事務次官会見

春田事務次官就任会見要旨

2008年7月4日(金) 14:00 ~ 14:20
国土交通省会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

(次官)本日付で事務次官を拝命いたしました春田謙と申します。峰久前次官に引き続きまして、国土交通省はいろいろな課題がありますが、その課題に的確に対応してまいりたいと考えています。国土交通省は平成13年に発足して8年目になるわけですが、8年たちまして省庁のいわゆる統合というところについては、相当いろいろと実を上げることもできた、そういう部分も相当あったと考えておりますが、そういう中でも最近国民のご批判をいただいているような規律の問題であるとか、あるいは行政、政策の対応ということでいろいろな問題も出ているところです。私ども国土交通省としては、いろいろなご批判に対しましても、まさにわかりやすくしっかりとした対応をしていかなければならないと考えています。私はこの後職員に対しまして就任の挨拶を申し上げたいと思っているわけですが、その中では3つのことを申し上げたいと思っています。1つは公務員としての規律の保持、また国民の信頼の回復ということにつきまして、職員の皆様と一緒になって取り組んでいきたいという話を申し上げたいと思っています。特に最近談合問題とか収賄といったような問題が出ておりまして、こういった問題に関しましては、絶対にこういう事案の発生を許さないといった姿勢で臨まなければならないと、常日頃我々は肝に銘じて徹底を図ってきたつもりではございますが、最近そういう中でも事件が発生するといったような、あるいは過去の事案が摘発されるというような事案が出ているわけでございまして、これははっきり言って相当並大抵なことではない、相当に覚悟をし、また何よりも職員が一人ひとり意識を強く高めて対応していかなければならないと。その時にやはり基本になるのは国民の目線から見て、本当に今やっている業務あるいは行政のやり方がいいのか、こういったことを常に反省する姿勢が必要だと考えているところでして、その点について職員の皆様にもどういうふうに徹底していったらよいのかというお話を申し上げたいと思っています。2番目に国民が真に求める施策の実現ということを職員の皆様にも話をしたいと思っています。我々役人は、当然の事ながら求められるものに応じた行政をしていくということは、誰もがその事柄自体はよくわかっているということですが、実は、得てして日頃取り組んでいる行政というのが、実は、今まで取り組んできたことの踏襲であったりとかいうようなことで、現在するところの国民のニーズというようなものに、必ずしも応えていないこともあり得ます。そういうニーズとの関係でギャップがあるということになりますと、これはやはり、国民が真に求める施策が実現できていないということになるのではないか、そういう意識で思い切った政策の見直しなりあるいは転換ということも必要になると、こういうことを申し上げたいと思っています。いろいろな国土交通省が抱える行政の課題の中で、いろんな分野がありますが、どの分野にもそういうことは当てはまることではないかと考えています。それから、三番目に申し上げようと思っているのは、勤務環境の改善です。これは私どもの内部的なことで、どういう対応をしていくかという問題です。昨今、勤務が非常に長時間化しているということと、国民の批判も国土交通省関係では非常に厳しい状況になっているということなどもありまして、やはり、職場が疲れ切っているような声を皆さんが共通に認識をしてきているところです。これは、先ほど申し上げたような、国民から信頼される行政に努めるとか、あるいは国民が真に求める施策を実現するというようなことも、そういった意味では非常に重要なことになるわけですが、一つに業務の執行体制みたいなことも、やはり見直しをしていかなければならないと考えています。これは特に個々の職員で対応できることできないことがあります。むしろ、組織全体で、幹部職員も含めて取り組んでいかなければならないテーマではないかと思います。仕事で健康を害することがなく、しかも、きちんとした目標を持って仕事をし成果を上げていくと、そういうことを通じて国民の信頼の回復ということにもつなげていくということが大事ではないかということを、今日は、職員の皆様にお話をしようと思っています。いずれにしても、先ほどから申し上げていることは、国民の目線に立って行政をしていくということに尽きると思います。そういった意味では、皆様方とこういう会見の機会を通じ、また、私どもの行政の各派にわたりますいろいろな広報というようなことで、行政の取組についてお知らせをする、あるいは、情報の発信をするというようなことがあると思いますが、皆様方とのやり取りは大変大事であると認識をしています。これから、こういう会見の機会が週に2回は最低あるわけですが、そのような機会も通じまして皆様方から忌憚のないご意見をお聞きし、私どもとして行政として何に取り組んでいかなければならないのか、ある意味では国民の声を皆様方を通じて、あるいは、皆様方が感じておられるいろいろな問題意識というものを併せてお教えいただき、また、私どもに対するいろいろな形でのアドバイス、あるいはご叱責をいただければと考えている次第です。というようなことで、今後よろしくお願い申し上げます。

