大臣会見

石井大臣会見要旨

2017年9月26日(火) 11:14 ~ 11:45
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から4点御報告がございます。まず1点目は「平成29年7月九州北部豪雨等の豪雨を踏まえた緊急対策について」であります。
本年は、九州北部豪雨に加えまして、6月から8月にかけまして各地で豪雨が発生し、人命被害や家屋被害など甚大な被害が発生をしております。
このため、被災した花月川等におきまして、同規模の豪雨が再度発生した場合でも同様の被害が発生することのないよう、この度、年度途中に活用可能な災害対策等緊急事業推進費によりまして治水機能を強化する改良復旧に着手することといたしました。
また、九州北部豪雨等の近年の豪雨災害の特徴を踏まえまして、1つ目には、大量の土砂や流木を含む洪水が氾濫する危険性が高い箇所、2つ目には、過去に災害が発生した箇所で再度のはん濫発生の危険性が高い箇所、3つ目には、避難の判断や河川計画の策定等のために河川の水位を把握する必要性が高い箇所等につきまして、森林行政を担当する林野庁とも連携して全国の中小河川で緊急点検を実施し、11月末を目途に点検結果と対応策をとりまとめることといたしました。これらの取組により、速やかに地域の安全性の向上を図るとともに、水防災意識社会の再構築を図ってまいります。
詳細は後ほど事務方から説明をさせます。
2点目は「『Japan Expressway Pass』の開始について」であります。
訪日外国人旅行者が、日本全国の魅力的な観光地を、高速道路を使って手軽に旅行することができるよう、地域毎に実施をしてまいりました乗り放題のパスを全国エリアに拡大した初めての高速道路乗り放題パス「Japan Expressway Pass」を10月13日から開始することといたしました。
詳細は、後ほど資料を配付いたします。
3点目は「高速道路の一時退出実験について」であります。
高速道路の良好な運転環境により安全を確保するとともに、労働生産性の向上を図るため、休憩施設の確保を行うことが重要であります。
現在、3箇所の道の駅を対象に、一時退出利用をしても高速道路料金を継続する実験を行っているところでありますが、新たに17箇所の道の駅を追加し、引き続き検証を行います。
今後、調整を進めまして、今年度内に開始する予定であります。
詳細は、後ほど資料を配付いたします。
4点目は「中堅・若手職員による政策議論の場について」であります。
8月31日の第6回生産性革命本部におきまして、中堅・若手職員によります、中長期的な国土交通行政のあり方に関する政策議論の場を立ち上げるよう、指示したところでありますが、コンセプトや進め方につきまして、今般概要がまとまりましたので、御報告いたします。
このパネルをご覧いただきたいと思いますが、「国土交通省政策ベンチャー2030」と題します、政策立案プロジェクトであります。
わが国が今後、人口減少・超高齢化をはじめといたしまして、人類がこれまで経験したことがない大きな変化、大きな価値観の変容を迎えることになる中で、国土交通省といたしまして、2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機といたしまして、その先の未来を見据える必要があると考えております。
そこで、概ね30歳代の中堅・若手職員、ちょうど2030年頃にわが省の中核を担うこととなる世代の職員の皆さん、彼・彼女たちが中心となって、政策提言を行ってもらうことといたします。
その際、今、目の前にある課題への対応策を練るということではなく、2030年頃のあるべき日本社会の姿を構想し、具体的な政策を提示する、また、中央・地方を問わず外部の有識者等との積極的な意見交換を行うこととしまして、更に、SNSの活用等により議論のプロセスのオープン化を図る、といった点に、意を用いてもらいたいと思っております。
若手らしい、大胆かつ柔軟な議論を期待しております。
詳細は事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
私からは以上であります。

