大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2023年12月1日(金) 9:52 ~ 10:13
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)公共事業の円滑な施工確保について

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から2点報告があります。
1点目は、公共事業の円滑な施工確保についてです。
先月29日に、今般の経済対策に基づき、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を含め、国民の安全・安心の確保を図る取組などが盛り込まれた令和5年度補正予算が成立しました。
激甚化・頻発化する自然災害から国民の命と暮らしを守り抜くことは最重要の使命であり、今回の補正予算で措置された公共事業予算の迅速な執行とともに、円滑な施工を確保することが重要です。
このため、適正な工期設定や施工時期の平準化、建設資機材価格の高騰などを含む市場実態を反映した適正な予定価格の設定、請負代金額の変更規定(いわゆるスライド条項)の適切な運用などが必要と考えています。
これらの取組については、関係省庁や地方公共団体等との連携が重要であることから、本日の閣僚懇談会において、私から関係閣僚に対して、協力をお願いしたところです。詳細は事務方にお問い合わせください。

(大臣から)地域インフラ群再生戦略マネジメントのモデル地域選定について

(大臣)

2点目は、「地域インフラ群再生戦略マネジメント」、いわゆる「群マネ」についてです。
現在、建設から50年以上経過するインフラが加速度的に増加しています。
例えば、道路橋では、2040年には建設後50年を経過した施設の割合が約75%になります。
また、実際に、多くのインフラ管理を担う市区町村では、技術系職員の確保が困難になっています。技術系職員が5人以下という市区町村は約5割、更にその半分の25%は自治体に技術系職員がいない状況です。
全国各地のインフラ管理は、人材面・財政面で大きな課題に直面しています。
こうした状況を踏まえ、今後は、各地方公共団体が個々にインフラを管理するのではなく、例えば、複数の地方公共団体が連携して行う、もしくは、中心になる市町村がない場合は、県がリードして、この管内の市区町村と連携して行う広域連携という概念もあります。
また、他分野連携です。
これまでは道路・上下水道・河川・公園等、それぞれ縦割りで管理されていた訳ですが、地域のインフラを「(ぐん)」として捉え、効率的・効果的・戦略的にマネジメントを行う、「地域インフラ群再生戦略マネジメント」、略して「群マネ」を推進していく必要があります。
国土交通省では、「群マネ」を全国で展開すべく、まずは、モデルとして先行的に課題解決に取り組む地方公共団体を公募していましたが、この度、全国の11件40自治体を、モデル地域として選定しました。
今後は各モデル地域の課題をしっかりと聞かせていただき、広域、複数、他分野でインフラ管理を進めるための計画策定や、実務の効率化に向けた業務の実施手法に関する検討などについて、国土交通省としてしっかりと支援をしていきたいと思っています。
詳細は後ほど事務方から説明させます。私からは以上です。

質疑応答

地域インフラ群再生戦略マネジメントのモデル地域選定について

(記者)

今説明のありました、「地域インフラ群再生戦略マネジメント」についてお伺いいたします。
地域のこの老朽化したインフラをどうしていくのかというのは全国各地での今課題になっていますけど、インフラをどう維持して残していくのかというところの大臣の認識を改めてお伺いしたいと思います。
その上で、今回こうしたモデル地域を策定した上で、先行的に進めていくということだと思うのですけれども、今回これを進めていくことへの、どういう風に進展していくことを期待されているかをお伺いしたいと思います。

(大臣)

