大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2021年2月19日(金) 11:01 ~ 11:25
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、報告するものはございませんが、このほか、3点報告があります。
1点目は、公共工事設計労務単価及び技術者単価の改訂についてです。
この度、関係機関との調整が整いましたので、その概要をお知らせいたします。
いずれの単価も、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に賃金の支払が抑制されている可能性が懸念されることから、前年度より下回った単価については、前年度単価に据え置く特別の措置を実施した上で改めて設定しております。
この結果、新たな労務単価については、全国平均で前年度比プラス1.2%、コンサルタント等の技術者単価は、プラス1.6%となり、いずれの単価も、9年連続の引き上げとなりました。
建設産業の担い手確保については、賃金を引き上げることが大変重要であります。
労務単価等の上昇を通じて、適正利潤の確保、更なる賃金の引き上げにつながります。
こうした好循環が続くよう、発注者、元請、下請等全ての関係者が、改訂後の単価の水準等を踏まえて適切な請負代金で契約し、技術者や技能労働者の賃金水準が更に改善されるよう努めていただきたいと思います。
この新しい単価については、3月1日以降に契約締結する発注工事等についても前倒しで適用できることとし、公共事業の円滑な施工に万全を期すとともに、施工時期の平準化を進めてまいります。
詳細については後ほど事務方から説明させます。
2点目は、「Go To トラベル事業」についてです。
Go To トラベル事業につきましては、御承知のように、緊急事態宣言の延長の決定に伴い、現在、令和3年3月7日日曜日の宿泊分、3月8日月曜日のチェックアウト分まで、全国一律の一時停止措置を継続しているところです。
2月5日の会見で、私から、緊急事態宣言の延長に伴う国土交通省独自の観光関連産業に対する新たな支援措置として、1つ目は、停止期間中に感染拡大防止策の一層の強化等に取り組む事業者に対する支援。
2つ目は、「キャンセル見合い支援」申請に係る追加的事務費用相当分の支援を検討する旨、発表させていただきました。
本日は、2つ目の「キャンセル見合い支援」申請に係る追加的事務費用相当の支援について、具体的な内容が固まりましたので、御報告いたします。
キャンセル見合いの支援金につきましては、支払先となる旅行業や宿泊事業者に対し、取引先等の関連事業者に対しても公平に配分することを求めていますが、その作業に係る事業者間の調整や、地域共通クーポン券の回収、また、振込手数料等の事務費用が相当程度生じているとの現場の声があることから、これらの費用について相当額を支援することとします。
具体的には、キャンセル見合い支援申請事業者に対し、事業者に発生した追加的な事務費用相当分として、キャンセル見合い支援総額の10%を、1旅行当たり4000円を上限に支給することといたします。
なお、費用の申請につきましては、事業者から既に申請いただいているキャンセル見合い支援の申請書類を基に、事務局で審査を行い、3月下旬以降を目処に、事業者の皆さまに順次お支払いすることといたしたいと思います。
事務的な詳細につきましては、事業者の皆さまに別途お知らせさせていただきます。
なお、1つ目の感染拡大防止の取組の支援策については、現在、調整しておりますので、整い次第、改めて発表させていただきたいと思います。
3点目は、大雪における安全確保対策についてです。
この冬は御承知のように、関越自動車道や北陸自動車道などにおける大規模な車両滞留が発生しました。
こうした案件を踏まえ、安全確保対策の検討を進めてきたところです。
まず、道路交通の確保については、関係省庁とも連携し、有識者からなる「冬期道路交通確保対策検討委員会」を開催して、御議論いただいているところです。
一昨日の2月17日、今年度2回目の委員会を開催し、「人命最優先に幹線道路上の大規模な車両滞留を徹底的に回避する」ことを基本的な考え方として、「大雪時の道路交通確保対策中間取り纏め改訂(案)」を御審議いただき、今後、御提言をいただく予定です。
