大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2019年10月18日(金) 9:17 ~ 9:39
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、私の方から1点報告をさせていただきます。
本日の閣議で、港湾法の一部を改正する法律案が閣議決定されました。
これは、洋上風力発電の導入を促進するため、洋上風力発電設備の設置等の基地となる港湾の埠頭の貸付制度を創設するとともに、国際基幹航路の維持・拡大を図るため、国際戦略港湾の港湾運営会社の運営計画に、国際基幹航路に係る取組の内容を追加し、国土交通大臣が必要な情報の提供を行う等の措置を講ずるものです。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
次に、私の方から1点報告をさせていただきます。
第2弾の地方版図柄入りナンバープレートのデザイン決定についてであります。
図柄入りのナンバープレートについては、既に、ラグビーワールドカップや東京2020オリンピック・パラリンピックの特別仕様のもののほか、平成30年10月には第一弾の地方版図柄入りナンバープレートの交付を開始し、大会開催機運の盛り上げや地域振興に貢献しているところです。
本年9月末日時点において、それぞれ、ラグビーナンバーは約28万7000件、東京2020オリパラナンバーは約132万7000件、地方版ナンバーにおいては全国41地域で約10万8000件の申込みをいただいております。
引き続き、地域振興に貢献すべく、来年5月頃より、全国17地域、42市区町村で新たな地域名表示による地方版ナンバーの交付を開始することにしており、今般、このパネルにございますように、デザインを決定したところであります。
17地域の中には台風15号や19号で被災された地域もありますが、このナンバープレートを多くの方々につけていただき、「走る広告塔」として、地域の魅力が全国に発信され、地域が元気になることを期待しております。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)台風19号に関連して質問させていただきます。
先日の会見では、河川の堤防の決壊や浸水などに対する復旧を急ぐ考えを示されていましたけれども、現状の対策と、今週末雨が予想されていますけれども、これについての国土交通省の対応、被災者に向けて注意点などがあればお願いします。
(答)河川堤防の決壊箇所の復旧については、国管理河川の12箇所のうち、本日中に合計8箇所の仮堤防の完成を見込んでいます。
今御質問ありましたように、これからの天候の状況にもよりますが、残る4箇所についても24時間体制でしっかり工事を進めていきたいと思っています。
また、全国の浸水箇所のうち、17府県の100箇所において、排水ポンプ車などにより浸水が解消されたところです。
交通については、東京と山梨方面ををつなぐ、国道20号の高尾から相模湖の間が、今朝6時に開通し、JR中央線の高尾駅から大月駅間は、本日11時に限定的な形ながら運転再開の予定です。
こうしたインフラの復旧に加え、総理からの指示もありましたが、地域や住まいの復旧もフェーズが変わるということで、重要な課題となってまいります。
政府の中に「被災者生活支援チーム」が立ち上げられたわけでありまして、国土交通省内にも、昨日「被災者生活支援チーム」を立ち上げまして、政府のチームとも連携しながら、土砂やガレキの処理、住まいの確保、特に、災害弱者の方に対する旅館・ホテルの提供も含めて、代替輸送の確保など、被災者の生活支援に向けた課題について取組を進めてまいりたいと考えております。
今後の雨については、今晩から明日19日にかけて、被災地で大変まとまった雨となる見込みでありますので、被災地では相当地盤も緩んでいるところも多いので、少しの雨でも土砂災害や洪水が発生するおそれがあるという認識で、しっかりと十分な警戒をとっていく予定であります。
国土交通省としては、今回の浸水地域における、二次災害などを防止するため、排水ポンプ車を事前に配備するとともに、避難勧告や避難指示の発令をより安全に促すために、河川管理者が示す水位の警戒情報を通常よりも早めに発出するなど、住民の安全確保を徹底してまいりたいと思っております。
被災地にお住まいの皆さまにおかれましては、今日から明日にかけて、特に気象情報や防災情報等に十分御注意いただき、身の安全を確保されるよう、心からお願いを申し上げたいと思います。

