2025年12月16日(火) 8:29 ~ 8:44
衆議院本館 2階議員食堂
金子恭之 大臣
(大臣から)新たな防災気象情報の運用に関する公表について
(大臣)
本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から3点報告があります。
1点目は、新たな防災気象情報の運用に関する公表についてです。
私が就任して初めて国土交通省から国会に提出した法案である「気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案」について、12月5日の参議院本会議で成立しました。
これを受けて、令和8年5月下旬より、こちらのパネルのとおり新たな防災気象情報の名称を用いた運用を開始します。
新たな防災気象情報は、水管理・国土保全局と気象庁において2年半にわたって開催した「防災気象情報に関する検討会」の報告を踏まえて、5段階の警戒レベルにあわせて、分かりやすく災害のおそれを伝えるもので、国民の皆さまの避難等の行動につながることを意識して見直しを行ったものです。
具体的には、河川氾濫や大雨などの災害の種別ごとに、避難行動が必要な段階は「レベル4危険警報」、既に災害が発生または切迫している段階は「レベル5特別警報」というように、警戒レベルの数字をあわせて伝えていくことで、どのレベルに相当している状況なのかを分かりやすく伝えます。
国土交通省としては、この新しい防災気象情報が、国民の皆さまの避難行動等につなげていただけるよう、今後とも関係機関と連携し、しっかりと周知・広報に取り組んでまいります。
詳細は事務方にお問い合わせください。
(大臣)
続いて2点目ですが、津波警報等の対象地域の伝え方についてです。
先週12日の参議院予算委員会において、北海道選出の議員から、気象庁が発表する津波警報等の対象地域が、地元の方にとって分かりにくいとの御指摘があり、その場で高市総理から、できるだけ市町村名を明確に出すことを検討するよう、その場で御指示があったところです。
これを受けて、その後直ちに、気象庁は、地元の住民の方により分かりやすく伝えられるよう、記者会見やホームページ掲載資料の改善を図りました。
北海道を例に取ると、これまで「北海道太平洋沿岸西部」など、「津波予報区」単位で警報の対象地域を記載していましたが、今後は、地元の方が理解しやすく、ラジオでも伝えやすい振興局の名称、例えば「胆振」などを併記するとともに、これに加えて、市町村名も明示することとしました。
北海道以外についても、一つの県内に津波予報区が複数ある場合には、市町村名も明示することとしました。
なお、テレビのテロップなどにおいては、津波警報等の表示の変更には、報道関係の皆さまにおいてシステム改修などの御準備も必要と思われますが、テロップ以外の方法も使って、市町村名でもしっかり情報発信いただけるよう御協力を求めてまいります。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
(大臣から)外国人による土地取得に関する実態把握について
(大臣)
最後に、外国人による土地取得に関する実態把握についてです。
11月4日に開催された関係閣僚会議において総理から御指示のあった外国人による不動産保有の実態把握について、本日、小野田大臣から全体施策パッケージの発表がありますが、私から、国土交通省関係について御報告します。
まず、大規模な土地取引の実態把握についてです。
本年7月から、国土利用計画法に基づく届出については、土地取得者が個人の場合には「国籍」、法人の場合には「法人設立に当たって準拠した法令を制定した国」を届出事項として追加したところです。
今般、土地取得者が法人の場合について、日本法人であっても、その意思決定を左右し得る国があれば把握できるよう、法人の代表者の国籍、法人の役員等の過半数が同一国籍の場合は、その国籍を届出事項に追加することとしました。
今後、必要な省令改正を行い、令和8年4月1日の施行を予定しています。
次に、地下水採取を規制している条例及び外国人等による地下水採取事例に関する調査結果についてです。
地下水採取を規制している条例の制定状況については、これまでも調査を行ってきましたが、外国人等に着目した調査は行われていませんでした。
実態把握の第一歩として、今回新たに、全国の都道府県及び市区町村に対し、外国人又は外国法人と思われる者による地下水採取の事例を調査しました。
調査の結果、外国人等による地下水採取の事例は、生活用水や事業場での使用など、49件の回答がありました。
なお、外国人等による地下水採取に伴う障害やトラブルについては、具体的な報告はありませんでした。
