大臣会見

石井大臣会見要旨

2018年1月19日(金) 11:06 ~ 11:34
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から4点御報告がございます。
1点目は「所有者不明土地対策について」であります。
本日、官房長官主宰の「所有者不明土地等対策の推進のための閣僚会議」が設置され、第1回目の会合が開催されました。
私からは、次期通常国会に提出予定の法案の概要や今後の取組について説明いたしました。
官房長官からは、通常国会に提出する法案の準備を進めるとともに、土地所有権や登記制度のあり方など、問題解決のための多岐にわたる論点について、各大臣がリーダーシップを発揮し、政府一体となった検討を進めるよう指示がございました。
今後とも、各省庁と連携をいたしまして、所有者不明土地対策を推進してまいります。
詳細は事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
2点目は「長時間の駅間停車の再発防止について」であります。
1月11日にJR東日本信越線におきまして、雪のために列車が動かなくなり、運転再開までに約15時間半を要しました。
このため、約430名の乗客が車内にとどめ置かれ、体調不良の方も出るなど、利用者に多大な迷惑を及ぼすことになったことは、誠に遺憾であります。
JR東日本が検証を行った結果、運行再開を優先し、乗客の救出に関する対応が不十分であった、また、消防に対する救急搬送の要請等を除き、乗客の救出に関する自治体等への支援要請を行っていなかった、更に、乗客に対する情報提供の内容が除雪作業の進捗等にとどまった等の問題が明らかとなりました。
これを踏まえまして、運行再開と乗客救出の対応を並行して行うことを徹底し、バス事業者や関係機関等との協力体制を整備する、乗客の救出に関し、状況に応じ、自衛隊の災害派遣も念頭に、自治体等の関係機関に支援を要請する、復旧や救出の見通し等について適切な情報提供を行う等の再発防止策が必要であると考えております。
このため、本日、JR東日本に対し、改めて指導を行うとともに、全国の鉄軌道事業者に対し、同様の措置を講ずるよう通知したところでございます。
詳細は後ほど資料を配布いたします。
3点目は「米国への海外出張について」であります。
1月16日に米国のワシントンDCで日米インフラフォーラムを開催いたしました。
フォーラムでは、インフラメンテナンスやPPP分野での日米それぞれの知見を共有するとともに、来場者同士の国を越えたネットワーク構築の貴重な機会とすることができました。
また、チャオ運輸長官、カーソン住宅都市開発長官と会談を行いました。
チャオ長官とは、覚書に基づいて交通インフラ分野の協力を更に進めて行くこと、日米協力の象徴的なプロジェクトであるテキサス高速鉄道について日米でしっかり支援していくこと等について話し合いを行いました。
カーソン長官とは、日米双方の住宅・都市政策について意見交換を行うとともに、高齢者の住まいに関する共同研究につきまして、引き続き協力していくことを確認いたしました。
また、カーソン長官からは、訪日を前向きに検討したいとの発言がありました。
詳細は後ほど資料を配布いたします。4点目は「相乗りタクシー実証実験について」であります。
1月22日から、東京都23区、武蔵野市、三鷹市におきまして、「相乗りタクシー」に関する実証実験を開始いたします。
「相乗りタクシー」は、配車アプリを活用しまして複数の利用者を1台のタクシーにマッチングすることによりまして、タクシーを1人で利用するよりも割安な運賃で利用できるようにするサービスであります。
これによりまして、「タクシーの運賃が高いから」という理由で利用を控えていた方にも利用しやすいタクシーサービスを目指してまいります。
この実証実験では、利用者のマッチング方法や運賃水準の検証、利用者アンケート等を行いまして、その結果を踏まえて、制度の本格導入に向けた検討を進めることとしております。
タクシー事業者やドライバーにとりましては、複数の利用者を効率的に運送することができるため、タクシーの空車走行を減らし、生産性を向上させることができるとも考えております。
詳細は後ほど資料を配布いたします。
私からは以上であります。

