大臣会見

石井大臣会見要旨

2018年10月12日(金) 10:52 ~ 11:16
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方からご報告するものはございません。
 このほか、私の方から2点ご報告があります。
 1点目は「自動車の完成検査に係る不適切な取扱いを踏まえた省令改正について」であります。
 自動車メーカーによります完成検査における不適切事案を踏まえまして、本年3月20日の「適切な完成検査を確保するためのタスクフォース」の中間とりまとめにおきましては、完成検査の確実な実施のためのルールの規範性向上、効果的なチェックのための無通告監査の活用、不正の防止のための勧告制度の創設などからなる対策をとりまとめたところであります。
 国土交通省におきましては、このとりまとめを踏まえまして、また、その後に判明いたしました燃費及び排出ガスの抜取検査における測定値の書き換え事案等を踏まえまして、本日、道路運送車両法に基づく省令の一部改正等を行い、これまで通達において規定されておりました完成検査員の選任に係るルールを省令等に規定しましたほか、完成検査の記録を書き換えできなくする措置や型式指定制度の適正な運用の確保のための勧告制度に係る規定を新設いたしました。
 国土交通省といたしましては、この改正の着実な実施を図るほか、引き続き、立入検査の適切な実施に取り組むなど、適切な完成検査の確保に取り組んでまいります。
 また、タスクフォースの中間とりまとめにおきまして、技術進展等を踏まえ、完成検査の改善・合理化を含め、生産される自動車の保安基準適合性の確保のあり方について継続的に見直しを行うこととされております。
 この問題につきましても、関係者と議論しつつ取り組んでまいります。
 詳細は、後ほど資料を配付いたします。
 2点目は「鉄道の計画運休に関する検討会議」についてであります。
 本年の台風第24号では、首都圏や関西圏等のJRや民鉄等が計画運休を実施いたしました。
 台風の接近及び上陸時の風速の大きさ等に鑑みれば、各鉄道事業者による計画運休は適切な措置であったと考えております。
 一方で、鉄道利用者への事前の情報提供や運転再開時の対応等については課題も指摘されており、これらをしっかりと検証し、今後の対応の改善を図ることが重要と考えております。
 このため、10月10日に「鉄道の計画運休に関する検討会議」を開催いたしまして、今後の計画運休のあり方について検討いたしました。
 その結果、大型の台風等が接近・上陸する場合等においては、旅客の安全確保等の観点から、路線の特性に応じて計画運休は必要と考えられること。
 運転再開に当たっての安全確認について、基本的に全線にわたり、構造物の状態や飛来物による支障状況を確認する必要があること。
 利用者への情報提供について、極力前広に、多様な伝達手段を用いて、多言語で公表すること、また地方自治体等へも積極的に行うこと等の中間とりまとめを行いました。
 詳細は、後ほど事務方から説明させます。
 私からは以上であります。

質疑応答

(問)自動車の完成検査についてお尋ねします。
 昨日、スバルが新たなリコールを発表するなど、この問題はなかなか収束に至っていません。
 今回の省令改正を含め、メーカーの再発防止ですとか消費者の信頼回復に向けて、国土交通省としてはどのように取り組んでいかれるのか、改めて大臣のお考えをお聞かせください。
(答)自動車の製作者等が型式指定車について行う完成検査は、国に代わって自動車の保安基準適合性を確認するものであり、厳に適切に実施することが必要であるにも関わらず、昨年の秋以降、複数の自動車メーカーにおいて不適切な事案が判明し、コンプライアンス上の不適切な事案が続発していることは、極めて遺憾であります。
 自動車メーカー各社にあっては、不適切事案につながるリスクや要因にまで目を向けつつ、現場業務の把握・管理を徹底するとともに、コンプライアンス重視を浸透させることにより、信頼回復に向けて取り組んでいただくことが必要と考えております。
 国土交通省におきましては、本日公布いたしました省令改正の着実な実施により、ルールの遵守と不正の防止を図るとともに、タスクフォースのとりまとめの内容にもある、効果的な監査の実施に取り組む等によりまして、適切な完成検査の確保を図ってまいりたいと考えております。

