2025年12月23日(火) 11:25 ~ 11:46
国土交通省会見室
金子恭之 大臣
(大臣から)海上保安能力強化に関する関係閣僚会議について
(大臣)
本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から4点報告があります。
1点目は、海上保安能力強化に関する関係閣僚会議についてです。
本日、官邸において、「海上保安能力強化に関する関係閣僚会議」が開催されました。
政府では、令和4年に決定した「海上保安能力強化に関する方針」に基づき、我が国周辺海域における安全及び治安の確保を図るべく、海上保安能力の強化に取り組んでいるところです。
今回の会議では、取組の進捗状況と、引き続き、関係閣僚が協力して、海上保安能力強化に取り組んでいくことが確認されました。
私からは、現場の海上保安官が的確に業務を遂行するためにも、勤務環境や処遇の改善を図ることが重要である旨を述べました。
総理からは、国家安全保障戦略等の改定の議論を踏まえつつ、海上保安分野についても適切に取り組むようにとの御指示がありました。
引き続き、国土交通省として、国民の皆さまの安全・安心を守り、平和で美しく豊かな海を守り抜いていく所存です。
詳細は事務方にお問い合わせください。
(大臣から)造船業再生に向けた検討会(第1回)について
(大臣)
2点目は、造船業再生に向けた検討会についてです。
国土交通省は、内閣府と共同で、造船業再生に向けた検討会を開催し、本日第1回を開催いたします。
造船業は、高市政権の成長戦略の肝である「危機管理投資・成長投資」の戦略分野の一つとして位置付けられています。
本検討会では、有識者、関係業界、関係省庁に御参加いただき、我が国の国民生活や経済活動を支える造船業再生に向けた実効的な官民投資策の検討を行います。
私自身、検討会の座長として、共同座長の小野田経済安全保障担当大臣と連携しつつ、先頭に立って議論を深めてまいります。
造船業再生ロードマップについては、本日議論を行いますが、公表については、令和8年度当初予算として措置される予定の施策等を盛り込みたいと考えており、予算案等の決着を踏まえて、年内に公表したいと考えています。
詳細は事務方にお問い合わせください。
(大臣から)建設工事における猛暑対策サポートパッケージについて
(大臣)
3点目は、「建設工事における猛暑対策サポートパッケージ」についてです。
建設業には、現場を抱えているという特性があります。
将来の建設業の担い手確保に向け、他産業と遜色のない労働条件・労働環境を実現するためにも、例年の厳しい夏の暑さへの対策が重要です。
このため、建設業団体の意見も伺いながら、地域の実情や現場の状況などに応じて、厳しい夏の暑さに対応した働き方を実現するための取組をとりまとめました。
具体的には、猛暑期間の工事を休止としたり、猛暑時間を避け、早朝・夜間施工を可能とする「猛暑期間・時間の作業回避」、猛暑下の人力作業を減らす工夫などを入札時に提案していただくなど「効率的な施工、作業環境の改善」、熱中症対策をはじめ「猛暑対策に必要な経費の工事費への計上」、「地方公共団体・民間発注者等への周知・要請、好事例の横展開」の4本柱を掲げ、対策を進めてまいります。
後ほどプレスリリースをします。
詳細は事務方にお問い合わせください。
(大臣)
4点目は、名古屋港の視察についてです。
高市政権の成長戦略の肝である、危機管理投資、その戦略分野の一つに「港湾ロジスティクス」が位置付けられました。
明日、12月24日、DXの取組が最も進められている名古屋港のコンテナターミナルを視察する予定です。
また、名古屋港は2023年7月にサイバー攻撃を受けた港湾であり、サイバーセキュリティ対策について、港湾関係者との意見交換を行う予定です。
そのとりまとめ担当大臣として、現場を自らの目で確認し、生の声を聴くことで、港湾ロジスティクスの強化に向けたロードマップの策定や施策の具体化に活かしていきたいと考えています。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。
(記者)
19日に首都直下地震の新たな被害想定が公表されました。
これに対する大臣の受け止めをまずお伺いします。
また、内容についてなのですけれども、木造住宅密集地域、木密の対策がまだ不十分なところがあり、特に首都圏に比べると地方で遅れているという指摘もあるのですが、これについてはどうお考えでしょうか。
(大臣)
先日12月19日、中央防災会議が設置したワーキンググループより、これまでの防災対策の進捗状況等を踏まえた、首都直下地震に係る「新たな被害想定」や「新たな防災対策のポイント」等が公表されました。