この改訂案の具体の内容として、1つ目は、短期間の集中的な大雪時には、通行止めの予測等の繰り返しの呼びかけ、対象の拡大、内容の具体化などを発信して、「出控えなどの行動変容を促す取組」をする。
2つ目は、躊躇ない、広範囲での通行止めを実施する。そして3つ目は、高速道路と並行する国道等の同時通行止めと集中除雪による物流等の途絶の回避を行うことです。
また、立ち往生車両が発生した場合には、滞留状況を正確に把握できる体制を確保する。
関係機関の連携を強化する。
さらに、地方整備局・地方運輸局を中心に乗員の保護に努める。こうした取組が盛り込まれているところです。
降雪シーズンがまだ続くことから、国土交通省では今回の審議結果も踏まえ、早急に必要な改善を図ってまいりたいと思います。
また、大型車の立ち往生を防ぐ観点から、3つの柱で検討を進めていただいております。
1つ目は車両対策、冬用タイヤの装着やチェーンの携行・装着の徹底です。
本年1月から、自動車関係団体や警察庁、国土交通省から構成される勉強会を立ち上げ、立ち往生の原因や防止策について技術的な分析・検討を進めてまいりました。
今般、勉強会で得られた知見を基に、雪道での大型車の立ち往生防止のためのパンフレットを作成したところです。
このパンフレットでは、雪道走行に有効な冬用タイヤやチェーンの効果、注意点等を解説し、適切な冬用タイヤの装着、チェーンの携行・早めの装着を促す内容となっています。
そして、このパンフレットを広く周知するとともに、運送事業者に対し、冬用タイヤの溝の深さの確保を義務付けしたルールについて適正に運用するなど、雪道での大型車の安全確保を図りたいと考えています。
2つ目は運送事業者対策です。
この冬用タイヤの未装着等により立ち往生した事業用自動車については、道路局から自動車局に通報する仕組みを確立し、悪質な事例については監査を行い、事実関係を確認した上で、安全確保義務違反として行政処分を行うこととしております。
悪質事例に対する効果的な取締りが行えるように、まず道路管理者が立ち往生車両に係るナンバーや立ち往生の状況等が分かる写真を撮影し、運輸局が、その情報を踏まえ、当該運送事業者に対し聞き取りを行った上で、指導や監査を行うこととしていきたいと思います。
3つ目は荷主対策です。
大雪等の場合に立ち往生などのトラブルを未然に防ぐには、無理な運行を回避することが重要です。
無理な運行を回避するためには荷主の御理解が大切であり、大雪の緊急発表が行われる際には、事前にその情報を荷主に周知し、必要な経路の変更、中止などについて、荷主の皆さんに御理解をいただけるよう、関係省庁を通じた連絡体制を構築いたしました。
経済産業省関係で約770、農林水産省関係で約300の業界団体を通じて、傘下の荷主事業者に対し、こうした取組を周知いただく体制を確立したところです。
これらの取組を通じて、大雪における安全確保に努めてまいりたいと思います。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

(問)曙ブレーキ工業の製品の検査データの改ざんの問題についてお伺いします。
製品の品質自体には問題がないということで、リコールには至ってないかと思うのですが、データの改ざん件数は11万件を大きく超えていたと思いますが、大臣の受け止めと今後の再発防止に向けた国土交通省の対策があれば教えてください。
(答)2月16日、自動車局において、曙ブレーキ工業株式会社から、自動車メーカーが要求しているブレーキ部品単体の耐久性等を調べる抜取検査の中で、データの改ざんを行う等、不適切な取扱いがあったことに関する報告を受けたところです。
本事案は、曙ブレーキ工業と自動車メーカーという民間同士で取り決められた内容に対して、曙ブレーキ工業が不適切な取扱いを行ったという、いわばコンプライアンス違反だと認識しております。
一方、当該部品による事故情報はなく、また、自動車メーカーにおいて、ブレーキ部品を自動車に組み付けた状態で1台ごとに完成検査を実施し、保安基準を満たすことは確認された上で出荷されておりますので、法令違反は認められず、リコールの必要性もないと認識しております。