質疑応答

(問)安倍首相が昨日解散表明をされました。
まず、大臣の受け止めとともに、衆議院選挙ではどういった点が争点になるかお伺いできますでしょうか。
(答)総理は、昨日の会見におきまして、28日に衆議院を解散することを表明されました。
今回の解散につきましては、昨日の総理の会見におきまして、「生産性革命」や「人づくり革命」を柱とする安倍政権の経済政策及びその財源としての消費税増税の使い道の見直し、また、北朝鮮への対応等について、国民の信を問うためのものと受け止めております。
今後、衆議院が解散され、選挙戦に突入をするわけでありますが、いかなる状況にあったといたしましても、国土交通大臣といたしまして、国民の安全・安心の確保、豊かな国民生活の実現などの重要課題に引き続き緊張感を持って取り組んでまいる考えであります。
(問)先日、KLMオランダ航空機の部品が落下して、走行中の乗用車に当たるという事案がありました。
なかなか落ちるような部品ではないという報道もありますが、大臣の受け止めをいただきたいのと、今、運輸安全委員会で調査中かと思いますが、現段階で判明した事項があれば教えてください。
あと、今後の対応もお願いいたします。
(答)9月23日の午前10時57分頃に、関西国際空港を離陸をし、上昇中のKLMオランダ航空868便から重さ約4.3kgの胴体のパネルが脱落し、大阪市内を走行中の乗用車に衝突し、当該乗用車が損傷するという事案が発生いたしました。
今回のような落下物により被害が発生したことは大変に遺憾であります。
今回の事案を受けまして、運輸安全委員会におきましては、24日から航空事故調査官2名を現地に派遣し、落下物、落下時の状況の確認、被害者からの聞き取りなどを行ったと聞いております。
また、国土交通省におきましては、KLMオランダ航空に対しまして、運輸安全委員会の調査の進捗に応じた必要な措置を講じるとともに、その進捗を待たずして、想定し得る原因を考慮して当面の再発防止策を検討し実施するよう指示をしております。
また、これに併せまして、本件について、オランダ航空当局に昨日通知をいたしまして、同社に対する適切な指導監督を依頼したところであります。
更に、一昨日、国内の定期航空会社及び乗り入れている外国定期航空会社に対し注意喚起を行い、日々の整備点検を遺漏無く確実に実施するよう通知をしております。
落下物の未然防止は、航空機の運航の安全のみならず地上の安全の観点からも非常に重要でありますので、落下物の防止に向けてより一層の対策を講じてまいりたいと考えております。

(問)「政策ベンチャー2030」に取り組むということですが、このプロジェクトは他のプロジェクトと比べて新しい点、特徴的な点を教えてください。
(答)今回発足いたしますプロジェクトは、若手職員による、大胆かつ柔軟な議論を通じて政策提言を行うものであり、言わば、このパネルにありますけれども「省内ベンチャー」であります。特徴的な点としては、3点挙げられると思っております。
まず、具体策を未来像から逆算とありますように、若手・中堅職員には、是非、課題の設定にとどまらず、国土交通省の幅広い政策による具体的な解決策にも踏み込んで整理をしていただきたいと考えております。
また、議論するメンバーは、本省所属の職員のみならず、地方支分部局の職員からも有志を募ります。
このようなプロジェクトチームの編成は初めてのことでありますが、全国津々浦々にネットワークを有する国土交通省ならではの視点で、政策立案に取り組んでいただきたいと思っています。
更に、「1000人の声聴き行脚」とパネルにございますように、省内の議論にとどまらず、地方の実情を的確に把握することも含めまして、様々な外部有識者の方々と積極的に意見交換を行うなど、多面的な議論をしていただきたいと思います。
こういった議論を通じまして、国民生活に密着をしました行政分野を所管する国土交通省のあり方が国民の皆さまにも議論される機会になればと考えております。

(問)総理が昨日の会見で「人づくり革命」と「生産性革命」を今後のテーマに掲げまして、年内に新しい経済政策パッケージをとりまとめる考えを示されました。
特に「生産性革命」は国土交通省もこれまで力を入れてきたテーマですが、総理発言を受けて、国土交通省として具体的にどのような事業を、この新しいパッケージに盛り込んでいきたいとお考えかお伺いします。
(答)昨日、総理は経済財政諮問会議の場において、「人づくり革命」や「生産性革命」について重点的に取り組むべきとの議論が行われたものと承知をしてございます。
これを踏まえまして、総理より、安倍内閣の経済政策の柱は「人づくり革命」と「生産性革命」であり、この2本の柱の施策を具体化するため、年内に新しい政策パッケージを策定することとし、茂木内閣府特命担当大臣がとりまとめるよう指示があったものと承知しております。
国土交通省としては、これらの総理からの指示を踏まえまして、必要な施策を検討してまいりますが、特に生産性革命につきましては、既に昨年より生産性向上について先駆けて取り組んでいるところであり、先般20のプロジェクトのフォローアップを行ったところでありますが、小さなインプットでできるだけ大きなアウトプットを生み出すといった生産性革命の考え方を施策全般に組み込んでまいりたいと考えております。