(問)学校法人森友学園の国有地売却問題で、値引きの根拠となった地下ゴミ3.8mまでについて、実際には3mまでだったとの一部報道もありますが、改めて大臣の見解をお聞かせください。
(答)御指摘の報道は承知をしておりますけれども、報道には「ごみの層を示した数値」が、地面からの深さではなくて、穴の底からの高さであるということが指摘されておりますけれども、その根拠が示されておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思っております。

(問)完成検査不正で省令を改正されるということなんですけども、やはり付け焼き刃感は拭えない。
 2年前には開発段階での燃費抵抗値不正に対してタスクフォースをつくり、そこを潰しにかかった。
 今回は、日産、スバルに端を発する一連の完成検査不正で、また、絆創膏を貼りにまわる。
 一見効果的には見えるのだけれども、こういう開発でもやっている生産でもやっている、日産、スバルの経営陣も言っていましたけども、やはりこれは全社的な問題だと。
 いつに完成検査云々の話ではなくて、社の品質に対する体質の問題だということなんです。
 そうすると、完成検査に絆創膏を貼るだけではなく、やはり8階(自動車局)が、全課を挙げて、全局を挙げて、自動車メーカーに対して品質に対するその意識、それから具体の徹底、こういうことを図るべきではないかと思うのですが、面としての品質チェックというあり方に関しては、何かお考えはないでしょうか。
(答)付け焼き刃ではないかという御指摘でありますけども、国土交通省としては、先ほど申し上げましたように、本年3月20日にタスクフォースの中間とりまとめをいたしまして、そこで適切な完成検査を確保するための全体的なあり方をとりまとめたつもりでございます。
 今般の省令改正によりまして、自動車メーカーに対して、完成検査の記録を書き換えできなくする措置を義務化しております。
 これまで書き換えたケースが相当ありましたので、書き換えできなくする措置を義務化いたしました。
 また、違反には罰則を適用することにいたしましたほか、新たに勧告制度も活用することによりまして、業務の是正等を図ることとしております。
 また、効果的な監査の実施に今後とも取り組むこと等によりまして、付け焼き刃ではない、しっかりとした完成検査の確保を図っていきたいと考えております。

(問)鉄道の計画運休について1つ。
 今回出された中間とりまとめなんですけども、これをどのように位置づけて、今後どのように現場に活かしてもらうおつもりなのか、お考えをお聞かせください。
(答)今回、中間とりまとめを踏まえまして、鉄道事業者による計画運休や利用者への情報提供等が適切に実施されるか、しっかりとフォローアップしていく必要があると考えております。
 また、今回は中間とりまとめでありまして、今後、引き続き検討すべき課題も残されているというふうに思っております。
 例えば、自治体への情報提供の仕方だとか、その提供する自治体をどこまでの範囲にするか、あるいは計画運休する時間をどういう表現をしていったら良いかなど、今後、引き続き検討すべき課題も残されております。
 国土交通省としましては、今回の計画運休を含めて、旅客の安全輸送を確保し、利用者に安心感を与えるための取組に、引き続き取り組んでいきたいと考えております。

(問)完成検査の関連で、大臣も少し触れられていた、昨日、スバルが6000台のリコールを提出されました。
 この中には、ブレーキという安全性に関わる部分も含まれていると思うのですが、こういう形でリコールになったことに対する所感と今後の対応を改めてお聞かせください。
(答)先月28日に、スバルより完成検査における不適切事案に関する報告書の提出があり、ブレーキ等の全数検査においても不適切な行為がなされたことについて報告がありました。
 これを受けまして、国土交通省では直ちに、スバルに対して、これらの事案について、完成検査の一部が適切に実施されていないことになる旨を指摘するとともに、リコールの要否、必要かどうかを検討するよう指示をしていたところであります。
 この指示を受けまして、11日に、スバルより、リコールの届け出があったと承知しております。
 国土交通省といたしましては、スバルに対しまして、リコール対象車両の早期改修を指導するとともに、引き続き、今般の報告内容を精査し、更なる対応が必要となる場合には厳正に対処してまいりたいと考えています。

