(問)ダムの整備の関係ですが、大臣がダムの整備手続きの見直しを事務方に指示したと言われてましたが、今後、どういうやり方で検討を進めていくのかお願いします。
(答)特に最近、川辺川ダムについてはダムによらない対策、淀川の関係でも一部のダムについて計画の中に入れないで少し後に回す必要があるとの4府県知事からの合意事項が出されたという状況の中で、以前とは違った方向の表明がそれぞれなされているということで、大臣から、どのようにダムを含む治水対策に取り組むか、ダム事業一般の進め方、プロセスを見直す必要があるのではないか、ということでご指示があったということでございます。自治体がこういった対応をされていることに対しまして、国土交通省としてどういう説明の仕方、あるいは手続きの仕方を取っていくのかについて大臣が主導する形で検討の場を設けるように、というご指示でございます。私共は、その趣旨を受けて、今検討しているところでございますが、まだ具体的にどのような検討体制を設けるかについては具体化に向けて今作業しているところですので、まだどのような形で対応するかが決まったというような段階ではありません。何れにしても、大臣のご指示、問題意識をしっかりと受け止められるような検討体制を作りたいと考えています。
(問)先週、航空局の職員が勤務時間中に不適切な行為があったということで、これについて次官の受け止めをお願いします。
(答)週刊誌に掲載された記事内容について、当該職員から事実関係の調査を行いました。勤務時間内に風俗営業を利用していたという、これまでに前例のない極めて不適切な事実が確認されたということで、当該職員に対して懲戒処分を行いました。処分の内容は、減給6ヶ月、10分の2です。これは非常に厳しい処分です。勤務時間中に職務専念義務違反だというのみならず、その間に国家公務員として非常に不適切な行為を行っていたということですので、こういう事態に対して厳しい処分を行ったところです。国土交通行政に対しては色々と国民からの厳しい批判がある中で、信頼回復について省を挙げて取り組んでいる中で、こういう事案が発生したことにつきましては誠に遺憾な事態だと考えています。再度、航空局内で職員に対し改めて服務規律の徹底を図ったところですが、私としても国民の皆様に心からお詫びを申し上げる次第です。
(問)厳しい処分だというお話があったのですが、2割の減給でそれが6ヶ月というのは厳しい処分なのでしょうか。
(答)私共も過去の処分の事例を比較考量した上で、特に今回は勤務時間中の職務専念義務違反だけでなく、その時間に風俗営業を利用していたということで、国民の目から見ても非常に不適切な行為が職務時間中に行われたということです。単純な職務専念義務違反の場合はこのような処分にはならないところです。そういう意味で特に加重した形での処分にしたつもりです。処分全般の中では、この種の事案としてはそういう背景もあったということで重い量定にしているということです。
(問)私も職務専念していないことが多々あるのですが、普通の職務専念義務違反だとどれくらいの処分になるのですか。
(答)この方は役所に入られてそれほど経っていない方なのですが、最初ということになると懲戒的な処分にはなかなかならないという場合もあります。ただ、本件はその時間に、こともあろうにという行為をしていたということです。そういうことで処分する事案になったということです。
(問)ダムの見直しの関係なのですが、財政的な問題や手続きの問題について見直しをすると大臣が仰ったのですが、具体的にはどのような問題意識をお持ちなのでしょうか。
(答)大臣は、今までの進め方については、色々な経緯を踏まえて、川辺川ダムはこれから整備計画を策定する段階であり、淀川水系の場合は整備計画(案)を策定したものについての意見を求めるという段階でありましたが、そういうダムを中心とする治水計画に関して地方公共団体に提示をし、併せてその内容について意見をお聴きするという手順に関して十分な形で地方公共団体の意見に対応出来る体制に今なっているかどうかと。特にダムによらない対策が求められるような状態についてどのような形でこのような問題に対応していくのか、特にそれは相手方である地方公共団体との関係でどのような形で対応していくのか、このような問題に関して、今までの考え方に拘泥しないでどのように今後こうした問題に対処していくかということを考えていくべきだと、これが大臣のご趣旨だと受け止めています。その中で、地方の財政問題としていわゆるダム事業のようなものについて地方がどのように負担をしていくか、また私共としてもどのような対応をしていかなければならないのかということについて改めて検討・見直しをしていこうという趣旨です。そのように私も受け止めています。そういう意味で、このような問題を正面から受け止めた形で検討の体制を設ける必要があるだろうと考えています。
(問)大臣から、今のお話しに関して事務方に任せるとなかなか進まないのでという金子大臣にしては厳しい発言が公の場でありましたが、それについてはどのようにお考えですか。
