大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2021年9月21日(火) 11:01 ~ 11:17
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日は特に私から報告することはありません。

質疑応答

(問)リニア中央新幹線についてお尋ねいたします。
18日にJR東海の金子(かねこ)社長が大井川(おおいがわ)流域の首長と意見交換しまして、流域自治体の理解が得られるまでは、リニアの静岡県内の工事を進めない考えを明らかにされました。これについて、大臣の受止めをお願いします。
(答)リニア中央新幹線については、これまで国土交通省としても、事業主体であるJR東海に対し、地域住民の皆さま等に丁寧に説明を行い、地域の協力と御理解を得ることは本事業を進めるにあたり重要な事項であることは、再三申し上げてまいりました。
そうした中で、9月18日土曜日に、大井川流域市町の首長とJR東海社長との意見交換会が開催され、両者の間で、こうした形で初めて、率直な意見のやり取りがなされたことについては、前向きに評価したいと考えております。
今後もこうした意見交換を丁寧に重ねることで、地元の理解と協力を得ていくことが大変重要と考えており、JR東海には誠意を持って静岡県や地域住民の方々に向き合うよう、しっかりと指導してまいります。
国土交通省としては、令和2年4月に立ち上げた有識者会議において、引き続き、科学的・工学的な議論を適切に進めてまいります。
 
(問)熱海(あたみ)の土石流以後の盛土の法整備検討について伺います。
Twitterでの大臣の発言を拝見させていただきまして、政府として盛土の法規制の整備を目指し総点検を進めていきますと、国による法整備が必要です、という内容が書かれておられたのですが、これは国として法整備を進めていくという方針を示したものでいいかという点。
その法制度ということで、法律のエアポケットという発言を以前されておられましたけれども、そうした空白地帯を埋める形での一律の法規制を進めていくというお考えを示されたということでよいか、伺いたいです。
(答)私の公式な発言はもちろんこの記者会見で申し上げているとおりで、Twitterで言っていることが別のことを申し上げているわけではありません。
そもそも、熱海市の土石流災害の発生を受けて、盛土による災害防止について、農林水産省や環境省、経済産業省、総務省などの関係省庁が、それぞれ盛土の現状をまずは把握し、省庁間の狭間となって規制の対象となっていないもので非常に災害の発生のリスクがあるケースがないことが重要だということ、そして必要があれば法整備も含めてしっかりとした対応を行わなければいけないということを個人的に考えており、各関係大臣に対し、その旨を御説明申し上げてきたところです。
そうした中で、内閣官房の下に「盛土による災害防止のための関係府省連絡会議」が設置され、8月10日に、盛土の総点検の進め方や、対応方策のあり方について議論がなされました。
このうち、盛土の総点検については、8月11日に農林水産省、環境省、国土交通省の連名で、都道府県知事宛に依頼し、年内に暫定のとりまとめを行う予定としています。
これに際し、国土交通省としてもできる限りのことをしっかりとサポートしていきたいと考えております。
また、盛土の危険箇所への対応や土地利用規制など安全性を確保するために必要な対応策については、総点検の状況等を踏まえ、内閣官房を中心に、関係府省間で、実務的な議論をしっかりと詰めていくこととなろうかと思います。
(問)すみません。法整備を目指していくというお考えであるという点についてちょっと確認したいのですけれども、国としてそういったお考えであるということでよろしいでしょうか。
(答)繰り返しになりますが、そもそも熱海の事案を受けて、私は、法整備も含めた国としての対応をする必要があると。
各都道府県の条例で、あのときは静岡県副知事のお話でしたけれども、静岡県の条例と神奈川県の条例に差があって、静岡県に盛土がなされたらしいとのお話しもありました。
そのように各都道府県の条例に差があったり、また、先ほど申し上げたとおり、関係省庁間の仕切りの中で対象となっていない狭間の中で、そのようなリスクがあるのであれば、法整備も含めて適時適切な対応をしていかなければならないということで、内閣官房の下で関係府省連絡会議ができ、事務的にしっかり対応しながら、全国の自治体に対して総点検をお願いし、その総点検の状況の中で法整備が必要であれば法整備がなされるでしょうし、そこまでとはいかずとも対応ができるのであれば、そうなると。
その議論については、内閣官房の下の関係府省連絡会議によって結論が得られるものと思っています。
(問)しつこくてすみません。
法整備を目指すお考えだということで。
(答)大事なことは、盛土によって再度災害を防止するということですから、手段について指定しているわけではありません。
引用されているTwitterは、富士(ふじ)市長から要望があって、同様のことですが、条例はそれぞれの自治体によってばらつきがあるので、国としてしっかりとした対応をしてほしい、法整備を含めて対応してほしいということであったため、それに対しての一文ですので、その背景、趣旨は今申し上げたとおりです。
 