一方、そもそも、地下水については、全国を対象にした採取に当たっての届出制度などの法的枠組みがなく、各自治体が、条例で、地下水採取に当たっての規制を設けているのが実態です。
実際、条例により規制している市区町村は714、全体の約4割に留まり、条例を制定していない自治体において地下水採取の実態は把握できていないのが現状です。
このため、まずは全国で、より実態把握が進むよう、条例制定等の働きかけをすることとします。
加えて、今後、新たに有識者会議を立ち上げて、全国統一的な地下水採取の実態把握の仕組みの構築について、検討していきたいと考えています。
後ほどプレスリリースをします。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。
(記者)
先週、能登半島地震の際に輪島市のビルが倒壊した件について、安全基準が定められる前に作られた杭で建てられていたことなどが原因だったとする報告書案が公表されました。
同様の建物は全国に多くありますが、上物のビルよりも杭というのは耐震性の判断や補強が難しいと思われますが、今後、具体的にどのような安全対策を講じられるお考えでしょうか。
(大臣)
輪島市で発生した7階建てビルの倒壊被害については、先週の有識者委員会で、三つの要因が複合的に関連した結果と整理されました。
詳細は後日公表予定の報告書によりますが、一つ目は、基礎ぐいの耐震設計が確立していない時期、1975年、50年前でしたけれども、この時期に建築されたもので、外力に弱い基礎ぐいであったこと。
二つ目は、建築物の形状や柱の位置から、建物の重量が特定の柱に偏り、一部の基礎ぐいに負担が集中していたこと。
三つ目は、建物を支える地盤が軟弱であったこと。
委員会においては、こうした原因分析の結果を踏まえて、平成13年に義務付けられた現行の基礎ぐいの耐震基準は、転倒を抑止することが期待できるとされました。
その一方で、現行基準以前に建築された建築物については、建築物の転倒については未解明の部分も多いこと、これまでの震災では、杭に大きな被害を受けたものは数多く報告されているものの、今回のように転倒に至ったものはないことから、建築物が直ちに危険であるとは言えませんが、その安全性の確保に向けた取組が必要であるとされました。
国土交通省としては、委員会の報告書がまとまり次第、転倒の可能性があるかどうかの検証方法、転倒の可能性がある場合の改修方法について検討を進めてまいります。
(記者)
冒頭発言について追加でお伺いしたいのですけれども、外国人の水源取得についてなのですけれども、対策として条例制定の働きかけをすることとするというものと、全国統一的な実態把握の仕組み、とおっしゃったのですが、もう少し具体的にお話をお聞きしたいです。
特に後者は法改正のお考えがあるということでしょうか。
(大臣)
まずは、全国でより実態把握が進むように条例制定の働きかけをすることとしまして、加えて、今後新たに有識者会議を立ち上げて、全国統一的な地下水採取の実態把握の仕組みの構築について検討していきたいと思います。
実態把握の仕組みの実現手段も含めて、今後検討してまいります。
有識者会議の開催時期は現時点では未定ですが、速やかに具体的な検討が進められるよう、有識者の選定を進め、具体的な検討に向けた準備を進めてまいります。
まずは実態把握の仕組み、そして有識者会議の検討において、今後のことについては考えていきたいと思っています。
今の時点で何をするというよりは、まずは現実的な問題として実態把握が終わって、それを踏まえて有識者会議が立ち上がるわけですので、そこの議論を見ながら、速やかに検討していきたいと思います。
(記者)
読売新聞が本日の朝刊で国産AIの開発に関する提言を発表しました。
開発にあたって自律性の確保が必要なことや日本社会に根付いた倫理・価値観を反映させることを求めています。
この提言の評価について、国産AIの必要性やAIの普及が進む中でのルール作りのあり方などを含めて、大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)
読ませていただきました。
しかしながら、個別記事の評価は差し控えさせていただきます。
その上で、AIに関しては、本年成立した「AI法」に基づいて、政府の「人工知能戦略本部」のもとで、政府が実施すべき施策の基本的な方針等を示した「基本計画」や、AIの研究開発・活用における適正性確保の考え方等を示した「指針」の策定に向けて、議論を行っています。
国土交通省としては、災害の激甚化・頻発化、社会資本の老朽化、建設業従事者の減少などの課題に対して的確に対応するため、これまでも建設現場の自動化・省人化等、AIの適切な利活用に取り組んでいるところです。
今後の国産AIの開発には、国土交通省としても期待しており、引き続き、関係府省等と連携を進めてまいります。