大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2020年7月10日(金) 11:12 ~ 11:42
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 私から今日は閣議案件では報告するものありませんが、このほか、2点御報告をさせていただきます。
まず1点目は、「Go To トラベル事業」の運営事務局の選定結果及び開始時期等についてです。
Go To トラベル事業の運営事務局の公募については、合計5件の応募がありました。
外部有識者4名を含む企画競争委員会において厳正な審査をこの間行ってきたところです。
この審査の結果、本日、「ツーリズム産業共同提案体」を運営事務局として選定することといたしましたので御報告をさせていただきます。
このツーリズム産業共同提案体は、日本旅行業協会、全国旅行業協会、日本観光振興協会、株式会社JTB、KNT-CTホールディングス株式会社、株式会社日本旅行、東武トップツアーズ株式会社の7者が共同提案者として参画するとともに、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本旅館協会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟、株式会社リクルートライフスタイル、楽天株式会社、ヤフー株式会社の7者が協力団体として参画するグループです。
同グループから提案のありました金額は、約1895億円であり、予算額として公募の際の上限額として設定した2294億円から約400億円減額される見込みとなりました。
次に、Go To トラベル事業の制度の概要についてお知らせしたいと思います。
制度の詳細については、今後、運営事務局との間で更に詰めてまいりますが、この間、政務三役で全国を回りまして、観光関連業界、運輸業界の方々、並びに地方自治体の皆さまなどから会合でいただきました御要望・御意見のうち、主な3点について、現時点の方針を私からコメントさせていただきます。
第一に、開始時期についてです。
現在約40の道府県で展開をされている独自の観光キャンペーンについて、いずれも大変好評を博しており、国民の皆さまには、コロナ禍の影響を受けつつも、旅行への大変熱い思い、熱い期待があると感じております。
また、観光関連業界や地域の関係者の皆さまからも、本事業をできるだけ早く、特に、多客期、繁忙期である夏休みが支援の対象となるように、という要望がいずれの会合でも大変強いものが寄せられました。
このため、これまで「8月の早いうちに」と会見で申し上げてまいりました開始時期を大幅に前倒しし、7月22日水曜日以降の旅行から、まず、旅行代金の割引について、先行的に開始をすることといたします。
旅行代金の割引について先行的な開始というのは、具体的にはこの図で説明しますが、今回のGo To トラベル事業は代金の2分の1相当額について、2種類の支援をします。
1つは、旅行代金の割引、支援額全体の7割分です。
旅行代金全体の35%の旅行代金の割引とする。
残りの支援額のうちの3割分、旅行代金全体の15%ですが、これは、地域の飲食業、小売業、お土産物屋さんや交通機関等様々に使える地域共通クーポン支援額です。
こうした組立てになっておりますが、地域共通クーポン券については、例えば、偽のクーポン券が発行されないようにする等具体的な準備期間を要することから、9月以降に開始する旅行から導入せざるを得ないことになります。
支援額の2分の1のうち7割、旅行代金全体の35%の旅行代金の直接割引分からまずは実施をさせていただくと。
これは7月22日の旅行から充てるということです。
これが第1点です。
第2については、様々な政務三役が参加した会合で、相当既に予約が入っており、入っている予約の取扱いについて様々な御質問、御要望がありました。
全体を俯瞰しておりますと、7月22日水曜日以降の旅行を予約されている方もたくさんいらっしゃると。
そういう傾向があるということで、こうした既に入っている予約についても、せっかくの機会ですから、そのまま今回の本事業の割引の対象とすることといたします。
この場合には、予約を1度キャンセルしてもう1度予約ということはしなくて、既に入っている予約はそのまま使えるようにすると。
ただこの場合には、システム上、旅行者の方に、割引分の還付の手続きを取っていただくという制度上の工夫を講じる予定です。
システムはこれからですので、既に入っている予約については、少し旅行者の負担になるかもしれませんが還付の手続を取っていただく。
そうしたことで同じ割引のメリットを受けていただく。
これが第2点です。
第3に、これも各地域から質問が出ましたが、既に各都道府県が実施をしている旅行代金の割引支援措置、県民割引や市町村単位で行っているところも数多くありまして、こうした割引支援措置とGo To トラベル事業を重ねて使えるかどうかという御質問が数多くありました。
多くの県独自の観光キャンペーン支援措置については、基本的にはGo To トラベル事業を開始するまでの間の県独自の措置として実施されているところが大半であると認識しておりますが、一部そうではないという具体的な御意見がありましたので、こうした実施時期が重なる場合であっても、国の立場として、Go To トラベル事業との重複適用は妨げないこととする。
国としては、どちらでも構いません、使っても構いません。
Go To トラベル事業として重ねて使えないという立場ではないということです。
以上3点が、今政務三役で手分けをしている観光・運輸関係者との会合で出た主な論点です。
加えまして、これは重ねてこれまで申し上げてまいりましたが、旅行者の皆さま、また、業界の皆さまの安全・安心の確保は当然の大前提であり、今後とも感染状況等を踏まえながら、今般選定した運営事務局とともに、事業開始に向けてしっかりと準備を進め、効果的な事業の実施に努めてまいりたいと思っております。
詳細については後ほど事務方から説明させていただきます。
これが第1点です。
2点目は、「青い羽根募金強調運動期間」についてです。
「青い羽根募金」については、公益社団法人日本水難救済会が、海で遭難された人々の救助活動を行う全国5万1千名の「海の救難ボランティア」の崇高な活動を支援するため、昭和25年から開始した募金活動で、今年で70年目を迎えたところです。
同会においては、特に、海難が多発する毎年7月1日から8月31日までの2か月間について、国民の皆さまに本運動への御理解を深めていただくとともに、募金に御協力をいただくため、青い羽根募金強調運動期間と定めております。
例年、7月中の1週間程度、私から各閣僚に本運動への御協力をお願いしており、本日の閣僚懇談会におきまして、本日から7月16日までの1週間、青い羽根を着用いただき、本運動推進への御協力をお願いしたところです。
国民の皆さま方におかれましても、本運動に対する御理解と募金への御協力を、この場をお借りいたしまして心からお願い申し上げる次第です。
この点につきましても、詳細は事務方にお問い合わせいただければと思います。
私からは以上です。

