大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2022年5月17日(火) 10:05 ~ 10:30
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)冒頭2点、御報告させていただきます。
閣議案件では何もありません。
その他2点です。
1点目は、訪日観光実証事業の実施についてです。
水際対策については、感染拡大の防止と社会経済活動のバランスを取りながら、政府全体で、段階的な緩和を進めているところです。
観光を含む国際的な人の往来は、我が国の経済活動や地域の活性化にとって極めて重要です。
先週も、観光・交通業界の皆さまから、早期の訪日観光再開について強い御要望を頂戴し、私としてはしっかりとこれを受け止めたところです。
他方で、訪日観光の再開については、受入地域の皆さまの理解や安心感の醸成を図ることが必要であると考えています。
こうした観点から、水際関係省庁とも相談を重ねてまいりましたが、まずは、訪日観光再開に向けて必要な材料を収集するため、5月中に、我が国の旅行会社が行動管理を行う、少人数のパッケージツアー形式での実証事業を実施することとしました。
事業の参加者については、ワクチン3回目追加接種済みであり、感染拡大リスクの低い国から来られる方に限定します。
そのうえで、感染防止対策の遵守方法や緊急時対応等について検証を行い、旅行会社や宿泊事業者等が留意すべき点をまとめた「ガイドライン」を策定し、関係者間に周知することとします。
なお、訪日観光の再開については、水際対策全体の中で、この実証事業のほか、国内外の感染状況、主要国の水際対策の状況、検疫体制等も踏まえ、別途、政府全体で検討してまいります。
詳細は、後ほど資料を配布します。
2点目は、「新幹線の地震対策に関する検証委員会」の開催についてです。
3月16日に福島県沖で発生した地震により、東北新幹線においては、高架橋等の施設被害とともに、やまびこ223号が脱線する事故が発生しましたが、4月14日より全線で運転を再開し、先週5月13日からは通常ダイヤでの運転を開始しています。
国土交通省としては、今回の被害に鑑みて、高架橋をはじめとする土木構造物や電化柱の耐震基準及び耐震補強計画など、新幹線の脱線対策についてしっかりと検証を進めるため、学識経験者等からなる「新幹線の地震対策に関する検証委員会」を設置し、第1回目の委員会を5月31日(火)に開催します。
詳細は事務方にお問い合わせいただければと思います。
冒頭2点、以上です。

質疑応答

(問)(しれ)(とこ)の事故の関連でお伺いします。
先週、運航会社への過去の行政の指導文書ですとか、改善報告書などの関連資料が開示されました。
これを受けて、国のチェック機能のあり方などを含めて御所感をお伺いできればと思います。
(答)知床の遊覧船沈没事故に関して、5月13日(金)に、今回事故を起こした事業者に対して、昨年、国土交通省から発出した行政指導文書、事業者から提出された改善報告書等を開示しています。
有限会社(しれ)(とこ)遊覧(ゆうらん)(せん)に対しては、昨年の2度の事故を受け、北海道運輸局において昨年6月に特別監査を実施し、7月に安全管理規程の遵守等の指導を行うとともに、その後10月に、同局職員が同社の本船及び事務所を事前通告なしで抜き打ちに訪問し、改善内容について確認を行っています。
しかしながら、こうした監査等を行ってもなお、今回の事故が発生したことについて、真摯に受け止め、監査の方法等について改善を図る必要があると考えています。
国土交通省としては、二度と今回のような悲惨な事故を起こすことのないよう、徹底的な安全対策の検討が必要であると考えており、「知床遊覧船事故対策検討委員会」において、「監査のあり方」も含めてしっかりと議論し、必要な措置を講じてまいりたいと思っています。
 
(問)原油価格・物価高騰対策について、国土交通省の最近の取組状況などについてお願いいたします。
(答)先月26日、「原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議」において、コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」がとりまとめられました。
総合緊急対策において、国土交通省関係では、燃料油に対する激変緩和事業への航空機燃料の追加や、LPガスを使用するタクシー事業者への支援、子育て世帯等に対する省エネ住宅の購入支援、新型コロナや原油価格高騰の影響を受ける観光事業者等への支援、物流の各分野や、建設業・造船業における価格転嫁対策、居住支援法人等による孤独・孤立対策への支援などの施策が盛り込まれました。
本対策を踏まえ、燃料油に対する激変緩和事業については、4月28日以降制度拡充が行われ、対象油種に航空機燃料が追加されています。
LPガスを使用するタクシー事業者への支援についても、事業者からの申請受付を開始しています。
また、「こどもみらい住宅支援事業」については、令和4年度予備費等において600億円を措置し、申請期限を令和5年3月末まで延長しました。
加えて、物流の各分野や建設業・造船業における価格転嫁対策については、4月28日付けで、関係事業者団体に対して、適切な価格転嫁等に関する下請事業者等に対する配慮について、改めて要請を行っています。
特に、建設業に関しては、取引価格を反映した適切な請負代金の設定や適正な工期の確保に加えて、いわゆるスライド条項等の適切な設定・運用や必要な契約変更の実施などについて、4月26日付けで、公共・民間発注者や建設業団体に対して要請を行っているところです。
国土交通省としては、引き続き本対策に基づく取り組みを、関係省庁としっかり連携しながら、迅速かつ着実に進めていきたいと思っています。
 
