大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2024年4月23日(火) 9:00 ~ 9:16
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)令和6年度の予備費使用の閣議決定について

(大臣)

本日の閣議案件で、私から1点報告があります。
令和6年能登半島地震について、国土交通省関係では昨年度から引き続き3回目、令和6年度予算としては最初の予備費使用を本日、閣議決定しました。
このうち、国土交通省関係の一般会計予備費使用額としては、総額約611億円を計上しています。
具体的には、公共土木施設や、航路標識などの災害復旧、液状化災害の再発防止に向けた対策などの検討調査に要する経費となっています。
引き続き、被災地の声にしっかりと耳を傾けながら、これらの予備費の適切な執行も含め、国土交通省を挙げて被災地の復旧・復興に全力で取り組んでまいります。
後ほど資料を配付いたします。
詳細は事務方にお問い合わせいただければと思います。

(大臣から)能越自動車道・のと里山海道の応急復旧について

(大臣)

このほか、もう1点報告があります。
(のう)(えつ)自動車道・のと里山(さとやま)海道(かいどう)の応急復旧についてです。
能登半島の復旧・復興の基幹となる能越自動車道については、3月15日に全区間での北向き1車線の通行を確保して以降も、全線での対面通行に向けた復旧作業を進めているところです。
その結果、7月末までに、当面の間、片側通行となる能登(のと)大橋(おおはし)付近を除き、全区間で対面通行を確保できる運びとなりました。
これにより、被災地の復旧・復興が更に加速するものと考えています。
後ほど資料を配付いたします。
私からは以上です。

質疑応答

NIPPOの契約と異なる舗装工事について

(記者)

道路舗装大手のNIPPO(にっぽ)が、国土交通省や東日本高速道路から請け負った舗装工事で、契約に反して新品ではなく再生材料を混ぜたアスファルトを使っていたことを公表しました。
新品に比べ、品質や強度が劣る可能性もありますが、国土交通省としての受け止めと今後の対応をお聞かせください。

(大臣)

株式会社NIPPOが、4月20日、国土交通省及びネクスコ発注の舗装工事の一部において契約と異なる材料で施工を行っていたとの発表をしたことは承知しています。
国土交通省としては、NIPPOからの報告を踏まえ、同社に対し、該当の工事箇所におけるアスファルト合材の品質確認試験の実施を求めるとともに、他にも契約と異なる施工がないかも含め、詳細な調査を行い、報告するよう依頼したところです。
今後も、引き続き、適切な対応を求めてまいります。
なお、道路などの舗装工事では、再生骨材が使用されることは珍しくなく、当面の使用における安全性には直ちに問題があるわけではないものと考えていますが、大型車の交通量が多いところなどでは、再生骨材により施工されたものは、新規骨材によるものと比べて早期に劣化するなど、長期的な耐久性の面で劣ると考えられます。
この点についても、NIPPOの品質確認試験の結果などを踏まえ、適切に対応するよう求めていきたいと考えています。

知床遊覧船事故から2年について

(記者)

本日(23日)で、北海道知床沖で小型観光船KAZUI(カズワンが沈没した事故から2年となります。
小型観光船の安全対策は進んだ一方で、事故を未然に防げなかった国の監査・検査体制を問う声は乗客遺族や関係者から未だに根強くあります。
2年を迎えた所見とこうした声にどう向き合っていくのかお聞かせください。

(大臣)

本日23日、知床遊覧船事故の発生から丸2年が経過しました。
改めて、この事故においてお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、御家族に対してお悔やみ申し上げます。
また、事故に遭遇された方々と、その御家族の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
また、本日午後、北海道斜里町(しゃりちょう)にて開催される追悼式に、国土交通省からは國場(こくば)副大臣が出席させていただきます。知床遊覧船事故を受けた旅客船の安全・安心対策については、実施可能なものから速やかに実行に移しており、昨年5月に公布された改正海上運送法については今月1日よりその主要部分が施行されたところです。
お尋ねの監査・検査の体制について、まず監査については、研修の充実による監査能力の向上や監査体制の強化を図るとともに、抜き打ち監査の実施や通報窓口の設置などの対応を進めています。
また、検査については、JCI(日本小型船舶検査機構)において、検査員への「安全第一の意識改革」の徹底、旅客船検査担当部署の設置などの検査体制の強化などの取組を行っており、国土交通省としても、引き続き、JCIに対して適切に指導・助言を行い、更なる実効性の確保を図ってまいります。
このような痛ましい事故が二度と起きることがないよう、引き続き、私をはじめ、国土交通省関係職員が一丸となって、旅客船の安全確保に向けて強い決意を持って取り組んでいきたいと決意しています。