質疑応答

(問)九州を中心とした豪雨の災害の件でお伺いしますが、今現在の被害状況とこれからまだ各地で降り続く予想がありますけれども、対応についてお願いします。
(答)冒頭、改めまして、今回の豪雨災害によりましてお亡くなりになられた皆さまに対し、心からお悔やみを申し上げます。
また、被災された全ての方々に対し、心からお見舞い申し上げます。
前線の影響による大雨は、今月3日から4日にかけて熊本、鹿児島両県に大きな被害をもたらした後、6日には福岡県など九州北部に、そして8日には岐阜県、長野県にも大変甚大な被害を与え、広い範囲に深刻な影響をもたらしたところです。
更に今後も大雨が続くおそれがあります。
長く雨が続く中、少しの雨でも災害のおそれがあり、大変心配な状況です。
国民の皆さまにおかれましては、地元自治体等が発する防災情報に注意していただき、災害から身を守る行動をとっていただきますよう、改めて心からお願い申し上げます。
これまでに、海上保安庁は、人命最優先の観点から、被災者の救援活動に全力で当たっており、22名を救助させていただきました。
また、TEC-FORCE部隊、全国の地方整備局から、本日323名がリエゾン、被災状況調査、排水活動、道路啓開、啓開というのは通行止めを再開させる、こうした災害応急対応に全力で当たっているところです。
所管施設の被害状況と対応ですが、まず河川については、本日4時までに、球磨川くまがわなど国管理の4河川の氾濫と、岐阜県管理の飛騨川ひだがわなど都道府県が管理する88河川で氾濫と浸水被害が発生しました。
これに対し、TEC-FORCEが排水ポンプ車で排水活動を行っているところです。
また、国管理の球磨川で堤防2箇所が決壊をしましたが、昨日9日までに、いずれも仮の堤防が完成しているところです。
土砂災害については、現時点で判明しているのは、熊本県など25県で225件の発生報告がありますが、これまでの災害のとおり、今後の調査により更に被害の実態が明らかになるものと認識しているところです。
道路については、熊本県内の国道219号の沿線地域において、少なくとも14の橋梁が流出したほか、大分県内の国道210号や大分自動車道の一部区間、また岐阜県内の国道41号などで大変大きな被害が発生しております。
このうち熊本県内の国道219号について、被災状況の調査を進めております。
昨日9日夕方時点で、全体の約9割までこの被害状況の調査が進捗したところです。
残された球磨村くまむらから八代市やつしろしの区間の調査を加速するために、TEC-FORCEを更に増員しまして、本日時点で球磨村に65名を派遣しております。
更に、応急復旧と道路啓開を進めており、国道3号との交差点から八代市役所の坂本支所までの約12kmの区間は、緊急車両の通行が可能となっています。
また、人吉市ひとよしし側から球磨村役場までの区間も作業を進めているところです。
大分自動車道は、現在、玖珠くすびIC~湯布院ゆふいんIC間が通行止めとなっていますが、本日正午までに通行止めを解除できる見通しです。
解除と同時に、大分県内の国道210号の不通区間に並行する大分自動車道の無料措置を講じます。
なお、岐阜県内の国道41号の不通区間については、並行する東海北陸自動車道の無料措置を講じています。
次に、鉄道については、今朝10時の時点で、全国8事業者13路線で運行休止となっておりますが、そのうち九州地方の3路線で4つの橋梁流出が判明するなど、大変大きな被害が確認されており、この復旧までに時間がかかることが予想されております。
いずれも地域住民の皆さま方の生活の足ですので、代替交通手段の確保にしっかりと努めてまいります。
また、避難が長期化する中、避難所の環境改善は急務であり、避難所への救援物資の搬送について、民間団体との調整により支援するとともに、ホテル・旅館における要配慮者を中心とした被災者の受入れ体制を、まずは熊本県と連携して、現在約1720名分の受入れの確保ができたところです。
今後も、関係自治体並びに関係省庁と連携し、更なる受入れ体制の確保を進めつつ、要配慮者の実際の受入れ促進に向けた調整をしっかりと進めてまいります。
災害対応には国土交通省の総力を挙げる必要があると認識しております。
引き続き、全省を挙げて、地域の皆さま方に寄り添いながら、国土交通省の現場力を最大限に発揮して、全力で復旧・復興に対応してまいります。