質疑応答

(問)国民の本当に必要なものをくみ上げてということなのですが、くみ上げる方策というのは具体的にどういうふうにやっていかれたいかということと、最初におっしゃられていた信頼回復なのですが、それもある程度どのようなことが考えられるのか、もしも案などありましたらお教えください。
(答)たしかに、国民が求めるものを具体的にどのような形で実行できるのかというのは、大変難しいところはあろうかと思います。そのためには、何よりも国民が求めているもの、あるいは国民が、広い意味で利用者的な立場の方というような場合もあろうかと思いますが、そういった声をどのように直接お聞きできるかということが大事だと思います。そのためには、いろいろな情報を本当に必要なものは積極的に公開して、その中でそれがどのような反応をもって受け止められるのかということについて、その反応もしっかりと確認して、その上で取り組んでいきます。その時に得てして、今までの行政の立場から、それを何とか維持するような気持ちが生じる部分もあるわけですけれども、そこは真摯にどのような声が国民の声であるかということを聞き取って対応することであろうかと思います。それから、国民の信頼の回復という点について、はっきり言いまして、いろいろ努力して積み上げていましても、一つの事件が生ずれば瓦解してしまうという、ある意味では信頼を回復したり、信頼を確保したりということは大変難しいことです。やはり、こういう問題に関しましても、我々が常日頃そういう国民の目線に立って仕事をしたり、あるいは業務をしたりというようなこと、まさにあらゆる場面において、あらゆる時点において、そういう意識を常に持っているということが、しかもそれが、職員の一人ひとりの気持ちの中で確認をしておくということが大事であると思います。そういう意味では、それぞれの意識がきちんと確立されるような形で徹底を図るということに尽きるのではないかと考えています。

(問)就任されて、国土交通行政というのは空港とか、いろいろテーマが幅広いのですけれども、最初にやっていきたいことというのをお伺いいたします。
(答)実は、ちょうど今日の閣議で、私どもの関係でいくつか閣議決定がなされたものがございます。国土形成計画が閣議決定されましたし、北海道総合開発計画の閣議決定もございました。あと水資源関係のこととか、そういうものもございましたが、やはり私どもこれから予算の時期も迎えますので、いろいろと整備を進めていったりとか地域をどういう形で活力を回復したりするかということの構想をまずきちんと作っていくということが必要になると思います。そういう問題が、まずある意味では予算の時期を想定して作業をしていかなければならない。その中にもちろん非常に重要な問題ですが、道路特定財源の問題で中期計画をどう見直していくかという問題もありますし、そういうものを踏まえた社会資本整備重点計画をどういうふうに作っていくのかという問題もございます。そういったことがまず計画的に取り組む問題としてあろうかと思います。そういう問題とちょっと質の違う事柄としては、今経済情勢としては原油の価格が非常に高騰するという中で、いろんなところに影響が出ております。今日の大臣会見でも、航空会社が燃料費が高騰している中で路線の縮小を図るという取組みがあるという話が出ました。こういうテーマも実は待ったなしで、他にも、トラックであるとか、バスであるとか、あるいは離島航路であるとかそういったところも同様の問題がありますし、そういう問題も実は非常に差し迫って対応しなければいけない事柄としてあるだろうと思います。あとは国土交通省はどうしても、この前の地震もそうでございましたけれども、思わぬときにいろんなトラブルがあったりというようなことがございます。これはそういうことがないようにしていかなければならないことではございますけれども、そういったものへの的確な対応というのも、さっき申し上げたようないろんな視点でものを処理をしていく、行政としての対応をしていくということにつながる重要な課題だと思っております。当面何を急ぐかというほど問題が絞られているようには思えず、どちらかというと全ての事柄について、今並行して取り組んでいかなければならないというような状況に近いのではないかなということで、そこは気を引き締めて対応していかなければならないと考えている次第です。

(問)次官が政策統括官の時代に物流とかいろいろやってらっしゃると思うのですけれども、次官の得意分野という言い方はちょっと変ですけれども、物流に非常に一家言があるという評判を聞いたのですけれども、その、例えば、総合物流政策みたいな形で何かその考えていらっしゃるようなことはあるのでしょうか。
(答)まあ物流というのはですね、単独のことではない、どちらかというと全体の産業活動とか、それから消費生活をどういうふうに支えていくかということであろうと思います。ですからその点からどういうことが言えるかというのは、実はもういろんなものに関連するところだと思っています。国土交通行政の中で、物流というのはもちろん人流もあって、それらの活動を支えていく社会基盤というものも非常に重要でございます。それはまあ道路であったり、あるいは空港であったり港湾であったり、あるいは鉄道の施設であったりということでございます。そういうものはやはりある程度総合的に対応して行くということが非常に大事であるということが、私も物流を担当したときにも感じたところでございます。やはり今問われているのは そういう総合的な、いわゆる連携というのか、そのようなものを発揮しながら成果を上げる、あるいはなかなか成果の上がらない問題に関して総合的に取り組むことによってプラスの結果を出していくということが大事だと思います。物流のそういう意味では非常に広くそういう活動の機能に着目しているという点で、1つの取り組みの仕方ということでは私も非常に勉強になった分野でございますが、そういった考え方をいろいろほかの分野にも広げてですね、考えていく、まあそういうことにつながる問題ではないかなと考えております。

(問)逆に、建設の分野では道路特定財源の一般財源化という非常に大きな課題があると思うのですが、それについてはどのように考えますか。
(答)これはですね、もちろん税制の抜本改革の問題とあわせた議論ということも含めて、これから議論が進められていくことになりますので、今の時点でどうなるというようなことは申し上げられませんが、やはりこれも非常に関係する問題が広範にあるテーマだというふうには思います。まあそれだけ広い範囲の人が参画をした形での議論の中で、どういう答えを出していくかということだと思います。私どもも、これは道路の整備の必要性ということもいろいろと議論する中で、やはりそれに対するご批判もあるわけですから、特に今中期計画の見直しということも作業しているわけでございますので、そういう中で需要の見方とか、あるいは、いわゆるどれだけの効用が期待できるのかというような問題であるとか、まあこれをどう評価するのか、その辺のところを今専門家も交えて検討しているところでございます。そういった検討作業は広い関係の方の議論というのと別に作っていけるかということで、役に立つような作業にしていかなければならないと私は思っております。

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