(問)今日、羽田空港の国際ターミナルの拡張工事の地鎮祭が行われていると思います。
都心ルートを3.9万回増やす前提となる工事が今日いきなり発表されて、10月6日から着工しますと、急遽やりますという話になって、以前から秋ぐらいからといわれていたんですけれども、いきなりこのタイミングで公になると。説明会もなかなか人が集まらないような状況で、地域の浸透がなかなかない中で、もういきなり、その飛行ルートがあるという前提の工事が始まってしまうという状況について、大臣はこのような状況で周知徹底が図られると、2020年になると否応にしても飛行機が都心上空を飛ぶという状況で皆さんの理解が得られるお考えでしょうか、見解をお聞かせください。
(答)御案内のとおり、2020年インバウンド4000万人の目標に向けまして、首都圏空港の機能拡充ということで、羽田・成田の運用のあり方を見直していく、羽田については都心上空を南風時に離発着する新しいルートを設定して、そのことにより、今御指摘のあった年間3.9万回の増便を果たすということでありますが、これについては、従来より新たな飛行ルートの周辺域の住民の皆さまに、騒音の状況や落下物の問題等々御説明を続けてきたところでありますし、また、この秋も引き続き丁寧な説明に努める考えであります。
今御指摘のあった工事は、地元が御理解をいただくということが前提であると考えております。
(問)この工事が3.9万回の増便が前提であるということを地元の方がどれくらい知っていらっしゃるのでしょうか。
(答)地元の御理解がなければ新しいルートは難しいということであります。
あくまでも地元の方、住民の御理解を得て、新しい飛行ルートを設定するという考え方であります。
(問)今、各地で説明会を3回やりまして、今度4回目をやるということなんですけれども、今の人数は本当に住民のごく一部の方しか来られていないようです。
実際にどこまで浸透しているか、現場の方でもよく分からない状況のようなのですが、これに関しては如何でしょうか。
(答)今御指摘があったように、これまで3回にわたって説明をしておりましたので、その説明をお聞きする中で納得された方は新たな説明会にはお越しにならないということもあろうかと思いますけれども、引き続き私どもとしては広く住民の方に集っていただく努力は続けていきたいと思っております。

(問)北海道新幹線の札幌延伸をめぐって、鉄道・運輸機構とJR北海道が、新幹線の札幌駅を地下ホームとするという案の検討に入るということがこの度分かりました。
機構が推す「現駅案」や、JRが推す駅の東側にホームを造る「東側案」に加え、第3の案として「地下案」が浮上したわけですが、大臣としてこの判断をどう受け止めているか、教えてください。
(答)北海道新幹線の札幌駅については、現在、工事実施計画認可時の現在の駅を活用する案と、在来線ホームの東側に設置する東側案の2案が、鉄道・運輸機構とJR北海道により検討されているところです。
この2案について、現在の駅を活用する案では、新千歳空港と札幌駅とを結ぶ快速エアポートの増便が制約されるという課題があると、また東側案では、既存建築物の改修が必要になり、改修に伴いJR北海道に多額の工事費の負担が発生するという課題があると、そうした課題がそれぞれ生じることから、地下案を検討対象に加えることについて、関係者間で調整を行うこととなったと聞いております。
本件については、利用者の利便性の確保やまちづくりとの整合性、工事費等の観点から、総合的に判断されるべきものと考えております。
国土交通省としましては、鉄道・運輸機構とJR北海道による検討結果を踏まえ、適切に対応していきたいと考えます。
(問)地下案が浮上した理由として、工期の心配がないとか利便性が損なわれないなど、いろいろあると思いますが、その一方で従来案と比べて工費がかかるのではないかとも指摘されております。
大臣としては費用はどのくらいを見込んでいるのかということと、財務省との調整がこれからということが取材で分かっていますが、今後どのように進めていくのか、また、地下案の利点について大臣の捉え方も併せて教えていただければと思います。
それと、工期の問題もあってこういう案が浮上したわけですが、検討にかけられる時間はそう無いかなと思いますが、国としていつまでに結論を得たいかというところも教えていただければと思います。
(答)地下案の工事費については、地下案を検討対象に加えることについて、関係者の調整が整った後に検討が進められることになると考えております。
現時点で私は承知しておりません。
工期の問題は、平成42年度末とされております札幌開業の時期を踏まえまして、できる限り早期に結論が得られることを期待しているところです。