(問)協議が難航しているリニア中央新幹線の静岡県内での工事についてお伺いいたします。
国土交通省では、今日、静岡県とJR東海の双方に今後の進め方について提案されますが、改めてその狙いと両者にどのような対応を期待しているか。
また、国土交通省として、この事態に対し今後どのように御対応されるかお伺いします。
加えて、2027年の開業まで非常に切迫した状況ではありますが、改めて開業時期についての御認識をよろしくお願いします。
(答)これまでも申し上げてまいりましたように、リニア中央新幹線静岡工区については、水資源・自然環境への影響の回避・軽減とリニア中央新幹線の早期実現、この2つの柱を両立させることが重要であると。
このことにつきましては、これまでも累次にわたり、静岡県、JR東海とも認識の共有を確認してきたところです。
この共通認識の下に、これまでJR東海と静岡県の間でトップ会談が行われるなど、努力が積み重ねられてきたことについては、私どもも評価するものです。
今回のヤード整備工事を巡りまして、両者間の意見の相違が明らかとなり、私のところにJR東海から要請があったというわけでありませんが、国土交通省としても中立的な立場より、昨日9日に、静岡県、JR東海それぞれに対し、2つの課題を両立するための御提案をさせていただいたところです。
この御提案の趣旨について、国土交通省より本日10時からJR東海社長と面談をし、直接その提案の趣旨お伝えさせていただきました。
静岡県知事とは本日17時より静岡県庁におきまして、事務次官が直接その趣旨をお伝えする予定です。
リニア中央新幹線については、沿線の自治体をはじめ、2027年開業への期待が大変大きいことから、JR東海と静岡県の間で課題をしっかりと協議していただくことが重要であると考えております。
開業の時期については、国土交通省として、JR東海から現時点で開業が遅れるという報告は受けておりませんので、我々としては開業時期について予定は変わっていないものと承知しているところです。
いずれにしましても国土交通省としては、我々が主催をしております有識者会議での議論等を通じて、2つの課題の両立を目指して、引き続き、必要な調整、また協力等を行ってまいりたいと思っております。

(問)「Go To キャンペーン」についてお伺いします。
確認なのですが、冒頭の御発言で方針の2番目でお話しされた、既に入っている予約の取扱いの件なのですが、7月22日以降のものが対象であって、それ以前の予約は、当然ですけれども、対象にならないという理解でよろしいでしょうか。
(答)そうです。

