大臣会見

石井大臣会見要旨

2017年8月25日(金) 10:46 ~ 11:02
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議で、私の方から1点御報告があります。
19日の土曜日にH-2)Aロケット35号機によります「みちびき3号機」の打ち上げが成功しました。
私といたしましても大変嬉しく思っております。
本日の閣議で、打ち上げについて宇宙政策担当の内閣府特命担当大臣及び文部科学大臣から報告があり、私からも発言いたしました。
今回打ち上げられた「みちびき3号機」は、現在運用しております運輸多目的衛星の機能を引き継ぎ、航空用の衛星航法システムSBAS(エスバス)による測位補強サービスの提供に利用されます。
国土交通省といたしましては、GPSの誤差補正情報等を生成するSBAS(エスバス)処理装置の整備を進めているところであり、引き続き内閣府と連携して、平成32年度からの利用開始に向けた準備を着実に進めてまいります。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
このほか、私の方から2点御報告があります。
1点目は、海外出張の件についてです。
8月27日から30日にかけて、シンガポール及びマレーシアを訪問します。
今回の出張では、シンガポールにおきまして開催されます、高速鉄道シンポジウムに出席し、高速鉄道の受注に向けたトップセールスを行う予定です。
マレーシアにおきましては、海上交通管制のためのASEAN地域訓練センターの設立記念式典に出席し、日本とASEANとの更なる協力関係の強化につなげる予定です。
併せて、シンガポール・マレーシア両国政府要人との会談を行い、新幹線の導入を働きかけるとともに、都市開発・建設産業、港湾分野等について政策協議を行う予定です。
詳細は、後ほど資料を配付いたします。
2点目は、「スーパー・メガリージョン構想検討会」の設置についてです。
平成27年に閣議決定した国土形成計画では、リニア中央新幹線の整備に関しまして、「国土構造に大きな変化をもたらし、海外からヒト、モノ、カネ、情報を引きつけ、世界を先導するスーパー・メガリージョンが形成され、これにより幅広い分野で新たな価値の創出が期待される」としています。
その後、昨年秋の国会では、安倍総理よりリニア中央新幹線の全線開業を最大8年間前倒しし、東京、名古屋、大阪を大きなハブとしながら、全国を一つの経済圏に統合する「地方創生回廊」を整えるとの表明がなされています。
こうした経緯を踏まえ、リニア中央新幹線等の高速交通ネットワークの効果を最大限引き出すための課題の抽出とその解決に向けたビジョンを描くために、今般検討会の設置を指示しました。
構想については、平成31年夏頃を目途にとりまとめ、次期国土形成計画や広域地方計画の改定も視野に入れながら、各地の地域づくりに働きかけてまいります。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)今御発言のあったスーパー・メガリージョン構想に関して、大臣御自身は東京・大阪間のリニア全線開業後の国土の姿をどのようにイメージされているのでしょうか。
(答)リニアをはじめとしまして、全国に広がる高速交通ネットワークの整備がなされれば、劇的な時間距離の短縮が実現し、大都市圏をはじめ、従来は困難であった遠隔な地方圏間の交流、対流が容易になると考えております。
これにより、各圏域の個性ある産業が、フェイス・トゥ・フェイス コミュニケーションを通じて融合することで、新たな価値創造やイノベーションが日本全域で行われる可能性があると考えております。
更に大都市と自然豊かな農村の新たな対流によって、従来にはないライフスタイルやビジネススタイルが生まれ、人々の暮らしや働き方に多様性と豊かさを与えるような国土の形成も期待できるのではないかと考えております。
こういった効果を最大限引き出し、魅力ある国土を形成させることを目指して、将来のビジョンを描いていきたいと考えております。

(問)国が国鉄分割民営化の際に、JR北海道に対する経営支援策としていた経営安定基金の運用益についてですが、分割民営化後の30年間の実績を北海道新聞で調べたところ、国が当時想定していた498億円が毎年措置された場合と比べて、4600億円不足しているということが分かりました。
国土交通省鉄道局が出している「JR北海道に対する経営支援策について」という資料で示されている様々な策のうち、運用益に含まれていない基金の積み増し分による基金だとか、追加支援による助成金を加えても、3600億円以上が不足しているという計算です。
国はこういう計算を踏まえても、JR北海道に対する十分な経営支援を行ってきたとお考えかどうか、まず大臣にお尋ねします。
それから、大臣は現時点でも経営安定基金の運用益の減少よりも、利用者減少で鉄道特性を発揮できない路線が多く出てきているということが、JR北海道の経営問題の主要因であるというお考えでしょうか。
(答)経営安定基金の運用益が金利により変動することは、国鉄改革の当初から想定された仕組みでありまして、長期的な情勢の変化に伴って運用益が減少していることにつきましては、基本的にはJR北海道の経営努力によって対処することが求められていると考えております。
しかしながら、こういった考え方に立ちつつも、国はJR北海道に対しまして、累次にわたって支援を行ってきておりまして、直近では平成28年度からの3年間で総額1200億円の支援を行うこととしております。
これにより当面は必要な安全投資や修繕を行いながら事業を続けていくことができる見通しであります。
その一方でJR北海道は、国鉄改革以降の情勢の大きな変化に見舞われていると思っております。
特に北海道は、昭和62年当時と比べますと、高速道路の開通の延長が劇的に伸びておりまして、また、自動車の保有台数も倍近く伸びています。
その一方で人口自体が全国に先駆けて減少を始めている、そういった中で札幌圏は、輸送密度が国鉄改革当初より伸びておりますが、その他の圏域においては、大きく減少しているというところもございまして、鉄道の特性を発揮しづらい路線が増加している厳しい状況に置かれております。
このため、今後、地域における持続可能な交通体系のあり方について、関係者が共に考えていく必要があるという考え方に変わりはございません。
国土交通省といたしましては、北海道庁とも連携をしながら地域における協議に参画をいたしまして、持続可能な交通体系の構築に向けた対応を検討してまいりたいと考えております。