(問)台風19号の関連ですけれども、今回の早めの避難の呼び掛けや、計画運休も実施されましたが、結果的に大きな被害が出ました。訪日観光客に対し災害の情報が十分に伝わっていなかったという指摘もありますが、情報発信などについて、今回の災害で認識できた課題と、今後の対策などを教えてください。
(答)昨年の台風21号の際の、関西国際空港の連絡橋が途絶して多くの外国人旅行客の皆さまを滞留させてしまったことや、また、本年の台風15号の際の成田空港における対応等を教訓としながら、災害等の非常時においては、外国人旅行者に対して多言語での迅速かつ丁寧な情報発信を行うことが必要だという認識で取り組んでまいりました。
今般の台風19号の対応にあたっても、日本政府観光局(JNTO)の公式SNSやウェブサイト等で、気象情報や交通機関の運航情報等を多言語できめ細かく発信するよう努めました。
更に、数多くのフォロワーを持つ外国人有識者等の協力、この有識者というのは、観光庁のいろいろなところでアドバイザーとして来ていただいている方が中核だと思いますが、これらの情報がより多くの外国人旅行者に届くよう取り組んだところ、一定の成果があったものと考えております。
一方で、これらの情報がより多くの方に確実に届くような手法や周知等については、不断の見直しが必要であると考えております。
付言しますと、予算委員会でも答弁させていただきましたが、JNTOの災害対応の公式ツイッターを、昨年10月に新たに開設させていただきました。
フォロワー数が約1年で7000人くらいであったのですが、10月11日の時点から14日の時点、この3日間で約2万2000人にまで膨れあがりました。
台風が上陸する直前に外国人の旅行客の皆さまの関心も高まって、現実にこうしたフォロワーが3倍以上に増えたということで、多くの外国人旅行者の方々の利用があったものと認識できたところであります。
こうしたことも踏まえながら、いい物を作っても周知徹底がどこまできるかということが大切ですし、それぞれいろいろな媒体のメディア関係の方々からも、そうしたことの取組をという声もありますので、観光庁において、この秋に、有識者、交通事業者、観光関連業界等の皆さまに広く参画をいただいて、訪日観光客に対してのこうした情報の伝わり方についての検討会を開催し、適切に対応してまいりたいと考えています。

(問)台風に関連しまして、ハザードマップについてお伺いいたします。
市町村によるマップそのものの策定は進んでいる一方で、今回住民への周知が行き届かず避難の遅れにつながったという指摘もでております。
大臣のこのことに対する受け止めと、国土交通省として今後何か対応されることがありましたら教えてください。
(答)これはかねがね、私自身も問題意識を持っておりまして、ハザードマップについて、全国の市町村でハザードマップを作って公開していって欲しいということは、これまで政治家としても働きかけてきたわけでございますが、現在、おそらく全国98%くらいの市町村でホームページに掲載されていて、大変重要ないいことだと認識をしておりますが、それを周知されているかどうかというのは、それをどれだけ理解をしていただいているのかというのは大変課題があるということです。
そのハザードマップで、イエローゾーンとかレッドゾーンの地域が、そのハザードマップどおりに浸水が起こってしまって、被害が大きくでてしまったというのは、去年の倉敷市の真備町でも同様でしたし、今回も似たような事例が数多くあったと思っております。
そうした意味でハザードマップの活用、今後、ハザードマップをどう周知徹底していくのか、これは国民の皆さま一人一人の防災意識をどう高めていくのかということの重要な1つの大きな核だと思っておりますので、これの周知徹底の仕方について、しっかりと検討していきたいと考えています。
それとともに、地域住民の皆さまの防災意識を喚起して、平素よりリスクへの認識を深めるというのが、ハザードマップの活用が重要であるということと同時に、自助・共助・公助の精神から言って、自助の部分で平素より実効性のあるマイタイムラインを作成していただくというような取組も必要なのではないかと思っております。
自ら自分の命をどう守るのか、共助は地域でどう助け合っていくのか、そして公助である、我々国土交通省はじめ、政府、地方自治体がどうハード面を中心にその防災・減災の施策を進めていくのかといった取組が重要であると考えております。
様々な今回の事例も参考にしながら「大規模氾濫減災協議会」等の場を通じて横展開するなど、関係省庁や自治体と連携して、全国へ普及していけるように、ハザードマップについては、しっかりと取組を進めたいと思っております。

(問)台風19号の対応について質問です。
今般の茨城県水戸市では、那珂川が越水したにも関わらず、地元の河川事務所などから氾濫発生情報が出されていませんでした。
災害時に河川が氾濫しているかどうかは流域住民にとって非常に重要な情報だと考えますが、今回の対応について、大臣の所感と今後の対応についてお聞かせください。
(答)今回の住民の皆さまの避難行動にとって重要な氾濫発生情報が発表されなかったことについては、大変申し訳なく思いますし、心からお詫びを申し上げたいと思います。
この台風19号で堤防が決壊した那珂川において、氾濫発生情報が発表されなかったことについて、また、その経緯等については、今朝8時30分から関東地方整備局で記者会見を行っているところであります。
私からは、関東地方整備局に対して、この事案の報告を受けたときに、早急に事実関係を確認するとともに、再発防止策を検討するよう指示したところです。
また、今回の事案について、全国の河川管理者に対して、同様のことが起きないようにと周知徹底を行いたいと考えております。
今日午後、私もこの地元に足を運びますので、私自身も直接、本件大変重大なことだと思っておりますので、もう一度確認をしながら取組をさせていただきたいと考えております。
なお、この週末の降雨への対応として、那珂川の洪水予報を担当する事務所の担当人員を倍増させ、情報の受け渡しをダブルチェックする体制を整えることとしたと関東地方整備局より報告を受けたところであります。
整備局長も今日現地で合流すると思いますので、しっかりと直接連携して再発しないように取り組んでいきたいと思っています。
(問)今回の事案以外に、発表漏れとかそういった事案の報告は上がってきていないでしょうか。
(答)今、私のところには上がってきておりませんが、先ほど申し上げましたように、こうしたことが起こってしまったということをもう一度全国に通知をして、周知徹底をする、再発防止を行うということを徹底してまいりたいと考えております。

