大臣会見

石井大臣会見要旨

2017年6月27日(火) 11:29 ~ 11:56
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から3点御報告がございます。
1点目は先週の「イタリア出張について」です。
イタリアのカリアリで6月21、22日に開催されましたG7交通大臣会合に出席してまいりました。
今回の会合は、「インフラの社会的価値の再発見」がテーマであり、「インフラ」と「自動運転」の2点について各国の交通担当大臣と活発な議論を行ったうえで、大臣宣言がとりまとめられました。
インフラは、社会的分断のリスクを軽減することで社会福祉に貢献するものであり、また整備の計画・実施段階で住民参加を促すことの重要性を確認しました。
これらに関し、インフラ整備に関するワーキンググループを立ち上げ、革新的なアイデアやベストプラクティスを共有することとなりました。
次に、自動運転に関しては、女性、高齢者、障害者等の交通へのアクセスを向上し、雇用の創出や個人の自立につながるものであることが確認されました。
また、より高度な自動運転技術の実用化に向けて知見を共有し、国連の枠組みで自動運転技術の効果や安全性を検証するための性能要件や試験方法について検討を継続していくこととする一方で、G7の自動運転のワーキンググループにおいて、これらの検討の基礎となる情報の共有を図ることが確認されました。
また、会合に併せ、大臣が参加できなかったフランスを除く5か国及びEUとバイ会談を実施し、インフラ・交通分野における協力について意見交換を行いました。
特に、今回初参加となった米国のチャオ運輸長官とは、私自身初めてのバイ会談を実施することができました。
詳細は、後ほど資料を配付いたします。
2点目は、「ダム再生ビジョンについて」です。
国土交通省では生産性革命プロジェクトの1つとして、既設ダムを有効活用する「ダム再生」を推進しており、この度、ダム再生を加速する方策を示す「ダム再生ビジョン」をとりまとめました。
ダム再生は、大規模な出水時に利水容量を洪水調節に活用する、もともと利水容量と、その上に洪水調節容量がありますが、洪水の前に利水容量を下げておく、事前に放流することにより洪水調整の容量を増やすという、既存の施設を活用した運用改善で新たな効果を発揮していくのが1つ。
もう1つは施設の改良で、少しの堤体のかさ上げにより、ダムの貯水能力を大きく増大させる、これは北海道の新桂沢ダムの例ですが、堤体を2割かさ上げすることにより、貯水容量がこの例ですと6割増える、少しの堤体のかさ上げによりダムの貯水容量を大きく増やすといったことがございます。
国土交通省としては、今後、このダム再生ビジョンで示した方策を具現化し、頻発する洪水・渇水の被害軽減や再生可能エネルギーの導入などに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
特に、直轄や水資源機構管理の全123ダムについては、運用改善による新たな効果を発揮させるための操作規則等の改訂に向けた総点検を本年度内に完了させる予定です。
また、かさ上げ等の施設改良については、近年の水害等の発生状況、検討の熟度、また関係機関との調整等を踏まえながら、平成30年度以降、順次事業化してまいります。
詳細は、後ほど事務方から説明させます。
3点目は、東京オリンピック・パラリンピックの「東京オリパラナンバーのデザインの国民意見募集の開始について」です。
国土交通省におきましては、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、図柄入りの特別仕様ナンバープレートを本年10月頃から交付開始することとしております。
この特別仕様ナンバーの図柄のデザインについては、本年1月に国民の皆様に公募した結果、96作品の応募をいただき、その後デザイナー等の有識者で構成されます選考委員会の審査を経て、最終5作品、作品A、B、C、D、Eの5作品に絞り込んだところです。
この度、この5作品について、国民の皆様から御意見をお聞きすることにいたしましたのでお知らせいたします。
東京2020オリンピック・パラリンピックを国民の皆様と一緒に盛り上げるため、多くの御意見をお待ちしております。
7月3日から7月12日まで、受付専用ウェブサイトから御意見を募集させていただく予定です。
今後、国民の皆様から寄せられた御意見を踏まえつつ、選考委員会による最終審査を経まして、本年7月下旬頃に最終デザインを決定することとしております。
詳細は、後ほど事務方から説明させます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)今、公表された5作品についてですが、それぞれの内容や大臣の御評価をお伺いできますでしょうか。
それと、これは可能であればでよいのですが、個人的にどれがお好みでしょうか。
よろしくお願いいたします。
(答)私の立場でどの作品がよいか、自分の好みかということをコメントすることは、今後、公平な選考に影響を及ぼすおそれがございますので、差し控えさせていただきたいと思いますが、それぞれの作品の特徴としては、まず作品のA、これは五輪マーク、5つの輪のマークを水引と大会エンブレムの市松模様で表現したものが、作品Aでございます。
ナンバープレートに入れるとこういう形になります。
それから作品のB、様々な色で未来に向かう光を表現したものが、作品Bでございます。
作品のC、これは東京の伝統工芸であります江戸切子の文様で鳥の翼を表現したものが、作品Cでございます。
作品のD、これはスカイツリーなどの東京の街並みと日の丸を表現したものが、作品Dでございます。
最後の作品Eは、オリンピックとパラリンピックの競技選手のシルエットを表現したもので、いずれも素晴らしい、甲乙付け難い作品だと思っております。

