大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2020年9月18日(金) 10:32 ~ 10:58
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 改めまして、よろしくお願いいたします。
私から2点報告があります。
1点目は、「Go To トラベル事業」における東京発着の旅行の取扱いについてです。
各事業者の皆さまには、東京都内の旅行を含む、東京都が目的地となっている旅行、そして、東京都に居住する方の旅行に関する割引商品については、予定どおり、10月1日以降に開始する旅行から対象とし、本日18日金曜日の正午から、販売を開始していただけますことをお知らせいたします。
また、既存予約の取扱いについてですが、本日までに既に予約されている10月1日以降の東京発着の旅行の予約については、現地決済の一部の商品を除き、Go To トラベル事業による割引を受けるためには、事前に割引商品への予約の振替を行う必要がありますので、旅行者の皆さまから、予約をした事業者に対しまして、予約の振替を行っていただきますよう、重ねてお願いいたします。
また、事業者の皆さまにおかれましても、そのような旅行の予約の振替が円滑になされるよう、御配慮いただき、旅行者から予約の振替に関するお問合せがあった場合には、適切に対応いただくようお願いしたいと思います。
次に、キャンセル料の取扱いについてですが、万が一、10月1日までに感染状況の著しい拡大があり、東京都の感染の状況がステージ3以上に引き上げられるなどの動きが出てきた場合には、政府全体の方針に基づき、東京発着の旅行の追加を延期するかどうかの判断を行うことといたします。
これは既に申し上げたとおりです。
そして、万が一、東京発着分の追加を再延期する事態となった場合には、感染拡大防止の観点から、旅行者に躊躇なくキャンセルしていただけるよう、これは、7月に東京を対象外とすることを決定した際と同様ですが、事業者の皆さまに対し、旅行者の方々からキャンセル料を請求しないよう働きかけることとします。
そして、事業者側に負担が生じた場合には、実損相当分をGo To トラベル事業の予算から負担することといたします。
これも前回と同様です。
また、感染拡大防止の徹底についてですが、10月1日以降に開始する東京発着の旅行につきましては、新たに本事業の支援の対象とさせていただくため、関係事業者及び旅行者の皆さま、双方において、感染拡大防止の取組を徹底していただくことが必要となります。
観光庁においても、感染拡大防止を徹底するため、先般の記者会見でも御説明したように、「新しい旅のエチケット」や「Go To トラベル利用者の『遵守事項』」の動画を9月10日よりYou Tube等で公開しているところでありまして、先週11日金曜日に開催されました、新型コロナウイルス感染症対策分科会における提言も踏まえまして、既に作成しているガイドラインについても、旅行者の皆さまにとって分かりやすいものとなるよう見直しを行っているところです。
引き続き、関係事業者及び旅行者双方におかれましては、感染拡大防止に最大限の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。
最後に、7月22日から8月末日までにGo To トラベルの利用者は、既に申し上げましたように、1339万人以上に上る一方、そのうち、宿泊期間中に陽性と診断されたケースとして4件、チェックアウト後に、旅館を出た後に、後日、陽性と診断されたケースとして7件の報告が事業者から事務局にありました。
いずれのケースもチェックイン時の検温では問題は見られなかったことを確認しています。
いずれにしましても、宿泊施設から報告があった場合には、事務局においてヒアリングや現地調査を行い、求められる感染拡大防止策が講じられていたかどうかを確認し、万が一、講じられていない場合には、必要な措置をとることとしております。
以上がGo To トラベルに関する報告です。
2点目は、モーリシャス座礁事故への運輸安全委員会の対応についてです。
現地時間7月25日、株式会社商船(しょうせん)三井(みつい)が運航するばら積み貨物船「WAKASHIO」が、モーリシャス南東沖のサンゴ礁帯に座礁し、燃料油等の漏出が発生した事案について、政府としてこれまで、海上保安庁職員を含む計3回の国際緊急援助隊を派遣するなど、関係省庁間で連携し、モーリシャスのニーズを把握しつつ対応してまいりました。
国土交通省といたしましても、運航者である株式会社商船三井及び船主である長鋪(ながしき)汽船(きせん)株式会社に対し、被害を受けた現地環境の早期回復等について、最大限取り組むよう強く指示をしてきたところです。
今般、運輸安全委員会は、本日付けで、事務局長を本部長とする「モーリシャス座礁事故調査本部」を設置するとともに、関係国と事故調査を行うため、9月20日、元海上保安庁長官の佐藤(さとう)雄(ゆう)二(じ)委員を団長とする調査団5名をモーリシャス共和国に派遣し、2週間程度、現地調査を実施する予定ですが、新型コロナウイルスの隔離期間も含めまして、期間全体は約1か月となる予定です。
今回で4回目の政府職員の派遣となります。
本事故の原因調査につきましては、国際条約及び規則に基づき、WAKASHIOの旗国であるパナマ共和国と事故発生地の沿岸国であるモーリシャス共和国が一義的に行うところですが、我が国商船隊に起因する海難事故であり、この度、両国から我が国も調査実施国となることについて合意を得られたため、運輸安全委員会が原因究明・再発防止のための事故調査を行うこととなったものです。
今後、運輸安全委員会において、パナマ、モーリシャス両国と協力しながら、船体の調査、関係者からの聴き取り等を行う予定であると聞いております。
この件、詳細につきましては後ほど運輸安全委員会から説明をさせていただきます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)地域公共交通に関してお伺いします。
先日の再任の大臣の会見で、新型コロナで厳しい環境にある公共交通の支援に取り組む考えを大臣が示されましたが、具体的にどのような方策をお考えかお聞かせください。
(答)公共交通機関につきましては、皆さんよく御承知のように、この度の緊急事態宣言下にありましても必要な機能を維持することが求められてきたところであり、今回の事態に際し、公共交通の事業者やその従事者の皆さまにおかれましては、現場で感染のリスクや不安を抱えながら、その職責を果たすべく、業務に献身的に従事していただきました。
正にエッセンシャルサービスとしての公共交通の公共性が改めて認識されたところであり、関係者の皆さまには、この場をお借りいたしまして、改めて心から感謝を申し上げたいと思います。
また、地域公共交通事業者は、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言下においても必要な機能を維持することが求められたことから、令和2年度第二次補正予算におきまして、感染拡大防止対策の下での地域公共交通を確保するための支援を行ってきたところですが、地域公共交通事業者は、新型コロナウイルスの影響以前から、各地で人口減少・少子高齢化の進展により、極めて厳しい経営状況におかれてきたことに加えて、この度の緊急事態宣言解除後も外出や移動の自粛による輸送需要の大幅減少等に直面し、深刻な危機に瀕していることから、持続的な運行確保に向け、これまで以上に強力に支援を行う必要があると考えています。
このため、まず、各業界の御要望などをきめ細かく伺いながら、これまで雇用調整助成金や持続化給付金など、政府の各種支援策を全ての公共交通事業者に最大限活用していただくための働きかけや調整を行ってきたところですが、それはもとより、今後も公共交通の機能がしっかりと維持されるように、今後、所要の予算をしっかりと確保してまいりたいと考えております。
また、現在、交通政策基本法に基づく「交通政策基本計画」について、来年度からのおおむね5年間の次期計画を策定すべく、交通政策審議会において検討いただいているところであり、この中において、ウィズ・コロナ、ポストコロナの時代における公共交通の確保、そしてその維持に向けた施策の方向性についてもしっかりと打ち出していきたいと考えています。
御指摘のように、公共交通機関をこれからどう維持していくのか。
それは大変重い課題だと思っておりますので、省を挙げてしっかりと検討していきたいと考えております。