(問)台風19号の関係で、ダムの緊急放流について伺います。
今回6つのダムで緊急放流が行われていたと思います。
このことについて情報の周知や今回の評価、課題、そして今後今回のことについて検証されるのかどうか伺わせてください。
(答)いわゆる緊急放流、正式には「異常洪水時防災操作」と呼んでおりますが、昨年の西日本豪雨で、尊い人命が失われた愛媛県肱川(ひじかわ)で、この操作がなされましたが、大変難しい案件で慎重にやらなければいけないという認識を強く持っているところでございます。
今回記録的な豪雨に見舞われた6つのダムで洪水調節容量を使い切る見込みとなりましたので、ダムへの流入量と同程度の放流量とする異常洪水時防災操作に移行いたしました。
異常洪水時防災操作への移行につきましては、事実関係を言いますと、洪水調節容量を使い切るタイミングで決まるものであって、ダム管理者がそのタイミングを決めることができないといった事実関係がございますが、あらかじめ地元自治体に説明をさせていただきますとともに、サイレン、スピーカー等により地元住民へ警報も発せさせていただいたところであります。
同時に記者発表によりまして、マスコミ各社の皆さまの御協力もいただいて、周知に努めさせていただいたと認識しております。
御指摘の今回実証した6つのダムのうち、緊急放流の以前に事前放流というのがあるのですけれども、その事前放流につきましては、5つのダムについて事前に水位を下げるための行動を行わせていただきました。
具体的には、美和(みわ)ダム、高柴(たかしば)ダム、塩原(しおばら)ダム、水沼(みずぬま)ダム、城山(しろやま)ダムで、台風襲来の2~3日前から水位を下げております。
これは勝手に出来るわけではなく、我々がそうしたいということについて関係者の御理解をいただいて、特別の措置を事前にさせていただきます。
残りの1つの竜神(りゅうじん)ダムについては、実はそれ以前から水位が相当下がっていたために、それ以上水位を下げなくても大丈夫だということで事前放流はしなかったということでございます。
ですから、振り返りますと結果として、大変慎重にやらせていただきましたが、結果は、今回は事故がなくて良かったと思いますが、これはまた次なる災害に備えて、絶対無事故で運用出来るように、日頃からダムの周辺の関係者の皆さまの御理解もいただきながら、しっかり対応を重ねていきたいと考えております。

(問)台風19号に関連してですが、国管理も含めて全国で100箇所以上の堤防が決壊するという事態になっていますけれども、今後の治水対策について、改めてお考えをお聞かせください。
(答)今回の台風19号で、国管理の河川が12箇所も決壊し、県管理も含めると100箇所を超える大変な災害でした。
今後の大型の災害に対して被害を最小化していかなければならないと考えております。
予算委員会で何度か質問をいただきましたが、今、国土交通省で、「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」を平成30年4月に設置し、降雨量がどの程度増加するかなどについて検討を進め、本日提言がとりまとめられたところです。
この提言や今回の災害における課題も踏まえ、将来の気候変動の影響による降雨量の増加などを考慮した治水計画に見直すとともに、自助・共助・公助の組み合わせによる防災対策を強化するため、国・県・市のみならず企業・住民の方々などと連携しながら、流域全体でソフト・ハード、官民あげてあらゆる対策を総動員する新たな治水対策へ転換するための検討をしっかり進めてまいりたいと考えております。

(事務方)先ほど、大臣から緊急放流の6ダムにつきまして、事前放流という話しがありましたけれども、事前放流ではなく、事前に放流したダムということです。
事前放流と予備放流と2種類ありまして、正確にいうと2種類あるということです。
事前に放流したダムが5つあったということです。事前に放流するものには、計画上に位置付けられていて事前に放流するものを予備放流といいます。
計画ではない、更に上乗せをして、ある意味、応用を利かせてやるものが事前放流といい、テクニカル的にはそういう区別をしておりまして、今回は事前放流、予備放流両方ありました。
(答)このオペレーションというのは、相当ぎりぎりの最終手段であるので、リスクもあると思うので、そのリスクはなるべくミニマイズして、出来るだけそこに至らないようにしなければいけないと、ダムの水を使って利水している事業者の方もいらっしゃいますし、その方々に対しても、どうするかというのは平時から話し合いをしていかなければいけないということです。

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