(答)これは、事務方が手順として進めていることにどうしても拘束をされるような対応をしがちであるということに関して、そのような形に囚われないで、現下の問題に対してどのように対応していったらいいかということを考える姿勢で臨む必要があると、それは事務方ではなかなかそういう考え方の切り替えと言いますか、見直しをしていくということがなかなか難しいのではないかという思いを仰られたのではないかと思っています。ですから、この点は大臣の主導という形で大臣は仰られていますが、私共もご指導頂きながら、今までのものに拘らない形での対応の仕方を、広くダムを中心とする治水事業、河川整備に関する対応の仕方を、今までのものの見直しを改めてしていくことが必要だと受け止めています。
(問)高速道路についてですが、追加景気対策で高速料金の値下げを実施したりということが盛り込まれていますが、これまで原油価格高騰等の対策として料金値下げというのは業界団体等にはとても良い効果があると思いますが、追加景気対策という観点から登録台数8千万台中の3割程度しか普及していないETCに限って実施される施策というものは、景気対策の1つになるものでしょうか。
(答)これは今回の高速道路料金の引下げを計画として折り込むことに関して、それを適用される車両がETC車両に限られると十分な効果が出ないのではないか、寧ろ需要を喚起するという意味であればETCが付いていないような車両も対象にすべきではないかという議論のことと受け止めています。この点については、私共も出来るだけ需要の喚起効果、今まで顕在化していないような需要を具体的に引き出すということが大事だろうと思っていますので、その意味では、執るべき施策と、ETC車両でないと実際の適用が難しいのではないかという点をどのように調和させるかということは色々と考えなければならないことだと思います。その意味では、私共もETC先にあり、ということでは毛頭ない訳ですが、やはり割引制度を円滑に支障なくやろうとすると、しかもそのために事務手続きを余計にして料金所の人間を増やすというような訳にもいかないという中でどういう対応が出来るかということになりますので、ある程度ETCという機能に頼らざるを得ないところはありますが、この問題に関して、例えば大臣も仰っていますが、ETCの設置に関して今まで付けていない車に関して付け易いような支援の措置等も含め取り組まないといけないのではないかと感じています。また、そのことについて私共は具体的にどういうことが出来るのかということについて今詰めているところです。
(問)何時頃発表出来る段階になるのでしょうか。今駆け込み需要でETCを購入される方も増えていると聞いていますが、そういう方達に関して不公平感が出るような気もしますが。
(答)そういうことになってはいけないと思いますので、これも出来るだけ早くにそういう対応についても明らかに出来るようにする必要があると思います。
(問)航空路線の話ですが、先週末に関西国際空港会社の社長が定例会見で成田=伊丹線を廃止して関西国際空港に付け替えて欲しいと。これまでも大阪府や和歌山県等からもそういう話が国土交通省や各エアラインのほうにあるかと思いますが、それについての感想と、どの様な対応をされるのでしょうか。
(答)これはなかなか難しい問題だと思っています。伊丹空港と成田国際空港の間は1日4便が運航されているところです。主として関西圏の利用者が成田国際空港を利用して国際線に乗られるという需要でありますが、実際に今4便就航しておりますが、全体の平均搭乗率が79.5%と非常に高い搭乗率になっています。これは、成田国際空港まで国内線に乗られて国際線に乗り継ぐという需要があるということが前提ですから、私共も航空のお客さんがどういうサービスで利用されるかという利用実態を踏まえないと、なかなか路線というものを形式的に、例えば関西国際空港からの利用で対応出来るようにすると言っても、お客さんの利用の先が関西国際空港から飛べていないような路線の場合は対応が出来ないということになります。そういう意味で、なかなか形式的には割り切りずらいことだろうと思っています。むしろ、この点は今、関西国際空港につきましては、色んな事情で便が、燃料の関係もありましたし、最近はそもそもの航空利用者が減少するというような部分で、減便になったり、休止の便が出たりということがあるものですから、そういう問題の中で関西国際空港をどのように活かしていくかという考え方をどう持つかということが大事ではないかと思っています。色々減便されている中でも、関西国際空港絡みで増便になっている分もありますので、国際線のネットワークが、今、成田国際空港は週間で大体1,700くらいの便が就航しているんですが、関西国際空港の場合には、週間でいきますと700~800便というオーダーです。ですから、どうしてもネットワークの細かさというか、或いは目的地の広がりというか、品揃えの関係がやはり成田国際空港がいろんな方面に向かう便数が豊富にあるということになりますので、これを単純に伊丹空港から成田国際空港に飛ばないような形にしてと言っても、関西国際空港でそれに見合うような便が全部張られているという訳にもなかなかいかないという点がありますので、全体の中で、例えば方面別にどういうことに特色を発揮するかとか、逆に東京圏のお客さんもある方面に行くのであれば関空を使うと便利だとかいうことも含めて色々な工夫を空港側でもしていく必要があると思いますが、利用者側がどのように航空ネットワークを利用していくかというものを踏まえた形で対応する必要があるのではないかと思っています。関西国際空港の社長が仰っている意味は、非常に経営的にも厳しい状況にある中で、そういうお気持ちを仰られたのだと受け止めています。