副大臣・大臣政務官会見

石井副大臣就任会見要旨

2022年9月16日(金) 10:00 ~ 10:28
国土交通省会見室
石井浩郎 

閣議・閣僚懇

みなさんおはようございます。
改めましてこの度国土交通副大臣を拝命しました石井浩郎(いしいひろお)でございます。
どうぞよろしくお願いします。

質疑応答

(問)この度、就任にあたっての抱負をお願いしたいのと、また、重点的に取り組みたいテーマ、また大臣のほうから特に指示のありましたテーマがありましたらお願いします。
(答)就任にあたっての抱負ということですけども、国土交通省は、被災地の復旧・復興、防災・減災対策、社会資本の整備、また老朽化対策、観光振興、また領土・領海の堅守等、大変幅広い分野で施策を展開しています。
国民生活に大変直結した国土交通行政は重要な役所だと認識しています。
今回、私は副大臣として、安全・危機管理、海上保安、国土政策、建設産業、都市、道路、海事、港湾、観光等の分野を担当します。
まず、先月、私の地元であります秋田県をはじめ、東北や北陸など全国各地において大雨による河川の氾濫がありました。
今いつどこでどのような大規模な自然災害が起こるかわからない状況のなかで、まずは国民の安全・安心の確保が重要だと考えています。
このため、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を計画的に進めるとともに、「流域治水の推進」など、ハード・ソフト両面から防災・減災対策を推進していきたいと思っています。
この流域治水の推進ですが、令和3年3月に全国109の1級水系、12の2級水系において、流域治水プロジェクトを策定して公表したところです。
国とそれぞれの都道府県、また市町村、また一般企業、また地域住民の皆さまとあらゆる関係者としっかりと協働して流域治水に推進をしていきたいと思います。
また頻発する自然災害からの復旧・復興にも、しっかりと取り組んでまいります。
また、知床遊覧船事故を受けた小型旅客船の安全対策に万全を期すとともに、一層厳しさを増す我が国周辺海域の情勢に対応するため、戦略的海上保安体制の強化を図ってまいります。
次に、コロナ禍からの経済社会活動の確実な回復と、経済好循環の加速・拡大に向けて、我が国の経済成長の基礎となる社会資本の計画的な整備、港湾等の分野におけるカーボンニュートラルの推進を図ってまいります。
社会資本整備を支える建設業については、働き方改革や生産性の向上の推進などに取り組み、将来の担い手の確保をしっかりと図ってまいります。
あわせて、観光地のリニューアル、魅力的なコンテンツの造成、受入環境整備などにも取り組み、観光の継続的な支援を実施します。
また、コロナの感染状況の改善が確認できれば、速やかに全国旅行支援を実施したいと考えます。
さらに、豊かで活力ある地方創りを行い、これまでの東京一極集中型から脱した国土づくりを推進する必要があると考えています。
そのための重要な施策の1つとして、二地域居住の推進があげられます。
例えば、NTTグループでは、新たに日本全国どこからでもリモートワークにより働くことを可能にする制度が導入されたと聞きました。
国土交通省としても、テレワーク拠点の整備を進めるほか、離島などの条件不利地域の振興支援等を行い、二地域居住の推進を図ってまいります。
斉藤大臣は、現場の声にしっかりと耳を傾けながら、国土交通省の総合力を最大限発揮して取り組んでいくことを重視されています。
私も、斉藤大臣と同じ考えであり、国土交通行政をしっかりと前へ進められるよう、副大臣として全力を挙げていきます。
 