(問)今後の観光政策について伺います。
菅新首相は、2030年に6000万人の訪日目標を堅持していくお考えだと思いますけれども、ウィズ・コロナの下で、この6000万人の目標をどのように達成されるか、お考えをお聞かせください。
(答)新型コロナウイルス禍によりまして、インバウンドは大変厳しい状況にありますが、昨年まで、3200万人近くの外国人旅行者の皆さまを惹きつけた、我が国の自然、食、伝統文化、芸術、風俗習慣、歴史など、各地の観光資源の魅力が失われたわけではないと私は考えております。
新型コロナウイルス禍においても、我が国の公衆衛生レベルの高さ。
具体的に言えば、我が国の旅館は、靴を脱いで清潔な部屋に宿泊し、温泉につかり、自然の美を堪能することができる点などは、国際社会の中で比較しても、大いなるセールスポイントになると確信しているところです。
一昨日、総理から「ポストコロナの時代を見据え、外国人観光客6000万人の目標を堅持し、関係大臣と協力して、全国的な観光インフラ整備の強化、魅力ある観光地の整備等、観光の振興を通じた地域の活性化を進める」よう指示がありました。
インバウンドの回復までの期間を活用いたしまして、魅力的な滞在コンテンツの造成や、課題であったWi-Fi環境の整備、多言語対応、洋式トイレなど、訪日外国人旅行者の受入環境の整備を進めるとともに、バリアフリー化等の政策もしっかりと進めていきたいと考えております。
また、Go To トラベル事業を通じましてウィズ・コロナ時代における「安全で安心な新しい旅のスタイル」を普及・定着させるとともに、水際対策もしっかりと徹底した上で、世界的な感染収束の状況を見極めつつも、しっかりと訪日プロモーションにも取り組んでまいりたいと考えております。
引き続き、2030年訪日外国人6000万人等の目標、これをしっかり高く掲げながら、真の観光先進国に我が国はなると。
そうした目標に向けて、具体的に1つ1つ取組を着実に進めていきたいと考えております。

