事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2008年9月8日(月) 14:03 ~ 14:16
国土交通省会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 今日の次官会議は、特に国土交通省関係の案件はございません。

質疑応答

(問)先週の金曜日に兵庫県警がJR西日本の尼崎の事故に関して、社長以下を書類送検する旨を遺族へ伝え始めているとのことですが、近く書類送検が行われると思いますが、鉄道業界を所管する次官としてどのようにお考えですか。
(答)福知山線の脱線事故に関して警察の方で遺族に対する説明が行われたということで、本日兵庫県警がJR西日本の山崎社長他の書類送検を行う予定という報道があったことは承知しています。改めて、お亡くなりました107名の方々のご冥福をお祈り申し上げたいと思います。またご遺族の皆様にはお悔やみを申し上げたいと思います。また、お怪我をされた方々に対しても心からお見舞いを申し上げたいと思います。書類送検の件につきましては、捜査に関することでございますので、そのことについてのコメントは差し控えさせて頂きたいと思います。申すまでもありませんが、安全の確保というのは公共交通機関が最も大事に考えなければならない一番基本のところです。国土交通省としても再発防止ということで技術基準の改正や運輸安全マネジメント等の制度を導入するというようなことをやってきたところです。また、今年の10月からは運輸安全委員会が発足をします。事故を二度と起こしてはならないという決意の下に、引き続き公共交通機関の安全の確保に尽力をしていかなければならないと考えています。

(問)先日、大手ハウスメーカーの積水ハウスの建てたものが建築確認を取っていなかったということで、積水ハウスにおいては去年も営業停止処分を受けたということですが、ご所感をお願いします。
(答)広島市内のアパートについて、7月10日に広島市の調査で建築確認が行われていない建築中の建物があったということが判明し、それに基づき特定行政庁である広島市他関係行政機関において事実関係の調査を行っているとのことです。施工者である建設業者の指導監督につきまして、今後行政庁の調査結果を踏まえて対応して参りたいと考えています。建築確認がとれていない形で工事が行われていたというのは、しかも大手の建設事業者に係わる案件ですので、はっきり申しましてあってはならないことであろうと思っています。いずれにせよ、事実関係をきちんと確認して、しかるべき措置はきちんととっていきたいと考えています。なお、現実に当該建物に関しては現在解体しているということで、改めてまた建築に入ることと聞いています。

(問)川辺川ダムの件ですが、先立って知事と面会された九州地方整備局長が、ダムを造らないということであれば地域の方に水害を受忍して頂かざるを得ない、という趣旨の発言をされたと聞いています。これは国の河川行政を預かる方としていささか穏当を欠いた発言ではないかと思いますが、この件についていかがでしょうか。
(答)この点については、8月25日に九州地方整備局長が熊本県知事に対して国土交通省の考えを説明しました。その際に、「ダムが出来なければ住民には水害を受忍してもらわなければならない」という旨の説明があったと言うことです。私もこの件を聞いて、この表現自体についてはちょっと注意が必要な内容ではないかと思って、感じたところです。趣旨としては、色々な制約条件の下にこの球磨川については、堤防の嵩上げであるとか、あるいは引堤であるとか、あるいは河床の掘削等色々河川の流下能力を向上させる手立てというのはありますが、ただ制約条件もある中で、こういうことをしていくのは非常に困難だということで、特に人吉地点では毎秒4千立方メートルの流量というものが限界だということ、それ以上になった場合には、今申し上げたようなそれぞれの対応策では対応出来ないということで、ダムにより毎秒4千立方メートルを超える流量に対しての対応がどうしても必要になるということを言った趣旨だと思いますが、表現については私もちょっと内容的には適切な表現とは言えない部分があるのではないかと感じている次第です。

(問)この件について、九州地方整備局長に、次官や河川局長から何らかのお話をされますか。
(答)この点については、九州地方整備局長の記者会見があるようですので、私の方から今日そういうご質問が出るということも分からなかったものですから、今、聞かれたことでお答えしましたが、そういう趣旨は河川局にもお伝えしたいと思います。

(問)福知山線の事故の件に関してなのですけれども、捜査に関することはコメントを差し控えたいということでしたけれども、今の山崎社長ですが、当時カーブの付け替えをした時に安全対策室長・鉄道本部長を務めていたということで、恐らく書類送検されるということが確実なようですが、当時、社長になる前のこととはいえ、山崎社長の責任についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)山崎社長がこういう事態の中で書類送検されることについてどういうふうに受け止め、また、社長としての責任があるのではないかということですが、実際にどのように対応するかということに関しましては、今はまだ書類送検の正式な発表も出ていない状況ですし、また、会社の人事の関係は会社において判断されるということでもあるものですから、この点については、特に私の方からコメントすることは控えたいと考えています。

(問)事故の原因になった一つと言われているカーブの付け替えですが、繰り返しになりますけれども、その時に安全対策室長・鉄道本部長を務めていたということについての山崎さんの責任についてはどのようにお考えですか。安全というものに。
(答)これはまさに、今度の書類送検の内容も、そういうところの評価、判断、その辺と関係する事柄だと思います。そういった意味でどのようにこの事案について刑事の関係で判断がなされるのか、まさに警察の方で書類送検ということになり、それに対しての検察における色々な捜査と言いますか取り扱いをどのようにするかということになる話だろうと思いますので、そのことについて行政としてどうかというのは、なかなかはっきりしたことをお答えすることは難しいと思っています。

(問)書類送検と切り離して、当時カーブの付け替え等に問題はなかったのかという事について伺います。
(答)これは事故が起こった後に、いわゆる速度超過防止用のATSの緊急整備という事がございました。この緊急に整備する箇所については、曲線の手前の所の運転速度で曲線部に進入した場合には転覆脱線のおそれに至る箇所ということで、対象として全体で264カ所について整備を図って、実際整備は全部18年度末なり、あるいは21年度末ということで整備をするということでそれぞれ取り組んでいるところでございます。そういう意味では、この曲線部におけるATSの整備は事故を受けた後、緊急の整備として取り組んだところでもあり、基本的にはこういう曲線部におきましても、運転手が制限速度の中で運転する場合にはもちろん脱線とかにはすぐ繋がるようなものではないので、そういった意味では、速度減速せずにカーブに突入する等によりまして危険が実際に生じるということですので、そういった判断というのがATSを入れることによって運転手サイドの注意を補完する、カバーするという意味がありますので、こういう事故が起こった事を契機に整備したというのは意味があるものと思っております。

(問)事前に整備しなかった責任というのはいかがですか。
(答)当然整備をするのに越した事がないというのは、安全の問題というのは皆そういう面がございますが、どこまで整備をすれば良かったのかとか、当該この事案に関してどこまでそういう措置を取るべきだったのかという、まさに刑事責任との関係での議論になるところでございます。その辺の判断は今警察であるいは検察へ送検されて捜査がなされると。そういう性格のものだろうと思いますので、私からは特にコメントは控えさせて頂きたいと思っております。

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