大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2019年12月10日(火) 11:07 ~ 11:27
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

私の方から今日は特にご報告はございません。

質疑応答

(問)臨時国会が昨日閉会いたしました。
大臣として臨まれた初めての国会だと思いますけれども、特に印象が残っておられることなど御所感をお聞かせください。
(答)昨日で臨時国会が閉会いたしましたが、9月11日に任命を受けまして、今日でちょうど90日間になるわけですが、就任のときには既に台風15号が上陸し、その後17号、19号、21号と、まさに激甚災害が、大変大きな災害が続いた3か月でした。
改めて、お亡くなりになられた皆さまに御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆さまの全てのお見舞い申し上げたいと思います。
また、国土交通省としても、復旧・復興に全力を尽くしておりますが、まだまだ長い戦いだと思いますので、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。
この90日間自宅にも2日間しか戻れておりませんが、これまで延べ21の道、県の被災地域に足を運ばせていただきまして、1つはやはり近年の気候変動による災害の激甚化と頻発化、またそれによってもたらされる被害の甚大化というものを、改めて各所で痛感したところでございます。
こうした気候変動による災害の激甚化に対応できるための抜本的な防災・減災対策を国土交通省内で諮問して議論を始めさせていただいているところです。
そうしたことの対策をしっかりとらなればいけない。
これは、ハード対策のみならず、ソフト対策も加えて、国民の皆さまの防災意識の向上と、またそれぞれの地域防災力の向上を具体的に実現していかなければいけないと強く決意しているところです。
また振り返りますと、最初の台風15号については、千葉に行ったときに、予想以上に現場では屋根の損害がひどくて、これまでは一部損壊扱いになって、基本的にはなかなか支援策の対象にはならない事例が多かったけれども、そういうことでは済まないということで、内閣府の防災担当武田大臣や菅官房長官と様々御相談・検討させていただきながら、所掌としては内閣府でございますけれど、今回一部損壊の中に準半壊というものをいれて災害救助法の対象に加えたことや、国土交通省独自でも、地方自治体が行えばということで、山形県鶴岡市や新潟県村上市で実施したような形で家屋の修理費を出せるようなこともセットしたということを振り返りますと、災害の種類は様々変わってきていますし、それに対して災害に関する法制は、現場のニーズに合った形で不断に見直しをしていくことが大事だということを認識したということでございます。
また対照的に、観光についてもこの3か月間いろいろございまして、G20の観光大臣会合が初めて開催され、その議長として、北海道の倶知安(くっちゃん)で2日間会合をさせていただきまして、大変有意義な会合だったと思います。
各国ともに、我が国とほぼ似ていると感じたのですが、観光政策、産業政策としての大変大きな可能性と、また経済政策だけではなくて、文化、芸術、歴史、スポーツ、国民同士の相互交流という大変価値のあるものが観光政策であると認識し、また、同時にオーバーツーリズムの問題も様々な国で抱えているということも共有できたことは大変よかったのではないかと思います。
その後、首里城の火災の件もあって沖縄にも飛びましたが、2日目に海上保安庁のヘリコプターで沖縄の上空を視察させていただいて、改めて沖縄の観光には相当大きな可能性があるということも認識し、その日の午後、那覇港の国際クルーズ拠点の起工式、また、那覇空港の2本目の滑走路、今年度末に供用開始の予定ですが、その実態も見てきて沖縄だけでも相当な可能性があるということを認識できたということは、大変貴重な体験だったと思います。
また、自動車事故に関すること、これは自動走行とも相まっているのですが、「あいの会」や「自賠責制度を考える会」の皆さまとも直接お会いをしまして、自動走行を進めると同時に、過信をしないで自動車事故の撲滅をやっていかなければいけないと、直接御指導いただいたところでして、そうした意味では、この自賠責制度の中で、特に療護センターがまだまだ数が少なくて、御家族の皆さまが大変な御苦労をされているとか、介護されている方々自体が高齢化しており、その実態は大変厳しいということも受けて、こうした問題をどう前向きに対処していくのかということも含めた検討会も立ち上げようということも、きっかけになりましたので、必ず回答や改善策を実現できるようにしていきたいと思っております。
また、国会の審議におきましては、洋上風力発電の導入の促進等を内容とする「港湾法の一部を改正する法律案」を提出し、衆議院、参議院様々な御審議をいただいて成立いたしました。
このことは、再生可能エネルギーのテイクオフというか、なかなか今まで課題が多かった風力発電の中でも洋上風力発電がこれで大きく前に進むのではないかということを、国会審議のやりとりをしながら、同様の御質問も多かったわけでありますので、そうしたことも、成立を機にその進捗を非常に楽しみに期待ができる内容だったのではないかと思います。
加えて、国際航路の維持、発展という大変難しい現状の中で、ある質問者からは、日本の強みであるLNGを活用して、国際競争力をもっと持つべきだというような具体的な提案もいただき大変有意義な質疑のやりとりができたのではないかと思っています。
成立した法律については、その目的を達成できるようにしっかり運用してまいりたいと思っておりますし、また、先週記者会見でも申し上げましたが、明年は2020年東京オリンピック・パラリンピックを迎える年でもありますので、ユニバーサルデザインの共生社会、大きな前進となる一年にしなければいけないと思っておりますので、まず手始めに、新幹線に関わる部分について検討会を立ち上げることになりましたので、こうしたことも明年に向けてできるものは可及的速やかに行う、中長期的にも恥ずかしくないバリアフリーの社会を作ろうと、そう考えているところであります。