(問)大臣は再任会見で、新型コロナで都心から地方への移住ですとか、二拠点居住について、応援するという積極的な御発言があったのですが、今後どのような施策をされるのか、具体的にお願いします。
(答)今の新型コロナウイルス禍によってもたらされる変化として、私は、「働き方」、「住まい方」、そして国民の皆さま一人ひとりの「生き方」に、大変大きな変化がもたらされると。
そういう変化を余儀なくされるような時代状況になるということを感じているところです。
具体的には、今お話がありましたが、既に多くの企業で、テレワーク、またリモート会議が導入されました。
皆さんの世代はどうかわかりませんが、ある意味では、私たちの世代というのは、会社や組織のために自分の人生を犠牲にしてきたと。
誤解を招くといけないのですけれども、無理をしてきた自分の人生においての生活様式がリセットする方向に変化するのではないかと。
もう既に転勤ですとか単身赴任といったものがなくなるような会社も出てきておりますし、いわゆる2拠点居住、ふるさと回帰、またワーケーション等々も既に現象として現れてきております。
先日、総務省から発表がありましたが、東京の流入人口を流出人口が上回ったと。
これは極めて珍しい現象でありますし、同時に各県で移住の応募をしていますが、相当な希望者が来ていると。
こうしたことも、そうした現象の一端ではないかと思っております。こうした中で、大きな方向として、都市から地方への移住、二拠点居住を促進するということは、地方創生や東京一極集中の是正にも大変大きな意味があるのではないか。
地方創生、東京一極集中の是正に資する大きな契機となり得るものと認識しております。
ですから、私たち国土交通省は、そうした大きな流れの中にしっかりと支援できるような政策を打っていかなければいけないと。
国土交通省としては、これまでも関係省庁と連携しながら、例えば、これは少し小さな話ではあるかも知れませんが、若い人たちが地方を体験訪問する各地の体験型交流プログラムの収集や、情報発信をしてきたり、二地域居住に係る市町村の取組事例集の作成・提供をしてきたり、また、全国版の空き家・空き地バンクによる情報提供の充実などに取り組んできたところですが、こうした流れをもっと大きなものにして、新型コロナウイルス禍をむしろ、住まい方や生き方の変化に向けた大きな機会・契機と前向きに捉えて、その変化を加速、サポートできるように、コロナ後を見据えた国土の長期展望の検討を進めつつ、関係省庁や関係部局の垣根を超えて、充実した住生活環境の整備ですとか、豊かで暮らしやすい地域づくりに向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
具体的にこうする、ああするということはまだ煮詰まっておりませんけれども、大変大きな変化だということを認識しながら、正に菅新総理が言われている省庁の垣根を越えて、前例にとらわれない新しい施策をしっかりと打ち出して行かなければいけないと私は思っております。

(問)気象庁のホームページの広告掲載の件でお伺いしたいのですが、始まって1日で不適切な広告が見つかって掲載停止になっていますけれども、掲載前からこうした問題は指摘されていたかと思うのですが、その中で想定されていたことが起こってしまったことについての受け止めと、今後の対応をお聞かせください。
(答)気象庁ホームページへの広告掲載につきましては、同ホームページが非常に多くの方々に御覧いただいているという特性を活かして、行政コストを削減するために、9月15日からホームページへの広告の掲載を開始したところですが、誇大な広告など、広告掲載基準に沿わない可能性がある広告が掲載されたために、運用方針により、広告運用受託事業者に対して速やかに一時停止の処置を執らせたところです。
現在、気象庁におきまして、このような広告が掲載された経緯等について、詳細に調査をしているところでありますが、気象庁に対し、同種の事案が二度と発生しないよう、広告の掲載方法の変更も含め、抜本的な対策を確保した上で適切に対応するよう、私から長官に指示したところです。
いずれにしましても、気象庁における予算について、今の気象業務を維持・高度化していくための必要経費について、これまでも確保してきたところですが、昨今の災害の激甚化・頻発化の中で、私は気象庁の予報の精度を高めるということは、大変大きな期待とニーズ、必要性も高まっていると思いますので、今後もそうした期待やニーズに応えられるような気象庁の体制を作るべく、しっかりと必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