(問)建設業の働き方改革について教えていただきたいのですが、先週の22日に日建連の方が5年後に週休2日を定着させるといった行動計画案を示されました。
政府の働き方改革の動きに呼応して、業界内からもこうした兆し、機運が高まっているといえると思いますが、大臣の受け止めと、今後更にそれを推進していくための国土交通省の取組を教えてください。
(答)日本建設業連合会が、9月22日に週休2日実現行動計画の試案や、自主規制の試行など、働き方改革4点セットを策定したほか、全国建設業協会も行動憲章を策定するなど建設業界を挙げた取組が進みつつあります。
罰則付の時間外労働規制の適用に先んじて、業界が一丸となった取組を進めていることは、建設業の将来の担い手を確保するための働き方改革に向けた第一歩として歓迎したいと考えております。
政府におきましては、民間も含めた発注者の理解と協力を得ることが重要であることから、先月28日に野上内閣官房副長官を議長とする関係省庁連絡会議を開催し、「適正な工期設定等のためのガイドライン」を策定しました。
また、これを受けまして、民間(発注者)であります鉄道、電気やガスなど業態別の連絡会議を順次開催し、取組を進めているところです。
引き続き、あらゆる機会を捉えてガイドラインの周知・徹底を図るとともに、必要な予算を確保するなど、実効性のある具体策を講じてまいりたいと考えております。

(問)小池都知事が、来たるべき選挙に向けて、「希望の党」の立ち上げと自ら代表に就くことを明らかにされました。これについて大臣の受け止めを教えてください。
(答)今の御質問は、政党の幹部がお答えすべき御質問かと思いますが、私は公明党を代表する立場ではございませんし、コメントは差し控えさせていただきます。

(問)外国人旅行者向けの高速道路乗り放題パスについてですが、団体客に代わり個人旅行者の割合が増え続ける中で、その効果についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)訪日外国人旅行者数は御案内のとおり年々増加しておりますが、そのうちレンタカーの利用者数も増えておりまして、平成23年から平成27年の5年間で約4倍となっております。
訪日外国人旅行者向けのサービスを充実させるため、高速道路会社がレンタカーを利用される訪日外国人旅行者向けに、これまで地域ごとに発行しておりました高速道路の乗り放題パスを、全国エリアを対象にした初めての高速道路乗り放題パスを10月13日より開始するところであります。
このパスを活用して、高速道路のネットワークは全国各地域につながっておりますので、いわゆるゴールデンルートのみならず、高速道路網を通じて全国各地域に多くの外国人旅行者が訪れていただき、地方部への誘客、地方部の活性化につながることを期待しているところであります。

(問)航空機の落下物についてお伺いします。
日本の航空会社には一定のサイズの物、重さの物を報告するように求めているわけですが、外国の航空会社はどうなっていますでしょうか。
適正な整備、点検をきちんとすることに加えて、国内の空港を発着する外国の航空会社に報告義務を課すべきではないかと考えます。
都市部の上空を飛ぶ航空機がますます増える中で対策が必要かと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)航空局がまず現状だけ報告してください。
(事務方)現状についてですが、落下物の報告対象は本邦航空会社のみとなっておりまして、それぞれの国において報告対象を求めるように制度としてなっております。
(答)私の方から航空局に確認しますが、それは各国において同様の制度になっているのでしょうか。
(事務方)全ての国において制度があるわけではないのですが、締約国がそういった制度を作るようにということは、ICAOから定められております。
(答)報告制度は今そういう現状になっているようですが、いずれにしましても部品の落下事故防止は重要な課題だと思いますので、まず未然防止策を徹底していく必要があると思っております。
内外を問わず、航空会社や航空機メーカーに対するあらゆるチャンネルを通じて整備・点検を充実させるということ。それからこれは外国の飛行機もそうですが、駐機中の機体のチェックの体制強化、特に羽田空港に関連して、新しい都心ルートを今議論しておりますので、駐機中の機体チェックの体制を強化する、そういう未然防止策の徹底をやると同時に、事故発生時の対応の強化として、情報収集や原因分析の強化、あるいは航空会社に対する処分等の強化、処分を更に強めていく、この検討を加速化していきたいと思いますし、また保険の加入促進や見舞金制度の創設など保障の充実についても検討しておりまして、なるべく速やかにこれらの具体化を図っていきたいと考えております。

(問)先ほどの追加ですが、今のKLM航空機の事故調査に関してですが、この状況を都心ルートの説明会等で説明する御予定はありますでしょうか。
(答)航空局から説明させます。
(事務方)今回11月から新たな住民説明会を開始する予定にしておりまして、そこでは落下物対策の進捗状況等、また住民の方々が御心配されている内容については、丁寧な情報提供を行ってまいりたいと考えているところでございます。
(答)ですから、我々は別に隠し立てするつもりは全くありませんので、これまでの状況も説明し、なおかつ今後の対策もしっかりと説明するということになろうかと思います。

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