質疑応答

(問)JR東日本信越線について、検証の結果、対応に問題があったということですが、このこと自体について大臣の受け止めをお伺いしたいのと、各社にも通知したということで、各社に対する要請やコメントがあればお伺いしたいのと、もう1点、通知以外に、今後国土交通省として対応を検討している項目があれば教えてください。
(答)先程冒頭の発言で申し上げたとおり、今回のJR東日本信越線の事案につきましては、利用者に多大な迷惑を及ぼすことになったわけでありまして、誠に遺憾であると考えております。
公共交通機関の要である鉄道事業者にとりましては、利用者保護の視点は極めて重要であります。
乗客目線を徹底し、長時間にわたる駅間停車が発生しないよう、また、万一発生が見込まれる場合は、乗客の救出を最優先とした対応をとることが求められます。
今回の検証結果を踏まえた再発防止策につきましては、新幹線の台車亀裂等の一連の輸送トラブルに関する対策の検討のために、1月中を目途に立ち上げることとしました有識者検討会においても、議論を行ってまいりたいと考えております。
今回のような事案は、大雪だけではなく、大雨その他様々な自然災害でのケースなどで発生することが想定されますので、今回の検討結果を踏まえて、各鉄道事業者においてしっかり対応策を講じていだたきたいと思っております。
積雪期が今後も続きますので、各鉄道事業者が必要な対策をスピード感を持って講じるよう、国土交通省としまして、しっかり指導を行ってまいりたいと思います。

(問)週明けには通常国会が召集されますけれども、どう望まれるお考えでしょうか。
また、特に重視する法案などがあれば教えてください。
(答)来週22日、通常国会が開会いたします。
国会審議を通じまして、国民の皆様の御理解を得て、国土交通行政を前に進めていきたいと考えております。
まず、国土交通省の平成29年度補正予算案では、大規模災害からの復旧や自然災害リスクを踏まえた防災・減災対策に要する経費を中心として必要な経費を計上しております。
また、平成30年度予算案におきましては、被災地の復旧・復興、国民の安全・安心の確保、生産性の向上と新需要の創出による成長力の強化及び豊かで活力のある地域づくりの4分野に重点化をしております。
これらの予算が少しでも早く効果を発揮できるように早期の成立をお願いをしてまいります。
また、国土交通省からは「道路法等の一部を改正する法律案」など、8本の法案の提出を予定しております。
いずれも、国民の安全・安心の確保、経済の活性化、国際観光の一層の振興などを目的とする重要な法案でありまして、全ての法案の成立に向けて、丁寧な説明に努めてまいります。
国会審議を通じまして、国土交通行政の必要性・重要性を御理解いただけるよう、有意義な国会にしていきたいと考えております。

(問)先程の米国出張について、2点お伺いいたします。
訪米の成果について、御自身としてどう捉えられているかということと、もう1点は、現地のフォーラムで老朽インフラ対策について言及されたと聞いておりますけれども、この老朽インフラ対策をどうビジネスとして海外に売り込んでいくのか、その点についてお願いいたします。
(答)まず、今回の米国訪問による成果ということでありますが、今回の米国出張は、日米インフラフォーラムの開催と、チャオ運輸長官及びカーソン住宅都市開発長官との意見交換が目的でありました。
日米インフラフォーラムにおきましては、120団体、230名の方が参加をいただきまして、成功裏に行うことができました。
日米の企業・土木学会・政府関係者が一堂に会し、インフラメンテナンスやPPP分野での日米の知見を共有するとともに、関係者間の人的ネットワークの構築を図ることができたと思っております。
今後、日米の協力を象徴するようなプロジェクトにつながることを期待しております。
また、チャオ運輸長官との会談では、昨年10月に交わしました交通インフラ分野での協力覚書に基づき協力を更に進めていくこと、協力の象徴的なプロジェクトであるテキサス高速鉄道について、日米でしっかり支援していくことを確認することができました。
更に、カーソン住宅都市開発長官との会談では、高齢者の住まいに関する共同研究を協力して進めていくこと、カーソン長官が訪日を前向きに検討していることを確認することができたわけでございます。
更に、今後どの様にビジネスとして輸出につなげていくかということでありますけれども、国土交通省におきましては、2014年に「インフラ長寿命化計画」を策定いたしまして、施設の損傷が軽微な早期の段階に予防的な修繕等を実施することによりまして、機能の維持・回復を図る予防保全型の維持管理や、非破壊検査、ロボット・ICT等の新技術の開発・導入による点検・作業の効率化・高度化を積極的に進めております。
また、新規のインフラ投資に関してましても、維持管理を含めたライフサイクルコストの低い質の高いインフラ整備を進めております。
こういったわが国の知見やノウハウが、米国がこれから進めようとされておりますインフラ老朽化対策や新規のインフラ投資等に貢献できるものと考えております。
米国を始めとする海外の個別プロジェクトの態様に応じまして、今回のフォーラムのような関係者のネットワークを構築するための取組や、また、わが国の知見・ノウハウを効果的に組み合わせることによりまして、日本のインフラ輸出の拡大が進むものと考えております。

