定ばかり起きてしまうと法案の意味がなくなってしまうという懸念もあるかと思います。
この辺りの対応についてはどうお考えでしょうか。
(答)民泊新法におきましては、昨年6月の「民泊サービスのあり方に関する検討会」の最終報告書におきまして、地域の実情を配慮することについて盛り込まれていたところです。
その一方、民泊については急増するインバウンドへの多様なニーズへの対応等、新たな宿泊モデルとして期待されており、規制を最小限にすべきであるという意見もございます。
年間提供日数については、生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、条例によって住宅宿泊事業の実施を制限できる規定を盛り込んだところです。
この規定により、過度な制限を抑制しつつ、地域の実情が反映された対応がなされるよう、適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
いずれにしましても今後、関係省庁とともに具体的な手続きの詳細は詰めていきたいと考えています。
(問)今の質問と関連しますが、民泊で条例が広がってしまうと、法律の意味がなくなってしまうということで、大臣も先ほど生活環境の悪化を防止するのに合理的な限度ということを仰いましたけれども、具体的な生活環境を悪化するというのはどういうケースを想定されているのか。
合理的な限度というのは、ゼロ日にするのはまだあれだということをいっているようですけれども、何日からですか。
(答)これは事務方から答弁させます。
(事務方)生活環境につきましては、基本的にはその地域に住んでいる方が、生活環境が民泊によって受忍できない場合には制限できるということで、これから具体的に定めていこうと思っています。
ゼロ日につきましては、この法律は適正なルールの下で民泊を推進していこうというものでありますので、ゼロ日にするのは基本的に適切ではないというふうに考えております。

(問)大臣はこれまで建設・運送業界との意見交換をなさって、罰則付きの残業規制適用には猶予を求めるという声を両業界からお聞きになったと思います。
建設業界については五輪後相当の期間、運送業界は相当相応の期間という猶予を求めていますが、両業界からの意向によって、今後どのように大臣として取り組まれるのか教えてください。
(答)働き方改革につきましては、私としましては、建設業界あるいは自動車運送業界ともに将来の担い手を確保するためには、やはり積極的に取り組んでいかなければならないと思っております。
長時間労働の是正、休日の確保、それから給与等の処遇の改善も含めて、働き方改革はやはり断行せざるを得ないと考えております。
そういった意味で、建設業界あるいは自動車運送業界に対しても、今、時間外労働の上限規制の適用除外になっていることについては、この際、見直した方が業界にとって将来プラスになるのではないかとお話をさせていただいたところでございます。
両業界とも基本的には御理解いただいていると思いますが、一方で、建設業界については発注者側との関係、自動車運送業界については、特にトラックとは荷主との関係ということで、業界だけでは完結できないという実情もあり、やはりそういった実態を踏まえてやっていただきたいというお話もいただいておりますので、それはもっともなことだと思いますから、そういう両業界の実態を踏まえつつ、働き方改革が実現できるよう今後調整していきたいと思っております。

(問)先ほど復興に関して言及があったと思いますが、復興に関わる政務官が不用意な行動・発言によって事実上更迭される事態になりましたが、それに対してどうお考えでしょうか。
(答)わが省の政務官ではございませんので、コメントは控えたいと思います。
(問)政府の一員ですし、国土交通大臣は復興に携わる大臣ですが、何も御所感がないということでしょうか。
(答)わが省の政務官ではございませんので、コメントは控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、政府にある人間というのは、常に緊張感を持って対応しなければいけないと考えております。

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