(問)先ほども言及ございましたが、G7交通大臣会合の成果もありますけれども、今後を含めた課題などで改めて認識した点がありましたら所感を伺えますでしょうか。
(答)今回のG7交通大臣会合につきましては、先ほど申し上げましたとおり、「インフラの社会的価値の再発見」がテーマでございまして、インフラと自動運転の2点について議論が進められ、大臣宣言がとりまとめられました。
インフラに関しましては、わが国からも重要性を強調いたしましたが、昨年の軽井沢におけますG7交通大臣会合でも確認された、質の高いインフラ投資の促進、また、ストック効果に着目した計画的なインフラ投資、更に既存インフラの再利用・メンテナンス等の推進等が再確認されたことが意義深いと考えております。
また、新たに設置されることとなりましたインフラ整備に関するワーキンググループにつきましては、人口減少や少子高齢化社会にあるわが国にとりまして、持続可能な社会を構築するためのG7各国の経験を共有する場として重要でありまして、今後とも積極的に参画してまいりたいと考えております。
また、自動運転につきましては、雇用の創出や個人の自立といった社会的意義に加えまして、自動運転による新たな雇用に不可欠なスキルのトレーニングや啓発活動、低所得者層への機会提供の努力の必要性に触れた点が重要であります。
また、レベル3、レベル4といった、より高度な自動運転技術の実用化に向けまして、サイバーセキュリティやデータ保護に着目したデータの利用方法の検証、事故時や非常時における法的・倫理的な責任分担のあり方の検証といった、個別具体的な課題解決の必要性に踏み込んだ点が、昨年以降の大きな進展として挙げられると思っております。
今回の会合での議論やより強化された各国との協力関係をいかしまして、わが国といたしましても、質の高いインフラ投資、自動運転等の政策を積極的に進めていきたいと考えております。

(問)昨日、タカタが民事再生法の適用を申請しました。
実際に申請したことになるのですが、これを受けての大臣の受け止め、それからリコールとか、今後の国土交通省の対応をお聞かせください。
(答)タカタが昨日、民事再生手続開始の申し立てを行ったことは承知しております。
タカタ製のエアバッグにつきましては、安全確保を徹底するため、僅かでも事故の可能性があるものにつきましては、速やかにリコールを実施しております。
リコールの改修状況につきましては、5月末時点で73%となっておりまして、自動車メーカー等に対して、早急にリコール対象車両の改修を進めるよう、引き続き指導を行ってまいります。
タカタは、民事再生手続開始後もリコールに必要な部品の供給を継続することを表明しているところでありまして、国土交通省といたしましては、リコールに必要な部品の供給が滞ることのないよう、引き続きタカタに対する指導と必要なチェックを行ってまいりたいと考えております。
本件は安全上極めて重要な問題でございますので、今後とも対応に万全を期していきたいと考えています。