(問) リニア中央新幹線静岡工区の問題で、かねてから静岡県側が提示を求めていたトンネル工事における湧き水の県外流出分を全量戻す方法をJR東海が4月26日に2つの案を静岡県の専門部会で示しました。
先日、川勝知事からも検討に値するとの発言があったようですが、大臣はこの2つの案についてどのように評価されるか、あと、今後どのように議論が進むことを期待するかをお聞かせください。
(答)リニア中央新幹線静岡工区についてです。
工事期間中に発生する県外流出量を大井川に戻す方策については、昨年12月に国土交通省の有識者会議でとりまとめた中間報告において、JR東海に対して、今後、静岡県や流域市町等の水資源に対する不安や懸念を真摯に受け止めた上で、関係者の納得が得られるように具体的方策などを協議すべきであると指摘されています。
先月26日にJR東海が静岡県に対して提示した県外流出量を戻す具体的な方策案については、このような有識者会議における指摘を踏まえて、電力会社などの関係者とも一定の調整を行った上でJR東海から提示されたものと理解しています。
これらの方策については、今後、静岡県や流域市町等との間で協議が行われるものと承知していますが、一部の関係者からは、JR東海から具体的な案が提示されたことに対し前向きに評価する旨の発言があったと聞いており、国土交通省としては、今後、議論が進むことを期待しています。
 
(問)今週、有識者委員会の第2回会合が開催予定ですけれど、日時が決まっていたら教えていただきたいのと、2回目以降はテーマ別に議論と資料に書かれていましたけど、第2回会合で重点的に検討するテーマがあれば教えてください。
(答)第2回目の検討委員会は、今週の20日(金)、14時から開催する予定です。
第2回の検討委員会の検討テーマについては、「監査のあり方」、「利用者への安全情報の提供」などを考えていますが、固まり次第、事務方からプレスリリースします。
いずれのテーマも重要な課題ですので、委員の皆さまから忌憚のない御意見を頂戴し、小型旅客船の総合的な安全対策の検討に活かしていきたいと考えています。
今後のスケジュールということですが、第3回以降の日程や検討テーマ等の詳細については、準備ができ次第、事務方からプレスリリースする予定ですので、今しばらくお待ちいただきたいと思います。
 
(問)JR四国が今日これからですけど、路線別の収支状況を公表する予定がございまして、JR四国は2019年の3月に公表して2度目となりますので、恐らく以前よりコロナ後ということで、収支状況が悪化しているという発表の内容になると想定されるのですが、改めまして、こういう地方路線の見直しの議論が進んでいると思いますが、問題が加速化されるのではないかというところで、大臣としての受け止めと、国土交通省としての議論への関わり方について、改めてご意見をお聞かせいただけますでしょうか。
(答)本日、JR四国において、路線別収支を公表する予定であることは承知しています。
これは、沿線地域や御利用の皆さまに厳しい経営状況を御理解いただくとともに、利便性向上や利用促進等への取り組みを推進する観点から、経営状況や輸送状況の情報開示の一つとして公表されるものと理解しています。
一方、JR四国のみならず、全国的にローカル鉄道の一部において、沿線人口の減少・少子化に加え、マイカーへの転移等により、利用者が大幅に減少し、投資の抑制や減便等が進んだ結果、公共交通機関としての機能が十分に発揮できていない状況が出てきています。
こうした危機的状況にあるローカル線については、鉄道事業者と沿線自治体が一体となって、より利便性と持続可能性が高い地域モビリティを再構築していくことが必要と考えており、国土交通省では、本年2月に有識者検討会を立ち上げ、このための具体的方策について検討を進めているところです。
本検討会においては、地域モビリティの再構築に向けて、鉄道事業者、沿線自治体のみならず、国も主体的に関わり、鉄道事業者や沿線自治体の取り組みを積極的に支援していくべきことなどが指摘されています。
引き続き、関係者の御意見を伺いながら、来月中の取りまとめに向けて議論を加速してまいります。
 