新たな被害想定では、これまでの対策の効果が一定程度見られるものの、最大で、死者約1.8万人、全壊・焼失棟数約40万棟など、引き続き、甚大な被害が見込まれており、防災・減災に取り組む重要性を改めて示しています。
国土交通省としては、この被害想定・防災対策を踏まえ、建築物、施設の耐震化や木造密集市街地の整備改善、ライフライン・インフラの強靱化・耐震化、迅速な復興・より良い復興への備えとしての、事前復興まちづくり計画や地籍調査等を引き続き強力に推進してまいります。
また、お尋ねの木造住宅密集地域対策については、これまでの取組により、地震時等に著しく危険な密集市街地の面積は、平成23年度末と比較して、令和6年度末時点で首都圏では84%減少、首都圏以外でも72%減少するなど、取組が着実に進んでいるものと認識しています。
引き続き、全国的に密集市街地の安全性を高めるため、避難路となる道路や避難場所となる公園の整備、老朽建築物の除却や建替えによる不燃化等のハードの対策に加え、防災マップの作成、避難訓練の実施等のソフト対策も含め、地方公共団体の取組を支援し、密集市街地の整備改善に取り組んでまいります。
国土交通省としては、引き続き、国民の命と暮らしを守るため、首都直下地震をはじめとした大規模地震対策に、しっかりと取り組んでまいります。
(記者)
冒頭発言でもあった造船業再生に向けた検討会についてお伺いします。
少し重なるところがありますけれども、造船業再生ロードマップを年内にも策定するとのことですが、この検討会で議論するのかというところと、現在の進捗状況、大臣としてどのようなことを盛り込みたい考えかお聞かせください。
(大臣)
造船業再生ロードマップに関するお尋ねですが、まず、本検討会では、その策定状況を報告し、議論した上で、造船業再生に向けた実効的な官民投資策について検討を進めてまいります。
次に、ロードマップに盛り込む内容ですが、私自身、本年11月に、四国にある日本最大級の造船所を視察し、我が国造船業を再生する上で、大規模な設備投資や自動化・ロボット化を通じた建造能力の抜本的な向上が重要な課題の一つであることなどを確認したところです。
今回とりまとめるロードマップにおいては、そうした点もしっかりと織り込み、造船業の再興に向けて、全力で取り組んでまいる所存です。
(記者)
整備新幹線の貸付料について、1点お伺いします。
先週16日に、JR東日本が報道向けの説明会を開きました。
その中で、担当の執行役員の方が、改めて旧運輸省との間に公文書が存在していたと主張しまして、貸付料の引上げを牽制するような主張を従前どおり繰り返していました。
貸付料の議論については、来年の夏を目途にまとめる予定だということですが、整備新幹線に関する議論、与党でも様々な議論が始まっていますけれども、このJR東日本が主張する文書の存在の有無とその有効性について、またJR東日本の主張への受け止めについて、大臣の御見解を伺えればと思います。
(大臣)
平成9年(1997年)10月開業の北陸新幹線(高崎-長野間)については、整備新幹線として初めて開業した区間となっています。
このため、その開業までの間、貸付のあり方について、営業主体として施設を借り受けるJR東日本と制度を所管する国との間で、様々なやりとりが行われており、JR東日本が主張する文書もその中でのものだと承知しています。
開業から30年間収受することとされている整備新幹線の貸付料のそれ以降の取扱い等を含め、今後の整備新幹線の貸付けのあり方については、交通政策審議会の下に小委員会を設置して議論を進めているところです。
12月11日に小委員会で実施したJR東日本に対するヒアリングの際にも、御質問にあるような主張がありましたが、小委員会での議論が続いている中で、JR東日本の主張に対して私からコメントすることは差し控えたいと思います。
こうした場での議論も通じて、整備新幹線の整備財源となる貸付料について、開業後31年目以降も適正に収受できるよう検討を進めていきたいと考えています。
(記者)
北海道新幹線(新函館北斗-札幌間)の事業費について、鉄道・運輸機構が最大1兆2000億円増えるという見通しを公表しました。
大臣の受け止めを伺いたいのと、今後、有識者会議や地元への説明、予算要求、2038年度末の開業時期の延期など、スケジュール感をどう考えていますでしょうか。
また、総額3兆5000億円の事業となって、事業費を担う地元自治体からは負担の増加も懸念されていますけれども、国土交通省としてどう対応しますでしょうか。
(大臣)
北海道新幹線(新函館北斗-札幌間)については、本年3月、有識者会議の報告書において、開業時期に関する今後の見通しが示されるとともに、「足下の物価高騰、工程遅延や工程短縮策の実施等が事業費に与える影響について、工事の進捗と併せて注視すること」とされたところです。
