事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2008年10月23日(木) 14:00 ~ 14:33
国土交通省会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 事務次官等会議の関係で、特にご報告申し上げる案件はございません。

質疑応答

(問)昨日、自民党の地域活性化特命委員会では、地方向けの交付金を作るとのことで、地方単独事業や補助金の裏負担等に使えるようにしようという話が出ているのですが、次官として御所感や御感想があればお伺いしたいのですが。
(答)昨日の自民党の地域活性化特命委員会で、特に地域の元気回復対策が重要だということで色々議論がなされたということはお聞きしております。特に報道等でも、臨時交付金の導入が必要であるということが、昨日も委員会の中で御議論があったと聞いてます。私共としましても、今、地域の活性化に取り組むというテーマの下に、経済対策となりますと、地域の負担の部分をどのようにするかということが大変重要な課題になるだろうと考えています。来週に全体の取りまとめということで作業していくと聞いておりますので、私共も地域の活性化に繋げられる形で経済対策が組まれることが非常に望ましいと思いますし、私共もそれに沿った形で色々検討していく必要があると考えています。

(問)来年3月開港予定の静岡空港ですが、突然、制限表面を越える立ち木が発見されて、滑走路の短縮という事態が行われた上、開港時期も遅れるのではないかという懸念があり、これについて次官の御所見をお願いします。
(答)現在、建設中の静岡空港につきまして、航空法の制限表面に掛かる物件が存在するという報告を静岡県から受けています。県に対しては、これまでも物件の除去に向けて努力してもらうことを求めてきたところですが、県も努力を続けているということで承知をしていますが、なかなかそれが実を結ばないという状況で、大変残念な状況にあると考えています。県には引き続き努力して頂いて、予定通りの開港に向けて取り組んで頂くように国からも強く求めていきたいと考えています。最終的に知事がこのような状況の中で、どのように判断をされるか近々出て来ると聞いており、それを受けて国としても、特に完成検査等の手続きの関係もありますから、どのように判断していくかということで考えていきたいと思っています。

(問)今の関係ですが、これまでも物件の除去をするように求めてきたと仰いましたけれども、いつ頃から国土交通省としてはその話を把握して、静岡県に努力を求めてきた
のでしょうか。
(答)この事実関係がはっきりしたのが、9月の訴訟の関係で、県と私共がそういう事実関係を訴訟の場でも明らかにしたところで、その時点では事実関係が分かっていましたので、県も勿論事務的に色々な事実の関係のことの報告もありましたし、それに対して私共として、制限表面に引っ掛かる物についての対処は、やはり除去をするのが第一の対応ですので、そういうことが出来るように申し上げてきたところです。

(問)手許のデータベースを見ていたら、6月半ばに発売された経済週刊誌に、この問題が既に指摘されていて、少なくともその段階では、国土交通省も静岡県もどう判断されていたのですか。
(答)私も6月の段階で雑誌に出ていたこと、当然その辺りから、事実関係は関係者の間ではそれが事実であることの確認が進められてきたところですから、当然のことながらこの種の事案の対応としては、まず制限表面との関係をクリアしないといけないということが大前提ですから、そういう相談事は、そのような記事が出たところから色々な形で情報交換等含めて行ってきたと聞いています。ただ、外に対して明らかになったのは9月の訴訟の時だったということです。

(問)6月の段階から把握はなさって努力をするように促してはいたのですか。
(答)事実関係を含めて、勿論どのようなところで引っ掛かるという話になっているのか等を聞いたりしたのだと思います。

(問)結果的に3月に間に合えば別に何も文句はないのですが、3月の開港が間に合わないことになると国交省は県に対して監督官庁、所管官庁として怠慢とは言えませんか。
(答)勿論、開港の時期にあわせて関係の航空企業も就航等の調整をしていますから、それが予定通りいくということをとにかく実現することが大事だと思います。私共も県の方で取り組んでいる事業ではありますが、国からも特別会計から補助金が出ていますし、勿論、県として取り組むことに関しては、私共も逐次色々な報告を受けながら手続きがきちっと進むことは、我々も進行管理と言いますか、全体がどうなるかに関しては、そのような立場で開港に向けて着実に進むということを見る立場であるのは仰るとおりです。

(問)だったらもっと早く打開策というか、滑走路を短くする等を行ったらどうか、と言えば良かったし、県側も早めに決断すれば良かったのではないですか。
(答)県も当該立ち木の所有者との関係では、それを除去というか、伐採ですか、そういう方向での話は以前からもしていたという経緯がありますので、私共もそこは当然の事ながら県もその前から色々と話し合いはされていたようですから、勿論、進捗状況等は相手のある話ですので、どのように交渉で進められるかというのは県側における色々な対応もあったと思いますが、私共も全体の中で制限表面の話というのは、まさに滑走路を安全に使うという意味では基本的な部分の話ですから、当然強い関心を持って臨まなければいけないし、我々事務的にもこの問題に関してどうするかについて県とも話してきたところです。結果は、権利者との関係や訴訟の関係もあったのかもしれませんが、なかなか進まなかったという今に至る経過というのは確かにあったと思います。