(問)10月から発足した神戸の航空交通管制部のシステムトラブルについて伺いたいのですが、10日のトラブルでは、一部の便に遅れが出るなどの影響が出ております。
 10日夜に復旧できたということですが、現在の運用状況や影響、再発防止に向けた取組などがあれば教えてください。
(答)国土交通省では、航空需要の増加に対応する基盤の1つとしまして、全ての管制システムを新しい完成システムに高度化するために、平成27年度から順次移行を進めております。
 今回その一環として、神戸航空交通管制部の発足にあわせて、新たな管制システムへの移行作業を実施をいたしましたが、移行作業中に機能上の確認を要する事象が生じたため、必要な確認作業を行った上で、神戸において、9日から新しいシステムで運用を開始いたしました。
 しかしながら、10日の17時23分に、新しいシステムに不具合が発生をいたしたため、バックアップシステムに切り換えて業務を継続し、19時19分にはバックアップシステムから本システムによる運用を再開しております。
 この間、航空機の遅延が発生いたしまして、利用者の方々等に多大な御迷惑をおかけしたことは重く受け止めているところであります。
 引き続き、プログラムの再点検を行うとともに、必要に応じて適切な措置を講じることによりまして、航空機の安全な運航については万全を期してまいりたいと考えています。

(問)今月8日の深夜に、羽田を離陸したエールフランス293便が都心を低空飛行した件で、少し多いのですが4つ伺います。
 まず1つ目、国土交通省が把握されている事実関係の御説明と大臣の所感をお願いします。
 2つ目、こういう飛行経路をとった原因調査の進捗について、これが2つ目です。
 3つ目が、今後行政的な何か対応をされる可能性があるかどうか、これが3つ目。
 最後に、今回、レーダーの記録ですと皇居の真上を飛んでいるのですが、これに関して、特に安全保障上の観点からどのようにお考えになるか、これが4つ目です。お願いいたします。
(答)まず所感であります。
 事実関係、所感ということですが、10月8日の夜に、羽田空港のC滑走路から北向きに離陸しましたエールフランス機が、海上に向け右旋回を開始すべき地点に近づいても、直線飛行を続けたことから、管制官が右への旋回を指示いたしました。
 この機体は、管制官の指示に従い右旋回を開始したものの、陸域を大きく飛行いたしました。
 国土交通省としては、現在、エールフランス社に原因を確認しておりますが、それを踏まえ、再発防止を求めていくとともに、必要に応じ、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
 原因調査の状況とあわせて申し上げました。今後の対応ということですけれども、今、エールフランス社に原因を確認して、まだ確認中という状況でございますので、今後その結果を踏まえ、再発防止策を求めていくとともに、必要に応じ、適切な措置を講じるというふうにいたしたいと思います。
 最後の問いですが、皇居の真上を飛行したということは、決してこれは好ましいことではありません。
 先ほど申し上げたように、原因をしっかりと把握して、その再発防止をしっかりと講じていきたいというふうに考えております。

(問)7月豪雨についてお尋ねします。
 7月豪雨の激甚災害に指定された道路や河川被害の復旧事業で、広島県では災害査定の前提となる測量設計が追いついておらず、未着手が現段階で約1割に上っています。
 同時多発的に被害が起きたために、業者が不足してしまっていることが要因ですが、広島県は査定の期限を延長するように国と調整を進めているとのことですが、2点ほど。
 省として他県の状況も含めた現状の把握と、もう1点は、被災した自治体が国の補助をしっかり受けられるように、今後の対応策についてどのように検討なさっているかを教えてください。
(答)まず、広島県以外では、測量に着手ができない、あるいは査定作業が遅れているという状況は聞いておりません。
 広島県からは、査定の実施時期について相談があり、調整をしているところであります。
 本年は、地震・豪雨・台風等による大規模な災害が多発しておりますために、今後、平成30年災の災害査定の実施時期につきましては、現場の状況や地域のニーズ等を考慮しまして、柔軟に取り扱うことを、既に10月4日に地方自治体に周知をさせていただいているところでございます。

