事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2008年8月14日(木) 14:03 ~ 14:25
国土交通省会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 今日の次官会議は、特に国土交通省関係の案件はございません。

質疑応答

(問)補正予算の検討が政府で始まりましたが、国交省がそれに対してどう取り組むかという、具体策が何かありましたらお願いします。
(答)8月11日に政府・与党の安全実現のための総合対策の関係会議が開かれ、そこで基本的な柱立てであるとか理念だとかそういったものが決まって、また、その具体化を図るということで今調整が始まっていますが、これと補正予算の関係がどういうことになるのか、勿論、補正予算の議論というのも、臨時国会に向けてと報道されていますが、まだ具体的に補正予算をどういう形で取り組むかということについて、特段、具体的な指示等が出ていないのが現状です。私共は、色々な事態に対応して、先程の総合経済対策を政府内で調整していくということになっていますので、その中で、国土交通省に関係するものについては幅広く検討をしていくということで対応したいと思っています。今のところは、補正予算に特化してという形で申し上げるのはなかなかお答えしづらいところです。

(問)日朝協議で、日本側としては、今制裁を課している一部について、北朝鮮側が調査委員会を立ち上げた時点で解除するという方向で、先方と協議を進めているようですが、政府から何か具体的な指示はあったのでしょうか。
(答)私共も、日朝の実務者協議の内容については、当然、関係機関からどのような内容だったかということは連絡を受けています。今仰られたとおり、権限を与えられた委員会の設置により全面的な調査実施をすると、その設置と同時に北朝鮮との間の人的往来の規制の解除と航空チャーター便の規制の解除を実施するということが合意されたと聞いています。ただ、それを受けて具体的な措置を執るタイミングについては、まだいつからとか、あるいは、どういう段取りになるかということについて決まったり、私共に指示が出たりということはありません。今後と言うことになると思います。

(問)そもそも、人的往来とチャーター便の乗り入れ禁止というのは、どういう効果を期待というか、どう考えてこういう措置が執られていたのですか。いわゆる経済制裁ですよね。北朝鮮に対してこれを禁止することによって、北朝鮮側にどう打撃を与えるということで、この二点を実行されたのですか。
(答)国土交通省の立場で答えるのはどうかというのはありますが、この経済措置については、北朝鮮との間の拉致問題等が進展しないという中で執られた措置というように理解をしていますので、それが具体的にどのような効果があるかというのは、チャーター便の関係ですと、1992年の航空当局間の合意で、2004年までの間にチャーター便が都合411便、日朝の間を往来したということがあります。その中身は、当然、貨物の輸送や人の輸送であった訳ですが、そういうことを止めるという形になったということは貨物、旅客の行き来が止まるということですから、経済的な意味でも、旅客については、人的な往来というものが、少なくとも航空を通じて行われる部分に関しては途絶するということを意味する効果があったと理解しています。

(問)解除されると、北朝鮮の航空機がチャーター便として日本の空港に離発着するということになるのですか。
(答)具体的にどのような形でやるいかということはありますが、基本的に先程申しました1992年の日朝航空当局間の合意では、両国がそれぞれ年間80便まで運航できるということを合意していたということと、乗り入れ地点が暫定的に日本側が名古屋、新潟、北朝鮮側が平壌ということで合意されていたということですので、その基本的な合意を下に今までの規制を解除するということになると、そういう枠組みがまた働き始めるということを意味することになると思います。

(問)経済対策の関係ですが、政府がまとめた安全対策の柱立てでは、今のところほとんど体制が出ていないのですが、与党の出した案を見ると、高速道路料金の引き下げとか、離島支援とか、関係業界の支援というかたちが国土交通省の案件で盛り込まれていると思いますが、幅広くという中でどういった分野を中心に考えていますか。
(答)これは政府部内で調整を行うということになっていますが、今、挙がっているようなものは、当然、与党なりの意見として出てきている項目ということですから、そういった項目は恐らく有力な項目なのだろうとは思います。ただ、政府内で、具体的な内容について、どのような内容を盛り込むべきかということは、まさに調整作業ということになっていますから、その中で何が有力で、あるいは確実に盛り込まれるかというところまで今申し上げられる状況にはありません。

(問)空港運営会社の外資投資規制の研究会が先だって開かれました。仕切り直しということになった訳ですが、国土交通省としてはどのような議論を期待しますか。あと、最終的な結論で国土交通省が意図しているものと違った結論が出た場合にはどのようにされるのか、その辺をお聞かせください。
(答)この関係については、第1回の研究会が先週の木曜日に開かれたところです。1回目の会議で、皆様方の中でも傍聴された方もおられるかと思いますが、非常に活発な議論が行われたということでした。全体の会議も、開始したばかりということですので、これから関係者からのヒアリングとか、あるいは課題別の検討を経て取りまとめをしようということですので、まだ具体的にどのような内容になるかというのは、ものが固まったということではありません。したがいまして、私共としても、この議論について今の段階でお尋ねのどういうふうに対応するかということに関しては、まだ具体的なものを持っているわけではございません。ただ、こういう形で、それぞれの関係する分野の専門の方に色々ご意見を出して頂き、また関係者からのヒアリングも、全体を通じて専門外の話も聞いて頂きながら、全体としてどうするのかということのご議論をして頂くということになりますので、そういう中で、空港の運営について、どういうご意見が色々な出された資料、あるいは色々な関係者の意見を踏まえてまとめて頂けるかを大いに期待しているところでございます。まだ始まったばかりですので、どういう方向になるかというようなことについては、今時点ではちょっと申し上げづらいと思っています。