(問)本日の関係閣僚会議を踏まえてお伺いします。所有者不明土地の問題についてですが、国土交通省としての今後の対策について、どのような検討をされていらっしゃるか、教えていただきたいと思います。
(答)国土交通省としましては、当面、喫緊の課題であります所有者不明土地の円滑な利用に向けまして、国土審議会土地政策分科会特別部会の中間とりまとめを踏まえまして、通常国会への法案提出に向けて取り組んでまいります。
また、法案が国会で御審議の上、成立いたしましたら、新制度の施行に向けまして、地域福利増進事業のガイドライン等の整備や地方公共団体への支援体制の構築等を行ってまいります。
更に、所有者不明土地の発生の抑制や解消に向けた抜本的な対策につきましては、登記制度や土地所有権のあり方等と深く関連いたしますので、関係省庁が連携して検討することが必要であります。
本日の会議におきましても、官房長官から、関係閣僚会議が中心となって問題解決のための多岐にわたる論点について、優先順位を付けながら取り組んでいくことが重要との発言があったところであります。
国土交通省といたしましても、引き続き国土審議会において、本年の夏以降、土地所有者の責務のあり方など土地所有に関する基本制度の見直しについて、御審議いただくこととしているところであります。

(問)公用電子メールについてですが、国土交通省が送受信後1年経過したメールをサーバーから自動的に廃棄することを決めたと報道がありました。
識者からは政策に検証が必要なメールが消去されると懸念する声もあります。
この件について、大臣の御所感と、改めて公用電子メールの管理に関して、国土交通省の今後の対応を教えてください。
(答)現在、国土交通省におきましては、政府全体における公文書管理の適正化に係る取組の一環としまして、昨年9月に発出された内閣府事務次官通知や、昨年末に改正が行われました「行政文書の管理に関するガイドライン」を踏まえまして、電子メールの管理のあり方、これは役所のサーバーに入る電子メールということでありますが、これについて検討を進めているところであります。
国土交通省で作成した指針の案につきましては、内閣府事務次官通知等を踏まえまして、当面の具体的な運用ルールの案として、昨年10月に作成、周知をしたものであります。
この指針の案におきましては、意思決定過程や事務及び事業の合理的な跡付け・検証に必要な保存期間1年以上の行政文書となる電子メールについては、共有フォルダ等の共用の保存場所に移すこと等により、適切に保存しなければならない旨の徹底を図ろうとしたものであります。
その上で、各職員個々人の受送信トレイに残された電子メール、すなわち保存期間1年未満の行政文書となる電子メールについて、これらを整理する方法としてシステム上で一括して整理することを検討しております。
なお、実施時期については、行政文書の管理に関する新たなルールの職員への通知や習熟の状況を踏まえ、引き続き検討してまいりたいと考えております。

(問)冒頭の信越線の問題についてお伺いしますが、当日地元の自治体の三条市から新潟県を通じて、代替輸送のバスを出すというような打診があったのですが、結局JRには伝わらなかったということがありまして、大臣は冒頭発言の中でも自治体への連絡のところで問題があるとも仰っていましたが、こうした状況を受けての所感と、JRの対応について問題があると思いますが、JRに対して何らかの処分が検討されるのであれば、そちらについても併せて教えてください。
(答)冒頭の発言でも申し上げたとおり、今回のJR東日本での検証では、消防に対する救急搬送の要請等を除き、乗客の救出に関する自治体等への支援要請を行っていなかったということが課題として挙げられておりますので、これを踏まえまして、運行再開と乗客救出の対応を並行して行うことを徹底し、バス事業者や関係機関等との協力体制をあらかじめ整備をしていくことであり、また乗客の救出に関し、状況に応じ、自衛隊の災害派遣も念頭に、自治体等の関係機関に支援を要請するといった再発防止策が必要であると考えております。
処分というのはどうなのでしょうか、鉄道局、分かりますか。
(事務方)JR東日本に対しては、先ほど大臣が仰っていた対策について、しっかり社内で周知徹底の上実施すると。
その実施状況については1月31日までに報告するようにと指導しております。
なので、行政処分ということではないですが、対策の実施状況をしっかり報告してもらって、我々も中身をチェックするということです。

