大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2021年12月3日(金) 11:01 ~ 11:35
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

閣議・閣僚懇

 (大臣)本日の閣議案件で特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
京王(けいおう)線車内傷害事件等の発生を受けた今後の対応策についてです。
10月31日の京王線車内傷害事件など、乗客の安全を脅かす事件が相次いで発生したことから、私自身も東京メトロ総合研修訓練センターを視察して防犯関係設備等を体験したところです。
こうした経験を踏まえ、また鉄道事業者と意見交換を行い、警察とも相談を行った上で、今般、追加の対応策をとりまとめました。
この対応策には、既に公表している事項、例えば私から利用者の皆さまにお願いしている、万が一、非常事態に遭遇した際には速やかに非常通報装置のボタンを押していただくこと等のほか、新たに3つの対応策があります。
まず1つ目は、非常通報装置や非常用ドアコックの表示の共通化です。
これらの装置の取扱いは先日の視察で私自身も体験しましたが、非常通報装置は非常時には躊躇なく扱っていただくべきものであるのに対し、非常用ドアコックは不用意に取り扱うと別の危険を生じさせるものであると考えています。
しかし、現状では表示がその差を十分に踏まえたものとはなっていない、このことを実感しました。
その取扱いについての議論も行った上で、どのような表示を行うべきかについて検討を進め、共通化を図ってまいります。
2つ目は、車内の防犯関係設備の充実のための技術基準の見直しです。
これまで鉄道の技術基準は、運行の安全や事故防止に力点が置かれており、防犯の観点からの基準は必ずしも十分なものではありませんでした。
このため、今般の事件を教訓として、車両を新しく製造する際の車内防犯カメラの設置を鉄道の技術基準として位置づけるなど、その性能や費用負担のあり方など具体的内容について、専門家の意見もお伺いしながら検討してまいります。
3つ目は、相次ぐ事件では刃物や可燃物といった危険物が持ち込まれたことを受け、既に省令で規定されている手荷物検査に関して、円滑かつ安全に実施するための環境整備も進めてまいりたいと思います。
具体的には、鉄道利用者に対して必要に応じて手荷物検査を実施することについての理解と協力を求めること、そして不審者を発見した場合の対処、検査のノウハウの共有や訓練の実施等について警察との連携を図ることについて取り組むものです。
今後の事件の再発防止の観点から、国土交通大臣の私からも、改めて利用者の皆さまの御理解・御協力をお願いしたいと思います。
詳細は後ほど事務方から説明させることとします。
私からは以上です。
 

質疑応答

(問)先日の会見でも伺った「Go To トラベル」の関係ですけれども、会見の後に国内でも初のオミクロン株の国内感染事例が確認されまして、同じ飛行機に乗っていた方々も現在濃厚接触者として経過観察中です。
先日とはまたフェーズが変わったと言えますけれども、Go To トラベルの再開への影響というのを改めてどのようにお考えでしょうか。
また同様に既に始まっている県民割の隣県拡大への影響など、これ国内の話であるのですけれども、影響についてお願いいたします。
(答)オミクロン株については現時点ではまだ不明な部分が多く、Go To トラベル事業の再開への影響について、現段階で申し上げる段階ではないと答えざるを得ません。
御質問のGo To トラベル事業の再開や県民割の地域ブロックへの拡大については、現在、県民割の隣県拡大ということで行っていますけれども、地域ブロックへの拡大については、安全・安心をしっかりと確保する必要があります。
感染状況がその時点で落ち着いていることが大前提となります。
オミクロン株の影響も含め、今後の感染状況をしっかりと注視しつつ、専門家の御意見も伺って、Go To トラベル事業の再開等について検討してまいります。
(問)影響を見る期間というのは、当初のとおり年末年始とかそこら辺の感染状況を目途として判断するという感じでしょうか。
そこら辺変わらないという感じでしょうか。
(答)1つは年末年始の人流・動き、その時の感染状況。
それに加えて先ほど仰ったように新たにオミクロン株という要素も出てまいりました。
この拡大、オミクロン株がどういう感染力があるのか等々、その情報もしっかりと見据えた上でやるということが付け加わったとは思いますけれども、その状況を見ながら今後判断していきたいと思います。
 