(問)平成23年に、和歌山県を中心に大きな被害がございました紀伊(きい)半島(はんとう)大水害から9月で10年の節目を迎えました。
これまでの国土交通省や自治体による復旧・復興の取組を踏まえまして、節目に当たっての大臣の御所感を伺えたらと思います。
あと、近年の災害の激甚化・頻発化を受けまして、土砂災害の被害防止や対応力の強化に向けた国土交通省としての考えを改めてお聞かせいただけますでしょうか。
(答)平成23年9月、台風12号により起こりました紀伊半島大水害は、和歌山県那智勝浦町(なちかつうらちょう)における同時多発的な土石流のほか、和歌山県・奈良県の両県における深層崩壊や、それに伴う河道閉塞が17箇所発生する大変未曽有の大災害でした。
死者・行方不明者88名にも及ぶ、極めて広域かつ甚大な被害をもたらした大水害であり、令和元年東日本台風のときも同様でしたが、10年前の紀伊半島大水害は、わが国の総合的治水対策を大きく見直す、また、新しい手法を取り入れた契機となった災害でした。たまたま昨日の夜、NHKのBSで特集番組が放送されていて、最後しか見られませんでしたが、犠牲となった方のお話を少しだけ拝見する機会があり、改めて被害の大きさ・深刻さを認識したところです。
10年前の紀伊半島大水害の際は、国土交通省としては、延べ6000名近くに及ぶTEC-FORCE(テック・フォース)を自治体に派遣するとともに、直轄の「紀伊山地(きいさんち)砂防事務所」を設置、17箇所起きた河道閉塞については、更なる崩壊の危険性があり、なかなか有人施工ができない状況であったため、史上初めて、無人・自動化施工を取り入れ、迅速な工事の実施を進めました。
この災害の復旧対応の中で、国土交通省の有する高度な技術力を駆使した復旧対応がなされたものと認識しております。
深層崩壊については、なかなか発生メカニズムが分からないということもあり、発生メカニズムの究明を行うために、那智勝浦町に「近畿地方整備局大規模土砂災害対策技術センター」を新たに設置し、大学や研究機関と共同で研究・技術開発を行うことを進めています。
また、大量の土砂流出のおそれの高い水系での、広範囲な砂防施設の点検については、目視では届かない範囲でも自律飛行を可能とするドローンを初めて導入しました。この災害をきっかけに、全国における土砂災害への対応にも活用できる新技術の開発を進めてきているところです。
さらに、地方レベルにおける土砂災害に備える対応力強化のため、地方整備局の職員に対し、国土技術政策総合研究所の土砂災害専門家が研修を行い、専門性の高い職員の育成を進めるとともに、和歌山県と連携して、地域住民の土砂災害への警戒意識向上に資する普及啓発活動を進めています。
近年の気候変動により激甚化・頻発化する水害・土砂災害に対応するべく、 「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策予算」も活用し、ハード・ソフト両面で事前防災対策を強化しつつ、特に森林や渓流を含む流域全体を俯瞰した流域治水をしっかり推進し、国民の生命と暮らしを守れる防災対策に取り組んでいきたいと考えております。
 
(問)JR東日本が駅に設置している防犯カメラで、出所者や仮出所者の一部を検知対象にしていることがわかりました。
国土交通省の事実関係の把握状況と、こうした運用に対してJR東日本から事前に説明があったのか、国土交通省の認識・見解とともに教えてください。
また、他社において同様の運用があるのかどうかについても、把握状況を教えてください。
(答)JR東日本においては、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、顔認証機能を有する防犯カメラを導入することを7月に公表されたところですし、現在も運用されているものと承知しております。
顔認証機能の前提となるデータベースの登録については、JR東日本より指名手配中の被疑者や警備員の方々が不審と認めた者等について登録する方針であるとの報告はこれまで受けておりました。
今般の報道を受けて、JR東日本に改めてこの点を確認したところ、過去の出所者等については顔認証のデータベースに登録しない方針であるとの報告を受けたところです。
この点についての詳細は、JR東日本にお尋ねいただきたいと思います。
いずれにしても、国土交通省においては、鉄道事業者と連携しながら、テロ対策等について、安全面についてしっかりと対応してまいります。
 
(問)先ほどリニア中央新幹線の話題が出ましたけれども、その中で今後も有識者会議で丁寧に議論をという話だったのですが、4月以降、有識者会議が開催されていませんけれども、今後理解を進めていくためではこれが重要になっていくと思うのですが、次回の会議の開催の見通しですとか、また18日の意見交換会がそういった次回会議で影響とかは出るのかどうか、どのようにお考えでしょうか。
(答)18日に行われた会合というのは、JR東海と各首長の皆さんの様々な率直な意見をぶつけて、その交換の場だったと承知しておりますので、一般的にはそうした議論と、我々が設置した技術的・工学的な議論を行う学術者による有識者会議がクロスオーバーすることはないのではないかと思っております。
有識者会議の次の会合については、多分コロナの関係で若干開催しにくいのではないかと思いますが、現在調整中であり、近々に次の会合を開くと聞いております。
正式に決まり次第、また報告させていただきます。

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