大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2023年6月30日(金) 10:46 ~ 10:59
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)令和5年版国土交通白書について

(大臣)

本日の閣議案件で、私の方から1点報告があります。
本日の閣議で、「令和5年版国土交通白書」を配布しました。
「令和5年版国土交通白書」は、現在、政府全体で、デジタル社会の形成を推進していることを踏まえ、「デジタル化で変わる暮らしと社会」をテーマとしました。
今回の白書では、国土交通省関係の行政手続のデジタル化や、防災、交通、まちづくり、物流、インフラなどの各分野における、今後のデジタル化に関する施策の方向性を示した上で、その先の「新しい暮らしと社会」を展望しています。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

盛土規制法に基づく取り組みについて

(記者)

来月3日で、静岡県熱海(あたみ)()で発生した土石流事故から2年となります。
国土交通省としての見解をお聞かせいただきたいのと、5月に施行された盛土規制法に基づく取組の進捗状況についてもお聞かせください。

(大臣)

静岡県熱海市で発生した土石流による災害から2年の節目を迎えるにあたり、改めて、危険な盛土等によって人命が失われることがあってはならないという思いを強くしているところです。
今後、二度とこのような悲劇を繰り返さないためには、関係府省や地方公共団体とも連携しながら、先月施行された盛土規制法を適切に運用し、危険な盛土等を規制することで、災害の発生を未然に防ぐことが重要であると考えています。
盛土規制法に基づく取組みとしては、都道府県等が基礎調査を実施し、その結果を踏まえ、盛土等により人家等に被害を及ぼしうる区域を規制区域として指定することとなります。
この基礎調査については、既に、ほぼ全ての自治体が調査に着手しているところです。
また、規制区域の指定についても、広島県が今年9月に指定を行う予定と伺っているほか、基礎調査や施行体制の構築が完了した都道府県等から順次、規制区域を指定していくこととなります。
国土交通省としても、早期の区域指定に向け、基礎調査の実施に対する財政支援など、引き続き、適切に支援をしてまいりたいと思います。

盛土による災害の防止について

(記者)

盛土なのですけれども、盛土規制法で今回土地所有者含めたところに対する規制はなされたと思うのですけれども、一方で未利用の残土というものをどのように減らしていくかという入り口の課題もあると思います。
この点について、国土交通省としての取り組み、あと、廃棄物処理法ですと、建設廃棄物は元請けに処理責任があると明記されていますが、残土について直接的な法規制は今ない状態ですが、今後の法整備の必要性などについて、御所見をお願いできますでしょうか。

(大臣)

建設発生土については、可能な限り、発生抑制に努めるとともに、発生した建設発生土については、工事間での有効利用、工事と工事の間で有効利用するという二つのことについて取り組むべきであると位置づけています。
そのため、国土交通省では、建設発生土の工事間利用を促すマッチングシステムの利用促進や利活用事例集、それから保管場所一覧の作成・公表などを通じて、建設発生土の発生抑制や有効利用の促進に努めているところです。
さらに、建設発生土の搬出先を明確化するため、発注者に対して、搬出先を予め指定するよう徹底するとともに、必要な制度見直しも行ってきたところです。
国土交通省としては、建設発生土の発生抑制や有効利用が一層進むよう、引き続き、しっかりと取り組んでいくとともに、建設発生土の搬出先を明確化するための制度について、適切な運用に取り組んでまいりたいと考えています。

(記者)

元請け含めた法規制のところ、処理に対する、今回、盛土規制法だと、発生抑制に努めるとの附帯決議になっていますが、この部分もう少し踏み込んで、長期的な必要性みたいな部分についてはどうでしょうか。

(大臣)

昨年の国会でまさにその点についても、国会で議論があったところです。現在の法改正、法制度ではそのように努めることとするということですが、国会での議論も踏まえ、また、あの時の確か附帯決議にも記述がありました。検討を進めていきたいと思っています。

北海道新幹線羊蹄トンネルのコンクリート品質について

(記者)

北海道新幹線の(よう)(てい)トンネルの建設現場で、熊谷組JVがコンクリートの品質管理試験について、虚偽報告していた問題で、熊谷組が28日、コンクリートの強度に問題はなかったとの調査結果をまとめました。
ただ、安全に関わる検査で嘘をついていたという、極めて悪質な事例で、建設業界への信頼を失墜させる事態となりましたけれども、この件について、大臣の見解と今後の国土交通省の対応をお聞かせください。

