大臣会見

石井大臣会見要旨

2019年9月3日(火) 10:50 ~ 11:13
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から報告するものはございません。
このほか、私の方から1点報告がございます。
第9回日中韓観光大臣会合出席について報告をさせていただきます。
8月30日に韓国の朴良雨(ぱく・やんう)文化体育観光部長官と中国の雒樹剛(らく・じゅごう)文化旅游部長との間で、第9回日中韓観光大臣会合を行いました。
この大臣会合では、2020年までに相互交流を3000万人規模とする日中韓3カ国の目標について、昨年達成したという認識で一致しました。
その上で、日中韓3カ国の国民の相互信頼を深める活発な観光交流を推進することに合意するとともに、そのために取り組むべき3国間の協力について議論を交わし、3国の共同宣言文に署名しました。
また、来年の大臣会合は日本で開催することにも合意しました。
更に、韓国、中国の観光担当大臣と個別の会談を行い、充実した率直な議論を交わすことができました。
日韓観光大臣会談では、両国間に様々な課題がある状況であっても、両国間の信頼を基にした観光交流は重要であることについて認識が一致し、今後の日韓間の双方向交流の推進について意見交換を行いました。
日中観光大臣会談では、昨年10月に合意した「相互交流1500万人」の目標に向けて、今後の日中間の双方向交流の推進について意見交換を行いました。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
私からは以上であります。

質疑応答

(問)先週、概算要求をまとめられたかと思いますが、これは2010年の概算要求以来、10年ぶりに7兆円を超える規模となっております。
大臣の受け止めと、力を入れていく項目についてお聞かせください。
(答)国土交通省の令和2年度予算概算要求では、一般会計で対前年度比1.18倍の7兆101億円を要求しております。
防災・減災、国土強靭化の取組の加速化・深化など、重点施策を推進するために必要な予算をしっかりと要求させていただきました。
具体的には大きく4つの分野に重点を置いた要求を行っております。
第1に、「被災地の復旧・復興」について、令和2年度までの10年間の復興期間の「総仕上げ」として東日本大震災からの復旧・復興や、近年相次ぎ発生している大規模自然災害からの復旧・復興に着実に取り組んでまいります。
第2に、「国民の安全・安心の確保」について、先日九州北部を襲った記録的な豪雨など、災害の更なる頻発・激甚化に対応するため、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」後も見据えて、ハード対策・ソフト対策を総動員し、防災・減災対策、国土強靭化の取組の加速・深化を図ってまいります。
第3に、「生産性と成長力の引上げの加速」についてであります。
来年の東京オリンピック・パラリンピック後も経済の好循環を持続・拡大させるため、三大都市圏環状道路などのストック効果を重視した戦略的な社会資本整備を推進してまいります。
最後に、「豊かで暮らしやすい地域づくり」についてであります。
従来から進めてきたコンパクト・プラス・ネットワークに加え、スマートシティや「日本版MaaS」等の実現に取り組んでまいります。
社会資本の整備は未来への投資であり、中長期的な見通しの下、必要な公共事業予算を安定的・持続的に確保することが不可欠です。
令和最初の予算編成で、国土交通省の使命を全うするために必要な予算をしっかりと確保できるよう、全力で取り組んでまいります。

(問)先週発生した九州北部地域の豪雨について伺います。
現在の被害復旧の状況についてと、特に佐賀県の大町町で油の流出による被害が深刻化していますが、今後の国土交通省としての対応などお聞かせください。
(答)前線と湿った空気の影響により、8月28日には佐賀県、福岡県、長崎県で大雨特別警報を発表するなど、九州北部地方を中心に記録的な大雨となりました。
この大雨により亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心より御見舞い申し上げます。
今回の大雨により、広い範囲で浸水被害や土砂災害が発生しました。
また、佐賀県大町町では鉄工所が浸水し、大量の油が住宅地や農地等へ流出しました。
国土交通省としては、本省部長や土砂災害専門家、海上保安庁の機動防除隊を現地に派遣し、排水対応や油の防除、土砂災害に関し、県や被災自治体の首長等に助言するとともに、全国からテックフォース隊員を1日あたり最大233名、排水ポンプ車58台等を派遣し、災害対応に当たっているところであります。
油の対応につきましては、鉄工所や排水樋管(ひかん)にオイルフェンスを設置し、応急対応を行うとともに、バキューム車や吸着マットにより排水樋管(ひかん)周辺で回収作業を行いました。
更に浸水対応については、既に佐賀県大町町以外は解消しており、大町町についても概ね解消し、自衛隊等による住宅地内の油の回収作業にあわせて、残りの排水を行う予定となっています。
交通関係では、大規模地すべりにより被災した長崎道武雄JCT周辺におきまして、既に上り線を解放し下り線でも緊急車両の通行を可能としており、早期対面通行が可能となるよう応急復旧を現在実施しております。
今後も引き続き1日も早い被災地の復旧に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。

