大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2021年6月15日(火) 9:47 ~ 10:04
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、私から2点報告があります。
1点目は、法定白書についてです。
本日の閣議で、令和3年版の水循環白書、首都圏白書、土地白書、観光白書及び交通政策白書が閣議決定されました。
水循環白書、首都圏白書、土地白書、観光白書及び交通政策白書は、それぞれ水循環基本法、首都圏整備法、土地基本法、観光立国推進基本法及び交通政策基本法の規定に基づき、政府が国会に対し報告しているものです。
それぞれの白書においては、新型コロナウイルス感染症の各分野における影響やそれを踏まえた取組、また、頻発化・激甚化する自然災害を踏まえた多様な主体の参画・連携による取組などについて報告しております。
詳細は事務方にお問合せください。
2点目は、本日の閣議で、「総合物流施策大綱」、これは2021年度から2025年度までのものですが、閣議決定されました。
これは、担い手不足の深刻化、カーボンニュートラルへの取組の必要性の高まり、コロナ禍における非接触・非対面型物流への要請など、物流を取り巻く環境の変化を踏まえ、物流のデジタルトランスフォーメーションや外装の統一など業界を挙げた物流における規格の標準化、脱炭素化の実現等を通じた物流の変革を促すべく、現行の大綱を改定し、新たに令和7年度までの政府における今後の物流施策の指針を示すものです。
今後は関係府省庁とともに、この大綱に基づく諸施策を総合的かつ一体的に推進してまいります。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)観光白書についてです。
白書では新型コロナによる影響について触れ、その上で、観光産業の再生に向けた支援の必要性にも触れています。
改めて観光立国施策の重要性を指摘していますが、今後観光産業の再生に向けてどのように取り組んでいくのかお願いします。
(答)本年の観光白書では、今お話ありましたように、新型コロナウイルス感染症が観光関連業にもたらした影響や観光業の体質強化・観光地の再生に向けた取組等について報告しております。
コロナ禍においては、水際対策の徹底等によりインバウンド需要が蒸発し、また、我が国の観光消費額の約8割を占める国内観光需要についても、国内の感染拡大に伴って大幅に減少しているところです。
そのため、まずは危機的な経営状況が続く観光関連産業の事業継続と雇用の維持の支援を全力で行っているところです。
他方、コロナ禍において、観光関連事業者にとって大変厳しい状況ではありますが、これまでの観光政策を一度立ち止まって振り返る機会になったことも事実だと考えています。
「GoTo トラベル事業」の実施により、近隣地域での観光、いわゆるマイクロツーリズムが促進され、地元の観光資源の魅力の再発見につながったという評価もあります。また、働き方改革等も踏まえて、ワーケーションの拡大の動きも見られます。
さらには、この機会に、観光地の資源の磨き上げによって消費単価の拡大や多様なニーズへの対応、長期滞在の促進、今後の訪日外国人旅行者の受入環境の改善等のかねてからの課題にも取り組むきっかけになったと思いますし、今後も引き続きその取組を進めていきたいと考えております。
昨年12月には、「感染拡大防止と観光需要回復のための政策プラン」を策定しました。現在、この政策プランに基づき、全国100程度の観光地で、街中に残る廃屋を撤去するなど、魅力ある地域へのリニューアルを実施しているところです。
また、感染症拡大防止を徹底した安全・安心の旅のスタイルの定着や、自然の中での滞在型観光、ワーケーションの推進など新たな観光のあり方を推進しているところです。
先ほど申し上げました外国人旅行客の受入れのため、多言語対応やバリアフリー化等の受入環境整備などの取組を、観光関連事業者の皆さまと連携して、しっかりと進めてまいります。
今後は、ワクチン接種の拡大等により国内の感染状況が落ち着き次第、まずは国内観光需要の本格的回復に取り組み、その後、海外の感染状況も見極めつつ、インバウンド需要の段階的回復に努めてまいります。
いずれにせよ、日本の観光地の魅力、自然や食、歴史、文化、伝統は、コロナ禍によっていささかも減ずることはなかったと思いますし、観光立国の足下が強くなっていく期間として取り組んでいかなければいけないと考えております。
白書にも記載したとおり、2030年訪日外国人旅行者数6000万人等の大きな目標は堅持しつつ、観光立国の実現に向け、官民一丸となって取り組んでまいります。
観光立国の政策を進めることは、地方創生にも必ずつながるものと確信しておりますので、頑張ってまいります。
 