北海道新幹線の整備について

(記者)

2点目です。
北海道新幹線の2030年度末の札幌開業を断念することを、鉄道・運輸機構が近く発表する方向で、国土交通省と調整中であることが取材でわかりました。この件について大臣の所見をお聞かせください。

(大臣)

御指摘のような報道があることは承知しています。
北海道新幹線(新函館(しんはこだて)北斗(ほくと)-札幌間)の整備については、トンネルなど一部の工区で3~4年程度遅れが生じており、非常に厳しい状況にあること等について、令和4年12月の有識者会議の報告書でも触れられているほか、昨年12月に開催した第5回有識者会議においても、その遅れは取り戻せていないことを報告しているところです。
建設主体の鉄道・運輸機構では、目標年度までの残された期間が短くなっている中、こうしたトンネル工区における遅延の影響が事業全体工期に与える影響も含め、問題意識を持って様々な検討・分析を引き続き慎重に行っているところ、と聞いています。
国土交通省としては、引き続き、関係者の皆さまと協力をしながら、北海道新幹線の着実な整備に努めていきたいと思っています。

川辺川の流水型ダムについて

(記者)

熊本県の川辺(かわべ)(がわ)ダムについてお尋ねします。
川辺川の流水型ダム計画を巡り、熊本県五木村(いつきむら)の村長は、21日、計画を受け入れる考えを示しました。
川辺川ダム計画は、約60年前の発表後、いったん白紙撤回され、その後2020年の熊本豪雨を経て熊本県の流水型ダム容認へ方針転換した経緯があります。
村の同意はダム着工に向けて大きな前進となりましたが、大臣はこれまでの経緯を踏まえ、五木村の判断をどのようにお考えになりますか。
また、計画は60年にわたって翻弄された住民の間には根深い行政への不信感があります。
様々な住民の声にどう向き合っていかれますか。
大臣のお考えをお聞かせください。

(大臣)

21日(日)、川辺川の流水型ダムの(たん)(すい)予定地である熊本県五木村が開催した村民集会において、村長より「流水型ダムを前提とした村づくりに向けて新たなスタートラインに立つべきと判断した」との表明があったことは、承知しています。
五木村からは、昭和41年に国が川辺川ダム建設計画を発表して以降、先祖伝来の土地を御提供いただくなど、多大なる御協力をいただいており、国としても、これまでのダムを巡る経緯を十分に踏まえつつ、熊本県と連携して、村の地域振興に取り組んでいきたいと考えています。
国土交通省としては、今後とも、川辺川の流水型ダムの建設にあたり、環境への影響をできる限り抑えるよう努めるとともに、御地元の皆さまから御理解・御協力が得られるよう、丁寧な説明に努め、また、地域活性化に向けてもしっかり取り組んでいきたいと決意をしています。

紅海等におけるホーシー派の船舶攻撃について

(記者)

イランとイスラエルの緊張激化、中東情勢の一段の緊迫化を受けて、イエメンの親イラン派民営組織のホーシー派が、紅海で商船攻撃を更に強化する恐れが出ていると思います。
シーレーンの世界的な要所である紅海での安全運航の見通しがますます立たない状況になっていることへの受け止めをお願いします。

(大臣)

昨年11月に発生した日本関係船舶の「拿捕(だほ)」事案以降、紅海等においては、ホーシー派による船舶に対する攻撃など、船舶の自由かつ安全な航行を阻害する行為が続いています。
こうした状況を踏まえ、現在、国内外の多くの海運会社が、紅海の航行を停止し、()(ぼう)(ほう)回りの航行を余儀なくされるなど、既に国際海上物流にも一定の影響が出ていますが、イランとイスラエル間の緊張が一層高まっていることにより、こうした影響が長期化していくことについては、大いに懸念しているところです。
国土交通省としては、これまでも、ホーシー派による行為を断固非難し、このような行動をとらないよう強く求めており、今月11日から13日に開催されたG7交通大臣会合においては、ホーシー派への非難に加え、安全かつ強靱な物流ルートの確保に向けた取組を実施することなどを盛り込んだ、G7交通大臣宣言を取りまとめたところです。
引き続き、状況を注視しつつ、関係国とも緊密に連携しながら、船舶の自由かつ安全な航行及び国際物流の確保のため、必要な対応をとっていきたいと思います。
G7交通大臣会合では、この2月にもオンラインで緊急会合を開き、我々の考え方を表明させていただきました。
そして今回もG7交通大臣宣言という、より強い形で我々の考え方、姿勢を示したところです。
今後もG7また関係各国とも本当に緊密に連携しながら対応をしていきたいと思っています。

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