(問)空港建設に当たって、土地収用等をして強引に進めたという批判も無くはないのですが、特に成田空港等の反省を踏まえて穏便に建設を進めるべきだったと、国交省が行った訳ではないのですが、そういう反省と言いますかご指摘等ありますか。
(答)この辺はお茶の栽培を行っていたところですが、それに係わる色々な議論が県の中でもあったようですが、勿論、その全体をまとめていくのは県庁なり知事の立場で調整していくということでありました。そういう構造の中で、この情勢については、第一は県知事のところでの判断で、色々関係者との調整、これだけに限らず色々な土地の買い取りを含め当然あった訳ですから、そういう意味では手続きを関係者と調整を積み重ねながら空港を造っていくということをしないとなかなか出来なかったと、まさにそういう状況の中のことですから、それが結果として円滑に行かない部分が出てきたというところについては、私共も非常に残念な事だと思います。

(問)居酒屋タクシーについてですが、以前次官にお伺いしたところ早急に悪質事業者について処分を行いますと言ったにも係わらず、まだ結果が出ていないのですが。
(答)私共も、6月から色々実態が各省庁出ている中で、当然の事ながら、事業者をある程度特定しないといけないということがありましたので、その辺は特に個人タクシーの関係になるのですが、当然対象をある程度確認しまして、得られた情報を基に確認して当該事業者について順次調査をするということを進めてきているのは事実です。調査を始めて処分ということまで含めると、弁明の通知というようなことで相手との間で事実を突き合わせをして、そして先方の方で弁明をするという手続きをこなさなければいけないといけませんので、全体的には前にも申し上げたかもしれませんが、3ヶ月から5ヶ月位は掛かるということがあって、その点は相手との関係でそういう手続きを踏むということが手続きであるものですから、今はどのような段階かというと、弁明手続きをまさに取る前までは来ています。私もまだ詳細はそういう相手との関係もありますから申せませんが、複数の事案に関して、そういう手続きにもう入るつもりで今調査の結果を積み上げて、弁明というところまで持って行くつもりで進めているつもりです。ただ、弁明に入っても少し時間は掛かりますので、その点は私共も実際にある程度事案を固めて調査に入って8月から来ていますので、3カ月から5カ月といっても、出来れば3カ月位の間にその弁明の手続きまで終了させて、勿論相手との関係がありますが、確定したものについては処分したいと思います。

(問)しかし、もらった側の職員はとっくに処分されており、事業者の特定と言いますが、これはもらった職員から話を聞けばすぐ分かるのではないのでしょうか。
(答)これは、必ずしも職員の方で確かに明らかにされたということで、職員との関係では処分は終わっているということですが、その職員がどのタクシーとの関係でというところの特定は、必ずしも私共の方にそういう事実関係が入ってないところがあり、私共は関係の省庁に対しても分かる限りのことでは協力を求めたり等しました。ある程度私共なりに個人タクシーの場合には協同組合がありますが、そういったところも通じてそれに添う事実と、それからこの期間にそれ以外にもあるような事実も含め調べてみて、必ずしも公務員で処分された人の関係での事実が全部相手も特定して掴み切れているかと言われれば、今の時点でもそこまでは掴み切れていない状況であります。それは、どうしても相手についてはなかなか、関係省庁でも完全に明確に示せないという立場の役所もあり、なかなか明確にしきれていないところがあります。ただ、我々は出来る限り、今分かっている限りのものは一応全部対象にして調べてはいます。

(問)現在の監視体制と処分への手続きの時間の掛かりすぎという部分について、それは問題点としてお考えにはならないのですか。
(答)これは、ある程度調査した上で弁明の機会は、どうしても手続きは踏まないといけないものですから。確かに時間が掛かりすぎではないかというご指摘があるのは、この件に関して既に私共の職員は6月位から処分の関係は進めてきていますので、私共は実はそういう事実の中から事業者を特定して、また事実関係も特定しないと、何日の、何時に乗ったどの輸送に関してこういうことがあったということまで特定した上で、事業者に実際調査をかけて相手との関係でほぼ対象が明確になった上で、これを対象にして道路運送法上の問題があったということで弁明の機会を設けて処分までしていくというつもりで、相手とやりとりというのか、手続きを踏むということになっていますから、この手続きは形式的には踏まないと処分にはならないものですから、ある程度やむを得ないところがありますが、時間が掛かりすぎているのではないかというご指摘については、私もはっきり言って事実関係の確認に少し時間が掛かっているという感じはします。