(問)確かにまだ始まったばかりではありますが、最初の会合では外資規制に関しては、かなり慎重な意見が多かったのですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
(答)確かに頂いた意見の中で、いわゆる外資という理由だけで規制をするということに関しては、内外無差別の規制にすべきというような意見が多かったと思います。いずれにせよ、この点はまさに開かれた投資環境の整備という観点と、それから空港の安全保障、この安全保障の中身をもう少し具体的にということが、座長の方からももう少し明確にその辺をしていく、その上での議論をする必要があるのではないかとのお話しもありましたが、投資環境の整備と安全保障のための基本インフラの機能確保、この両面からあるべき規制の内容について幅広く議論をしていただくという事だと思っています。確かに前回の中では、外資規制というものについては内外無差別という意見が多かったのは、ご指摘の通りでございます。

(問)昨日ですが、不動産会社のアーバンコーポレイションというところが民事再生法の申請をしました。6月、7月、8月と同様な倒産が続いおり、それぞれまた違う会社なので具体的にどうこうという話はないかもしれませんが、不動産市場も色々と変化が起きているのかという考え方はあるのかご所見をお願いします。
(答)今ご指摘のアーバンコーポレイションが民事再生手続きを開始したということです。もともとアーバンコーポレイションは最近経営的に非常に伸び益が顕著な会社だったわけですが、色々な事情で経営環境が非常に悪化したということで今回の申し立てに至ったということだと思っています。実は不動産業界全体の業況を見ますと、いわゆる建築価格の高騰であるとか、あるいは元々の取得した土地代金、素地単価と言いますが、こういったものの高騰であるとか、あるいは個人所得の伸び悩みということもありますので、成約率が低下するということで特に郊外型のマンションを中心に在庫が積み上がっているという状況がございます。そういうことに応じて市況が悪化しているということですので、個々の企業の経営状況に応じて金融機関の融資、審査も厳格化されているのではないかということで、そういう意味では色々と厳しい状況もあります。ただ融資の関係についても、金融庁からも特に各金融機関に対しては過度に防衛的にならないようにと注意喚起がなされていると聞いていますし、そういう意味の金融の関係の貸し渋り等が起きないように考えていかなければならないと思いますし、それから何よりも不動産業の関係ですと、消費者保護ということが非常に重要だと思っておりますので、この辺のところも十分私共も注意をしながら対応していかなければならないと思っています。確かに色々な企業の経営が非常に厳しくなった事例が散見されています。今回のアーバンコーポレーションの件については全体の会社の事業の中で特に最近伸びていたのが不動産流動化ということで、いわゆる不動産の転売のようなことを事業の中に相当ウエイトを持って取り組んでいたということがあるようです。ですから不動産の分譲自体は全体のウエイトの中では最近は少し低下をしていたという状況の中で、今回全体特に世界的な金融市況の混乱という中に住宅に関する金融商品の状況が大きく変わってきているということがありまして経営破綻に至ったという多少特殊な要因も加味されていたのではないかなと考えています。一般的には先程申しましたように、確かに市況が悪くなってきているわけですので、それぞれの会社が色々工夫をしながら対応して、その間の金融関係のことについてもできるだけショートしないように私共も目配りをしていかなければならないと思います。

(問)ボンバルディア機のトラブルの関係で昨日カナダ航空局及びボンバルディア社の方がいらっしゃったと思うのですが、その前日にも伊丹空港でエンジンのトラブルが発生しました。カナダ航空局及びボンバルディア社が執っている対策についてどう見ているのかということと、この会議はまだ続いていくのでしょうか。
(答)昨日カナダの航空局とボンバルディア社、それと我が国の運航航空会社の参加を得て、我が国航空当局も参加をした上で会議が開かれたわけですけれども、この会議の席上、平成15年から色々な不具合が発生しているということ、その中で昨年の3月には高知空港で前脚が出ないまま着陸した事故が生じたということで、先程の高知空港の事故につきまして色々な問題に関しての設計の改善でありますとか、特に高知空港の前脚が出なかった事故につきましては離着陸の装置の部分に限定しない他の諸々の問題に関しましても改善をこのような形でするという報告がカナダ側からありました。実はそのような最中に、今ご指摘のように12日に伊丹空港で重大インシデントでエンジンの損傷ということが起こったということです。この件についても話題になりまして、先方からはエンジンの製造会社であるプラット・アンド・ホイットニー、これはアメリカの会社ですが、小型のエンジンについてはカナダで造っているということで、この会社カナダにあるプラット・アンド・ホイットニーも一緒に、この件については私共日本で今、航空・鉄道事故調査委員会の調査が行われている訳ですが、これに協力したいという表明がありました。ということで一緒に取り組んでいくということになると思います。それからこの会議ですけれども、そのような新しい問題の取組みも含めまして、私共も色々と今まで改善措置を講じているということに関してフォローしていかなければならないこともありますので、どういう形にするか、また会議を、今まで2回開いてますから今回が3回目なんですが、こういう会議の形でやるか別の形でやるかは別にしまして、継続してこういう形でボンバルディア機の安全向上、再発防止ということについて取り組んでいく必要があると考えています。具体的な形は、次回いつ開くとかあるいはこういう会議の形を取るかということについては、まだ決まっていないということです。

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