しかしながら、民間同士の問題とはいえ、自動車の安全性の根幹を司るブレーキ部品に関して、長年にわたって不適切な行為が行われたことは遺憾です。
報告同日の2月16日に、自動車局から同社に対して再発防止策の着実な実行及びコンプライアンスの徹底を指示しました。
国土交通省としましては、同社の再発防止策の取組を注視するとともに、自動車の安全確保に取り組んでまいりたいと考えております。
 
(問)東北新幹線についてお伺いします。
全線再開が10日ほどかかるというお話しが前回の会見でありましたが、再開時期に関するめど、最新の状況についてお聞かせください。
また、新幹線の耐震化に関してなのですが、東日本大震災があって、その後、耐震補強を各地の新幹線で進んできたかと思いますが、また被害が出ました。
再発防止に向けて、何か国土交通省としての対応がありましたらお聞かせください。
(答)今般の地震で、東北新幹線において被害が発生し、現在も、一ノ関(いちのせき)那須塩原(なすしおばら)駅間で運転見合わせを行っております。
JR東日本は、「全線運転再開まで10日前後を要する見込み」である旨公表しておりまして、現時点では、厳しい工程ながら、不眠不休で復旧工事が進められていると承知しております。
引き続き、早期復旧に取り組むとともに、利用者の方々に対して、早期に再開見込みをお示しするよう指示しているところです。
現時点ではまだ具体的な日にちは発表されておりませんが、それ程遠い先ではない時点で発表できると聞いております。
また、代替交通に関してですが、鉄道事業者、バス事業者、航空事業者へ協力を要請し、各社と連携を取りながら対応を行っているところです。
具体的には、最新の情報では、高速バスについては、JRバス東北等が、民間会社も随分協力していただいておりますが、仙台-東京間の高速バスを大幅に増便し、本日19日は89便増便し、計119便の運行が予定されております。
また、高速バス各社において、東北各地と仙台や首都圏を結ぶ高速バスの増便もされております。
航空便については、通常は運航していない羽田-仙台間、羽田-花巻間、羽田-福島間をはじめ、東北各地の空港と、羽田、名古屋、伊丹、神戸の各空港を結ぶ臨時便の運航や機材大型化の対応を行っており、本日19日は合計58便を増便する予定です。
また、鉄道については、首都圏と仙台方面のアクセス確保のため、常磐線での臨時列車運転、首都圏と秋田方面のアクセス確保のため、羽越(うえつ)線での臨時列車運転、盛岡-一ノ関間の東北新幹線が2月16日に運転再開され、1日6往復の臨時ダイヤで運転されていることから、一ノ関駅で新幹線と接続する、東北線での仙台発着の臨時列車を運転などの対応を行っているところです。
今は大学入試シーズンですので、受験者の皆さまに迷惑がかからないように、文部科学省と連携をしながら都道府県教育委員会を通じて、各地の受験生へ周知をしていただいているところです。
耐震補強については、東日本大震災を踏まえ、国土交通省では耐震基準を強化しました。
また、JR東日本では、東北新幹線の高架橋、橋脚などの土木構造物の耐震補強を実施し、おおむね完了していたため、今回の地震によって土木構造物に大きな被害は発生しませんでした。
一方、電柱については、東日本大震災での被災地などエリアを決めて重点的に耐震補強を進めており、令和2年末までに約2200箇所の補強が完了していたと承知しています。
これらについては、今回の地震で被害は発生しておりませんが、折れた電柱20本は補強工事が未着手でした。
電柱の補強は土木工事と異なり、列車が運転していない夜間にしか工事を行えないなどの制約があり、今回も、復旧に長時間を要し、利用者に大きな支障が生じている状況を踏まえ、国土交通省からJR東日本に対し、耐震補強の計画などについて、しっかりと検証するよう指示しているところです。
国土交通省としても、同検証結果を踏まえ、必要な対応を講じてまいりたいと考えております。
 
(問)国境離島の質問なのですが、読売新聞の取材で、領海などの基点になっている国境離島の一部が消失した可能性があることがわかりました。
国土交通省として、国土地理院や海上保安庁などでの現在の把握状況や今後の対応についてお願いいたします。
(答)御指摘の報道については、承知しております。