(問)静岡空港の件ですが、立木だけではなくて、立木が立っているすぐ隣の土地そのものが既に制限表面に掛かっていると。つまり、立木を切っただけでは問題解決にはならなくて、土地そのものを削らないといけないということが実は訴訟で国が提出した準備書面の中で書かれていますが、国土交通省はそれを把握されていますか。
(答)私は立木のところと聞いています。

(問)立木が立っている直ぐ隣の反対派地権者の方が持っている私有地です。
(答)立木の場所とは違うところですね。その事実は私は把握を十分していませんでした。

(問)いずれにせよ、そういう杜撰な事業計画を基に出された計画に対して、設置許可を出してしまった国土交通省の責任はどうなるのかと思いますが、その辺は如何でしょうか。
(答)正に事業認定、実際に事業を始めるところの事業認定というところで、私共もその手続きの中では実はこういう問題については、県の方でも色々と調査をした上で、どういう範囲で事業認定をとるかということを手続きされてますが、実はどの場合もそうですが、必ずしも事業に全て物理的に必要なところを全部カバーした形で事業認定がなされるかというと、実はある程度話し合いで済ませるというか、解決するようなところは、どういう場合でも事業認定に全部入れている訳でもない実体もあり、私共もその辺は事業を行う県の側において、どの程度調整をやるつもりで臨むかということは、ある程度前提にした上で事業認定等しているということがあります。ですから、その部分で話し合いで解決なりをしようと思っていた部分が解決出来なかったということになると、最初の事業認定の申請に当たって、県が判断をした中身が後でやはりそうはなかなか運ばなかったということになるものですから、私共は、そこは悩ましいところではありますが、必ずしも最初の段階で、全てあらゆる関係の所を全部、所謂対象地域として認定をするかどうかというところは、なかなか難しい判断があるかと思います。しかし、結果的にこういうことになったので、そういう支障になるものについて解決が図れないと、せっかく事業認定して他の土地はそれなりに購入をしたり買収したりして手当てしているものですから、せっかくのところが活かされないことになりますので、その点は非常に大きな問題だと思っています。

(問)次官が今仰ったのは、強制収用の事業認定についてでしょうか。
(答)はい。事業認定です。

(問)設置許可については如何でしょうか。
(答)設置許可はそういうレベルのことではないですから、こういう場所で何処を中心にどういう区域で空港を設置するかということなので、風向きの問題だとか、そういう大きな話はその時に当然議論になりますけれども、そういう支障物件等の関係で設置許可のところでどうこうという話は基本的にはありません。それの上で用地をどのように確保して、色々な支障になること等の解決をするか、次の段階です。

(問)今日の一部報道で、滑走路を短くするということでILSが使えなくなるという報道があったのですが、それについてはいかがでしょうか。
(答)ILSというのは就航率を維持するために必要なものですので、それを使わなくするというのは、滑走路が万が一使えない場合の話としてということだと思いますけれども、基本的にILSが使えないというのは、空港の運用上の問題としては色々出てきますので、そのこと自身は単純に使わなくするという話ではないだろうと思っています。

(問)使えるようにしなければいけないということですか。
(答)基本はそうです。私共はそういう形で整備をしてきているところですから、ただ、全体の調整がどうなのかというのは、知事も判断されてというところで相談しないといけないと思います。

(問)知事の判断なのでしょうけれども、結局3月中というのは駄目なのですか。
(答)まだ断言出来ないかなと思います。もちろん相手もある話ですし。

(問)かなり厳しいとお考えでしょうか。
(答)相手の方が絶対と言われれば、話し合いの余地がないと言われれば、話し合ってと言ってもなかなか難しいとは思いますけれども。

(問)もちろん誘導灯を買い換えるということを考えたら、現状だったら3月開港は無理だとご覧になっているのですか。
(答)そういう判断をするというところは、時間的に色々な対応の仕方とか、もし仮に出来なかった場合にはそういう問題もありますし、あるいは事態が急に解決すればそういうことも杞憂に終わる訳ですが。

(問)滑走路が短くなるかもしれない計画だったり、需要予測を何回も引き下げたり、相当いい加減な無駄な公共事業の典型だと思いますが、万が一開港時期が遅れたりした場合は、県に何らかのペナルティーを科すとか、厳重に注意するとか、何かお考えはあるのでしょうか。
(答)それは、そうなった時の話ではありますけれども。もちろん、当初の予定に向けて色々やってきているところですから、それが変わるとか、先程の時期だけの問題ではなくて、空港の使い方の問題もありますし、それに関連する色々な事柄も準備してきている訳ですから、今、あまりそのようなことをどうこうという段階ではないと思います。もし、仮に万が一なった時は色々考えなければならないと思います。