(問)冒頭の公共交通の質問の関連にもなりますが、国土交通省の外郭団体が100%株を保有するJR北海道の経営問題についてお聞きします。
大臣は7月の会見で、今年度まで2か年で400億円を投じた国の支援の来年度以降の継続の可否について、対応を検討していくと述べました。
JR北海道は先日4月-6月期の営業損益が、コロナの影響で史上最悪の219億円に上ったと発表しました。
こうした状況の変化を踏まえ、足下で急速に経営が悪化しているJR北海道の来年度以降の財政支援について、改めて大臣の御所感をお伺いします。
(答)JR北海道においても今回の新型コロナウイルス禍の拡大で、大変厳しい、より一層厳しい状況に直面しているというのは、当然のこととして認識しております。
国土交通省といたしましては、JR北海道の状況をきめ細やかに把握し、国の支援策の活用についての情報提供等の協力や支援に努めてきたほか、鉄道・運輸機構からの支援金の前倒しなどの対応も、これまで行ってきたところです。
昨日も、過去に鉄道・運輸機構から貸付けた無利子貸付金の償還について、JR北海道からの要望も踏まえさせていただき、今年度分の償還を猶予するとともに、以降の償還を1年ずつ繰り下げる措置を講じたところです。
また、JR北海道に対する支援の期限は、現行法上、令和2年度末までとなっております。
令和3年度以降の具体的な支援策を検討しなければなりませんが、検討するに当たり、7月に北海道を訪問して鈴木知事と会談させていただきましたが、その際申し上げたとおり、北海道の広大な地域に人口密度が非常に小さいといった、北海道の特殊性に十分配慮しながら、地域公共交通の確保を図る必要があると考えている旨をお伝えしたところです。
それは知事も大変評価をしていただきました。
いずれにしても北海道の公共交通問題は、大変重要かつ解決が容易でない大変難しい問題ですが、これからは北海道知事、道内の市町村長、JR北海道をはじめとする交通事業者、関係者等と腹を据えて、あるべき北海道における公共交通網のあり方をしっかりと検討してまいりたいと。
よく地元の意見を聞きながら、国の思いも伝えながらしっかりとしたものを構築しなければならないと。
大変重い責任を背負っていると思っております。
また御指導よろしくお願いします。

(問)先ほど東京について、再延期の場合のキャンセル料の御発言がありました。
前回の会見で、東京以外も感染が拡大する場合は、除外を判断するということだったので、利用者からは、その場合のキャンセル料の扱いについて不安の声も寄せられています。
国土交通省の事業の方針として、東京に関わらず除外の場合は、キャンセル料は利用者に負担させないので安心して積極的に予約してほしいとのことなのか、今後はキャンセル料がかかってしまうことがあるから、リスクを理解した上で慎重に予約をしてほしいとのことなのか、大臣の考えを教えてください。
(答)東京都以外の道府県で万が一そうした状況になった場合に、キャンセル料の取扱いは、東京都の時と全く同じに扱います。
それを踏まえてどう考えるかは国民の皆さま一人ひとりなので、私たちが申し上げたいのは、Go To トラベル事業というのは感染拡大防止ということと、経済社会活動の両立を掲げている以上、こうした万が一の事態が起こりうることを御理解いただいた上で、この事業を活用していただきたいというのが原則だと思います。

(問)Go Toのキャンセル料の扱いについてお伺いしたいのですけれども、火曜日にもお伺いした点ではあるのですが、7月のときにキャンセル料を補填という方針が出されたときに、急な東京除外という方針転換もあって、特殊な事例ということでやむを得ない対応であったという説明もお聞きしています。
一方で、今回はまだどうなるかわからないですけれども、ある程度東京の除外もあり得るというような周知が事前にされて、日程的にも結構余裕がある状態だと思います。
そういう中でキャンセル料を別途負担しなくてよいというのは、どういう理由によるものなのかということを、改めて教えていただけますでしょうか。
(答)Go To トラベル事業自体が、いついかなるときもどの地域も、万が一こうした状態が起こりうるということは申し上げたとおりですが、だからと言って、キャンセル料を自己負担することによってキャンセルを躊躇する方々が多いということは、結果としては感染拡大防止に繋がらないと。
ですから国民の皆さんがそうした状況において、国は知らないよというのではなく、そうした場合でも感染拡大防止に繋がるように、国民の皆さまがキャンセルを躊躇することがないような制度という観点から、今後も同様の扱いにするとに決めたところです。
是非御理解いただきたいと思います。

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