(問)今朝ですね、震度5弱の地震が2箇所で発生しまして、その地震への現状、今国土交通省で把握している被害の状況ですとか、今後の対応について教えてください。
(答)山梨県それから和歌山県で2つの地震がありました。
本日6時37分に山梨県で9時28分には和歌山県でそれぞれ最大震度5弱を観測する地震が発生しました。
国土交通省においては地震発生直後から直ちに警戒態勢を取り、所管施設の点検等を開始するとともに、震度5弱を観測した山梨県大月(おおつき)市、和歌山県御坊(ごぼう)市とホットラインを構築し、被害状況の収集等にあたっています。
10時30分現在、地震の影響により近畿地方の高速道路の一部で速度規制を行っているほか、香川県と徳島県にまたがる鉄道路線の一部で運転を見合わせていますが、これまでのところ施設被害の報告はありません。
今後、1週間程度は最大震度5弱程度の地震への注意が必要であることから、引き続き警戒してまいります。
 
(問)大臣が冒頭で仰っていた、京王線の車内傷害事件への対応策についてです。
この中で、技術基準の中に防犯カメラの設置を盛り込むということで、義務化のような形だと思うのですけれども、改めてこの取組の意義と、今後の費用負担のあり方、地域の鉄道会社とかもあると思うので、この辺の費用負担のあり方の現状の考え方を教えてください。
(答)車両を新しく製造する際等において、設置を義務付けることを前提に、今、具体的な基準の内容について検討を進めていきたいと思っています。
その際は、例えば、乗務員が、カメラがなくても車内の様子を容易に確認できるような短編成のものを義務付けから除外すること等を含め、各路線の状況も踏まえ、検討を進めていきたいと思っています。
費用負担のあり方ですが、11月26日に閣議決定した補正予算案では、地域公共交通事業者に対する情報化、データ化の支援措置を講じたところです。
その中において、経営基盤が弱い地域鉄道事業者、全国で95社ですが、による監視カメラ等の導入も支援することとしております。
一方、都市部における鉄道事業者については、地域鉄道事業者とは経営基盤が異なるものであり、既に、一定の地域や全車両について監視カメラの設置が完了している事業者もあることから、こうしたことを踏まえ、有識者や専門家も加えた検討会等の場を活用して、鉄道事業者との議論を進めていきたいと考えています。
 
(問)国際線の新規予約の受付を停止した後、改めて撤回した問題で、その中で、邦人の帰国需要に充分応えていかなければならないという総理の御発言も大臣の御発言もあったと思います。
こうした邦人の帰国需要に充分に応える対策は、今、どのようなことが検討されているのでしょうか。
(答)邦人の帰国需要に備えるということと、一方で国の方針として入国者の総数をある一定数に抑制するということがあります。
その意味では、航空会社とよく相談をしながら、比較的需要に余裕のある週や曜日を中心に、予約状況や需要同行にきめ細かく対応していきたいと思っています。
また、外国人の新規入国を止めたので、それによって今の予約状況も変化しているかもしれないので、その辺をきめ細かく見ながら対応していくということだろうと思っています。
 
(問)大臣は年末までには財務大臣と自賠責の積立金の繰戻しについて大臣間折衝をなさると思いますが、これの一方でですね、保障制度参事官室は被害者救済にお金が足らないという視点から、賦課金を来年度の保険料徴収から始めたいということで、検討会を催しされていますと。
これは繰戻し6000億円以上ある中で、今、正しく斉藤さん、これから財務大臣となんとか取り返しへの道筋を付けていただくという中で、賦課金創設の議論というのは時期尚早ではないかと思うのですが、大臣のお考えを教えてください。
(答)私も被害者の御家族のお話を伺い、本当にこの問題については国土交通省としてしっかり対応していかなければならないと強く決意しています。
その上で、自動車事故が後を絶たない中、 自動車事故の被害者救済対策等を安定的、継続的に行うためにも、一般会計からの繰戻しは極めて重要であると認識しています。
令和3年度補正予算案の編成に際しても一般会計からの繰戻しが行われるよう要求し、一般会計から約8億円の繰戻しが計上されることとなりました。
また、令和4年度の予算編成に当たっては、令和4年度が平成29年12月に財務大臣との間で交わした覚書の最終年度となっていることも踏まえ、着実に被害者救済対策等を実施できるよう、財務省とよく協議してまいります。
「今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会」については、現在、ユーザー団体や被害者・遺族の方々など、様々な立場の方の御意見を伺いながら、被害者救済対策等を安定的・継続的に実施するための財源のあり方について、一般会計の繰戻しの着実な実施をはじめとした様々な選択肢を視野に検討しているところです。
御指摘の賦課金についても委員から提案があり、議論していますが、いずれにしても、今後も被害者救済対策等を安定的・継続的に実施できるようしっかり検討を進め、被害者やその御家族が、安心して生活できる社会を実現していきたいと考えています。
この被害者救済対策が永続する、持続するということが私も一番大切であると思っていますので、その観点から国土交通省としても、取り組んでいきたいと思います。
御理解いただきたいと思います。
(問)賦課金を来年やる、やらないというのはどうなのでしょう。
(答)それについては、今、検討会で議論いただいておりますので、その議論の結果を踏まえながら検討していきたいと思います。
 