(問)広島県福山市の鞆の浦の案件なのですが、今日、地元が大臣宛に埋立免許を出さないよう求める署名を持って来られたようなのですが、6月に県の方が埋立の認可申請を出していてかなり時間が経っていますが、今後国土交通省としては、今の審議の状況とかタイムスケジュールの目処等はどうなっていますか。
(答)今日地元の方がお見えになったという話は知りません。

(問)署名が10万件集まったようなのですが。
(答)そうなのですか。実は、埋立の認可の申請が出ていて、中国の整備局に出ているということだと思います。ただ、実際には埋立の認可の申請には、必要な内容を一緒に提出してもらわなけらばならないことがあって、私が少し前に聞いている話では、その関係を地元の申請者の方に整えるようにお願いして、まだそういう手続きも全部書類の関係が揃っているというところまで聞いていません。確かに、申請が出ているというところは事実ですけれども、その審査が十分出来るような書類が全部揃っているかどうかという辺りは、私がこの前中国の局長にお会いしたのですけれども、特にそのことは仰っていなかったので、おそらくまだ書類が全部揃っているということではないのではと思います。

(問)それは形式要件さえ満たしていないということですか。
(答)形式要件と言うよりも、当然埋立の認可には色々要件があるので、その要件を満たしているかどうかに関して、認可の審査の際に申請者から関係の書類、データみたいなものを求めるというようなことがあるようです。具体的な詳細は、今は分かりませんけれども。手続き的にはそういうのがあると聞いてきます。

(問)そうなると、可否の審議をされるのは、その書類が出揃ってからということになりますか。
(答)揃ってからとなると思います。

(問)更に揃った段階から、早くて3ヶ月ですか。
(答)それは、恐らくそこからなのかどうかは分かりません。勿論、申請されているところの中味も話していると思いますけれども、具体的なやりとりを直接聞いている訳ではありませんので。

(問)宛先は、大臣宛とはなりますが、やはり中国整備局の方になるんですね。
(答)そうですね、中国整備局が窓口になります。

(問)自治体の不正経理の問題ですが、国交省等の委託事業費についても省の側に不適切な経理処理があったという報道が昨日ありましたが、これについてお願いします。
(答)これは委託事業の関係なんですが、委託事業の経理に関しては、会計検査の途中の段階で、補助金の関係で出ている12道府県について私共の所管ですと、「指定統計」を地方の自治体、12道府県に委託しているというのがありまして、検査院は、委託費で出ているのと県の単独費との経理区分が明確にされていないということを、会計検査の途中の段階で話がありまして、委託費の支出の実績が明確かつ十分に確認が出来ない状況にあるので、その点を国交省の方も関係の道府県にきちんと指導を行う必要があるのではないかというお話がありました。私共は、それを受けて12道府県ということではなく、都道府県全体的に区分経理はきちんとやってもらったほうがいいということで、委託契約の要領に関して、9月17日にそういう部分をきちんと入れた形で、国土交通省の会計担当を通じて、徹底をお願いしたところです。それぞれの会計担当からは都道府県に対して、区分経理をきちんとやって下さいという指導文書を出したところです。検査院のほうもこの扱いはどちらかというと、委託事業について区分経理がなされないとどういう支出の状況か確認が十分に出来ないではないかということでの問題指摘ですから、地方公共団体側にも国交省側にも不適切な経理処理があったという段階での指摘にはなっていないので、実はそういう事柄があったということです。新聞報道では、もう少し断定的なことが書いてあったと思いますが、そういう扱いの話ではなかったということです。

(問)全日空が昨日那覇で、酒気帯びで副操縦士が1時間半遅延ということがありましたが、ご所見をお願いします。
(答)前にも8月頃にもありましたが、あの時は栄養剤か何かを飲んでとの話でしたが、またアルコールの関係で最終的には時間を置いて再度測ったところで数値が大丈夫だったということで出発したようですが、その間にお客さんに非常に迷惑を掛けているので、この種の事での扱いでお客さんに迷惑を掛けることになっているということはちょっと問題かなと思います。

(問)指導等はなされないのですか。
(答)こうしたことは注意するように、と口頭で担当の方には言ったようですが、聞くところによると、全日空の方は12時間前以降は飲んではいけないということになっていて、実際には12時間前に飲んでいて、一緒に飲んでいた人は大丈夫だったとの話ですが、あまり飲むなというのもあれですが、その辺は個人差もあるかもしれないし、単なる形式的な12時間ではなく、注意するところは注意して、お客さんにこれだけ影響があるということは大変なことなので、代替の人を常に揃えておけないこともあるでしょうから、その辺はちょっと注意して欲しいなと思います。

(問)乗客への説明では体調不良だと説明していたようですが。
(答)そういうことは出来るだけ正直にお話しされるのがいいのではないかと思います。

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