(問)私ですね、大学生活を30年ほど前ですが大阪で過ごしてまして、よく日生(にっせい)球場よく観戦させてもらって、実は副大臣がいらっしゃた球団じゃない推しなのですが、それだけに「いてまえ打線」は本当に羨ましくてですね、それが今ここで質問しているのは不思議な感じなのですが、そこの「いてまえ打線」の一角を担っていた副大臣にお聞きしたいのですが、国土交通省の役割を野球で例えたら、例えばポジションでもいいですし、裏方さん含めてでもいいですし、とにかく野球で例えるとどういう役割があると思いますか。
またそれを選んだ理由も思いつけばお願いします。
(答)役所を野球で例えるということは今までありませんでしたので、ある意味難しい質問かなと思いますけれども、プロ野球に例えますと、選手、これは主役です。
選手というのは国民、事業者、これがプレーヤーなんだろうなと。
国土交通省の役割というのは、裏方さん、現場のスタッフです。
現場のスタッフが国土交通省の役割かなと。野球における現場のスタッフも、皆さんテレビで野球を見ると、選手と審判しか見えないようですけれど、裏では大変多くのスタッフがいます。
監督・コーチ、監督が裏方と言えるかはわかりませんが、コーチ、技術系もいれば、メンタル系、またコンディショニング、フィジカル、いろんなコーチがいます。
また、マネージャー、スコアラー、試合中に相手のピッチャーの球種とか情報をベンチに与えるスコアラーもいれば、練習において、バッティングピッチャー、バッターに対して練習で投げる方もいます。
また、グランド整備を担当する方もいれば、また球場の警備だったり、とにかくたくさんのスタッフがいて、裏方がいて試合というのは成り立つんです。
今回私も1ヶ月ちょっと国土交通省で仕事をさせていただいて、非常にそういう国民のための裏方の仕事がいわゆる国土交通省の仕事なんだろうなということを痛感したところです。
野球においても選手と裏方さんの信頼関係、一体感というのは非常に大事だと私は思っています。
我々の国土交通行政も、国民の皆さんと信頼関係を持って、我々がしっかりと仕事、国土交通省の仕事が国家国民のために非常に重要な仕事だという誇りを持って仕事をしていただく。
特に国土交通省の仕事は、形として見える、結果として見えやすい仕事が多いと思います。
道路も港湾も河川も、また、災害からの復旧も。
非常に国民の皆さんから形として見やすい仕事だと思っています。
非常に国家国民のために重要な役所であって、国民の皆さんに尽くす、奉仕する、そういう気持ちで、この仕事をやっていくことが大事なのではないかと思います。
国土交通省のスタッフがプロ野球のスタッフで、裏方でいれば非常に強いチームが出来るのではないかと。
今のヤクルトにも勝てるような強いチームが出来るのではないかというくらい、今、国土交通省の幹部も職員の皆さんもしっかりと仕事をされていると思っています。
 
(問)不動産の分野について質問させていただきます。
今年の3月に不動産IDのルールが決定されているのですが、こちらの不動産IDが不動産業界にもたらす効果について教えてください。
また、併せて副大臣の不動産IDに対する期待を教えてください。
(答)3月にルールが決定されたと言うことですが、我が国におきましては、不動産において幅広い関係者が用いる共通IDが存在しなかったため、例えば、同一物件であっても、住所や地番の表記ゆれが生じることで、同一の物件か否かが直ぐには分からないという状況が続いていました。
このため、宅建業者やデベロッパーは、不動産の仲介や、また開発を手掛ける際、必要な情報収集や物件の名寄せを行うために多大な時間と労力を要していたというのが現実だと思います。
そこで、本年3月に、個々の不動産を17ケタの番号で客観的に特定する「不動産ID」について、その表記方法について共通のルールを定めたところです。
不動産IDを活用することで、まず足もとの効果としては、不動産業界における業務の効率化、生産性の向上が期待されると思っています。
例えば、不動産グループ会社の場合、グループ内の部門ごとに物件情報をバラバラで管理するケースがあると思いますが、グループ各社で共通の不動産IDを紐づけることで、地道に図面を突き合わせて名寄せを行う必要がなくなり、効率的に物件情報の検索や連携・共有を図ることができると思っています。
また、不動産取引の際、消費者に対して重要事項説明が義務付けられています。
説明書を作成するための、建築制限などの都市計画情報や、災害時の浸水想定などのハザード情報といったものを、役所の窓口に出向いて何時間もかけて調べるのが一般的と聞いています。
今後、これらの情報がオープンデータ化され、公的な図面として扱われるような環境が整った場合には、不動産IDと紐付くことによって、重要事項説明書の調査負担も軽減されると思います。
こうした不動産分野への効果にとどまらず、今後、本格的なデジタル社会を迎えるにあたって、建築や都市分野の3次元データと連携をしたり、また、交通や物流、福祉分野などのビッグデータと連携することで、質の高いまちづくりにも貢献できる可能性を秘めていると考えています。
いずれにしても、まだ不動産IDの表記に関するルールを定めたばかりなので、今後どのように世の中へ浸透させ、利活用の幅を広げていくことができるのか、産・学・官で知恵を絞りながら、検討を深めていきたいと思います。
 