(問)タクシーの運賃の引上げについて伺います。
長野県で昨年末以降タクシー事業者から運賃引上げの要請があって、北陸信越運輸局が今年8月中に運賃の上限について新しく公表する予定でした。
ただ、今回、消費税の増税と同時の運賃改定は好ましくないとの意見もあって、事業者の要望による通常の運賃引上げは引き続き審査を継続するとされました。
今回、長野を含む20都道府県の48地域で同様の継続審査の措置が取られているようなのですけれども、事業者からすれば、運賃改定を従業員の賃金引上げだったり、経営改善につなげたいという狙いもあると思います。
今回の国の運賃引上げの継続審査はどのような判断からなされたのか、大臣の見解を伺います。
(答)タクシー運賃の改定につきましては、消費税率改定に伴う改定を本年10月1日に実施することといたしまして、8月30日付で各地方運輸局等において公示したところであります。
一方、現在、消費税率改定に伴う運賃改定以外の通常の運賃改定に係る審査を行っている地域がございますが、物価問題に関する関係閣僚会議に当たりまして、複数の関係省庁から消費税率改定に伴う運賃改定と通常の運賃改定を同時に行うことについてはより丁寧な検討が必要と考える等の意見が示されました。
これを踏まえまして、通常の運賃改定につきましては、消費税率の引上げと同時の改定を行わず、引き続き各地方運輸局において審査を継続することといたしました。
通常の運賃改定についての今後の対応につきましては、各地方運輸局を通じまして、地域の利用者の受け止めやタクシー事業者の声もよくお聞きしつつ、経済への影響等も見極めながら検討してまいりたいと考えております。

(問)リニア中央新幹線の静岡工区のところでお伺いします。
9月5日の明後日に静岡県知事と愛知県知事が進め方について面談することになりました。
国土交通省でも8月に進め方についての考え方を出しているところですけれども、9月5日の面談を踏まえて、改めて大臣の御所見をお伺いしてよろしいですか、お願いします。
(答)リニア中央新幹線の静岡工区につきましては、現在、JR東海と静岡県との間で協議が進められているところですが、本事業を円滑に進めていくため、国土交通省は、静岡県及びJR東海と、今後の当面の進め方について確認を行い、8月9日に合意したところです。
この3者合意を受けて、静岡県から出席の要請があったため、8月20日及び21日に開催された専門部会委員とJR東海との意見交換会、及び8月29日に開催された大井川利水関係協議会会員とJR東海の意見交換会に、立ち会いとして、国土交通省の担当者が出席いたしました。
この件につきましては、こういった意見交換会等を通じて、科学的知見等に基づきながら検討が進められることが重要であり、国土交通省としましては、先月の意見交換会への出席などを含め、このような検討が円滑かつ迅速に進められるよう、環境整備等に努めてまいります。
なお、9月5日に愛知県知事と静岡県知事が会談する予定であることは承知しておりますが、これは知事の間の話し合いに関することですので、国土交通省としては、コメントは控えたいと思います。

(問)路線バスが停車中に横断歩道を塞ぐなど危険性のあるバス停について、菅官房長官が昨日の記者会見で国土交通省が全国の事業者に対する実態調査に着手したことを明らかにしました。
その概要を教えてください。
また、このような危険なバス停周辺では、昨年8月に横浜市で女児が死亡するなど、事故が相次いでいることも確認されていますが、今後どのような対策が求められるか、石井大臣のお考えをお聞かせください。
(答)昨年8月30日に横浜市内のバス停付近で交通事故によりお亡くなりになられた女児の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の方々に心よりお悔やみ申し上げます。
バス停の設置につきましては、バス事業者が都道府県警察や道路管理者と協議しつつ、その安全性等を考慮しながら場所を決定しています。
こうしたバス停の中には、安全上問題があるおそれのあるものもあり、現在、自動車局が事業者団体を通じて、全国的な実態調査を行っているところであります。
国土交通省といたしましては、引き続き実態把握を進めるとともに、危険なバス停についてバス事業者、警察、地方自治体等が協力しつつ、移設等の必要な対策を行うことにより、バス停の安全性確保が実現されるよう必要な指導等を行ってまいります。

(問)コンパクトシティを進めるために立地適性化計画を策定した自治体のうち、居住誘導区域に土砂災害特別警戒区域などレッドゾーンが含まれる自治体が約1割、土砂災害警戒区域などイエローゾーンが含まれる自治体が約9割あることが、国土交通省の集計で判明しています。
こうした現状について石井大臣の受け止めと、国土交通省の今後の対策をお聞かせください。
(答)国土交通省は、コンパクトシティを進める計画である立地適正化計画に関して、技術的助言である都市計画運用指針において、居住誘導区域の設定に関し、土砂災害特別警戒区域等、これは今おっしゃった、いわゆるレッドゾーンというところでありますが、これについては原則として居住誘導区域に含まないこととすべきであると、また、浸水想定区域等、これはいわゆるイエローゾーンというところでありますが、これにつきましては総合的に勘案し、適当ではないと判断される場合は、原則として居住誘導区域に含まないこととすべきとしており、地方公共団体において必要な取組が図られるよう進めているところであります。
国土交通省としては、居住の安全対策は極めて重要と考えておりまして、改めて都市計画運用指針の周知徹底等を行うとともに、特に、いわゆるレッドゾーンですね、土砂災害特別警戒区域等については、居住誘導区域から除外するよう、自治体に強く働き掛けていきたいと考えております。