まず冒頭お尋ねのインフラ老朽化に関する国土交通省の認識ですが、先ほども申し上げたように、現在、建設から50年以上経過するインフラが増加するなど、インフラの老朽化が進展しています。
一方で、多くの地方公共団体では、技術系職員の不足や予算不足などの課題に直面しています。
このため、国土交通省としては、今般の「群マネ」の取組や、新技術の導入などによる効率化を進めるとともに、「事後保全型」から「予防保全型」への本格転換を図っていくことが重要だと考えています。
今回の「群マネ」はまさに「予防保全型」への転換の一つの大きな柱です。
その上で、今般の「群マネ」の取組においては、モデル地域の自治体に、現場での実践を通して、インフラ管理の効率化などについて、様々な気づき、知恵、方策などを出していただき、これを全国の自治体と共有したいと考えています。改めて、モデル地域の取組の一部を紹介しますと、例えば、広島県の安芸(あき)太田町(おおたちょう)(きた)広島町(ひろしまちょう)ともに技術系職員はゼロです。
そういうところでも、非常に広い地域にインフラ・社会資本はたくさんあります。広島県がリーダーシップを取って、この群としてまとめて管理をしていく、より効率的なインフラ管理を行う例です。
また、秋田県大館(おおだて)市では、市の技術系職員の高齢化や、地域事業者の担い手不足などの課題があります。
しかし、道路、河川、公園等の管理をまとめて発注することにより、巡回などの管理業務をまとめて行うことにより、効率化に取り組む、まさにいろいろなインフラを他分野と連携して管理をする、また、メンテナンスを行っていくことによって、効率化をしていくということについて、どのようなことができるか、そのモデル地域として選定させていただきました。
いずれも、多くの自治体が抱える共通の課題に対し、新たな手法を用いて挑もうとする、前向きかつ素晴らしい取組であると認識しています。
国土交通省としても、最大限サポートするとともに、モデル地域での知見を今後の全国展開につなげていきたいと思っています。
モデル地域で出てきたいろいろな課題、また気づきを全国に横展開をする、その先駆けです。

知床遊覧船事故を巡る国家賠償請求訴訟について

(記者)

知床半島沖の小型観光船の沈没事故を巡って、亡くなられた甲板員の御遺族が国に対して賠償を求めた訴訟で、30日に第1回口頭弁論が行われました。
国側は「JCIの検査に過失があったとしても、国は賠償責任を負わない」ということで、請求を棄却するよう求めました。
大臣、これまでJCIを監督する立場から、責任を持って検査改善を図ると言われて、業務改善にも取り組まれてきたところだと思いますけども、改めて御見解をお聞かせください。

(大臣)

船舶検査の実施主体は国ではなくJCIであることから、原告の訴状の内容を前提にした場合、「国家賠償法上の損害賠償責任を負うのは国ではない」、という主張をしたことは事実ですが、詳細については、係争中の事案ですのでコメントは差し控えたいと思います。
その上で、国土交通省としては、知床遊覧船事故のような痛ましい事故が二度と起きることがないよう、私、国土交通大臣以下、全職員が一丸となって旅客輸送の安全確保に向けて強い決意を持って取組みを進めていますし、これからも進めていきます。

ETCマイレージサービスの規約違反事案について

(記者)

高速道路事業のETCのマイレージサービスを巡って、ETCカードの貸与事業を展開する「未来」と「高速情報共同組合」の2業者が処分されました。
国土交通省としての所感をお伺いしたいと思います。
また、マイレージサービスはポイントが利用者に還元されなかったり、IDの付け替えが容易に出来たりとシステムとしての不備や抜け道が多いことが今回明らかになったと思います。
また、共同組合がETCカードの貸与事業を行う上での透明性の確保を求める声も上がっています。
マイレージサービスを巡って営利事業が行われないように、ポイント付与のあり方など制度の見直しを促していく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。

(大臣)

ETCマイレージサービスは、高速道路の利用に応じてポイントを付与し、後日、利用料金の支払いに充当できる事前登録制の割引措置であり、高速道路会社4社が提供しているものです。
お尋ねの事案については、高速道路会社が調査した結果、ETCマイレージ規約違反として、付与されたポイントによる割引相当額を自社の収益とする事業を営んだ事例、ETCカードを解約した組合員の車載器情報を別の組合員のマイレージ登録に流用した事例が確認されました。
そのため、それぞれの違反を行った合計2法人に対し、11月29日付けでETCマイレージ規約に基づく登録抹消措置をとった、との報告を受けています。
このたび、ETCマイレージサービスの規約違反が生じたことは遺憾です。
高速道路会社に対し、同様の事案がないか調査を行い、ETCマイレージサービスの適切な運用を確保するよう求めていきます。
また、お尋ねの制度の見直しの検討に関しては、まずは、高速道路会社において、同様の事案がないか、今、調査が行われるものと承知していますので、調査の結果を見て検討したいと思います。