(問)追加なんですけれども、国鉄民営化の直前の国会議論で、金利低下による支援不足を懸念する声が挙がっていたわけですけれども、国はこうした意見を押し切って経営安定資金方式を導入した経過があります。
石井大臣の所属政党の公明党の参議院議員からも、当時の国会議論で金利低下を懸念する、それがまた地域の負担につながるのではないかというような指摘も出ていたわけですけれども、当時の国の判断に誤りはなかったとお考えか、お聞かせいただけますか。
(答)JR北海道につきましては、厳しい経営となることが見込まれることを踏まえ、国鉄の長期債務を引き継がないこととするとともに、経営安定基金を設けたところでありまして、この判断に誤りがあったとは考えておりません。

(問)概算要求も近くなってまいりましたので、大臣に今年の概算要求に向けて公表前ではありますけれども、今回の要求案の特徴であったり、力を入れた施策分野などありましたら、少し教えていただきたいと思います。
(答)平成30年度の予算概算要求につきましては、8月31日の概算要求書の提出に向けまして、今、大詰めの作業をしているところであります。
その中で、重点を置きたい分野といたしましては、昨今の相次ぐ災害の発生を踏まえまして、まずは、「国民の安全・安心の確保」に重点を置きたいと考えております。
具体的には、東日本大震災などの被災地の復旧・復興のほか、「防災意識社会」への転換に向けたハード・ソフトを総動員した防災・減災対策、また、インフラ老朽化に対応する戦略的な維持管理・更新、また、戦略的海上保安体制の構築等に取り組みたいと考えております。
次に、「生産性の向上と新たな需要の創出による成長力の強化」にも重点を置きたいと考えています。
具体的には、効率的な物流ネットワークの強化、首都圏空港等の機能強化、国際コンテナ戦略港湾等の機能強化など「ストック効果を重視した社会資本整備」や、訪日プロモーションの抜本改革と観光産業の基幹産業化など「観光先進国の実現」、また、建設業、運輸業、造船業、また観光業もあると思いますが、人材確保・育成、i-Constructionの取組の拡大など「働き方改革等の推進」等にも、力を入れて取り組みたいと考えています。
更に「豊かで活力のある地域づくり」も重点分野です。
具体的には、「コンパクト・プラス・ネットワークの推進」、若年世帯あるいは子育て世帯、高齢者世帯が「安心して暮らせる住まいの確保と魅力ある住生活環境の整備」、更には空き家対策、空き地や所有者不明土地等の有効活用の推進など、「魅力・活力のある地域の形成」等についても取り組んでまいりたいと考えております。
特に、社会資本整備に当たっては、ストック効果を重視した公共投資により経済成長を図り、経済の再生と財政健全化の双方を実現するため、必要な公共事業予算を安定的、持続的に確保することが不可欠と考えています。
概算要求のとりまとめに当たっては、通常の要求及び「新しい日本のための優先課題推進枠」を最大限活用し、今述べたような重点事項に取り組んでまいりたいと考えています。

(問)予算絡みですが、補正予算を求める声が与党内で出ているという報道がありますが、国土交通大臣として補正予算の必要性をどう考えているか教えください。
(答)先日、与党の幹事長、国会対策委員長が会談された際、補正予算についての議論がなされたという報道は承知しておりますが、現時点で政府として補正予算編成についての方針が決まったとは承知しておりません。
当面は今年度予算の円滑かつ着実な執行に最大限取り組んでいきたいと考えています。

(問)朝日新聞の報道で森友学園への値引きの根拠とされる写真について開示するお考えはございますでしょうか。
(答)報道は承知しておりますけれども、工事業者が行った試掘の写真については事業者の了解が得られていないため、非公表としてきたところです。
国土交通省として、自分たちの意思で非公表としている訳ではございません。
資料を提出した側の事業者の理解が得られていないため非公表としてきたという経緯でございます。

(問)重ねての質問ですが、事業者側へ了解を求めるお考えはありますでしょうか。
(答)これまでも事業者側に対して、公表に向けて了解を取るべく働きかけを行ってきたところです。
我々が何もアクションを起こしてなかったということはございません。

(問)事業者側としては開示する考えはないという回答が国土交通省側に寄せられているということでしょうか。
(答)そういうことです。私としては、引き続き事業者に対して働きかけを行うよう事務方に伝えたところです。

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