(問)タクシーの相乗りについて2点あります。
1つは「相乗り」は私が知る限りは以前は認めていたものを、一旦認めないようにしていて長らく経っていました。
今回また新たに認める理由は何ですかというのが1点。
もう1点は一連のタクシー事業者の近代化です。初乗り運賃の引下げ、均一料金の導入、アプリも入れました、相乗りもやりますと、なぜここに来て矢継ぎ早にやるのか。ウーバーを中心としたライドシェアが、例えば米国では進んでいて、もはやライドシェア事業者間の競争さえ行われているのに、日本は相変わらず緑ナンバーを取らせなければダメだとか、非常に高い障壁を設けたままなのですが、これを見直していくお考えはあるか、この2点をお願いします。
(答)1点目のもともと認めていたが認めなくなったという経緯はよく存じ上げないので自動車局、分かりますか。
(事務方)どのようなことについて仰っているのか分からないので、また詳しく教えてください。
(答)引き続き自動車局にお聞きいただければと思います。
2つ目は、従来から国会や会見等でも繰り返し申し上げていますが、国土交通省としては自動車による旅客の運送において、安全・安心の確保が最重要の課題と認識しています。
いわゆる運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で旅客運送を有償で行うという、いわゆる自家用車ライドシェアについては、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要と考えております。
一方で、ITの進展等を踏まえたタクシーの利便性向上や観光先進国の実現に向けた訪日外国人向けのサービス向上は重要です。
このような観点から、全国ハイヤー・タクシー連合会において、平成28年10月にサービス向上に向けて今後新たに取り組む11項目をとりまとめ、初乗り運賃の引下げ、事前確定運賃、そして相乗りタクシーと官民連携して順次取組を進めているところです。
また1月17日には全国ハイヤー・タクシー連合会において「訪日外国人向けタクシーサービス向上アクションプラン」が策定されています。
国土交通省としましては、平成28年10月の11項目や今回の訪日外国人向けタクシーサービス向上アクションプランに盛り込まれた取組を推進するために必要な支援をしていきたいと考えております。

(問)先ほど質問があった電子メールの廃棄の件ですが、他省の状況も聞いておりますと、自動廃棄を決めたのは財務省と国土交通省ということなのですが、自動廃棄しなければならない事情とは何でしょうか。
国土交通省特有の事情というのがあるようでしたら教えていただけますでしょうか。
(答)特段、国土交通省特有の事情というのはございません。
これは紙文書でも全く同じことですが、重要なことは1年以上の文書、紙の文書でありメールであり、それをきちんと保管するということが重要であって、1年未満と位置付けられたものは順次廃棄をするということは普通のことであって、何かそこに特段国土交通省の事情があるということではございません。

(問)自動二輪車の話ですが、駐車場法の改正から12年経ちました。
国土交通省は毎年、二輪車の駐車場の拡大を自治体にお願いしておりますが、それの実効性がありません。
例えば、千代田区は4つのお願いに対して4つとも実現していない状況です。
この12年間を振り返っての受け止めをお願いしたいのと、今後二輪車の整備のあり方を国土交通省はどう考えているか、よろしくお願いいたします。
(答)自動二輪車の駐車場は四輪車と比べて十分とはいえない状況であることから、国土交通省としましては自動二輪車の駐車スペースを確保することは重要な課題であると認識して、取組を進めております。
具体的には、平成18年に駐車場法を改正して、建築物の新築等の際に、自動二輪車駐車場の附置を義務付けることができる仕組みを導入する、また、既存の自転車駐車場等における自動二輪車用の駐車スペースの確保を地方公共団体に対して要請をする、更に、自動二輪車駐車場の整備を行う地方公共団体に対する財政的支援を実施する、そういった取組を進めてまいりました。
こうした取組によりまして、自動二輪車駐車場の箇所数は、平成18年度末から平成27年度末までの9年間で、249カ所から1490カ所と約6倍に増加しております。
一定の成果は上がっていると思いますが、依然として、四輪車に比べて十分とはいえない状況と認識しております。
各都市における路上駐車の状況等を考慮する必要がございますので、一義的には地方公共団体が主体となって対応すべき問題でございますので、引き続き地方公共団体への働きかけや財政支援を通じて、自動二輪車駐車場の拡大に取り組んでまいりたいと考えています。
(問)その話は多分、5年前に聞いても同じことだったと思います。
今、大臣として受け止めが、公明党懇話会も問題にしておりますが、駐車場についてもう少し一歩踏み込んだ対応が必要ではないでしょうか。
(答)先ほども言いましたように、平成18年度末から平成27年度末で6倍に増加しているということは、一定の成果が上がっていると思います。
ただ、恐らく御指摘なのは、東京の都市部等を中心として不足しているのではないかと、そういう御指摘ではないかと思いますが、これは個別に、今後もそれぞれの自治体等と協議、検討していきたいと考えています。

ページの先頭に戻る