(問)昨日もお話しされました、国際線の予約停止要請の問題について伺わせてください。
これについては航空局が独自の判断で航空会社に要請していて、他省庁への連絡は無かったと伺っています。
更に、こうした要請はこれまでにも、今回より短期間ではありますけれども、やはり情報共有なしに恒常的にされていたということです。
予約停止の要請は検疫や海外にいる日本人の動向にも関わるため、普通に考えれば厚生労働省や外務省など、他省庁に情報共有されてしかるべきだと思うのですが、この辺りの大臣の御認識を改めて伺わせてください。
また、今後はどのようにこの点について対策されるかについてもお願いします。
(答)御指摘の要請については、日本への入国者数を1日3500人を目途に抑制するとの政府方針の下で、緊急避難的対応として予防的観点から、国土交通省の判断で行ったものです。
事前に官邸や省庁に報告を行っていなかったところであり、国民の皆さまに大きな影響を与える可能性がある事柄ですので、これからはしっかりと事前に相談をしていく態勢を取りたい。
私自身も、航空局に限らず、国土交通省全体に対して、こういう大きな国民生活に与えることについては、まず私に報告を上げ、そして官邸と各省庁と連携をとって、緊張感を持って取り組んでいくことと注意し、指示したところです。
これから今回の件を一つの教訓として、こういう態勢で取り組んでいきたいと思います。
2番目の質問にも合わせて答える形になりますが、よろしくお願いします。
 
(問)今のに関連して、国際線の新規予約停止のことについてもう1点伺いたいのですが、航空会社の予約の受付再開状況等国土交通省で把握していることがありましたら教えてください。
あとは、先ほどきめ細かく対応していかれるということですけれども、何かしら国として方針なり、通知なりを出される、改めて出されるということなのか、その辺りの検討状況について教えてください。
(答)今の予約状況の把握、また、それを元にしてのきめ細かな対応等については、航空局の方から。
(事務方)お尋ねの点については、今、正にその作業を航空局として鋭意進めているところです。
(問)航空各社はもう予約受付再開しているというふうな御認識なのですか。大臣はいかがですか。
(事務方)その点については、私どもとして停止の要請を取りやめたという段階です。
航空会社については、一部、例えば、外国の航空会社では既に予約を取れるようになっているところもあると確認しています。
今、いずれにしましても、航空会社とよく相談しながら、きめ細かく対応しているところです。
 
(問)今の自民党の税制調査会で住宅ローンの減税についての議論が大詰めの段階に入っていますが、控除率を下げる代わりに減税の期間を拡大するという案が浮上しています。
こちらについて国土交通省としてどう受け止められますか。
(答)住宅ローン減税は経済波及効果の大きい住宅取得促進策の柱として、我が国経済の回復を牽引して行く上でも極めて重要です。
足元での住宅着工は未だ回復途上の段階にあることに加え、世界的な資材需給の逼迫等により住宅資材価格が急騰しており、民間住宅投資が経済全体の足を引っ張る、そういう兆候も見受けられます。
一方、住宅ローンの年末残高の1%を控除する住宅ローン減税の仕組みについて、会計検査院が不必要な借り入れを助長する恐れがあると指摘していること等を踏まえ、控除率等のあり方を来年度の税制改正において見直すこととされています。
その議論が今、与党税調の中で繰り広げられていると認識しています。
国土交通省としては、不必要な借り入れを抑制するため、控除率を住宅ローン金利の平均的な水準を勘案しつつ一律に引き下げる一方、トータルとして従来と同程度の支援規模を確保するため、控除期間を延長することを要望しています。
今、与党税調の中で、これもマル政項目の中に入って議論がされていますが、私たち国土交通省、この考え方に基づいてしっかりと主張しているところです。
頑張りたいと思っています。
 