言わずもがなですが、国境離島は、我が国の領海外縁(がいえん)を根拠づける離島であり、管轄海域の保全の観点から極めて重要であると考えております。
国境離島の状況把握に関しては、内閣府が中心となり、関係省庁間で継続して進めているところですが、国土交通省としても、海上保安庁・国土地理院により、船艇・航空機などによる現場の確認など、所要の調査を実施しているところです。
引き続き、内閣府において対応中のため、その結果については、現段階で予断をもってお答えすることは差し控えさせていただきます。
詳細については、国土地理院又は海上保安庁にお尋ねいただければと思います。
 
(問)先ほどGo To トラベルの支援策について言及がありました。
宣言が延長される中、観光事業者は非常に打撃を受けているわけですが、今回の支援策の意義について教えてください。
また、影響が長期化する中で、観光産業をどう支えていくのか、この辺の方針もお願いします。
(答)2月以降はGo To トラベルの予約はしておりませんので、1月31日までのように、既存予約のキャンセルに対する見合いの支援ができない状況の中、様々現場の声を聞いている中で、キャンセル見合いの支援申請の手続きに係る費用が想像以上に相当出ており、これに対する支援をしていただきたいという声があり、それはせざるを得ないということで支援させていただくところです。
また、全国一斉の停止措置が長引いているので、昨日も鹿児島県とリモート会議をし、その前も石川県、また京都府等、各地にオンラインで断続的に伺っておりますが、「Go To トラベルがあったから、なんとか廃業せずに持ちこたえている。」、「早期に回復していただきたい。」そのような強い声が出ております。
こうした声に対しましては、今は全国的な感染状況を鎮めることが最大の支援ということで、政府を挙げて収束に向けて取り組んでいることを御理解いただきながら、それほど遠くない状況の中で再開をする方向でどうしたらよいか、現場の御意見も聞かせていただいているところでありますので、予断を持って言うわけではありませんけれども、感染状況が落ち着き、国民の皆さんが安心して旅行に行けるような雰囲気をしっかりと醸成し、そして来るべき時に、やはりいろいろな支援が考えられますが、強力な需要喚起となるGo To トラベル事業の再開が業界の皆さんにとって一番効果のある対策ではないかと考えているところです。
引き続き、雇用調整助成金も延長されておりますし、また、資金繰りの問題も抱えているところも出ていると思いますので、全国の各地方運輸局を相談窓口にしながら、積極的に使える制度はしっかり使っていただいて、この苦境を乗り越えていただけるように丁寧に対応していきたいと思っております。
 
(問)昨日、佐渡沖でジェットフォイルが漂流したという事案が発生しましたが、それに対しての受け止めと、これから事故調査官などを派遣する予定があるのか、もし、しないようであれば、どのような調査をするのかということと、着岸まで9時間要したということで、えい航に問題があったかどうかを含めてお尋ねします。
(答)昨日午後5時20分頃、佐渡汽船から、ジェットフォイル「つばさ」乗客36名が、新潟県佐渡の東方約8海里において電源喪失し、運航不能となった旨の通報がありました。
海上保安庁では直ちに巡視船艇を発動させ、午後7時30分頃到着した巡視船が伴走警戒しつつ、佐渡汽船「あかね」によりえい航を開始しました。
えい航索が切断したため、「つばさ」の非常電源による自力航行を開始した後、非常電源での自力航行が困難となったことから、午後9時30分頃、また巡視船によりえい航を開始しました。
最終的には、午前2時10分頃、同船は両津(りょうつ)港の岸壁に着岸し、消防救急隊が乗船の上、乗客を誘導し、ターミナル内で体調確認を行い、乗客36名及び乗員4名に体調不良者等はいないことを確認し、乗客の皆さんにあっては佐渡汽船手配の車両によって全員帰宅をしていただいたところです。
今後、海上保安庁において原因調査等に当たることとしており、詳細はまだ私のところでは分かっておりませんので、海上保安庁にお問い合わせいただきたいと思います。

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