大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2021年11月19日(金) 11:01 ~ 11:21
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

閣議・閣僚懇

 (大臣)本日の閣議案件で報告するものはありません。
そのほか、私の方から1点、報告があります。
鉄道駅のバリアフリー化についてです。
鉄道駅のバリアフリー化は、全ての方が鉄道を安全・安心かつ円滑に利用できる環境の整備に資するものであり、その推進は大変重要であると考えています。
国土交通省としては、昨年12月に新たなバリアフリー化の目標を定め、エレベーター等の整備対象駅の拡大やホームドアの整備の加速化に取り組むこととしています。
一方、国、地方において予算制約がある中、バリアフリー化の整備に係る財源の確保が大きな課題となっています。
こうした状況を踏まえ、本年5月に閣議決定された第2次交通政策基本計画においては、「鉄道駅のバリアフリー化の推進は、エレベーターやエスカレーター、ホームドア等の整備を通じ、高齢者や障害者だけでなく、全ての利用者が受益するとの観点から、都市部において利用者の薄く広い負担も得てバリアフリー化を進める枠組みを構築するとともに、地方部において既存の支援措置を重点化する」との方向性が示されました。
これを踏まえ、今般、国土交通省においては、鉄道駅のバリアフリー化を推進するため、利用者の皆さまに薄く広く御負担いただく仕組みとして、新たな料金制度を設けることを検討しています。
この料金制度について、国民の皆さまから広く御意見をいただくため、制度導入のための省令案及び運用細目を定める通達案に関するパブリックコメントを本日より開始することとしました。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。
 

質疑応答

(問)税制改正の議論で、住宅ローン控除の控除率の縮小が議題に上がっております。
大臣は税制にお詳しいと思うのですけれども、住宅ローン控除では、逆ざやが低金利下で発生しているという指摘がある一方で、住宅購入の後押しになってきたという側面もございます。
この控除率縮小に関する大臣のお考え、また、適切な水準というのはどの辺りにあるのか、どのようにお考えかをお聞かせください。
(答)住宅ローン減税は、非常に経済波及効果の大きい住宅取得促進策の柱として、我が国経済の回復を牽引していく上でも極めて重要であると考えています。
足元での住宅着工は、いまだ回復途上の段階にあることに加え、世界的な資材需給の逼迫等により住宅資材価格が急騰しています。
ウッドショックと言われるものです。
民間住宅投資が経済全体の足を引っ張る兆候も見受けられます。
一方、住宅ローンの年末残高の1%を控除する住宅ローン減税の仕組みについて、会計検査院より不必要な借入れを助長するおそれがあるとの指摘がありました。
これらを踏まえ、控除率等のあり方を来年度の税制改正において見直すこととされています。
国土交通省としては、不必要な借入れを抑制するため、控除率を住宅ローン金利の平均的な水準を勘案しつつ一律に引き下げる一方、従来と同程度の支援規模を確保するため、トータルとしては同程度の支援規模になることを確保するため、控除期間を延長することを要望しています。
今後の税制改正プロセスにおいて、与党税制調査会で議論されますが、国土交通省の主張を理解していただけるよう、各方面に働きかけていきたいと思っています。
 
(問)本日、経済対策が閣議決定の見通しとなっております。
こちらの中に「Go To」の再開も盛り込まれる見通しと報道されております。
このGo Toが盛り込まれたことについての所感、また事業者が特に気にしているのは再開の時期についてなのですが、この時期について大臣御自身の考えを改めてお願いいたします。
(答)本日、追加経済対策が閣議決定される方向で最終調整が、今、されています。
今、その中で特にGo Toについて御質問がありましたが、せっかくの御質問ですので、経済対策全体についても国土交通省の考えをこの機会に申し述べさせていただきたいと思います。
本日閣議決定される予定の経済対策ですけれども、国土交通省としては、総理から示された柱を踏まえ、「防災・減災、国土強靱化の推進と安全・安心の確保」、「コロナの影響等により引き続き厳しい経営環境にある公共交通の確保・維持や観光の再生・復興」、「インフラ整備等による産業競争力の強化や子育て支援の充実」などの施策を盛り込む方向で、今、最終調整を進めているところです。
これらのほか、最近のエネルギー価格高騰への対応や、軽石漂着による被害への対応など、関係省庁と連携しつつ実施する施策についても盛り込む方向で最終調整をしています。
御質問のGo Toトラベルですが、一言で言うとまだ調整中ということなのですけれども、これまで申し上げてきたとおり、ワクチン・検査パッケージの活用により、安全・安心の確保を前提とした仕組みに見直すこと、それから、休日と平日のバランスをとるといった週末の混雑回避の工夫等を含めた制度とする方向で調整中です。
国土交通省としては、新たな経済対策を迅速かつ着実に実行することで、新型コロナウイルス感染症の困難を乗り越え、ポストコロナの新たな経済社会への転換を実現するため、しっかりと取り組んでまいります。
再開時期等についても、今、最終調整中です。
 