(問)熱海(あたみ)の土砂災害の関連でお伺いします。
今日で発生から5ヶ月となりまして、先日、総理のところに、大臣自身も総点検の途中経過の報告に行かれたりしていると思いますが、改めて法整備の考え方など今後のあり方について大臣のお考えをお願いいたします。
(答)今、盛土の総点検を47都道府県にお願いをして行っており、まだ途中ですけれども10月時点で暫定集計を行ないました。
点検が必要な箇所は全国で約4万箇所あり、そのうち約3割の1万4千箇所について、都道府県による点検が終了し、何らかの課題のある盛土は約150箇所あるということをこの間お話しをさせていただいたところです。
盛土にかかる法整備について、一部で報道がされていることは承知しています。
今後の危険な盛土の防止に向けては、盛土の総点検の状況等を踏まえ、土地利用規制など安全性を確保するために必要な対応策について、有識者会議などにおいて省庁横断的に検討を進めているところです。
農林水産省、環境省等、関係省庁とも検討を進めています。
国土交通省においては、有識者会議などでの議論も踏まえながら、率先して必要な対策の検討に取り組んでいるところであり、危険な盛土の発生防止に関しては、1つは全国一律での安全性の確保。
2つ目に責任の所在の明確化。3つ目に罰則の実効性の確保などの観点から、どのような制度的対応があり得るのか検討を行っているところです。
国土交通省としては、関係省庁ともしっかり連携しながら、積極的に検討を進めていきたいと思っています。
(問)今、御発言のあった責任の所在の明確化にも関わるかと思うのですけれども、一部報道で知事の許可制という報道も出ておりますが、その辺りはいかがでしょうか。
(答)それも含めて今有識者会議で検討いただいておりますし、また国土交通省だけで決められることでもありませんので、検討を進めているところです。
 
(問)大臣とトラック協会を巡る一部報道について確認させてください。
大臣就任前の昨年になりますが、広島県トラック協会の関連団体が議員自身の政治資金パーティーに出席したとか、党の県本部主催の政策要望会で陳情があったとか、協会自身が、税制改正や予算の要望を提出したというような報道があります。
まずは、そういったところの事実関係について御説明いただきたいのと、大臣就任後、閣議決定で高速道路料金の割引拡充なども盛り込まれていますが、そういった協会の活動や要望が、大臣就任後の政策決定に影響したのかどうかというのもお答えください。
(答)1点目ですが、令和2年12月14日に開催した、私の政治資金パーティーには「広島県トラック経営研究会」から1名が参加されておりました。
次に、令和2年11月14日に開催された公明党広島県本部主催の政策要望懇談会、これは毎年行っているものですが、この政策要望懇談会への「広ト協政策研究会」の参加につきましては、広島県本部では記録されておりませんでした。
なお、同懇談会には「広島県トラック協会」から参加があり、同協会からは、税制改正や予算に関する要望を盛り込んだ「トラック運送業界からの要望書」が提出されていたと承知しております。
3点目の「広島県トラック協会」による税制改正や予算の要望につきましては、令和2年11月に「全日本トラック協会」と「広島県トラック協会」の連名による「令和3年度税制改正・予算に関する要望書」が、例年と同じように私の地元の事務所に届けられていました。
同要望書には税制改正・予算について50項目を超える要望が盛り込まれていたものと承知しております。
4点目の自動車運送事業者に対する高速道路料金大口・多頻度割引の拡充措置につきましては、平成26年度から8年間継続している制度であり、令和4年度の拡充措置の継続につきましても、私が就任する前の本年8月の概算要求に既に盛り込まれていたところです。
拡充措置については、物流コストを低減しつつ、物流サービスの向上や業務効率化を図るために、これまでの8年間の措置を更に継続させるものであり、一部報道されているような事実はありません。
 
(問)先ほど出た盛土の関連で1点だけ。
今のところ暫定的に150箇所ということで、年度末までに数が増えたりすると思いますが、この1箇所1箇所の場所ですとかどんな状況かということを恐らく住民の方は知りたいのだと思うのですけれども、まだ公表をどうされるかについては検討中とのことで、今の時点での公表のあり方については、どのように考えていらっしゃいますか。
(答)この何らかの課題のある盛土ということについては、150箇所ですね、だいたい調べたところの1%という感じでしたけれども、この何らかの課題のある盛土については、地方公共団体が目視点検等により、当座の判断を行ったものであり、課題は千差万別で、直ちに災害の危険性があるとは限らないものです。
それぞれの箇所における危険性の有無や程度などについては、今後、地方公共団体において必要に応じて詳細調査を実施し、これらを明確にしていくことになります。
このうち、人家(じんか)・公共施設等に直ちに被害を及ぼすおそれがあると判断された盛土については、地方公共団体において速やかに応急対策工事を行うものと考えています。
国土交通省においては、関係省庁と連携し、このような地方公共団体の取組が円滑に行われるよう、補正予算案において必要な予算を計上しています。
いずれにせよ、災害危険性が高いと判断された盛土については、地方公共団体において、速やかに公表していくことが重要と考えています。
 

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