大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2024年4月2日(火) 9:01 ~ 9:12
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)水循環政策本部会合について

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
水循環政策に関してです。
今年度から、水道行政が国土交通省に移管され、上下水道一体での整備・管理が実現することとなりました。
これを踏まえ、本日開催された政府の水循環政策本部において、岸田(きしだ)総理から、官民による水循環政策の見直しを進めていくよう御指示がありました。
国土交通省としても、総理の御指示に基づいて、次のような方針で、上下水道行政を進めてまいります。
第1に、持続可能な上下水道事業の再構築に向け、官民連携や広域化を推進し、最適な施設整備や新技術の活用により、業務効率化・経営基盤強化を進めていきます。
第2に、令和6年能登半島地震の教訓を踏まえ、耐震化や災害時の代替性・多重性の確保など、災害に強い水インフラを実現します。
第3に、水力エネルギーの最大限の活用に向けて、官民の関係者の連携により、ダムなどの既存インフラをフル活用し、水力発電の最大化を実現します。
また、これまでの「流域治水」から、「流域総合水管理」へ進化させてまいります。
その上で、水循環政策担当大臣として、この方針に基づき、本年夏を目途に、「水循環基本計画」を改定するべく、検討を進めてまいります。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

リニア2027年開業断念について

(記者)

JR東海は、3月29日に開催されたリニア中央新幹線モニタリング会議に提出した資料の中で「2027年の開業は実現できない」と明記し、同年の開業を断念する方針を表明しました。
国土交通省としての受け止めと今後の対応をお聞かせください。

(大臣)

リニアの着工から10年目を迎える中で、未だ着工のできていない静岡工区について、早期着工することがリニア中央新幹線の早期開業に向けた重大な課題です。
このため国土交通省では、有識者会議を設置し、水資源や環境保全に関する報告書をとりまとめ、私からJR東海に対し、これらの報告書に基づく対策をしっかり講じるよう求めています。
これを受け、建設主体のJR東海は様々な施策を講じようと努力していますが、必ずしも静岡県の理解を得られずに今日に至っているものと考えています。
リニア中央新幹線は、東京・名古屋・大阪の三大都市圏を一つの圏域とする「日本中央回廊」を形成して日本経済を牽引するとともに、東海道新幹線とのダブルネットワークによるリダンダンシーの確保を図る、国土強靱化の観点からも重要な意義を有するプロジェクトです。
国家的観点からも早期開業が求められる中、静岡工区に関連して、2027年の開業目標が実現できないことは、非常に残念なことであると認識しています。
国土交通省としては、「静岡工区モニタリング会議」を通じて、JR東海の対策状況を継続的に確認するとともに、静岡県とJR東海の対話を促すなど、リニア中央新幹線の早期整備に向けた環境を整え、1日も早い開業に向けて、しっかりと取り組んでいく決意です。

特定利用空港・港湾の整備・管理について

(記者)

昨日、有事に備えて全国の空港や港湾を整備する特定利用空港・港湾として、16の施設が指定されることが政府全体として決まりました。
予算としては国土交通省の予算で整備されることになるかと思いますが、どのようなお考えのもとで今後事業が行われるのか、また、あわせてこれまでとの変更点等がもしあれば、お伺いしたいと思います。

(大臣)

「総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備」については、昨日(4月1日)開催された関係閣僚会議において、全国16の空港・港湾を「特定利用空港・港湾」とし、これらに関する運用・整備方針や令和6年度予算額について確認をしたところです。
政府としては、国民保護や災害時の対応等への備えとして、自衛隊・海上保安庁が、平素から多様な空港・港湾を円滑に利用できることが重要だと考えています。
また、現行事業との関係については、「特定利用空港・港湾」は、民生利用を主とした上で、自衛隊・海上保安庁のニーズも考慮するものであり、現在継続中の事業も含め、その整備にあたっては、民生利用の必要性に加え、安全保障上の観点からの重要性も加味されることになります。
今後、国土交通省としては、関係省庁と連携し、今般決まった16の「特定利用空港・港湾」のインフラ管理者との連絡・調整体制の構築や、整備事業を進めるなど、引き続き、自治体等との調整を丁寧に行い、公共インフラ整備の取組を進めてまいります。
これまでとどう違うのかということですけれども、先ほど申し上げたように、これまでの民生利用の必要性に加え、安全保障上の観点からの重要性も加味されることになる、そのことを踏まえて、管理者と丁寧に話し合っていくところからスタートをさせていきたいと思っています。

JCIの業務改善計画の実施報告、改正海上運送法等の施行について

(記者)

2022年4月に発生した、知床遊覧船事故を受けて、日本小型船舶検査機構(JCI)が3月29日に業務改善計画の実施報告を国土交通省に提出しました。
運輸安全委員会の報告書では、JCIのハッチの検査方法の不備が事故の一因として指摘されています。
今回の実施報告でJCIの検査が十分に安全なものになったと考えているのか、大臣の実施報告に対する評価と、国土交通省として今後どのように対応していくのかお聞かせください。
また、関連して4月1日から小型旅客船の事業許可を更新制にするなど、再発防止の新制度が始まりました。この件について大臣のお考えをお聞かせください。

(大臣)

先週金曜日(3月29日)、日本小型船舶検査機構(JCI)より、一昨年発生した知床遊覧船事故を踏まえ、国土交通省からの指示を受けて策定した「業務改善計画」の実施結果の報告がありました。
報告では、JCIが検査業務の更なる実効性確保のため、検査員への「安全第一の意識改革」の徹底、旅客船検査専門の部署の設置などの検査体制の強化、検査内容を内部監査し、改善に繋げていくための組織整備などの取組を行ったことが確認でき、この1年間のJCIの業務改善に向けた措置が着実に講じられたものと評価しています。
一方、これらの取組を恒常的、かつ組織全体に根付かせるためには、今後も引き続き、JCIにおける検査業務の改善に向けた取組を続けていくことが必要と考えています。
国土交通省としても、引き続き、JCIに対して、適切に指導・助言を行い、JCIの検査業務における更なる実効性の確保を図っていきたいと思っています。また、昨年5月に公布された改正海上運送法については、昨日(4月1日)より、小型船舶のみを使用する旅客不定期航路事業に係る許可更新制度の導入、船員の資質向上に係る制度の導入、行政処分制度の見直しなど、その主要部分が施行されたところです。
今月23日には、知床遊覧船事故から2年を迎えます。このような痛ましい事故が二度と起きることがないよう、新制度の着実な実施を図るなど、私をはじめ、関係職員が一丸となって、旅客輸送の安全確保に向けて強い決意を持って取組を進めていきたいと決意しています。

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