(問)追加で2点お伺いします。
まず、事務委託費を400億円程度圧縮できたということなのですが、圧縮できた要因を含めて、どのように大臣が受け止められているかお聞かせください。
また、新型コロナとの関係なのですが、先週も会見で質問が出ましたが、昨日も東京で224人という大勢の感染者が出て、大阪など各地でも増加傾向にありますが、Go To キャンペーンはどのような進め方をされていくかお聞かせください。
(答)Go To トラベル事業の運営事務局の選定にあたりましては、先ほど申し上げましたように、有識者4名の皆さまを含む企画競争委員会において、審査プロセスの中立性・客観性を確保すべく厳正に公募手続きを実施したところですし、その結果も適切に公表いたします。
その内容について私が云々申し上げるよりも、企画競争委員会の審査委員の皆さまが大変熱心に、また、客観的に公平に審査いただいた結果ですので、我々としてはそれをしっかりと受け入れるということだと思っております。
内容については、私がコメントするのはいかがかと思いますが、この提案をされた団体が、Go To トラベルの本体の事業をできるだけ多く国民の皆さま、また、あまねく地方に本事業のメリットを裨益したいという思いで、必要最低限の経費に絞って御提案いただいたものではないかと私は評価しているところです。
詳しくは後ほど事務方から公表させていただきます。
次に新型コロナとの関係についてですが、これも元々申し上げておりましたが、観光を推進する大前提として、国民の皆さまの健康、安全・安心ということは大前提だと思っております。
Go To トラベル事業の件に関しましても、常に感染症の専門家の皆さま方の御判断、御指導と、また、政府全体の判断に合わせて実施していくという方針は全く変わっておりません。
政府としては、昨日、官房長官が会見で述べられたように、引き続き、警戒感を持って感染状況を注視しつつ、それぞれの自治体とも緊密に連携して、三つの密の回避など新しい生活様式の定着や、それぞれのガイドライン、観光でいうと観光業界独自のガイドラインの遵守の徹底、積極的・重点的な検査の実施などを通じて、感染拡大防止と社会経済活動の両立に取り組むということが政府の方針だと承知しております。
そうした中で、私どもといたしましても、感染拡大防止と観光振興の両立ということをしっかり図っていく必要があると考えております。
具体的には、少し重複しますけれども、観光関連事業者団体が、感染症の専門家のアドバイスを基に作成された「感染拡大予防ガイドライン」の実施を現場でしっかり徹底していただくということが大変大事だと思っておりますし、他方、観光客に対しましても、先日発表させていただきましたが、新たな生活様式における、安心で楽しい旅行のための「新しい旅のエチケット」について、ぜひ旅行者の皆さんの御協力もいただかなければいけないし、私どもも更に普及・啓発に努めてまいりたいと考えております。
いずれにしましても、感染状況は引き続き注視しつつ、感染症の専門家の皆さんの御意見や政府全体の方針等も踏まえながら、現時点では、このGo To トラベル事業は、先ほど申し上げた計画で実施すると考えております。

(問)豪雨の関係でお尋ねします。
今回甚大な被害が出た球磨川水系では、川辺川かわべがわダムの建設中止の影響などもあって、中長期的な河川整備の目標を示す河川整備計画が現在も策定されていない状況かと思うのですが、今回の被害を踏まえて、国土交通省としてどう対応されるのかという点と、また、ダムの中止が今回の被害に与えた影響をどのようにお考えかお聞かせください。
(答)球磨川の治水対策につきましては様々な経緯があり、国、県、流域12市町村で構成する協議会において検討しつつ、必要な治水対策を講じてきたところですが、何度も申し上げているとおり、近年の気候変動により発生する災害自体が甚大化、頻発化する結果、被害も相当深刻化している。
ですから、昨年の秋から、気候変動に伴う抜本的な防災・減災、治水対策を国土交通省としても、また、社会資本整備審議会としても検討をお願いしてきたところで、昨日、社会資本整備審議会の小委員会の委員長から提案の手交をいただいたところです。
「流域治水」という新たな治水政策をスタートさせるという御提案です。
今回の球磨川流域で12時間で300mmを超える流域平均雨量はかつてないことで、まさにそうしたことは球磨川においても必要な対策だと思っております。
ただ、今はまだ救援や復旧の段階ですので、こうした人命救助、また、一日も早い復旧・復興、まだ大雨が続く予報ですので、被害の最小化ということに最大全力を挙げて、そして落ち着いた後に、球磨川は急流でもありますし、大変大きな川でもありますので、この流域における本川・支川、上流・下流の全体を俯瞰する形で、国と県と関係市町村がしっかりと連携しながら、あるべき流域治水、また、防災・減災対策はしっかりと講じていかなければいけないと思っております。

(問)これまでの質問と少し重なるのですが、Go To キャンペーンについて、開始時期についてはこれまでも専門家の意見を伺いながら慎重に検討していくというお話でした。
今回、7月22日から開始して問題ないと判断された根拠を。
専門家の意見を踏まえて、どのようなところからこの時期に開始できると判断されたのか、理由をもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
(答)先ほど申し上げたとおりなのですが、政府の基本的な方針は、今の状況を前にして、引き続き警戒感を持って感染状況を注視しつつ、自治体とも緊密に連携をしながら、感染拡大防止と社会経済活動の両立に取り組むこととしているというのが大方針で、例えば、スポーツ観戦なども予定どおりに行うということですので、Go To トラベル事業だけ予定を変更しなければいけないというようには認識しておりません。
ただ、安全・安心というのは大前提ですし、感染拡大防止は当然やらなければいけないので、先ほど申し上げましたように、受入側はガイドラインの周知徹底をしていただきながら、利用者の皆さまについても新たな旅のエチケット等で、ウィズ・コロナにおける新しい旅行の楽しみ方といいますか、そうしたことをしっかりと定着していただきたいと思っております。

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