(問)先日、観光庁が民泊の住宅宿泊事業法施行時の仲介サイトの物件登録の状況を、調査結果を公表しました。
 全体の2割が適法と確認できなかったと、中でも海外の事業者が多くそういった物件を公表していたという結果でしたが、大臣の受け止めと今後の対応を教えてください。
(答)既にプレスリリースをしたところでありますが、観光庁において、6月15日時点で民泊仲介サイトに掲載されていた物件について調査を行ったところ、2万4938件中、適法と確認できなかった物件が4916件ありまして、これらの物件については、既に観光庁から仲介業者に対して速やかにサイトから削除するよう指導したところであります。
 また、今回の調査結果を踏まえまして、観光庁は各仲介業者に対してまして、システムの改修や目視による確認の強化により、違法の疑いのある物件の排除を進めるよう指導しておりまして、各社においても順次改善しているものと認識しております。
 更に、今回、仲介業者から報告された情報について、施設の名称や住所等が不正確なものが多数見受けられたことから、住所等の情報の正確な把握に努めるよう、観光庁から仲介業者に対して通知をしたところであります。
 今後も、関係省庁や関係自治体と連携しつつ、仲介業者等を適切に指導するなどによりまして、民泊仲介サイトに違法物件が掲載されないよう取り組んでまいりたいと考えております。

(問)森友学園の先ほどの質問に関してです。
 コメントを差し控えたいということでしたが、国土交通省は当時ゴミの積算をした当事者であり、業者から報告書をもらった当事者でもあります。
 第三者にそういう話を聞く時に根拠が示されていないということでコメントを差し控えたいというのは議論の余地があると思うのですが、そういった当事者に聞いている中で、なおかつ、一般論として、報道機関というのは情報源の秘匿とか編集権の下で記事を書いているわけで、そういった中で先ほどのコメントを差し控えたいというコメント自体は適切だとお考えでしょうか。
(答)報道について問われましたが、仰る中身のどなたが情報を出したかということは我々は求めているわけではありませんけれど、どういう根拠でそういうことを指摘をされるのか、そこが分からないのでコメントを控えると申し上げたところであります。

(問)どういう根拠というのは、どういうことでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたように、ゴミの層を示した数値が、地面からの深さの数値ではなく、穴の底からの高さだということを指摘しているのですけど、どうしてそういう指摘になるかという根拠が示されていないということでございます。

(問)もう1点だけ。
 今までの国会答弁で、2016年4月5日に現地調査をして、試掘の現場を大阪航空局の職員が見に行って、その後、業者から写真付きの報告書を受け取った。
 これは、昨日も野党PTでも、その2点をもって3.8mにゴミがあるという判断をしたということを仰られました、なおかつ、現地調査の時はメジャーで測ったわけではないということも今までの国会答弁で明らかになっています。
 そうなると、この写真がかなり、大臣含めて国会で当時検証可能なあらゆる材料を用いて行ったという包括的な言葉で説明をされてましたが、私が国会を見ている中で、ほぼ唯一無二の物証があの写真だったと思うのですが、その写真に疑義が生じている状況だと思うのですが、報道以外で、当事者として、穴の底部分からの高さを示しているという疑いがあるということを、国土交通省として把握している事実はありますか。
(答)ございません。

(問)全くないということでよろしいですか。
(答)疑義が生じているということは、ありません。

(問)そういった話があるということも、全く承知していないということでよろしいでしょうか。
(答)ございません。

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