これを踏まえて、鉄道・運輸機構において事業費の精査が進められ、12月19日(金)、鉄道・運輸機構より、現時点の想定では、事業費が最大1.2兆円増加するおそれがあるとの報告がありました。
この報告を受け、鉄道局に対し、鉄道・運輸機構と連携し、次の4点に取り組むよう指示を行いました。
現時点の開業見通しには相当程度の不確実性が残ることに留意しつつ、有識者の知見も頂きながら、改めて事業費の精査を行うこと。
その際、開業時期に影響を与えない範囲で事業費を縮減する方策についても検討すること。
沿線自治体等の関係者に対して、事業費が増加すると鉄道・運輸機構が見込んだ理由や、鉄道局が行う事業費の精査の状況について、丁寧な説明を行うこと。
引き続き、沿線自治体、営業主体であるJR北海道等の関係者と一丸となって、一日も早い完成・開業を目指すこと。
御質問いただいた件について、有識者会議については、早期に事業費の精査に着手する観点から、鉄道局に対して、年内にも開催する方向で調整を進めるよう指示しています。
地元への説明については、早速、本日以降、鉄道局及び鉄道・運輸機構から御説明する予定としています。
また、現在、予算決定の大詰めを迎えている中で、北海道知事からは、令和8年度において必要な予算を確実に確保することを求める旨のコメントが出されたことは承知しており、私としても、これにしっかりと対応していきたいと考えています。
開業時期については、本年3月の有識者会議報告書において、「トンネルの貫通に一定の目途が立った段階で改めて精査が必要」とされており、これを踏まえて適切に対応してまいります。
沿線自治体から地方負担の増加について御懸念の声が上がっていることは承知しています。
まずは、有識者の知見も得ながら、改めて事業費の精査を行う必要があると考えています。
国土交通省としては、引き続き、関係者の理解と協力を得て、一丸となって、北海道新幹線の整備を着実に進めるよう努めてまいります。
(記者)
インド高速鉄道についてお伺いします。
今年8月のモディ首相の訪日時には、JR東日本の新幹線E10系を採用する方針が確認され、現在、JR東日本ではインド人の新幹線運転士の訓練も行われています。
こうした中で、日本の新幹線をインドに導入することは、日本の産業・経済に対して具体的にどの分野でどのようなリターンや経済効果が見込まれているのか、このインド案件を今後の海外インフラ展開においてどのような位置付けと考えているのか、お聞かせください。
また一方で、今年6月にはドイツのシーメンス社など、欧州企業が信号システムを受注したほか、インド鉄道公社がインドの車両メーカーに時速280キロの車両を受注したと報じられています。
こうした状況も踏まえて、日本の新幹線導入に向けた現在の進捗状況と、当初の計画と比べた評価、そして実現に向けて国土交通省として今後どのように取り組んでいくのか、大臣の見解をお聞かせください。
(大臣)
インド高速鉄道を始めとする、海外への鉄道インフラの展開は、諸外国の旺盛な鉄道インフラ需要を国内に取り込み、鉄道関連産業の発展を通じて、我が国経済の成長に資するものと期待しています。
また、本件事業では、インフラの整備のみならず、運転士の養成など日本が得意とするオペレーションの部分も含めて支援を行っており、今後の海外インフラ展開を見据えた観点からも、重要な位置付けの案件と考えています。
日本式の新幹線以外についての言及は控えますが、本件事業の進捗については、2020年12月に土木工事に着手して以来、軌道工事や電気工事が順次進められ、鋭意作業が行われている状況です。
国土交通省としては、引き続き、関係省庁とともに、また、インド側とも緊密に連携して、本件事業を着実に進展させるべく取り組んでまいります。
(記者)
日本の新幹線導入に向けて、今後、具体的に注力すべきことはどのようなことかとお考えでしょうか。
(大臣)
元々、インドと日本と提供してやることを決めたということで、日本の高度な技術、日本の新幹線の安全性、そして定時性、スピード等も含めて、安全に多くの国民を大量に運ぶ、そういう日本の新幹線をしっかり強調しながら、海外にどんどん売り込んでいければと思っています。
日本の新幹線は、車両だけではなく、色々なシステムがトータルとなって、定時性が非常に世界の国に比べて優れている。
あるいは、安全性についても、幾重にも安全対策がなされているということで、やはり日本の鉄道技術は世界に誇れる技術だと思っていますので、そこを世界の国々に理解していただきまして、是非、日本の新幹線を色々な国で採用していただければと思っています。