(問)ナンバープレートのお話ですが、ラグビーワールドカップのときはこういった募集という形はされませんでしたけれども、今回、どうしてこういった意見募集という形を取ることになったのか、その狙いをお聞かせください。
もう1点、五輪のエンブレムでいうと、イラストが酷似しているという問題もありましたけれども、そういったことを踏まえた対応ですとか、そういったことは何か考慮されていらっしゃるのでしょうか。
(答)ラグビーワールドカップとの対照ですね。
事務方が答えます。
(事務方)ラグビーにつきましては、組織委員会の方から、もう既に交付されておりますが、あのデザインでやってほしいと具体的な要望がございましたので、あのデザインになっております。
オリンピックにつきましては、むしろIOC及び組織委員会の方から国土交通省の施策としてやるものですから、国土交通省の方で決めてほしいということで、国土交通省として、より広く国民の方々に御理解いただき普及していくために、国民募集という形で絵を選定させていただくことにしたわけです。
(デザインのチェックについては、)まず1つ、著作権につきましては、なかなか事前の調べが、登録制度等がないものですから、これは今回の意見募集に併せて、ホームページにも記載しておりますが、御自身のデザインであるとか、街並みのデザインと酷似しているという場合については申し出てくださいということも併せて広報させていただいております。
一方、商標登録につきましては、特許庁の御協力もいただき、今回の発表に先立ち調査をしておりまして、問題ないという形でチェックを事前にしております。

(問)G7の交通大臣会合のことで1点追加で教えていただきたいのですが、自動運転ですけれども、交通ルールの面では、昨年までは独自のルールを作りたい米国と、国際的ルールを作るその他の国ということで、若干立場が違っていたと思うのですが、今回は交通ルールが国際的に統一のものに作ろうといった気運というか、米国も含めたそういった流れになったのでしょうか。
(答)交通ルールというよりは、性能等の基準の話ですね。
そちらについては基本的に、今回G7交通大臣会合におきましても、この自動運転に関するワーキンググループで、お互いに情報交換をしつつ、国連の場で共通の基準等を作っていこうという方向性が示されているところでございます。
米国についても、基本的な考え方は一緒にきちんとまとめていきたいという大きな方向性では一致したというふうに考えております。

(問)昨日、所有者不明土地の問題で、民間の研究会が全国の2割の土地で所有者が分からなくなっている可能性があるとの推計結果を公表されました。
これについての受け止めと、国土交通省として、今後この問題にどのように対応されていくのか、お考えをお聞かせください。
(答)お尋ねの件については、東京大学の増田寛也氏を座長とした民間のプラットホームにおいて、議論の前提となる実態把握を中心に中間整理として公表されたものと承知をしております。
この中で、所有者台帳により所有者が直ちに判明しない土地、これを所有者不明土地とされていますが、これが地籍調査を活用した全国推計の結果で約20.3%、面積換算では九州と同等の水準になるという発表がなされたと聞いております。
ただ、ここでの対象は、別途調査をすれば所有者が判明するケースも多く含まれておりますので、全てが直ちに問題となるというわけではないとされておりますけれども、公共事業用地の取得など様々な場面で、所有者の調査に膨大な時間や費用や労力を求められている問題に直面しているのも事実でありますので、国土交通省としても大きな課題であると受け止めております。
6月9日に閣議決定されました「骨太の方針2017」におきましては、所有者不明土地の有効活用につきまして、必要となる法案の次期通常国会への提出を目指す旨が盛り込まれております。
国土交通省としましては、政府全体の動向も踏まえつつ、関係省庁としっかり連携しながら適切に対応してまいりたいと考えております。

(問)バニラ・エアの問題について2点お伺いします。
国際線の乗客を国内線に誤誘導して必要な審査などを受けずに入国させるトラブルを去年に引き続いて今回もまた起こしたわけですが、先週対策を提出しましたが、この対策について、再発防止に向けて十分かどうか、国土交通省としての受け止めを聞かせてください。
また、トラブルを繰り返しているにも関わらず、対策についての記者会への説明を当初拒否するなど、重大なトラブルを起こした公共交通機関としての自覚が足りないのではないかと感じます。
三度起こせば国土交通省の監督責任も問われると思うのですが、今後の対応についてどうされるのかお聞かせください。
(答)23日にバニラ・エアから国際空港における国際線旅客の誤誘導に関する再発防止策が報告されました。
これを受けまして現在航空局において、この再発防止策の実効性等を確認しているところでございます。
準備が出来次第、具体的な今回の誤誘導に関する処分の内容について申し渡すこととしております。
こうした事態が今後再び起きないよう、バニラ・エアの再発防止策について国土交通省としても指導を徹底してまいりたいと考えております。