(問)菅官房長官の観光を巡る御発言についてお尋ねします。
土曜日に熊本益城町(ましきまち)を御視察された際に、ホテルの整備に関して御発言されていて、我が国は世界レベルのホテルが不足していると言われており、今後各地に世界レベルのホテルを50箇所程度新設することを目指しますと。
財政投融資の活用というようなことを発言されています。
これに関して国土交通省の役割について教えてください。
(答)官房長官の御発言については承知しておりますし、私もこれからの日本の観光政策、具体的には2020年4000万人、2030年6000万人を実現しようとするときには、今のゴールデンコースというか東京、大阪、京都、富士山だけではとてもではないけれど立ち行かないと。
やはりまだまだ多くの観光資源が眠っている地方にできるだけ多くの国内外のお客さんが来られて、その地域のパワーになりリピーターが増えていくことが非常に大事だと思っておりますが、地方に行くと外国人の方がカンフォタブルに泊まれるホテルが少ないのも現実です。
ホテルのバリアフリー化も遅れておりますし、量的にも非常にキャパも少ないので世界で通用する、世界で有名なホテルが増設できるような、日本の観光施設の魅力を高めていかなければならないと思っています。
私の地元の神戸ですら、外資系のトップのホテルは残念ながらまだありません。
おそらくマーケットサイズ、ボリュームとしてはまだまだクリアできていないという現実があると思いますので、そうしたことが観光庁として少しでも多くの皆さんが来たくなるような観光地の磨き上げをしていくことが大事だと思っておりますし、正確な数ではありませんが50に近い新規案件も具体的にあると承知しておりますので、そうしたことは2020年4000万人、2030年6000万人を実現するためには、非常に大事な環境整備だと思っています。
(問)財政投融資ですと基本的には要求官庁があって、財務省と折衝されるかと思いますが、観光庁が要求官庁であるということですか。
新規案件が50くらいあると仰ってましたが、これについて財政投融資を充てるという構想でしょうか。
(答)そこまで具体的な話としては承知しておりませんが、官房長官とこの件で細かく詰めているわけではありません。
財政投融資を利用しながら、大きな案件は資金が足りないということで、そうしたことを言われたのだろうと思っております。
前向きに受け止めていきたいと思います。
(問)地方の宿泊施設を巡っては、例えばこれまでのホテルの開発などで、かんぽの宿やグリーンピアや国民休暇村など各省庁が開発をして、それによって淘汰された施設があったり、ダンピングが起きたり、開発ができて高級リゾートが作れたはずだったのに、それが経済的にうまくできなかった経緯があると。
その中で、財政投融資を新たな施設に、しかも今、外資という御発言がありましたけど、充てるということに関しては業界からも不安の声もありますけれども、どのようにお考えですか。
(事務方)御指摘の点は確かに聞いておりまして、既存の宿泊施設、旅館やホテルも、先ほど大臣が仰られたバリアフリー化や外国人を受け入れるようなインバウンド対応策ですとか、そういったことを取り組んでいきたいと考えております。
(問)既存の施設に手当はあるのでしょうか。
(事務方)既存の施設にも来年度当初予算として、バリアフリー化の改修やWi-Fi整備、多言語対応などの補助金の要求をしているところです。
(答)私なりの感想を付け加えると、正しいかどうかわかりませんが、これまで景気が厳しい状況が続いているという後ろ向きな心配を感じているのではなくて、6000万人という全然状況が違う時代を作ろうとしているので、その中で世界のトップレベルのホテルが来ても、日本独自の旅館が競合関係で廃れるということにはならないと思っていますし、ならないようにしっかりと政策を進めていかなければならないと思っております。
前向きに考えていきたいと思っています。