(問)2点よろしくお願いします。
1点目が冒頭でおっしゃられていた新幹線の安全対策の検討委員会の件でお願いします。
安全対策についてこれから議論されると思いますが、今朝、報道のほうでは安全対策の費用を運賃に上乗せするというような報道もありましたが、そのようなことは今、検討されているのでしょうか。
(答)今日私が発表しました検証委員会は、あくまでも技術的な脱線・地震対策が今後どうあるべきか、構造物、また、いろいろな鉄道工学的な検討を行っていくと理解していまして、そこでいわゆる財政的な、もちろんそこで出される技術的結論によっては、これだけのお金がかかるものだなということは出されるかと思いますが、あくまでも技術に特化したものと理解しています。
今回設置する検証委員会においては、耐震補強の前倒しや優先順位の付け方などについて幅広く検討する必要があると考えており、その費用の負担のあり方等については、委員会による検証を通じて、国土交通省として検討してまいりたいと思っています。
(問)もう1点お願いします。
こちらも先ほど発表されたパッケージツアーの件です。
安全対策や安心感が大事というふうに先ほどお話がありましたが、今回おそらく受け入れを対象としている国の中には、日本よりも感染症対策、マスクをつけなくてもよかったりですとか日本の基準と比べて緩やかな国もあると予想されます。
そうした方を受け入れる中で、端的に言うとマスクを日本でもつけるように求めるのか、その他にも日本よりも緩やかな基準の外国人に対して、どのように日本の感染症対策の基準を設定するよう求めていくのか、お考えをお願いします。
(答)本事業の実施にあたっては、最大限の安全安心を確保するため、非指定国からのワクチン3回目追加接種者に参加者を限定するなど、様々な要件を付したうえで人数を限定して実施するものです。
感染拡大の防止と社会経済活動のバランスに十分配慮しながら進めてまいります。
受け入れ地の安心安全ということも大きな要素ですので、そういうことを加味したうえで今回のモニターツアー実証事業、具体的にはこれから詳細を詰めていきますが、先ほど言ったような受け入れ地の安心安全ということも1つの観点になると思っています。
詳細、実証事業のやり方について、そういう面も考慮しながら、今後決めていきたいと思います。
 
(問)タクシーLP補助金について伺います。
20数億円付けていますが、言わずもがな、ガソリンで言うと元売りに補助金を出したと。
それから、タクシーLPガスですが、LPガスユーザーは別にタクシーに限らないわけです。
他にもLPガスユーザーはいるわけで、なぜタクシーにだけ20数億円も補助金を付けたのかと。
タクシー事業者というのは90%以上がオーナー経営者で、一般的に選挙の集票に非常に役に立つ業界の方々だと。
これは業界人も一般人も広く知るところです。
これが夏の参院選対策だとは言わないのですけれども、なぜタクシー事業者のLPガスユーザーだけ、個タクさんにもメリットは出ないわけですね。
これは国土交通省の恣意を非常に強く感じるのですが、20数億円のお金を、現ナマを渡す意図はなんぞやと。
それから、悪しき例で言うと、これも昨年から質問していますが、ニューノーマルタクシー、デンソーの空気清浄機を、「Puremie(ピュアミエ)」を付けまくってですね、結果的には補助金使った割には御覧のとおり、あまりニューノーマルタクシーに乗った方はこの中にもいないのではないかと。
都会でそうですから地方ではほとんど、大臣も地方に行かれると思いますけれども、オゾン発生器にしても紫外線照射にしても、あまりコロナ対策がタクシー業界で進んでいるとはとても思えない。
今回の補助金もちょっと業界のニーズがあったとはいえ、やりすぎではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(答)なぜタクシー業界にある個別具体的な支援策なのかということですが、基本的には今回、元売り会社に対して補助金を出して、ガソリンで言えばですが、1リットル当たり168円をベースにして、それより上に価格が行ったときに、それを元売り会社に補助することによって価格を抑えていくということですが、これは元売り会社からガソリンや軽油、重油等を使う、幅広い業界があるということで、元売り会社に補助することで、幅広く恩恵、効果が行き渡るようにということなのだろうと思います。
LPガスについては、LPガスをいわゆる輸送燃料として使っているのはタクシー業界のみということになり、ガスそのものへの支援ということがなかなか難しいということもあり、国土交通省の所管の中で、いわゆる事業者支援という形でタクシー会社に直接支援する。
その効果はその他の油種と変わらない形で行うとしたものです。
タクシーも公共交通機関です。
各種公共交通機関からの原油価格高騰に対しての強い要望がある中で、タクシー業界だけ特別に、何か有利な支援をしたというわけではないと理解していますし、他の公共交通機関と同様に支援をしたと認識しています。
また、ニューノーマルタクシーは私も乗りましたけれども、これはいわゆる、新しい、コロナ禍における公共交通機関としてのタクシーの役割という形で、安心して乗っていただくための一つの大きな方策だと思っています。
この様な形でコロナ禍における公共交通機関の努力を支援していくということも、公共交通機関を守る一つの手段であるとの考えで、我々もそのような事業を行っているということです。
(問)事務方にお願いしてもなかなか出てこないのですが、ニューノーマルタクシーで、どれだけ普及したかという実数をですね、後々でいいので事務方から出していただくように指導をお願いできないでしょうか。
(答)ニューノーマルタクシーが現在、どれだけ実働しているかということですね。
わかりました。
お示しします。

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