(問)線状(せんじょう)降水帯(こうすいたい)の発生を伝える「顕著な大雨に関する情報」の提供が17日に始まります。これによって期待する効果と、情報を受け取った方に心掛けてほしいことについて大臣のお考えをお願いします。
(答)昨年7月の豪雨災害では、次々と発生した積乱雲により、線状の降水域が数時間にわたってほぼ同じ場所に停滞し、九州地方を中心に大規模な被害が発生しました。
このときの豪雨災害を契機に、線状降水帯というキーワードが、マスコミ報道などで繰り返し用いられたこともあり、線状降水帯による大雨が、災害発生の危険度の高まりにつながるものとして社会に広く浸透してきていると認識しております。
加えて、線状降水帯による豪雨が長期にわたり、被害も甚大となることもあることから、国民の皆さまから、その危機を事前に把握し、避難につなげることができるよう、線状降水帯発生の予測や、予測が難しくてもその発生を的確に伝えることへ強い声をいただいているところです。
気象庁として、まず、線状降水帯の発生条件を明確にするため、3時間の雨量が100ミリ以上の区域が500平方キロメートル以上広がることなどを定めた上、関係機関の協力を得て、線状降水帯の発生を、気象レーダーなどによる観測結果から自動的に検出するシステムを開発しました。
明後日6月17日より、線状降水帯による非常に激しい雨に関する情報の提供を開始することとしました。
この情報が住民の皆さまの危機感を一段高め、避難等の適切な防災対応に活用され、命と暮らしを守ることにつながることを期待しております。
また、気象庁においては、2022年度からの線状降水帯の予測開始を目指して、海上保安庁との協力による洋上観測体制の構築など、引き続き、全力で取り組んでまいります。
本年は、九州地方をはじめ、西日本各地の梅雨入りが記録的に早く、梅雨入り直後から大雨に見舞われた地域もあり、昨日も集中豪雨の報道があったところです。
改めて言うまでもありませんが、近年、雨の降り方が激甚化・集中化していることにより、各地で大きな被害が発生しているところですが、国土交通省としては、豪雨災害による犠牲者をゼロにすることを目指して、今般の線状降水帯による気象情報を含め、防災・減災につながる正確な情報を、できるだけ分かりやすい形で、可能な限り迅速に提供できるよう不断の改善に努めてまいります。
国民の皆さまにおかれましても、平素よりハザードマップを改めて確認し、マイタイムラインの形成などを通じて、いざという場合の家族や地域単位での避難体制を確立するなど、大雨に対する備えをしていただき、実際に災害が差し迫っている場合には、気象予報に従って躊躇なく早めの避難をしていただくなど、早め早めの行動を心からお願いする次第です。
 
(問)本日6月15日に賃貸住宅管理業法の業者登録制度が開始されました。
サブリースの規制と併せて法律が完全施行となりました。
一般の賃貸住宅の居住者やオーナーといった一般の消費者の保護と健全な市場の発展など、この法律に対して赤羽大臣が期待することをお願いします。
(答)賃貸住宅をめぐっては、少子高齢化や単身世帯の増加等の社会経済情勢の変化に伴い、国民の皆さまの生活基盤としての役割の重要性が増す一方、管理業務でのオーナーや入居者とのトラブル、サブリースにおける家賃保証を巡るトラブルなどが多発するなど、管理のあり方が問われ、社会問題化しています。
このことを背景として、昨年6月、サブリース契約の適正化に係る措置や管理業者登録を義務付けることなどを内容とする「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立しました。
本日施行の登録制度をもって本法律が全面施行となりましたが、トラブル防止や入居者の居住の安定の確保はもとより、業界が住まいに関する多様なニーズに応え、国民の皆さまに信頼されるよう健全に発展していくことを期待しております。
今後、国民のくらし方・働き方・価値観の変化や、空き家問題、カーボンニュートラルの実現という様々な課題に対し、ライフステージに応じた生活基盤、良質な住宅ストックの形成という国民生活の基盤を支えるために不可欠な産業として、賃貸住宅管理業は、大変重要な役割を担うことになります。
国土交通省としても引き続き必要な施策の推進に取り組み、この賃貸住宅の管理をしっかり良いものに定着させて、国民の皆さまの住生活に貢献していきたいと考えております。
 
(問)物流政策大綱について1点お伺いします。
これまでの積み上げを拝見しているのですが、やはり人ですよね、運転手さん。
エッセンシャルワーカーだと国は持ち上げるんだけれども、この方々の労働環境、あるいは待遇、こういうものはやはり世の中の他の仕事に関しても非常に厳しい状態に置かれたままです。
結果的に、運転手さんの超高齢化、60、70歳が当たり前の世の中になっています。
それから、やはり担い手が下から入ってこない、若手が入ってこないということなのですが。
赤羽さんは、常日頃から、人を大切にしたいということを仰っているわけで、この大綱の中で、運転手さんの地位向上について、言及が少ないなと思っているのですが、その辺はいかがでしょうか。
(答)物流において、ドライバー不足、また将来の担い手不足というのは大変大きな問題であると認識しています。
これまでに標準約款の見直しを行い、トラック運賃の中に荷捌きの作業等の料金を含まずに分けることや、待機時間についても運賃と別にする等の約款の改正は行いましたが、荷主の皆さまの御理解がなかなか得られない状況の中で、平成30年の秋の臨時国会において、議員立法で法改正がされたところです。
この法改正で、私が画期的だと思っているのは、荷主の所管である経済産業省・農林水産省・厚生労働省も含めた法体系になっていることと標準的な運賃を告示する制度です。
これは、コストプラス適正な利潤が取れるものでなければ、働く環境、いわゆる新3Kへの実現というのはなかなか至らないと思っていますので、そうしたことを進めているところです。
標準的な運賃の設定をする上で荷主がどう対応していくのかということで、率直に申し上げると、今までの習慣・慣習が強い傾向がありますが、これは法律に定めていることですので、荷主の皆さんへ協力してもらうということではなく、法律を遵守してもらうよう強い意志で、この法改正の意味を空虚なものにしないよう取り組んでいかなければいけないと考えております。
加えて、この物流政策大綱についても、物流のデジタルトランスフォーメーションや様々な施策をしながら、若い人にとって魅力ある職場にできるよう、業界の皆さんとしっかり意見交換をしながら、施策として発信・実行していこうと考えております。
なかなか簡単ではないと思いますが、ドライバーがいなければ、物流だけではなく我が国の経済も成り立ちません。
これは荷主の皆さまも御理解をいただいていることだと思いますので、中長期的な大きな課題として、物流業界のみならず、荷主の皆さんと一体となって、しっかりと取り組むべきものであり、実行していきたいと考えております。

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