(大臣)

北海道新幹線(新函館(しんはこだて)北斗(ほくと)札幌(さっぽろ)間)の羊蹄トンネル有島(ありしま)工区の工事において、熊谷組などのJVがコンクリートの品質を確保するための試験について、所定の頻度などで行われていないにもかかわらず、実施されたように装う虚偽の報告を行っていました。
今回の事案に関して、一昨日(28日(水))、鉄道運輸機構と熊谷組がコンクリートの健全性を確認した結果や再発防止対策等を、それぞれ公表したと承知しています。
公表された内容によれば、コンクリートの健全性が確保されているとのことでしたが、このような不正行為が行われたことは、大変遺憾だと思います。
また、前回の御質問の時にも私大変遺憾であると、私も昔、一建設技術者として、あってはならないことと考えていると申し上げたところです。
国土交通省としては、今回の事案が全体の工期に影響を及ぼすことはないと聞いていますが、公表された再発防止対策を実施することを通じて、適切かつ着実に工事を進めていただきたいと考えており、引き続き、適切に指導・監督を行っていきたいと思っています。

知床遊覧船事故にかかるJCI検査の在り方について

(記者)

知床半島沖でKAZU(カズ)1)(ワン)が沈没した事故で、運輸安全委員会が29日、事実調査に関する報告書を公表しています。
この中で、事故2日前の訓練でハッチの蓋が3センチ程浮いていたという状況で当日まで修理された様子がないということが明らかになっています。
JCIは事故の3日前にKAZU1)の検査を行っていまして、この際にハッチの不具合を見落とした可能性もあると思うのですけれども、改めて、JCIの検査の在り方についてのお考えをお聞かせください。

(大臣)

事故3日前のJCIの検査では、ハッチとハッチ蓋との間に隙間がないこと等を確認し、現状が良好であるとして、クリップの作動確認を省略し、検査合格したと報告を受けています。
また、今回の運輸安全委員会の報告書案では、事故2日前の訓練において、ハッチ蓋がハッチコーミング下端から約3センチ浮いている状態であった、コツをつかんでいないと完全に閉めることができないと感じた、とする関係者の口述についての記載がありますが、訓練前日に行われたJCI検査時にハッチ蓋が浮いていたかどうか、また、検査においてハッチ蓋の浮きを見逃したかどうかは、明らかにされていません。
いずれにしても、JCIの当時の検査方法は、水密性の確認方法として十分ではなかったことから、ハッチ蓋のクリップの作動確認を必ず実施するよう、検査方法の見直しを指示し、本年1月1日から改善され実行されているところです。

旅客船事業者への監査について

(記者)

もう1問、同じ知床の関係なのですが、同じ報告書で有限会社知床遊覧船に対する監査が、平成21年6月以降、沈没事故の前年に起こした座礁事故に対する令和3年6月の特別監査まで、12年間行われていなかったことも明らかになっています。
監査の頻度は明確には定められていないと思いますが、概ね3年に1度とされています。このことに対する大臣の受け止めと、監査の頻度を今後明確に定めるお考えがあるかお聞かせください。

(大臣)

監査においては、一律に間隔年数を定めておらず、総トン数20トン以上の大型旅客船事業者については、約9割が3年以内に実施していることに対し、有限会社知床遊覧船を含む小型旅客船事業者については、約半数が3年以上監査間隔が空いている、これが今の現状です。
昨年12月にとりまとめた「旅客船の総合的な安全・安心対策」において、リモート監査等の活用により、監査件数を増加させることとしていますが、人員体制や地理的条件等の課題もあり、一律な監査頻度の設定には難しい面もあります。
このため、通報窓口の設置や船舶検査情報の活用等により、法令違反や事故のリスクの高い事業者に対する監査を重点的に実施するなど、監査の実効性を高めることとしています。
さらに、今回の法改正により、事業許可更新制度を導入することとしており、少なくとも5年毎の更新の際に、安全面でのチェックを行うことで、不適格な事業者を排除することが可能と考えています。
このような取組みについて、十分に評価・検証しながら、引き続き、監査の強化、どのようにしたらよいか図ってまいりたいと思っています。

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