(問)今、都内では都議会の選挙が行われておりますが、そこでは、たまたま大臣の母体である公明党は、都民ファーストと一緒になって活動をしております。
私も港区に住む人間として、そちらの応援もしておりますが、その中で一番今聞いて欲しいのは、都民ファーストとしては、羽田空港をオリンピック・パラリンピック前に、何とか旅客便専用の空港にして欲しいと、いわゆる今現在ある十分な滑走路とスロット、それを全部使いますと、成田に強制的に入れられている航空会社、関西国際空港に入れられている航空会社、名古屋に入れられている航空会社、日本はオープンスカイを批准している以上、全航空会社を全部羽田に持ってきても十分な体制があるので、何とかそういう方にして欲しいと、それを都民ファーストに申し入れてきたのは、日本の外交団体の団長でありますサンマリノの大使で、この大使が中心になって各国の大使館からの声でもあるのです。
たまたまこの大使は、一昨年ミニチュアの日本の神社を同国に寄贈するに当たって、日本からゲストとして、安倍総理のお母さんをお連れして、そのことが小学館からも、「だから日本は世界から尊敬される」という著書となって出ておりまして、この大使館の人たちが、何で一番不便なところ、成田にオリンピック・パラリンピックのときも日本に来るお客さんを成田で迎えるということを、未だに改めないのかということを陳情しているわけです。
都民ファーストとしては、東京都23区の各区でそういう運動が展開されようとしています。
それに反対するのは、この間もこういう話をしましたら航空局の方から呼ばれてお話をしましたが、大臣にも1回お話したことがあります、東京都御出身だから、ぜひ声を聞いて欲しい、確かあのときは、何県か県をまたいでの大臣であるので東京都だけ応援するわけにはいかないという話もありましたが、今回、都民ファーストの中に公明党も入って応援していますので、大臣のお耳に入れておこうと思ってお伺いしておりますが、御一考のほどお願いしたいと思います。
(答)私、都民ファーストの政策を全部承知しているわけではありませんが、御指摘のあったとおり、各国の交通担当大臣とバイ会談をすると多くの大臣からは何とか羽田空港に便を増やしてもらえないかという御要請を受けることはたくさんございます。
残念ながら混雑空港ですので余裕がなく厳しい状況にございますけれども、一方で、2020年4000万人というインバウンドをお迎えするに当たっては、羽田、成田とも今の滑走路の体制でも何とか発着回数を増やそうということで今運用改善を行っているところです。
羽田空港については、南風時に都心のルートを使って離発着するということで、この新しいルートによって年間約4万回近い発着回数を増やすことが可能になり、今住民の皆様に御説明等をさせていただいているところでございます。
全ての御要請を受けることは到底難しいですが、これが順調にいけば、海外各国の御要請もある程度は受け入れることは可能になってくると思っております。

(問)一部報道で、軽井沢スキーバス事故について近く関係者が書類送検されると出ておりますが、このスキーバス事故についての大臣の所感と国土交通省がどれだけ対策をとってきたというものがあれば改めてお願いします。
(答)軽井沢スキーバス事故を起こしたイーエスピーの社長ら3人を警察が書類送検する方針を固めたという報道があったことは承知をしております。
捜査中の個別事案についてのコメントは控えさせていただきたいと思いますが、国土交通省としましてはこういった悲惨な事故を二度と起こさないということで、これまでも省内に委員会を設けて再発防止策を講じてきたところでございます。
昨年秋の臨時国会におきましては、法律改正もいたしまして貸切バスの許可の更新制等々、抜本的な対策も講じているところでございますので、まずはこうした再発防止策をしっかりと実効性のあるものにしていく、着実に実施していく、そして二度とこういった悲惨な事故を起こさないようにしていく、ということが我々に課された使命だと思っております。

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