(問)フラット35についてお尋ねします。
先週金曜日に住宅金融支援機構が不適切な事例について調査結果を発表しました。
不正の疑いがあるものが多数見つかったという発表で、これらのローンというのは国の補助金が出ているかと思いますが、国土交通省の対応について教えてください。
(答)先週金曜日の8月30日に、住宅金融支援機構において、フラット35の不適正利用が疑われる113件のうち、債務者への面談を行った105件の全てにおいて、投資目的利用又は住宅購入価格の水増しという不適正利用の事実が判明したと、113件の調査の過程で、新たに不適正利用の疑いがある事案が49件確認され、今後、債務者への面談等を行っていくとの発表がありました。
フラット35の不適正利用が行われたことは大変遺憾であります。
機構では、昨年秋以降、フラット35は投資用物件に利用できないことの注意喚起の徹底や、取扱金融機関と連携した融資審査の強化等に取り組んでおり、更に本年4月より、取扱金融機関における借入れの面談時に、フラット35は投資目的に利用できないことを説明の上、申込人の署名・押印を求めるといった再発防止策を実施していると承知しております。
国土交通省といたしましては、機構に対し、引き続きしっかりと再発防止に取り組むよう改めて指示を行ったところです。
また、機構による調査結果の内容等を踏まえつつ、現在、本件事案に関与した宅地建物取引業者の免許行政庁において事実関係の確認を進めているところであり、事実関係の確認を踏まえ、宅地建物取引業法に基づき、適切に対処していくこととなります。
なお、不適正利用に関し、金利の引下げに充てられた補助金については、国土交通省としては、事実関係を踏まえ、補助金適正化法に則り適切に対処してまいりますが、機構からは、補助金が不適切に支出されたと確認されたものについては、補助金を返還すると聞いております。

(問)一部報道で、高速道路で自動運転車の優先レーンを作るという見込みで、法改正も含めて検討しているというのがありましたが、これについて検討状況を教えてください。
(答)自動運転については、政府目標として、高速道路における後続車有人の隊列走行システムの商業化を2021年までに行うと、また、後続車無人の隊列走行システムの商業化を2022年以降に行うと、一般道路においては限定地域での無人自動運転サービス、レベル4でありますが、これを2020年までに実現するなどが挙げられております。
これを踏まえ、現在、隊列走行や中山間地域における自動運転サービスの実験を進めるとともに、有識者の検討会を7月に設置し、自動運転に対応した道路構造や道路管理などについて検討を行っているところであります。
国土交通省としては、引き続き、有識者の御意見を踏まえながら、道路空間の構造や管理の基準等について具体化の検討を進めてまいりたいと考えています。
(問)今言った、優先道路についても検討の中に入っていて、法改正も含めて検討ということなのでしょうか。
(事務方)そういった部分も含めまして、具体化に向けて有識者の御意見を踏まえながら、具体化の検討をしているという状況でございます。

(問)先ほどのフラット35に関連して、不適切な利用に関する融資分ですけど、機構からの補助金の返還について、確か立て付け上は、35Sの性能が優れたものに関してだったので、規模的には不適切事案の融資額全体というよりかは、かなり限定的な部分かと思いますが、規模感を教えてください。
(答)不適正利用の疑いがある162件中、157件で合計約2100万円の補助金を活用しております。
(問)基本的にはそれが全て返還されるということでよろしいですか。
(答)機構からは不適切な支出が確認されたものについては、返還すると聞いております。

(問)概算要求に絡んでもう1つお尋ねしたいのですが、臨時特別の措置が今回は概算には入っていなくて、年末の予算編成過程で調整ということになっていますが、臨時特別措置は基本的には令和2年度までということなので、部会の方では気が早いのかもしれませんが、令和3年度以降の取扱いについて結構話題になっていました。
先ほどの御発言の中でも、緊急対策後も見据えたハード・ソフト対策と御言及があったりもしましたが、今の段階で令和3年度以降の臨時特別措置に代わるものというか、大臣としてはどのようなものが必要だとお考えでしょうか。
(答)国土交通省としては来年度予算の概算要求を出したところであって、まずは来年の予算の確保に全力で取り組んでいきたいと思います。
なお、令和3年度以降も地域の御要望や社会経済の状況などを踏まえ、引き続き、必要な予算の確保にしっかりと取り組んでいきたいという決意であります。

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