(問)1点目が、カーボンニュートラルポート実現に向けた取り組みと課題について。2点目が、洋上風力発電事業拡大に向けた今後の重点施策についてです。
よろしくお願いいたします。
(答)まず、カーボンニュートラルポート実現に向けた取り組みということで、港湾は我が国の輸出入貨物の99.6%が経由する国際サプライチェーンの拠点です。
世界的に荷主がサプライチェーンの脱炭素化に取り組む中、港湾においても、環境に配慮した取組を通じて、荷主や船社から選ばれる、競争力のある港湾を形成していくことが必要だと思っています。
また、港湾・臨海部には、我が国のCO2排出量の約6割を占める発電所や鉄鋼・工業などの産業の多くが立地しており、港湾において、水素等へのエネルギー転換に必要な環境整備を行っていき、これら産業の脱炭素化を後押しすることも必要だと思っています。
すなわち、港湾・臨海部は、我が国が目標とする2050年カーボンニュートラルを実現する上で大変重要な役割を担っていると思っています。
このため、国土交通省では、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や、水素等の受入環境の整備等を図る「カーボンニュートラルポート(CNP)」を形成してまいります。
例えば横浜港においては、これまで、LNGバンカリング拠点の形成、ブルーカーボン生態系の活用、公共ターミナルへの再生可能エネルギー由来の電力の導入等の取組が行われているところです。
今後、各港湾において、港湾管理者が官民の関係者と連携してカーボンニュートラルポート形成計画を策定し、各関係者がこの計画に基づく取組を進めてまいります。
国土交通省としても、港湾管理者による形成計画の策定に対する支援、水素を動力源とする荷役機械の実証事業の実施等を行い、各港における脱炭素化の取組を促進していきたいと思っています。
いずれにしても2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、CNPが果たす役割は大変大きいものと考えています。
次に、洋上風力発電事業拡大に向けた今後の重点施策についての御質問ですが、洋上風力発電は、先行する欧州を中心に、全世界で導入が拡大しており、我が国でも、本格的な導入が始まりつつある状況です。
今後、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札として期待されているところです。
また、風車メーカーだけでなく、部品製造や建設、メンテナンスなど、多くの関連産業が関わることから、地元企業も含めた地域経済への波及効果や雇用創出効果が期待できると考えています。
国土交通省としても、洋上風力発電は、大量導入やコスト縮減が可能であり、経済波及効果が大きいことから、経済産業省とともに積極的に推進しているところです。
これまで、港湾区域及び一般海域において発電事業者に海面を長期間占用させる制度を創設し、促進区域の指定や事業者選定などの手続きを進めているところです。
また、発電設備の設置や維持管理に不可欠となる基地港湾を指定し、整備を進めているところです。
さらに、昨年12月に、発電事業者の公募結果を公表しましたが、また新たな促進区域についても、指定の手続きを進めている状況です。
ちなみに、私は秋田県の選出ですが、秋田港と能代港では、我が国初となる商業ベースでの大型洋上風力発電事業が進められています。
発電容量は約14万キロワットで、これが東北電力に供給されれば、一般家庭およそ10万世帯分の消費電力を賄うことが可能と聞いています。
ちなみに、秋田県の世帯数は38万6千世帯でして、この洋上風力が開始されれば秋田県の一般世帯の3分の1の世帯を賄うことができる、それくらいの容量の洋上風力であるということです。
現在、年内の運転開始に向けて、建設工事が大詰めを迎えており、私も大きな期待を寄せているところです。
国土交通省としても、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、引き続き、洋上風力発電の導入を推進してまいります。
 