(問)リニアの関係で、昨日、鉄道局が主導して、JR東海と成田空港会社を呼んで勉強会をしたと思うのですが、その後、鉄道局長からJR東海に、地元ともう少しきちんと話し合ってください、というようなメッセージを送られたと思うのですが、そもそも3者協議の枠組みが今のところ進んでいないような状況で、2027年の開業も危ういという声も出ていますが、昨日の勉強会も踏まえて、今後の見通しについて改めて大臣の考えを教えてもらえますか。
(答)昨日9日、鉄道局において、成田国際空港株式会社とJR東海をお呼びして、「交通インフラ整備と地域共生に関する勉強会」を開催させていただきましたが、これは、大規模な交通インフラを整備・運用するに当たっては、事業主体が地域社会とのしっかりとした信頼関係を築いていくことが不可欠だと、やはりリスクコミュニケーションは大事だということで、両者に共通の要素があると考えて開催されたものと承知しております。
成田国際空港は、これまでの長い歴史の中で様々なことを地元の皆さんに対し説明しながら今日を迎えたということで、そういう経験、ノウハウがたくさんある会社です。
一方、リニア中央新幹線の建設に当たりましては、その早期実現と、建設工事に伴う南アルプス地域における水資源と自然環境への影響の回避・軽減を同時に進めていくことが必要なプロジェクトだと思っていますが、その点について地元の地域社会の御懸念を解いて、どう理解を求めるかというのは大変重要な局面だと私たちも認識しております。
そういう意味では、事業者のJR東海が、地元の皆さんへの理解を深めていく汗をかかなければならないと思っていますので、関係者のリニアの建設に関する課題を克服していく上での一助となればということで、昨日の勉強会が開催されたと思っていますし、そうした思いが達せられるような内容の勉強会であることを、私たちも期待しているところです。
今後の見通しについて、この勉強会をやったからというよりか、こうしたことは地元の皆さんに丁寧に説明し、理解を得るということがそもそも大事だということを御認識いただく勉強会を開催させていただいたということだと承知しております。
(問)改めてJR東海に、地域に対してそのようにやっていくことが大事だというメッセージを伝えることが勉強会の趣旨だし、昨日の最後に仰っていたことなのかなと思いますが、大臣も改めてその点は考えを共有しているということですね。
(答)そうですね。
もちろん当該事業者が一番そうしたことをやらなければいけないということなのではないでしょうか。
精神論だけではなくて、先例にいろいろなノウハウがあると思いますので、そうしたことを意見交換してほしいと思います。

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