富山県庁で開かれた「城端線・氷見線再構築検討会」について

(記者)

ローカル線についてです。
富山県のJR城端(じょうはな)(せん)氷見(ひみ)(せん)について、地元自治体等で作る検討会が29日に第三セクターに移管をし、さらに新車両の導入、駅と線路等の施設投資を盛り込んだ計画実施案を示しました。
改正地域交通法に基づく補助を申請する見通しで、ローカル線再構築の一つ先駆事例になるかと思いますが、今回の取組みについての大臣の受け止めと国土交通省の今後の対応をお聞かせください。

(大臣)

JR西日本城端線・氷見線については、富山県と沿線の各自治体で構成する検討会において、地域公共交通のあり方の検討を進めており、11月29日に開催された第4回検討会では、改正地域交通法に基づく鉄道事業再構築実施計画の案について議論が行われたと承知しています。
氷見市、高岡(たかおか)市、砺波(となみ)市、南砺(なんと)市の4市です。
計画案は、城端線・氷見線の「あいの風とやま鉄道」いわゆる並行在来線のあいの風とやま鉄道への移管や、新型車両の導入、運行本数の増加などの施策が盛り込まれるなど、地域公共交通の再構築に向けた先進的・意欲的な計画案であると認識しています。
国土交通省としては、今後、鉄道事業再構築実施計画について関係者で合意がなされ、認定申請がありましたら、法に基づいて適切に対応してまいりたいと思っています。
本年10月に施行された改正地域交通法をはじめ、制度面・予算面でローカル鉄道の再構築に向けた関係者の取組みを支援する仕組みを整えたところであり、この城端線・氷見線のように、ローカル鉄道の再構築の取組みが進むことを期待しています。
前の法制度の法定協議会的な枠組みでここまで各自治体で話をしていただき、その上で今回新たな法制度、再構築制度を利用するという、非常に先進的な取組みで自治体の積極的な姿勢に対して敬意を表したいと思います。

「北海道新幹線札幌延伸に伴う鉄道物流のあり方に関する有識者検討会議」について

(記者)

北海道新幹線の札幌延伸に伴い、JR北海道から経営分離される函館(はこだて)線函館-長万部(おしゃまんべ)間の貨物維持に関する有識者会議の初会合が29日に開催されました。
2025年度中に結論を出すということですが、今後の議論で大臣が期待されることをお聞かせください。

(大臣)

JR函館本線の函館-長万部間、いわゆる「(うみ)(せん)」は、北海道と本州を結ぶ貨物鉄道輸送を担う重要な路線であり、そのあり方については、全国的な観点からも検討していく必要があると思っています。
このため、国土交通省と北海道庁が事務局を務め、学識経験者、関係団体、鉄道事業者等を構成員とする有識者検討会議を、11月29日(水)に設置し、議論を開始したところです。
「海線」における旅客輸送については、北海道庁を中心とする地元協議会において、地域交通の確保に関する検討が行われていますが、国土交通省としては、引き続き、地元協議会の議論を見守るとともに、鉄道物流のあり方については、この有識者検討会議において、幅広い関係者から丁寧に御意見を伺い、認識を共有しつつ、様々な課題の解決に向けた議論を深めていただけるものと期待しています。

鹿児島・屋久島沖で発生した米軍輸送機オスプレイの墜落事故について

(記者)

オスプレイの墜落事故について新たに分かったことや情報が入っていましたらお願いします。

(大臣)

今、海上保安庁が捜索を必死にしていますが、本件事故については一昨日(29日)午後2時47分頃、一般の方から海上保安庁に対して通報があったことを受け、海上保安庁において直ちに巡視船艇、航空機等を現場海域に急行させ、自衛隊を始めとした関係機関等と連携、協力しながら捜索救助活動を行っています。
これまでの活動により、現場海域において要救助者1名を発見しています。
海上保安庁では引き続き、関係機関等と緊密に連携し人命救助を最優先に捜索救助活動に全力を尽くしていきますし、尽くしています。
詳細は海上保安庁にお尋ねいただければと思いますが、今も全力で当たっているところです。

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