(問)今ちょっと経済対策でも言及がありました、軽石の問題についてお聞きしますが、沖縄や鹿児島に加えて、伊豆(いず)諸島にも漂着するなど、範囲が広がっています。
今後も更に広がることが予想されていますが、今後も含めて国土交通省の対策についてお聞かせください。
(答)小笠原(おがさわら)の海底火山福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)の噴火によるものとみられる軽石は、昨日11月18日時点で、東京都、鹿児島県、沖縄県の計46の港湾で漂着が確認されています。
東京都4港、鹿児島県23港、沖縄県19港です。
軽石の漂着・漂流の影響により、鹿児島県や沖縄県の定期航路において、断続的に旅客船が運休する事態が発生する等、軽石の漂着状況を確認しながらの運航が続いている状況です。
港湾等に漂着している軽石については、港湾管理者等の自治体が進める除去に対して、財政支援を国土交通省として行っています。
また、(しき)()(じま)港をはじめとする伊豆諸島の港湾への軽石の漂着を受けて、11月12日に東京都と緊急ウェブ会議を開催し、回収技術等の情報共有を図りました。
さらに、今後の拡大に備え、東京都、千葉県、神奈川県、静岡県とも情報共有を図るため、本日19日に連絡会議の開催を予定しています。
さらに、港湾局が中心となり、水産庁と連携して、「漂流軽石回収技術検討ワーキンググループ」を開催しており、11月中をめどとしたとりまとめに先立ち、現時点までの情報を中間とりまとめとして、11月16日に全国の港湾管理者等に周知しています。
私も見させていただきましたが、いろいろな方法があります。
そういう情報を共有している段階です。
軽石回収技術については、今も民間事業者から、現場での活用が見込まれる技術やアイデアを広く募集しているところであり、回収技術の更なる充実化を目指していきたいと考えています。
加えて、実際に対応にあたられている海運事業者の協力を得て、運航の可否判断や、エンジンの冷却水を取り込む口に海水こし器が置いてありますが、その海水こし器の清掃頻度等、軽石対策を行う際の参考となる情報を収集し、11月中をめどに広く海運事業者の皆さまへ周知することとしています。
私も、この週末に、海の上から状況を見ながら沖縄県を訪問し、港湾等への軽石の漂着状況や現場での回収状況をこの目で確認するとともに、地元の関係者の皆さまと意見交換をさせていただき、今後の対策の検討に反映していきたいと考えています。
国土交通省としては、引き続き、関係機関等と連携し、適切に対応していきたいと思います。
 
(問)トラックなど大型車の脱輪事故の発生状況について2点お伺いします。
大型車の脱輪事故は昨年度で131件と過去最多を更新しました。
近年急増しておりますが、大臣の御所感と国土交通省の対応について伺えればと思います。
また、整備業界などでは、その急増の背景に2010年からホイールの取り付け方法が国際規格の右側車輪のボルトは右ねじ、左側は左ねじという規格から、国際規格の左側も右ねじという規格変更が影響しているのではないかとの意見もあります。
この点についての御見解ですとか、例えば調査を行うといった、今後の対応についてお伺いします。
(答)私も記事を読ませていただいて、認識を新たにしたところです。
御指摘のとおり、令和2年度には、131件の大型車の車輪脱落事故が発生しており、近年増加傾向にあります。
大型車の車輪脱落事故は、2002年にも大きな死亡事故がありました。
大事故に繋がりかねない大変危険なものです。
しかし、タイヤ交換後にしばらく走行してから行うナットの増し締めや、劣化・摩耗したボルト・ナットの交換などをしっかり行っていただければ、防止することができます。
これらは法律で定められているわけではありませんが、いわゆる手引きとして、ぜひこうしてくださいという形で国土交通省がお願いしている中に、先ほどのナットの増し締め、それから劣化・摩耗したボルト・ナットの交換などが入っています。
こうした状況を踏まえ、国土交通省としては、継続的に、運送事業者等に対して、タイヤ脱着作業等の確実な実施を要請するとともに、本年3月には、新たに実施していただきたい点検方法を周知する。
例えばホイールとナットへのマーキングを活用した弛みの点検。
弛んでくるとマーキングがずれて弛んでいるなとわかる、ボルト・ナットの交換の目安を4年ごとに設定する、その様な点検方法の周知を本年3月に行いました。
車輪脱落事故の防止に取り組んできましたが、冬期を前に、冬用タイヤへの交換が多く行われていると思いますので、今回、私からも改めて、作業の確実な実施、適切な点検の実施をお願いしていきたいと思っています。
また、御指摘のホイールの締付け方式、いわゆる右・左方向が逆になるJIS方式と、今、国際的に採用されているISO方式、これは同じ方向で右・左差がありません。
そういった締付け方式の変更が原因ではないかということですが、これと車輪脱落事故との関連性は今のところまだ明らかになっていないと認識しています。
国土交通省としては、増加傾向にある車輪脱落事故の原因を解明し、必要な対策を講じることができるよう、御指摘の点も含め、専門的な観点から調査・分析していきたいと思っています。
 
(問)日本旅行業協会の会長が代表取締役を務める旅行会社が、雇用調整助成金を不正受給していたのではないかという問題で、昨日、第三者委員会が会見を開きまして、不正受給とみられる額が1億7000万円余りに上るのではないかということを発表いたしました。
改めて、この件について国土交通省が把握されていることと、大臣の所感をお願いいたします。
(答)昨日11月18日、株式会社ワールド航空サービスに設置された特別調査委員会において、雇用調整助成金の不正受給の疑いについて、中間報告書が公表されています。
私もざっと目を通しました。
今回、当該委員会から発表されたのは中間報告であり、改めて最終報告が出るものと承知しておりますので、今後とも、その状況を注視してまいります。
委員長の記者会見も読みましたが、まだ不確かなところもたくさんあるということです。
国土交通省としても、引き続き、事実関係の確認に努め、その結果に応じて必要な対応を検討してまいりたいと考えています。
 

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