(問)本四架橋について、秋田からは遠いのですけれども、既に御案内のとおり、今、本四架橋は全国のプール制ですよね。
全国の高速道路利用者がそこにある借金が全部入っていて、それをぼちぼち返すという仕組みなのですが、元々は御案内のとおり、地域で一定程度のコスト負担をするというところで3本作りました。
なかんずく、その自転車で非常に目立っていますけれども、しまなみ海道は一番不採算な本四のルートになっていて、これが道路局の立場でいうと、来年、地域の負担がいくらかするのか、しないのか、見直しの年になっていますが、これをどうするのか、各論はそうなのですけれども、総論でいうと副大臣がずっと仰っている、国土の安全・安心、それから地方の安全・安心と経済の活性化をどう両立していくのかというのは本四架橋がひとつのリトマス試験紙なんだろうと思います。
ただ、一方で国には金がないと。
金が無いなかで、インフラをどう整備・維持し、地域を活性化し、国土強靱化を図ろうとされているのか、そのあたりを伺えればと思います。
よろしくお願いします。
(答)本四高速においては、有識者委員会の議論や、地域からの要望などを踏まえ、平成26年に全国路線網に編入するとともに、料金についても、利用者にとって利用しやすい料金となるように、平成26年4月から陸上部の「普通区間」と海峡部の「海峡部等特別区間」の2つの水準に整理しております。
このうち料金については、平成26年4月から令和6年3月末までの10年間の措置となっております。
令和6年度以降の料金や負担のあり方については、本四高速の利用状況や、フェリー等の他の交通機関への影響なども考慮し、地域の御意見も踏まえ、検討を行ってまいります。
この本四高速でありますけど、この料金体系、全国プール制にしてから、周辺の高速道路、例えば、山陽道の神戸北から三木ジャンクション、これは12%交通量が増えていると。
また、山陽道岡山ジャンクションから倉敷ジャンクションまでも、約2%増えています。
また、同じく山陽道の福山西から尾道ジャンクションまでも約8%交通量が増えている。
本四高速全体の交通量も10%増えているということを鑑みますと、これの制度が出来て、地方創生と言いますか、人の流れ、物の流れがより活発になったんだろうなと、ある一定の妥当性があるものだと考えています。
いずれにしても、このような観点も踏まえまして、令和6年後以降の料金負担のあり方につきましては、地域の御意見等をお聞きしまして、検討を行ってまいりたいと思います。
(問)財政と物づくりのバランスはどのように考えていますか。
(答)今回の本四高速でありますけど、物づくりと言いますか、今地方創生、また、分散型の国づくりを全国で目指しているところでありまして、この流れを戻すということは、人の流れ、物の流れが止まってしまう、そういう可能性も懸念されるところでありまして、できる限り、分散型の国づくりを目指すうえでは、ある一定の妥当性はあるのではないかと思います。
まだこれは、これからの検討でありますから、私からはこれくらいしか言えないと思います。
 
(問)冒頭に国土強靱化のお話がありましたので、そういった社会資本整備を担っている建設産業について、伺いたいと思います。
建設業が今最も重要な課題として、担い手確保ということに取り組んでいて、国土交通省とも一緒に取り組んでいるところなんですが、例えば、働き方改革ですとか、生産性向上ですとか、そういうことが必要だと言われています。
副大臣のそういった担い手確保についてのお考えをお伺いしたい。
(答)今、建設業に関しての御質問でありますけども、建設産業は社会資本整備の担い手であると同時に、地域の社会、雇用を支えておりまして、災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担うなど、地域の守り手として、国民生活や社会経済を支える役割を担っています。
建設産業は将来に亘ってこの重要な役割を果たしていくためには、いわゆる3Kではなく、給料が良く、休暇が取れ、希望が持てる、これが新3Kでありますけど、ここにかっこよさとか、綺麗とかを入れた新4Kというふうに私は考えたいと思いますけど、若者にとって魅力的な産業とすることが大切であると思っています。
そのため、国土交通省としましては、公共工事の設計労務単価を10年連続で引き上げているところでありまして、技能者の賃金引き上げを進める取組を行うとともに、週休2日の推進ですとか、工期の適正化など働き方改革を進めています。
技能者の就業履歴等を蓄積し、技能者の技能と経験の評価を適切な処遇に繋げるよう建設キャリアアップシステムの普及・促進に取り組んで参りたいと思っています。
若い人たち、また、女性をはじめとした多様な人材が手に職を持って、地域のために建設業という国土を守り、国土を造る、こういう大変素晴らしい誇りを持てる仕事に従事していただける環境づくりに全力をあげて取り組んでいく決意です。

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